カテゴリー: オーストラリア

  • オーストラリアの車椅子旅行ガイド|飛行機・ホテル・交通機関・観光ツアーの注意点

    オーストラリアの車椅子旅行ガイド|飛行機・ホテル・交通機関・観光ツアーの注意点

    オーストラリアへの旅行を計画するとき、車椅子を利用する方や、長い距離を歩くことが難しい方にとって、気になるのが現地のバリアフリー事情です。

    「車椅子のまま飛行機に乗れる?」「空港からホテルまで車椅子対応の送迎車を手配できる?」「ホテルのバリアフリールームは日本と同じ設備?」「ブルーマウンテンズの観光ツアーに参加できる?」など、出発前に確認しておきたいことは少なくありません。

    オーストラリアは、車椅子利用者や移動に配慮が必要な人のための設備が比較的整っている国です。

    主要な空港や新しい駅にはエレベーターが設けられ、多くの公共交通機関では車椅子に対応した車両が導入されています。また、観光施設でもスロープや専用トイレを備えたり、車椅子利用者向けの見学プログラムを設けたりする例が増えています。

    しかし、すべての場所が車椅子で利用できるわけではありません。

    例えば、メルボルンでは古いタイプのトラムに階段があり、車椅子で乗車できない場合があります。シドニーのフェリーも、船そのものは車椅子に対応していても、桟橋の構造によって乗り降りできないことがあります。

    また、観光地では、施設の入口まで車椅子で行けても、展望台へ続く遊歩道に階段や急な坂がある場合があります。

    ホテルについても同様です。

    予約サイトに「車椅子対応」「Accessible」と書かれていても、ベッドの高さ、浴室の構造、車椅子の回転スペースなどが、実際に必要な条件を満たしているとは限りません。

    車椅子旅行で大切なのは、旅行先を必要以上に限定することではなく、利用する車椅子と本人の移動能力に合わせて、航空機・送迎車・ホテル・観光施設の条件を事前に確認することです。

    この記事では、車椅子を利用する方とそのご家族を対象に、オーストラリア旅行の準備、航空機の利用、ホテル選び、公共交通、現地ツアー、人気観光施設のバリアフリー状況まで詳しく説明します。

    内容は2026年10月時点の航空会社、交通機関、観光施設などの公式情報に基づいています。設備や運行状況は変更される場合があるため、予約時にも最新の情報を確認してください。

    母と一緒にシドニーへ旅行する予定です。普段は歩けるのですが、長時間の移動では車椅子を使っています。ブルーマウンテンズやオペラハウスの観光はできますか?
    どちらも車椅子利用者向けの設備や見学方法があります。ただし、すべての観光コースに参加できるわけではありません。特に、車椅子から座席へ移れるか、段差を歩けるか、車椅子に乗ったまま移動する必要があるかによって、手配できる内容が変わります。




    オーストラリアのバリアフリー事情

    オーストラリアでは、車椅子利用者や、移動に配慮が必要な人も旅行を楽しめるよう、アクセシブル・ツーリズム(Accessible Tourism)という考え方が広がっています。

    オーストラリア政府観光局(Tourism Australia)では、車椅子利用者だけでなく、高齢者、視覚・聴覚に障害のある方、認知面で配慮が必要な方なども含め、さまざまな旅行者が観光を楽しめる環境づくりを進めています。

    オーストラリアの主要都市では、鉄道駅や公共施設、ショッピングセンター、観光施設などに、スロープ、エレベーター、多目的トイレなどが設けられています。

    ただし、国土が広く、地域によって都市の規模や公共交通の設備が異なります。

    シドニー(Sydney)やメルボルン(Melbourne)などの主要都市と、地方の国立公園や自然観光地では、利用できる設備に大きな違いがあります。

    車椅子対応にはさまざまな段階がある

    例えば、次のような違いがあります。

    車椅子への対応状況 実際に確認すること
    入口にスロープがある スロープの勾配や幅は適切か
    エレベーターがある 車椅子が入る寸法か、目的の階まで行けるか
    車椅子対応トイレがある 手すり、便器の位置、介助スペースなど
    車椅子対応車両がある 乗車用リフト、車椅子固定装置、座席数
    車椅子対応客室がある ベッド、シャワー、トイレの設備
    車椅子対応ツアーがある 移動経路、乗降方法、観光施設の利用条件

    同じ「車椅子対応」という表記でも、利用できる設備は異なります。

    特に、車椅子に座ったまま移動する必要がある方と、車椅子から普通の座席へ移れる方では、利用可能な交通機関や観光ツアーが大きく変わります。

    旅行前に確認しておきたい車椅子と移動能力

    旅行会社や航空会社へ相談するときは、「車椅子を使っています」と伝えるだけでは、十分な手配ができない場合があります。

    車椅子の種類や、本人がどの程度移動できるかを具体的に伝えることが重要です。

    手動車椅子と電動車椅子

    まず、使用する車椅子が手動式か電動式かを確認しましょう。

    手動車椅子の場合でも、折りたたみ可能か、折りたたんだ状態でどのくらいの寸法になるかが重要です。

    電動車椅子の場合は、さらに重量やバッテリーの種類などを確認する必要があります。

    移動能力も伝える

    例えば、以下のような違いがあります。

    • 長距離移動だけ車椅子を使用し、短い距離なら歩ける
    • 階段は難しいが、介助があれば数段は昇降できる
    • 車椅子から車の座席へ移ることができる
    • 移乗には家族の介助が必要
    • 車椅子からの移乗が難しく、車椅子に座ったまま乗車する必要がある

    例えば、観光バスに通常の座席しかない場合でも、車椅子から座席へ安全に移れる方なら参加できる場合があります。

    一方、車椅子に座ったまま移動する必要がある方には、車椅子を固定できる専用車両が必要です。

    出発前に控えておきたい情報

    項目 確認内容
    車椅子の種類 手動式・電動式
    車椅子の幅 最も幅が広い部分の寸法
    車椅子の長さ フットレストなどを含む全長
    車椅子の高さ 背もたれなどを含む全高
    車椅子の重量 本人の体重とは別に測定
    電動式の場合 バッテリーの種類・容量・取り外し方法
    移乗能力 普通の座席へ移れるか
    介助 本人のみで移動できるか、介助者が必要か

    電動車椅子では、製造メーカー名や型番、取扱説明書などを用意しておくと、航空会社から確認を求められた際に役立ちます。

    車椅子で飛行機に乗る方法と航空会社への連絡

    車椅子を利用する方も、航空会社が必要な支援を提供できる場合は、国際線やオーストラリア国内線を利用できます。

    ただし、車椅子の種類や必要な介助内容によって、事前の連絡が必要です。

    車椅子に座ったまま飛行機に乗れる?

    通常の旅客機では、個人の車椅子に座ったまま飛行することはできません。

    搭乗する際には、航空機の座席へ移る必要があります。

    自分の車椅子は、通常、航空機の貨物室に預けることになります。

    航空会社は、空港内の車椅子移動や、必要に応じた機内用の細い車椅子などによる搭乗支援を行っています。

    カンタス航空の車椅子サポート

    カンタス航空(Qantas Airways)では、車椅子利用者向けに、チェックイン、搭乗口までの移動、乗降、航空機の座席への移乗などについて、必要な支援を案内しています。

    公式サイトでは、出発の少なくとも48時間前までに、車椅子の使用や支援の必要性を伝えることを推奨しています。

    出発当日に初めて申し出ることもできますが、スタッフや設備の都合で希望どおりの支援を受けられない場合があります。

    また、航空機の種類によって、車椅子の収納寸法や取り扱いの条件が異なります。

    カンタス航空:車椅子・移動支援の公式案内

    ジェットスターの車椅子サポート

    ジェットスター(Jetstar)でも、車椅子や歩行補助具を利用する乗客に対する支援を提供しています。

    ただし、一部の航空機では、車椅子による支援を必要とする乗客の受入人数に制限が設けられています。

    例えば、エアバスA320・A321型機や国内線のボーイング787型機では、特定の車椅子支援を必要とする乗客の受入人数に制限があります。

    そのため、車椅子を利用する方が複数名いる場合などは、航空券を購入する前に航空会社へ確認することが重要です。

    ジェットスター:車椅子・移動支援の公式案内

    航空券予約時に伝えること

    • 車椅子を利用していること
    • 手動式か電動式か
    • 車椅子の寸法と重量
    • 車椅子から航空機の座席へ移れるか
    • 航空機の通路を歩けるか
    • 階段での搭乗ができるか
    • 必要な介助内容
    • 同行者がいるか

    車椅子利用者が利用できる座席や、乗降の補助方法は航空機によって異なります。

    航空券を購入する前に相談すれば、条件に合わない航空便を選んでしまうリスクを減らせます。

    電動車椅子を航空機で運ぶ場合の注意点

    電動車椅子を利用している方は、手動車椅子よりも確認する項目が多くなります。

    特に重要なのが、バッテリーと車椅子の寸法です。

    バッテリーの種類を確認する

    電動車椅子では、リチウムイオン電池、密閉型バッテリーなど、さまざまな種類が使用されています。

    航空会社は危険物輸送の規則に従って、バッテリーの取り扱いを決めています。

    カンタス航空では、バッテリーを使用する移動補助具について、事前の危険物承認が必要です。

    例えば、取り外せるリチウムイオンバッテリーには、バッテリー容量、端子の保護、機内持ち込みなどに関する条件があります。

    バッテリーが車椅子から容易に取り外せない場合には、車椅子へ固定した状態で運ぶための条件が定められています。

    実際に適用される規則は、バッテリーの構造や容量によって異なります。

    車椅子の全高も重要

    電動車椅子は、航空機の貨物室に収納できる高さや幅などの制限を満たす必要があります。

    特に、小型の国内線機材では、利用できる車椅子の寸法に制約がある場合があります。

    また、電動車椅子の重量が大きい場合、航空会社が安全に積み降ろしできるかどうかも確認が必要です。

    旅行前にしておきたい準備

    • 車椅子のメーカー・型番を控える
    • 寸法・重量を正確に測定する
    • バッテリーの種類と容量を確認する
    • バッテリーの取り外し手順を確認する
    • フリーホイールモードの操作方法を確認する
    • 取り外せるクッションや付属品を確認する
    • 車椅子の写真を撮影しておく
    • 航空会社から必要な承認を取得する

    車椅子が破損した場合に備えて、航空会社の補償条件や旅行保険の対象範囲も確認しておきましょう。

    カンタス航空:電動車椅子のバッテリー輸送規則

    空港での車椅子サービスと乗り継ぎ

    オーストラリアの主要空港では、航空会社を通じて車椅子移動の支援を依頼できます。

    ただし、航空会社によるサービスの範囲と、空港で提供されるサービスは必ずしも同じではありません。

    日本出発時の支援

    航空券の予約後、利用する航空会社へ必要な介助を伝えておきます。

    通常、チェックインカウンターから搭乗口への移動、航空機への乗降などで支援が提供されます。

    ただし、空港の駐車場や一般車両の乗降場所からチェックインカウンターまで、すべての区間で支援を受けられるとは限りません。

    日本側の空港でも、利用する航空会社や空港へ事前確認すると安心です。

    オーストラリア到着時

    到着後は、航空機から入国審査、手荷物受取所などまで、必要な支援を受けられる場合があります。

    ただし、支援の終了場所は航空会社によって異なります。

    例えば、ジェットスターの公式案内では、通常、到着時の手荷物受取所までの支援を説明していますが、それより先の移動については別途手配が必要になる場合があります。

    国内線に乗り継ぐ場合

    シドニーやメルボルンを経由して国内線へ乗り継ぐ場合は、ターミナル移動にも注意が必要です。

    空港によっては、国際線と国内線のターミナルが離れています。

    同じ航空会社を利用していても、乗り継ぎ時に車椅子の引き渡しや再チェックインが必要になる場合があります。

    車椅子を利用する方は、一般の旅行者よりも乗り継ぎ時間に余裕を持たせることをおすすめします。

    また、別々に購入した航空券の場合は、航空会社間で介助情報が共有されない可能性があります。

    それぞれの航空会社へ必要な支援を連絡しておきましょう。



    空港からホテルへの車椅子対応送迎

    空港に到着した後、ホテルまでの移動方法も事前に確認しておきましょう。

    一般的なタクシーや送迎車は、必ずしも車椅子に対応しているわけではありません。

    特に、車椅子に座ったまま移動する必要がある方は、専用車両の手配が必要です。

    車椅子から普通の座席へ移れる場合

    車椅子から普通の車の座席へ安全に移れる方であれば、一般的なタクシーや専用車による移動が選択肢になります。

    ただし、車椅子を荷物室に収納できるか確認が必要です。

    折りたたみ式の車椅子でも、乗車人数とスーツケースの数によっては積載できない場合があります。

    車椅子に座ったまま乗車する場合

    この場合は、ホイールチェア・アクセシブル・ビークル(Wheelchair Accessible Vehicle)と呼ばれる車椅子対応車両が必要です。

    専用車両には、スロープまたはリフト、車椅子を固定する装置などが設けられています。

    ただし、すべての車両が、あらゆる種類の車椅子に対応しているわけではありません。

    予約する際には、車椅子の寸法と重量を伝え、車両への乗車が可能か確認してください。

    空港送迎で確認すること

    • 車椅子に座ったまま乗車できるか
    • 車両がスロープ式かリフト式か
    • 車椅子固定装置を備えているか
    • 車椅子利用者以外に何人乗車できるか
    • スーツケースを何個積めるか
    • 空港の集合場所はどこか
    • フライト遅延時にどう対応するか
    • 乗降時に運転手が提供できる支援の範囲

    シドニー空港などでは、車椅子対応タクシーを手配することもできますが、車両の到着まで時間がかかる場合があります。

    また、電動車椅子や大型車椅子の場合は、使用可能な車両が限られる場合があります。

    空港到着後の負担を減らしたい場合は、事前に車椅子対応の専用送迎車を予約しておく方法も検討するとよいでしょう。

    車椅子対応のホテルを予約する方法

    車椅子を利用する方のオーストラリア旅行で、特に慎重に選びたいのがホテルです。

    予約サイトで「Accessible Room」や「Wheelchair Accessible」と表示されていても、設備が本人の利用条件に合っているとは限りません。

    アクセシブルルームとは?

    アクセシブルルーム(Accessible Room)は、車椅子利用者や移動に配慮が必要な方が利用しやすいように設計された客室です。

    一般的には、入口の段差をなくしたり、浴室に手すりを設けたり、車椅子が移動できるスペースを確保したりしています。

    ただし、具体的な設備はホテルによって異なります。

    また、建物全体がバリアフリーでも、一般客室の浴室には段差がある場合があります。

    ホテル予約時に確認する項目

    項目 確認内容
    ホテルの入口 階段を使わずに入れるか
    客室への移動 エレベーターで到達できるか
    客室のドア 車椅子が通れる幅か
    室内スペース 車椅子が方向転換できるか
    ベッド 高さ、左右の介助スペース
    浴室 段差のないシャワーか
    トイレ 手すり、便器の高さ、移乗スペース
    シャワーチェア 備え付けか、貸出可能か
    その他の設備 必要に応じてリフトや介護用品

    客室の写真を確認する

    客室の設備が不安な場合は、ホテルへアクセシブルルームの写真を送ってもらう方法があります。

    浴室、トイレ、ベッドの配置、客室入口などの写真があれば、実際の利用をイメージしやすくなります。

    ただし、写真だけで寸法が分からない場合もあるため、必要に応じてホテルへ問い合わせてください。

    アクセシブルルームの確約を確認する

    予約時のリクエスト欄に「車椅子対応希望」と書くだけでは、アクセシブルルームの予約が確約されない場合があります。

    特に、予約サイトで部屋タイプが指定されていない場合などは注意してください。

    車椅子対応客室が必要な場合は、希望する部屋タイプが確約されているか、予約前にホテルへ確認することをおすすめします。

    アクセシブルルームの浴室・トイレ・ベッドを確認

    アクセシブルルームを予約するときは、単に車椅子で部屋へ入れるかだけでなく、浴室とトイレの設備が重要になります。

    特に、ホテルによっては、シャワー設備が日本のバリアフリールームと異なる場合があります。

    ロールインシャワーとは?

    ロールインシャワー(Roll-in Shower)は、車椅子で入りやすいよう、浴室の床に大きな段差を設けないシャワー設備です。

    ただし、段差のないシャワーがあるだけでは、必要な介助スペースや椅子が確保されているとは限りません。

    シャワーチェアの確認

    シャワーチェア(Shower Chair)には、固定式、折りたたみ式、移動式などがあります。

    また、耐荷重や座面の大きさなども製品によって異なります。

    ホテルに備え付けのものがない場合、事前に貸し出しを依頼できる場合があります。

    ただし、ホテルによっては取り扱いがありません。

    トイレの移乗スペース

    車椅子から便座へ移る際には、車椅子を便器のどちら側に置けるかが重要になる場合があります。

    右側から移乗する方と、左側から移乗する方では、利用しやすいトイレの配置が異なります。

    必要な場合は、手すりの位置や便器周辺のスペースも確認しましょう。

    ベッドの高さにも注意

    ホテルのベッドは、日本の一般的なベッドよりも高さがある場合があります。

    車椅子から自力でベッドへ移乗する方は、ベッドの高さや、車椅子を横付けできるスペースを確認してください。

    また、電動式の移乗用リフトが必要な方は、ホテルのアクセシブルルームで使用可能か、必要な機器を手配できるか事前確認が必要です。

    シドニーの電車・バス・フェリーの車椅子対応

    シドニーでは、鉄道、メトロ、バス、ライトレール、フェリーなどの公共交通機関を利用できます。

    ニューサウスウェールズ州交通局(Transport for NSW)は、車椅子利用者向けの公共交通情報を公開しています。

    ただし、路線や駅、車両によって設備が異なります。

    シドニーの鉄道

    シドニーの鉄道では、車椅子利用者が乗降する際に、駅員や乗務員がスロープを設置する仕組みがあります。

    車椅子対応の乗車位置が定められている場合もあるため、駅の案内表示を確認してください。

    なお、駅によってはエレベーターがなく、車椅子でホームへアクセスできない場合があります。

    また、エレベーターが設置されていても、点検や故障で使用できないことがあります。

    出発前には、乗車駅と降車駅の両方の設備を確認しましょう。

    シドニー・メトロ

    シドニー・メトロ(Sydney Metro)は、車椅子利用者が利用できるよう設計された鉄道です。

    ただし、車椅子の寸法や重量に関する条件はあります。

    また、駅のエレベーターや出入口の利用状況も確認しておきましょう。

    バス

    シドニーの多くの路線バスには、車椅子用スペースや乗降用のスロープが設けられています。

    ただし、すべての車両や停留所が同じ条件ではありません。

    また、混雑状況などによっては、希望する便に乗車できない場合もあります。

    フェリー

    シドニー湾のフェリーは観光にも便利ですが、車椅子を利用する場合は乗船する船と桟橋の両方を確認する必要があります。

    公共フェリーの船舶は車椅子利用者に対応していますが、一部の古い桟橋には階段などがあり、車椅子で利用できない場合があります。

    また、民間の観光クルーズ船やフェリーは、公共交通とは異なる設備で運航される場合があります。

    車椅子の寸法制限にも注意

    Transport for NSWでは、一般的なメトロ、鉄道、バス、ライトレールなどについて、車椅子の長さ1,300mm、幅800mm、乗員や荷物などを含む重量300kgを基準として案内しています。

    ただし、フェリーの一部では幅740mmなど、異なる条件があります。

    大型の電動車椅子やスクーターを利用する方は、対象となる交通機関の寸法・重量条件を確認してください。

    Transport for NSW:車椅子利用者向け交通情報

    Transport for NSW:車椅子・移動補助具の寸法条件

    メルボルンやその他都市の公共交通

    シドニー以外の都市でも、車椅子利用者向けの公共交通が整備されています。

    ただし、都市によって車両や停留所の設備が異なります。

    メルボルンのトラム

    メルボルンのトラムは観光にも便利ですが、車椅子を利用する場合には注意が必要です。

    古い高床式のトラムには階段があります。

    一方、ローフロアトラム(Low-floor Tram)と呼ばれる低床式車両では、床面が低く、車椅子やベビーカーで利用しやすい構造になっています。

    ただし、低床式車両が走っている路線でも、すべての停留所が車椅子で利用できるとは限りません。

    例えば、道路上から直接乗車する古いタイプの停留所では、段差がある場合があります。

    車椅子で乗車するには、低床式車両と車椅子対応停留所の両方が必要です。

    ビクトリア州交通局(Transport Victoria)の公式案内では、11、19、96、109番などの路線に低床式車両が使用されていると説明しています。

    ただし、車両運用や停留所の設備は変更されることがあるため、出発前に確認してください。

    メルボルンの電車

    鉄道駅にはスロープやエレベーターなどが設けられている場合がありますが、すべての駅が同じ条件ではありません。

    駅ごとの設備やエレベーターの稼働状況を確認しましょう。

    ブリスベン・ゴールドコースト

    クイーンズランド州交通機関のトランスリンク(Translink)では、鉄道、バス、フェリー、トラムなどの車椅子対応情報を提供しています。

    多くの車両は車椅子に対応していますが、車両や停留所の設備によって利用条件が異なります。

    ゴールドコースト(Gold Coast)のトラムについても、乗降場所や車椅子スペースの確認をおすすめします。

    地方都市と長距離移動

    地方都市では、主要都市よりも公共交通の便数が少ない場合があります。

    特に、国立公園や郊外の観光施設などへ移動する場合は、一般の公共交通だけで行けるとは限りません。

    必要に応じて、車椅子対応タクシーや専用送迎車の利用を検討しましょう。

    Transport Victoria:公共交通のアクセシビリティ

    Translink:車椅子対応の交通サービス



    車椅子対応タクシーと貸切観光車両

    オーストラリアで車椅子対応タクシーを利用する場合、一般的なタクシーと手配方法が異なることがあります。

    シドニーの車椅子対応タクシー

    シドニーでは、ホイールチェア・ブック・アンド・ライド(Wheelchair Book & Ride)という車椅子対応タクシーの予約サービスがあります。

    ニューサウスウェールズ州交通局が支援するサービスで、シドニー都市圏の車椅子対応タクシーを予約できます。

    2026年10月時点では、電話139 000、またはオンラインで予約できます。

    ただし、予約を申し込めば必ず希望する時間に車両が確保できるというわけではありません。

    車両の空き状況によって手配できない場合もあります。

    Wheelchair Book & Ride:公式案内

    Uberは車椅子に対応している?

    配車アプリのウーバー(Uber)でも、地域によっては車椅子対応の配車サービスが提供される場合があります。

    ただし、通常のUber車両が車椅子に座ったまま乗車できる車両というわけではありません。

    また、対応車両の有無や配車可能な地域は変わることがあります。

    車椅子に乗ったまま移動する必要がある方は、通常のUberを予約する前に対応条件を確認してください。

    貸切観光車両を利用する場合

    車椅子対応の専用車両を利用すれば、公共交通を乗り継がずに観光地を巡ることができます。

    ただし、一般の観光バスやミニバンとは異なり、専用リフトや車椅子固定装置を備えた車両が必要になる場合があります。

    そのため、車椅子対応車両は通常の貸切車両より選択肢が少なく、料金が高くなる場合があります。

    また、車椅子の固定方法や、同乗できる人数にも制限があります。

    希望する日程が決まったら、早めに対応可能な車両があるか確認しておくと安心です。

    シドニーのおすすめ車椅子観光と注意点

    シドニーには、車椅子を利用する方も楽しめる観光施設があります。

    ただし、同じ観光施設でも、すべての見学ルートが車椅子対応とは限りません。

    シドニー・オペラハウス

    シドニー・オペラハウス(Sydney Opera House)は、世界的に知られる観光名所です。

    館内にはエレベーターなどが設けられ、車椅子利用者向けの施設案内も提供されています。

    また、通常の館内見学とは別に、モビリティ・アクセス・ツアー(Mobility Access Tour)という、階段を使用しない見学ツアーがあります。

    このツアーは、車椅子利用者や移動に配慮が必要な方を対象としたものです。

    2026年10月時点の公式案内では、毎日午前11時30分と午後2時45分に設定され、所要時間は約60分となっています。

    ただし、催行日・時間は変更されることがあるため、予約前に確認してください。

    一般の日本語ツアーとは異なる

    ここは特に注意したい点です。

    通常のオペラハウス館内見学ツアーでは、階段を多く利用します。

    公式案内では、最大で約300段の階段があり、車椅子や歩行器を利用する方には適していないと説明しています。

    一方、Mobility Access Tourは車椅子利用者向けですが、現在は英語で提供されています。

    日本語での案内を希望する場合は、別途対応可能な方法があるか確認してください。

    オペラハウスへの車両アクセス

    オペラハウスの敷地内には、移動に配慮が必要な方のための車両降車場所や、車椅子に対応したシャトルサービスがあります。

    ただし、利用時間や車椅子の寸法・重量条件などがあります。

    必要な場合は事前にオペラハウスへ確認しましょう。

    シドニー・オペラハウス:Mobility Access Tour

    タロンガ動物園

    タロンガ動物園(Taronga Zoo Sydney)では、車椅子利用者向けの案内図や設備の情報を公開しています。

    園内には車椅子で利用できる通路、トイレなどがあり、車椅子の貸し出しも行っています。

    ただし、タロンガ動物園は斜面に位置するため、場所によって坂道があります。

    手動車椅子の場合、移動に負担がかかる場所もあるので、事前に園内のアクセシビリティーマップを確認しておくとよいでしょう。

    タロンガ動物園:車椅子利用者向け案内

    シドニー市内の観光

    ダーリンハーバー(Darling Harbour)、ロックス(The Rocks)、サーキュラーキー(Circular Quay)などでは、車椅子で通行できる場所もあります。

    ただし、ロックスには古い石畳や坂道、階段のある通路もあります。

    観光エリア全体が完全にバリアフリーというわけではないため、訪問する場所と移動経路を事前に確認しましょう。

    ブルーマウンテンズの車椅子観光

    シドニー郊外の人気観光地であるブルーマウンテンズ(Blue Mountains)にも、車椅子で楽しめる場所があります。

    ただし、山岳地帯の自然観光地であるため、展望台や遊歩道によって利用条件が大きく異なります。

    シーニックワールド

    シーニックワールド(Scenic World)では、車椅子利用者向けの設備や体験について公式案内があります。

    特に、次の設備は車椅子利用者が利用できるものとして案内されています。

    • シーニック・スカイウェイ(Scenic Skyway)
    • シーニック・ケーブルウェイ(Scenic Cableway)
    • シーニック・ウォークウェイ(Scenic Walkway)の車椅子対応区間

    スカイウェイとケーブルウェイは、車椅子での利用に対応しています。

    ウォークウェイも一部区間は車椅子に対応していますが、すべての遊歩道を利用できるわけではありません。

    シーニック・レールウェイは車椅子に非対応

    シーニック・レールウェイ(Scenic Railway)は、急勾配を移動する人気の乗り物です。

    しかし、公式案内では、車椅子や歩行補助具を持ち込んで乗車することはできません。

    また、乗降時には階段があり、乗車中には身体の姿勢を維持する必要があります。

    短い距離を歩ける方でも、乗降条件を満たしていなければ利用できない場合があります。

    施設・乗り物 車椅子利用者の取り扱い
    シーニック・スカイウェイ 車椅子対応
    シーニック・ケーブルウェイ 車椅子対応
    シーニック・ウォークウェイ 一部区間が車椅子対応
    シーニック・レールウェイ 車椅子の持ち込み不可。乗降条件あり

    施設側は、車椅子の種類や個別の移動能力によって利用条件を判断する場合があります。

    予約前に、現在の利用条件を確認してください。

    シーニックワールド:車椅子対応の公式案内

    展望台は個別に確認する

    ブルーマウンテンズには、エコーポイント(Echo Point)など、人気の展望スポットがあります。

    ただし、展望台へ行くまでの道には、坂道や階段がある場合があります。

    また、展望エリアの一部のみが車椅子対応となっている場合もあります。

    車椅子で訪れる際は、どこまで移動できるかを事前に確認してください。

    ブルーマウンテンズへの観光車両

    公共交通を利用する方法もありますが、郊外の複数の観光スポットを巡る場合は、車椅子対応の専用車両が便利な場合があります。

    ただし、車椅子対応車両が利用できても、すべての観光施設や展望台を利用できるわけではありません。

    車両と観光施設の両方の条件を確認したうえで、日程を組みましょう。

    メルボルン・ケアンズなどの観光で注意すること

    シドニー以外の地域でも、車椅子を利用する方が楽しめる観光施設があります。

    ただし、観光の内容によって利用条件が異なります。

    メルボルン市内観光

    メルボルンの中心部には、博物館、美術館、ショッピング施設などがあります。

    比較的新しい建物では、車椅子利用者向けの設備を備えている場合があります。

    一方、歴史的建造物や古い店舗では、入口に段差があることもあります。

    観光施設の公式サイトで、車椅子対応入口やエレベーターの場所を確認しましょう。

    グレート・オーシャン・ロード

    グレート・オーシャン・ロード(Great Ocean Road)は、海岸線に沿って景色を楽しめる人気の観光地です。

    十二使徒(Twelve Apostles)などの展望スポットには、整備された通路があります。

    ただし、すべての展望ポイントや遊歩道が車椅子対応ではありません。

    また、観光バスからの乗降が必要になるため、車両の種類と乗降方法についても確認が必要です。

    ケアンズのグレートバリアリーフ

    ケアンズ(Cairns)からは、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)へのクルーズが催行されています。

    ただし、船の種類によって、車椅子利用者への対応が異なります。

    例えば、船内に段差がある場合、客室やトイレへ車椅子で移動できないことがあります。

    また、シュノーケリングや半潜水艇などのアクティビティは、乗降時の移乗能力や安全上の条件によって利用できない場合があります。

    ポンツーンと呼ばれる海上施設も、すべて同じ設備ではありません。

    ケアンズのクルーズで確認すること

    • 船への乗船に階段があるか
    • 車椅子に座ったまま乗船できるか
    • 船内に車椅子対応トイレがあるか
    • 船内の上下階を移動する必要があるか
    • ポンツーンへ車椅子で移動できるか
    • 参加できるアクティビティは何か
    • 乗船中に必要な介助を誰が行うか

    船が車椅子対応と案内されていても、乗船日の潮位、港の設備、天候などによって、利用条件が変わる場合があります。

    事前にクルーズ会社へ確認してください。

    現地ツアーを予約する際に確認すること

    オーストラリアの現地ツアーでは、車椅子利用者が参加できる場合もありますが、すべてのツアーが対応しているわけではありません。

    特に、小型バスを利用する日帰りツアーでは、車椅子に座ったまま乗車できる車両が使用されていない場合があります。

    通常のバスツアーに参加できる場合

    車椅子から普通の座席へ移ることができ、車椅子を折りたたんで収納できる場合には、一般の観光ツアーへ参加できる可能性があります。

    ただし、バスのステップを昇降できるか、車椅子を積載できるかなどの条件があります。

    また、観光地で必要な距離を歩けるかどうかも確認が必要です。

    車椅子のまま乗車する場合

    専用の車椅子対応車両が必要です。

    ただし、車椅子対応車両を手配できても、一般の混載ツアーへその車両を組み込めるとは限りません。

    そのため、専用車による貸切観光になる場合があります。

    旅行会社へ伝えておきたい情報

    英語での確認事項 日本語の意味
    Manual wheelchair 手動車椅子
    Powered wheelchair 電動車椅子
    Wheelchair accessible vehicle 車椅子対応車両
    Wheelchair lift 車椅子用リフト
    Wheelchair ramp 車椅子用スロープ
    Wheelchair restraint 車椅子固定装置
    Transfer to a regular seat 通常の座席へ移乗する
    Step-free access 階段・段差を使わずにアクセスできること

    旅行会社への問い合わせ例

    例えば、車椅子に座ったまま移動する必要がある場合は、次のように伝えることができます。

    I use a wheelchair and need to remain seated in it during vehicle transfers. Do you have a wheelchair-accessible vehicle with a lift or ramp and wheelchair restraints?

    「私は車椅子を使用しており、車で移動する際も車椅子に座ったままである必要があります。リフトまたはスロープと車椅子固定装置を備えた車両はありますか?」という意味です。

    また、車椅子から普通の座席へ移れる場合は、次のように伝えるとよいでしょう。

    I can transfer from my wheelchair to a regular vehicle seat. My wheelchair is foldable. Can it be stored in the vehicle?

    「車椅子から通常の座席へ移ることができます。車椅子は折りたたみ式です。車両に収納できますか?」という意味です。

    車椅子の寸法や重量を添えて問い合わせると、具体的な回答を得やすくなります。

    予約確定前に確認する

    予約後になって参加できないことが判明すると、日程変更やキャンセルが必要になる場合があります。

    そのため、車椅子対応が必要な方は、ツアー料金の支払い前に参加条件を確認しましょう。

    また、確認した内容はメールなどの記録が残る形で保存しておくと安心です。



    多目的トイレ・旅行保険・持ち物の準備

    車椅子を利用する旅行では、観光施設へのアクセスだけでなく、トイレや日常生活の設備についても計画しておくことが重要です。

    多目的トイレの場所を調べる

    オーストラリアには、車椅子利用者向けのトイレが設置されている公共施設があります。

    ただし、すべての公衆トイレに車椅子対応の設備があるわけではありません。

    また、設置されていても、利用可能な時間が限られている場合があります。

    オーストラリア政府のナショナル・パブリック・トイレット・マップ(National Public Toilet Map)では、公衆トイレの場所や設備を検索できます。

    車椅子対応トイレも検索条件に含まれています。

    National Public Toilet Map公式サイト

    MLAK対応トイレとは?

    オーストラリアには、MLAK(Master Locksmiths Access Key)と呼ばれる専用の共通鍵を使用するアクセシブルトイレや設備があります。

    特定の施設では、この鍵が必要になる場合があります。

    日本から短期間の旅行で訪れる場合には、鍵が必要な設備があるかを確認し、必要に応じて利用方法を問い合わせてください。

    なお、すべての車椅子対応トイレがMLAK方式というわけではありません。

    旅行保険の確認

    車椅子利用者の旅行では、通常の海外旅行保険に加え、既往症、医療機器、車椅子の破損などについても確認しておきたいところです。

    保険会社によっては、車椅子や歩行補助具の破損・盗難について、補償対象や限度額が異なります。

    また、既往症による治療が補償されるかどうかは、契約条件によって異なります。

    必要に応じて、医師の診断書や服用している薬の情報などを準備しておくと安心です。

    予備の部品や充電器

    電動車椅子の場合、充電器が海外の電圧に対応しているか確認してください。

    オーストラリアの一般的な家庭用電源は230V・50Hzで、コンセント形状も日本とは異なります。

    充電器が対応していない場合は、メーカーが認める方法で使用できる機器を準備する必要があります。

    手動車椅子でも、クッション、工具、消耗品などについて、必要なものを事前に確認しておきましょう。

    旅行の持ち物チェック

    • 車椅子の型番・寸法・重量の記録
    • 車椅子の写真
    • 電動式の場合はバッテリー情報と取扱説明書
    • 航空会社の支援手配確認書
    • 車椅子対応送迎車の予約確認書
    • アクセシブルルームの予約確認書
    • 必要な医薬品や医療用品
    • 海外旅行保険の証券・連絡先
    • 緊急時の連絡先
    • 必要に応じた英語の医療情報

    万が一、車椅子が航空輸送中に破損した場合は、空港で航空会社へ速やかに申し出て、必要な手続きを確認してください。

    また、車椅子が一時的に使えなくなった場合の代替手段についても、保険会社や現地のサポート窓口へ確認しましょう。

    オーストラリアの車椅子旅行に関するよくある質問

    車椅子を利用していてもオーストラリア旅行はできますか?

    はい。オーストラリアには車椅子利用者向けの交通機関、ホテル、観光施設があります。ただし、すべての施設やツアーが車椅子に対応しているわけではありません。使用する車椅子の種類や移動能力に合わせて、旅行前に利用条件を確認することが大切です。
    車椅子に乗ったまま飛行機に乗ることはできますか?

    通常の旅客機では、個人の車椅子に座ったまま飛行することはできません。航空機の座席へ移る必要があります。自分の車椅子は通常、貨物室に預けます。必要な搭乗支援については航空会社へ事前に連絡してください。
    電動車椅子を飛行機に預けられますか?

    航空会社の規定に適合していれば、電動車椅子を預けられる場合があります。ただし、バッテリーの種類、容量、車椅子の寸法、重量などによって条件が異なります。カンタス航空やジェットスターでは、電動車椅子のバッテリーについて事前の危険物承認が必要です。
    シドニー空港からホテルまで車椅子対応の送迎車を予約できますか?

    車椅子対応タクシーや専用送迎車を手配できる場合があります。ただし、車椅子に座ったまま乗車する場合は、専用スロープやリフト、車椅子固定装置を備えた車両が必要です。車椅子の寸法や重量、同行人数などを伝えて事前に確認してください。
    オーストラリアのホテルには車椅子対応客室がありますか?

    多くのホテルでアクセシブルルームが用意されています。ただし、浴室、トイレ、ベッド、客室入口などの設備はホテルによって異なります。必要な設備があるか、アクセシブルルームを確約できるかを予約前に確認してください。
    シドニーの電車やフェリーは車椅子で利用できますか?

    シドニーの多くの鉄道や公共フェリーは車椅子利用者に対応しています。ただし、駅のエレベーター、桟橋の構造、車椅子の寸法などによって利用できない場合があります。Transport for NSWの公式サイトで、利用する駅や乗り場の設備を確認してください。
    メルボルンのトラムは車椅子で乗れますか?

    低床式のトラムと車椅子対応停留所の組み合わせであれば、車椅子で乗車できる場合があります。ただし、階段のある古いトラムや、段差のある停留所は利用できないことがあります。路線と停留所の両方を確認してください。
    シドニー・オペラハウスの日本語ツアーに車椅子で参加できますか?

    通常の館内見学ツアーでは階段が多く、車椅子での参加には適していません。オペラハウスには階段を利用しないMobility Access Tourがありますが、2026年10月時点では英語で提供されています。日本語での案内を希望する場合は、別途対応できるか確認してください。
    ブルーマウンテンズのシーニックワールドは車椅子でも楽しめますか?

    シーニックワールドでは、スカイウェイやケーブルウェイ、一部のウォークウェイが車椅子利用者に対応しています。ただし、急勾配のレールウェイは車椅子の持ち込みができず、乗降や乗車中の姿勢に関する条件があります。公式のアクセシビリティ案内を確認してください。
    車椅子を利用していてもグレートバリアリーフのツアーに参加できますか?

    クルーズ船や海上施設の設備、必要な介助内容によって参加できる場合があります。ただし、船への乗降、船内トイレ、ポンツーンへの移動、アクティビティの利用条件はツアーによって異なります。予約前に個別確認が必要です。
    車椅子利用者向けの貸切観光ツアーを手配できますか?

    車椅子対応の専用車両を利用する貸切観光を手配できる場合があります。ただし、車両の台数や車椅子固定装置、乗車人数、観光施設の設備などに制限があります。希望する日程と車椅子の条件を伝え、予約前に対応の可否を確認してください。



    まとめ|車椅子旅行は交通手段・ホテル・観光施設をセットで確認しよう

    オーストラリアには、車椅子を利用する方が楽しめる観光施設や、移動をサポートする交通機関があります。

    シドニーやメルボルンなどの主要都市では、車椅子対応の鉄道、バス、観光施設などが整備されており、必要な条件を確認すれば、さまざまな観光を楽しめます。

    ただし、すべての施設や交通機関が同じ条件で利用できるわけではありません。

    例えば、シドニーのオペラハウスには車椅子利用者向けの館内見学がありますが、通常の日本語ツアーは階段を多く利用します。

    また、ブルーマウンテンズのシーニックワールドでは、スカイウェイやケーブルウェイが車椅子に対応している一方、レールウェイには車椅子を持ち込めません。

    ホテルについても、アクセシブルルームと表示されているだけで、必要な設備がすべて整っているとは限りません。

    特に、トイレやシャワー、ベッドの高さ、介助スペースなどは、本人の利用条件に合わせて確認することが重要です。

    飛行機を利用する場合は、航空会社へ車椅子の種類や寸法、必要な介助内容を事前に伝えておきましょう。

    電動車椅子では、バッテリーの種類や容量について、航空会社の承認が必要になる場合があります。

    空港からホテルへの移動や郊外観光では、車椅子対応タクシーや専用車両を利用する方法もあります。

    ただし、車椅子に座ったまま乗車する必要がある方と、通常の座席へ移れる方では、利用できる車両が異なります。

    車椅子を利用するオーストラリア旅行では、航空機、空港送迎、ホテル、観光施設をそれぞれ別々に考えるのではなく、旅行全体の移動をつなげて確認することが大切です。

    早めに必要な条件を整理し、交通機関や宿泊施設、旅行会社へ相談することで、現地での移動や観光をスムーズに進めやすくなります。

    車椅子の種類や移動能力に合った方法を選び、無理のない旅程でオーストラリア旅行を楽しんでください。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリア留学のOSHCとは?学生ビザに必要な健康保険の料金・補償内容・加入方法を解説

    オーストラリア留学のOSHCとは?学生ビザに必要な健康保険の料金・補償内容・加入方法を解説

    オーストラリアへ留学する際、授業料や航空券、滞在先とあわせて準備しなければならないのが健康保険です。

    学生ビザでオーストラリアに滞在する場合、原則としてOSHCという留学生専用の健康保険に加入する必要があります。

    OSHCは、オーバーシーズ・スチューデント・ヘルス・カバー(Overseas Student Health Cover)の略です。

    オーストラリアでは、日本の健康保険証を使って病院を受診することはできません。日本人留学生は通常、オーストラリアの公的医療保険であるメディケアも利用できないため、病気やけがをした場合に医療費を自己負担することになります。

    その負担を軽減するために設けられているのがOSHCです。

    ただし、OSHCは、日本の健康保険とまったく同じ仕組みではありません。

    例えば、一般開業医(GP)の診察や入院、手術、緊急時の救急車などには補償がありますが、通常の歯科治療や眼鏡の購入、理学療法などは基本プランでは対象外となることが多くあります。

    また、OSHCに加入していても、病院や医師が請求する料金によっては自己負担が発生します。

    「OSHCに加入していれば、病院代はすべて無料」と考えていると、実際に診察を受けた際に戸惑うかもしれません。

    さらに、保険会社によって保険料や補償内容、医療機関との提携状況、保険金の請求方法などが異なります。

    留学先の学校が勧めるOSHCへ必ず加入しなければならないわけではなく、自分で保険会社を比較して選ぶことも可能です。

    この記事では、オーストラリアのOSHCについて、学生ビザとの関係、料金の比較方法、主要保険会社、医療費の補償範囲、加入手続き、病院の利用方法、保険会社の変更、帰国時の払い戻しまで詳しく解説します。

    2026年10月時点のオーストラリア内務省、保健省、各保険会社の公式情報をもとにしています。

    オーストラリアの語学学校へ1年間留学します。学校からOSHCの料金も請求されているのですが、日本で海外留学保険に入れば、OSHCは不要になりますか?
    学生ビザ500で留学する場合、日本の一般的な海外留学保険だけでは、通常OSHCの加入義務を満たせません。原則として、オーストラリア政府が認めるOSHCへの加入が必要です。ただし、学校が手配する保険に限定されず、自分で保険会社を選ぶこともできます。




    OSHCとは?オーストラリア留学生専用の健康保険

    OSHCは、オーストラリアへ留学する外国人学生と、その家族のための健康保険です。

    オーストラリアの学生ビザ(Student Visa/Subclass 500)では、原則として滞在期間中の適切な医療保険への加入が求められます。

    OSHCは、その学生ビザの健康保険要件を満たすための保険です。

    OSHCの主な役割

    • 一般開業医(GP)の診察費用の一部を補償する
    • 専門医の診察費用の一部を補償する
    • 対象となる入院・手術費用を補償する
    • 緊急時の救急車の費用を補償する
    • 血液検査・レントゲンなどの検査費用の一部を補償する
    • 一定の処方薬の費用を補償する

    ただし、保険会社やプランによって、具体的な支払額や補償条件は異なります。

    日本の健康保険と何が違う?

    日本では健康保険に加入している人が病院を受診する場合、一般的には窓口で一定割合を自己負担します。

    一方、オーストラリアのOSHCでは、医療サービスごとに決められた基準額をもとに、保険会社が支払う金額を計算します。

    病院が請求する料金と保険会社の補償額との差額は、本人が負担する場合があります。

    また、医療機関によっては、診察料の全額をいったん支払い、その後に保険会社へ請求することもあります。

    この違いを理解しておくと、現地で診察を受ける際に困りにくくなります。

    学生ビザでOSHCは必須?加入しなくてもよい人は?

    学生ビザ500でオーストラリアに滞在する場合、原則としてOSHCへの加入が必要です。

    学生ビザには、適切な健康保険を維持することを求めるビザ条件8501が付けられることがあります。

    この条件を満たさない状態が続くと、ビザに関する問題が生じる可能性があります。

    OSHCが必要な主な留学生

    • オーストラリアの語学学校へ学生ビザで留学する人
    • 大学・大学院で学ぶ留学生
    • TAFEや専門学校へ留学する人
    • 学生ビザで小学校・中学校・高校へ留学する人
    • 学生ビザに同行する配偶者や扶養家族

    コースの種類によって、保険に加入するかどうかを自由に選べるというわけではありません。

    日本の海外旅行保険では代用できない?

    一般的な日本の海外旅行保険や海外留学保険は、学生ビザのOSHC加入要件を満たすものとは扱われません。

    そのため、日本で高額な留学保険に加入していても、原則としてOSHCにも加入する必要があります。

    ただし、OSHCとは別に、日本の海外留学保険を追加して利用することは可能です。

    OSHCが免除される人もいる

    オーストラリア内務省は、一定の条件を満たすノルウェー、スウェーデン、ベルギーの留学生について、OSHCの加入免除を認めています。

    これは、それぞれの国の医療保障制度などとの関係による例外です。

    日本はこの免除対象に含まれていません。

    そのため、日本から学生ビザで留学する場合は、通常OSHCが必要です。

    観光ビザで短期留学する場合

    観光ビザなどで認められた範囲の短期学習を行う場合、学生ビザ500とは異なる健康保険の条件が適用されます。

    学生ビザを取得せずに短期間の語学研修へ参加する場合などは、OSHCではなく、旅行保険や海外渡航者向け保険を検討することがあります。

    ただし、実際に認められる学習期間やビザ条件は、利用するビザによって異なります。

    公式情報:オーストラリア内務省:学生ビザ500の条件

    OSHCはいつからいつまで加入する?

    OSHCの加入期間について、よくある間違いが、学校の授業期間だけ保険に加入することです。

    学生ビザでは、オーストラリアに滞在する期間を通じて適切な健康保険を維持する必要があります。

    保険開始日は入国日に合わせる

    例えば、語学学校が4月6日に始まるため、3月28日にシドニー(Sydney)へ到着する場合です。

    このとき、OSHCの開始日を4月6日に設定してしまうと、3月28日から4月5日まで保険がありません。

    内務省は、国外から学生ビザで渡航する場合、OSHCの補償開始日をオーストラリア入国日に合わせるよう案内しています。

    学校が始まる日ではないので注意してください。

    保険終了日はコース修了日とは限らない

    学生ビザでは、コース終了後も一定期間の滞在が認められる場合があります。

    例えば、1年間のコースを修了した後、旅行や帰国準備のために数週間滞在するケースです。

    OSHCの補償期間がコース修了日で終わってしまうと、その後の滞在期間に保険がなくなる可能性があります。

    さらに、内務省は学生ビザの滞在許可期間を決める際、OSHCの終了日も考慮します。

    十分な期間のOSHCを購入していないと、希望していたコース終了後の滞在期間までビザが認められない場合があります。

    項目 確認する日付
    OSHC開始日 オーストラリアへ入国する日
    コース開始日 学校の授業開始日
    コース終了日 学校の正式な修了日
    OSHC終了日 必要な滞在期間をカバーする日
    学生ビザ終了日 内務省が許可した最終日

    内務省では、コース期間が10か月以上かどうか、学年末に終了するかどうかなどによって、学生ビザの一般的な滞在許可期間を案内しています。

    例えば、10か月以上のコースをオーストラリアの学年末に修了する場合、翌年3月15日までのビザが認められることがありますが、その期間に対応するOSHCなどの条件を満たす必要があります。

    実際のビザ期間は個別に決定されるため、必ず内務省の公式案内を確認してください。

    内務省:学生ビザの滞在期間とOSHCの必要期間

    OSHCの料金はいくら?保険料の比較方法

    OSHCの料金は、保険会社、加入期間、契約する人数、補償内容などによって異なります。

    また、同じ保険会社でも、基本プランと追加補償付きプランでは料金が異なります。

    そのため、OSHCにはすべての留学生に共通する月額料金があるわけではありません。

    実際の保険料は公式サイトで見積もる

    例えば、メディバンク(Medibank)の公式サイトでは、2026年10月時点で、留学生向けOSHCの一部商品について月A$79.10からという参考料金が表示されています。

    ただし、これは特定の商品・条件に基づく参考表示であり、すべての人がこの料金で加入できるという意味ではありません。

    加入期間が12か月を超える場合などは、正式な見積もりが必要です。

    料金を比べるときの条件を揃える

    OSHCの保険料を比較するときは、少なくとも次の条件を揃えましょう。

    • 加入人数:本人のみ、夫婦、家族など
    • 補償開始日
    • 補償終了日
    • 基本プランか追加補償付きプランか
    • 保険料の総額
    • 医療費の補償上限や自己負担額

    例えば、A社が12か月分、B社が14か月分の見積もりを出している場合、単純に総額だけ比較しても意味がありません。

    学生ビザのために必要な同一期間で比較してください。

    保険料の計算例

    仮に、次の2つの保険プランがあった場合を考えてみます。

    項目 プランA プランB
    比較用の月額換算 A$75 A$90
    12か月分の単純計算 A$900 A$1,080
    12か月の差額 A$180

    ※これは保険料の比較方法を示す仮定の計算であり、実際の保険会社の見積もりではありません。OSHCは加入期間などに応じて保険料が計算されるため、必ず公式見積額を確認してください。

    年間A$180の差なら、補償内容や医療機関の利用しやすさに価値があるかを考えるとよいでしょう。

    一方、基本的な補償が十分で、利用する医療機関にも不便がなければ、料金の安いプランを選ぶ方法もあります。

    保険料は変更される

    OSHCの料金は固定ではありません。

    例えば、エーエイチエム(ahm OSHC)の公式見積もりページでは、2026年11月1日から保険料が変更される旨の案内が出ています。

    過去のブログ記事や留学エージェントの料金表が、現在の加入料金と一致しない場合もあります。

    正式に加入する前に、必ず最新の料金を確認してください。

    主要OSHC保険会社5社を比較

    オーストラリア政府が2026年8月に公表したOSHCの公式案内では、OSHCを取り扱う保険会社として次の5つが紹介されています。

    メディバンクとahmは同じグループですが、別の商品として取り扱われています。

    保険会社 主な確認ポイント 公式サイト
    アリアンツ・ケア・オーストラリア(Allianz Care Australia) 基本プランと追加補償プラン、医療機関ネットワーク、アプリ 公式サイト
    ブーパ(Bupa Australia) 病院・GPネットワーク、オンライン診療、医療費請求 公式サイト
    メディバンク(Medibank) 基本・上位プラン、医療相談、病院・処方薬の補償 公式サイト
    エーエイチエム(ahm OSHC) 保険料、基本補償、アプリ、サービス内容 公式サイト
    ニブ(nib OSHC) 補償内容、提携医療機関、保険金請求方法 公式サイト

    アリアンツ・ケア・オーストラリア

    アリアンツには、基本補償のOSHC Standardと、追加の補償・サービスを含むOSHC Essentialsがあります。

    例えば、Essentialsには、所定の心理カウンセリング費用への追加給付、処方薬の年間補償上限の拡大、一定額までの本国送還費用の補償などが設けられています。

    一方、Standardでも学生ビザのための基本的な健康保険要件を満たす商品として提供されています。

    ブーパ

    ブーパは、医療機関の検索、オンライン診療、保険金請求用の会員サービスなどを提供しています。

    同社のOSHCでは、一定の条件でオンライン診療を自己負担なしで利用できるサービスもあります。

    ただし、補償される診療の種類や利用方法には条件があるので、加入する商品の案内を確認してください。

    メディバンク

    メディバンクでは、学生ビザの要件を満たすOSHCの基本商品と、追加のサービスを含む商品などが用意されています。

    24時間の医療相談やオンライン診療などが利用できる商品もあります。

    また、一部の商品は提携する学校を通じて加入する仕組みとなっており、すべての商品を一般向けサイトから直接購入できるわけではありません。

    ahm OSHC

    ahmはメディバンクのグループに属するOSHCのブランドです。

    専用のアプリやオンラインサービスがあり、加入証明書の確認、保険金請求などに利用できます。

    料金や補償条件はメディバンクのほかの商品と同一とは限らないため、個別に比較しましょう。

    ニブ

    ニブもOSHCを提供する保険会社のひとつです。

    商品によって補償内容や病院・医師のネットワーク、保険金請求の条件が異なるため、正式な保険約款や加入条件を確認してください。

    どの保険会社が一番おすすめ?

    料金だけで一律に決めることはできません。

    例えば、シドニーの中心部に住む学生と、地方都市で暮らす学生では、利用しやすい提携医療機関が異なる場合があります。

    また、持病がある人、妊娠・出産を予定している人、歯科治療への補償を重視する人などでは、選ぶべき条件が異なります。

    まずは同一期間・同一人数で見積もりを取り、補償とサービスの違いを比較しましょう。

    OSHCで補償される医療費は?

    OSHCでは、一般的な医療機関での診察、検査、入院、手術など、一定の医療費を補償します。

    ただし、すべての費用が無条件に全額補償されるわけではありません。

    オーストラリア政府は、OSHCの基本補償に含めなければならない最低限の医療サービスと給付水準を定めています。

    基本的な補償の概要

    医療サービス 基本的なOSHCの補償
    一般開業医(GP) 原則MBS料金の85%以上に相当する給付
    専門医の診察 原則MBS料金の85%以上に相当する給付
    血液検査・レントゲン 原則MBS料金の85%以上に相当する給付
    入院中の医師による治療 原則MBS料金の100%に相当する給付
    公立病院での入院 所定の公立病院料金について補償
    私立病院での入院 提携状況や所定の最低給付額に応じて補償
    緊急救急車 条件を満たす緊急搬送費用を補償
    処方薬 所定の対象薬について上限付きで補償

    MBSとは、メディケア・ベネフィッツ・スケジュール(Medicare Benefits Schedule)の略で、オーストラリア政府が医療サービスごとに設定している基準料金です。

    OSHCの保険会社は、このMBSをもとに補償額を計算します。

    ただし、上の表は政府の基本補償の概要です。保険会社によっては、GPの診察についてMBS料金の100%を補償するなど、最低基準を上回る商品を提供しています。

    入院すればすべて無料になるわけではない

    公立病院や私立病院での入院には補償がありますが、実際の請求額と保険会社が支払う金額の間に差が出ることがあります。

    特に、私立病院との提携契約の有無、医師の追加請求、個室料金などに注意が必要です。

    緊急時を除き、入院や手術を受ける前には、保険会社へ補償額と自己負担額を確認することをおすすめします。

    救急外来を受診する場合

    病院の救急外来を利用しても、必ず入院するとは限りません。

    入院せずに診察・検査だけを受けて帰宅する場合には、医療サービスごとの補償条件や自己負担が関係することがあります。

    私立病院の救急外来で別途施設利用料がかかる場合もあるため、病院の料金体系と保険会社の補償範囲を確認してください。

    GPの診察料はいくら自己負担する?MBSとGap Fee

    オーストラリアで体調を崩した場合、まず受診することが多いのがGPと呼ばれる一般開業医です。

    GPは、日常的な病気やけがの診察を行い、必要に応じて専門医への紹介状などを発行します。

    OSHCではGPの診察費用が補償されますが、支払額の計算方法を理解しておくことが大切です。

    Gap Feeとは?

    ギャップ・フィー(Gap Fee)とは、医療機関が請求した料金から保険会社の給付額を差し引いた、本人の自己負担額です。

    例えば、病院の診察料金がA$90で、OSHCからA$50が支払われる場合、差額のA$40が自己負担になります。

    GPの自己負担額を計算してみよう

    ここでは説明のため、次の条件を仮定します。

    • GPの診察料金:A$90
    • 該当する診察のMBS基準料金:A$50
    • 加入しているOSHCの給付率:MBSの85%
    項目 金額
    GPの診察料金 A$90.00
    MBSの基準料金 A$50.00
    保険給付:A$50×85% A$42.50
    本人の自己負担 A$47.50

    ※この金額は計算方法を説明するための仮定です。実際のMBS料金や医療機関の診察料を示すものではありません。

    もし加入するOSHCがMBS料金の100%を補償するプランなら、この例の保険給付額はA$50となり、自己負担はA$40になります。

    つまり、同じ診察料金でも、保険会社や商品によって自己負担額が変わります。

    自己負担を少なくする方法

    保険会社によっては、提携しているGPや医療機関を案内しています。

    提携医療機関では、保険会社へ直接請求する仕組みがあり、患者が診察料全額を立て替える必要がない場合があります。

    また、GPによって診察料金が異なるため、予約前に料金を確認するのもよいでしょう。

    ただし、提携医療機関だから必ず自己負担がゼロになるというわけではありません。

    事前に保険の適用範囲を確認してください。



    歯科・眼鏡・処方薬・救急車の補償は?

    OSHCの基本プランでは、病院や一般的な医療サービスが中心になります。

    一方、日本では保険で対応できる医療サービスでも、OSHCでは補償されないものがあります。

    歯科治療

    通常の虫歯治療、歯石除去、定期歯科検診などは、OSHCの基本プランに含まれないことが一般的です。

    そのため、歯科治療を受けるときは、全額自己負担になる可能性があります。

    歯科治療の補償を希望する場合は、Extrasと呼ばれる追加保険の加入を検討できます。

    ただし、Extrasに加入すればすべての歯科治療が補償されるわけではなく、年間限度額や待機期間などが設定される場合があります。

    眼鏡・コンタクトレンズ

    通常の眼鏡やコンタクトレンズの購入費用は、基本OSHCでは一般的に補償対象外です。

    ただし、医療上必要な眼科診察や検査については、MBSに対応する医療サービスとして補償される場合があります。

    眼鏡代と眼科の診察代は別なので、区別して確認してください。

    理学療法・マッサージ

    理学療法やカイロプラクティックなども、基本OSHCでは補償が限定的です。

    ただし、医療上必要な特定のサービスがMBSの対象となっている場合などは、商品によって異なる取り扱いになることがあります。

    処方薬

    OSHCでは、一定の処方薬について費用の一部を補償します。

    政府が定める基本補償では、所定のPBS対象薬などについて、一般患者の自己負担基準額を超える部分を、1品目当たり最大A$50まで給付します。

    年間の基本的な給付限度額は、単身契約でA$500、夫婦・家族契約ではA$1,000です。

    保険会社がこれを上回る補償を提供する商品もあります。

    例えば、上位プランでは処方薬の年間給付限度額が基本プランより高く設定される場合があります。

    なお、市販の風邪薬やサプリメントなどがすべて補償されるわけではありません。

    救急車

    オーストラリアでは、救急車の利用が有料となる場合があります。

    OSHCの基本補償では、医療上必要な緊急治療や入院のため、所定の救急サービスによって行われる搬送について、対象費用を100%補償する仕組みです。

    ただし、緊急性のない移送や、すべての救急車関連サービスが無条件に補償されるわけではありません。

    補償対象は保険会社の約款で確認してください。

    持病・妊娠・出産とWaiting Periodの注意点

    OSHCには、ウェイティング・ピリオド(Waiting Period)と呼ばれる待機期間があります。

    これは、保険の加入後、一定期間が経過するまで、特定の治療について保険金の支払いを受けられない仕組みです。

    持病がある場合

    オーストラリアへ渡航する前から治療していた病気や、保険加入前から存在していた症状などについては、既往症(Pre-existing Condition)として扱われる場合があります。

    既往症に関する治療には、一定の待機期間が設けられることがあります。

    例えば、一般的なOSHCでは、既往症に対して12か月の待機期間が設定される場合があります。

    ただし、すべての病気に同じ待機期間が適用されるわけではありません。

    精神科関連の治療などは、異なる条件が設定されることがあります。

    持病がある方は、加入前に保険会社へ直接確認することをおすすめします。

    緊急治療の場合

    オーストラリア政府のOSHC公式案内では、緊急治療には待機期間が適用されないと説明しています。

    ただし、何が緊急治療に該当するか、どの費用が補償されるかは、保険の条件によって判断されます。

    緊急時には治療を優先し、可能になった段階で保険会社へ連絡してください。

    2026年から妊娠関連治療の待機期間を見直し

    2026年の制度変更として重要なのが、妊娠・出産に関する待機期間の取り扱いです。

    オーストラリア保健省の2026年8月版OSHC公式案内では、2026年1月1日から、加入期間が2年以上のOSHC契約について、保険会社が妊娠関連治療の待機期間を撤廃する取り組みを始めると説明しています。

    ただし、保険会社ごとに実施時期や具体的な条件が異なるため、すべての契約で一律に待機期間がなくなったという意味ではありません。

    例えば、一部の保険会社では、提携する大学を通じた特定のOSHC商品について、妊娠・出産関連の待機期間を免除する制度を設けています。

    妊娠・出産を予定している方は、次の点を加入前に確認してください。

    • 妊娠・出産に待機期間があるか
    • 2年以上の契約に特別な取り扱いがあるか
    • 入院・出産費用の補償範囲
    • 産婦人科専門医の診察料金と自己負担
    • 私立病院を利用する場合の追加費用
    • 新生児を保険に追加する手続き

    とくに、出産を予定している場合は、保険料の安さだけで選ばず、医療費の自己負担と加入条件を詳しく確認することが重要です。

    OSHCの加入手続きと学生ビザ申請

    OSHCは、通常、日本にいる間に加入手続きを進めます。

    学生ビザ500を申請する際には、適切な期間のOSHCへ加入したことを示す情報が必要です。

    STEP 1.学校の入学許可とコース期間を確認する

    最初に、学校の入学許可書やCoE(Confirmation of Enrolment)に記載されたコース開始日・終了日を確認します。

    CoEは、正式にコースへの入学が認められたことを示す電子的な入学確認書です。

    学生ビザの申請にも使用します。

    STEP 2.OSHCの必要期間を決める

    入国予定日、コース期間、予定している滞在期間を確認し、必要なOSHCの加入期間を決めます。

    コース修了後もオーストラリアに滞在する予定がある場合は、その期間も考慮します。

    STEP 3.保険会社を選ぶ

    学校が指定・推奨する保険会社を利用する方法と、自分で保険会社を選ぶ方法があります。

    保険料、補償内容、医療機関ネットワークなどを比較してください。

    STEP 4.保険料を支払う

    選んだ保険会社や学校の案内に従って、必要な期間の保険料を支払います。

    学生ビザのOSHCは、通常、必要な加入期間について保険料を前払いする仕組みです。

    STEP 5.保険加入証明書を取得する

    保険料の支払いと加入手続きが完了すると、保険会社から加入証明書などが発行されます。

    書類には、通常、次の情報が記載されています。

    • 保険会社名
    • 加入者氏名
    • 保険証券番号(Policy Number)
    • 補償開始日
    • 補償終了日
    • 契約の種類

    STEP 6.学生ビザの申請情報へ入力する

    学生ビザの申請では、OSHCの保険会社名、補償期間、保険証券番号などの情報が必要になります。

    学校がOSHCを手配した場合には、CoEなどに保険情報が登録されることがあります。

    一方、自分でOSHCを手配した場合は、必要な保険情報を申請書へ正確に入力してください。

    内務省は、適切なOSHCの情報が提供されない場合、学生ビザの申請が拒否されることがあると案内しています。

    STEP 7.入国前に補償開始日を再確認する

    航空券の日付を変更した場合や、学校の開始日が変更された場合は、OSHCの加入期間も確認してください。

    実際の入国日より補償開始日が遅くならないようにしましょう。

    オーストラリアで病気になったら?病院の利用方法

    オーストラリアで発熱や腹痛などの体調不良が起きた場合、どこへ行けばよいのでしょうか。

    日本では、症状に応じて内科や耳鼻科などへ直接行くことが多いですが、オーストラリアでは、まずGPを受診するのが一般的です。

    通常の体調不良ならGPへ

    風邪の症状、胃腸の不調、皮膚の問題などであれば、GPへ相談できます。

    必要に応じて、専門医の紹介状を発行してもらうこともあります。

    OSHCの保険会社によっては、提携するGPをウェブサイトやアプリで検索できます。

    予約前に確認したいこと

    • OSHCを利用できる医療機関か
    • 加入する保険会社と提携しているか
    • 診察料金はいくらか
    • 自己負担額が発生するか
    • 予約が必要か
    • オンライン診療に対応しているか

    緊急の場合は000へ

    重い呼吸困難、意識障害、重大なけがなど、生命に関わる緊急事態では、オーストラリアの緊急通報番号000へ電話してください。

    英語で救急車を呼ぶ場合は、Ambulanceと伝えます。

    緊急時には、保険の補償確認よりも、必要な医療を受けることを優先してください。

    その後、可能になった段階で保険会社へ連絡し、治療内容や費用の取り扱いを確認します。

    救急外来を利用するとき

    病院の救急外来は、Emergency Department、略してEDと呼ばれます。

    生命に関わる症状や重いけがの場合は、救急外来を利用します。

    一方、緊急性が低い症状については、GPやオンライン診療などを利用した方が適切な場合があります。

    救急外来では、症状の緊急度によって診察の順番が決まるため、到着した順番に診察されるとは限りません。

    また、公立病院であっても、OSHC加入者の診察費用が必ず無料になるわけではありません。

    医療費の保険金請求・キャッシュレス診療

    OSHCを利用して病院を受診した場合、医療費の支払方法には主に2つのパターンがあります。

    1.保険会社が医療機関へ直接支払う方法

    保険会社と提携している医療機関では、ダイレクト・ビリング(Direct Billing)という仕組みが使えることがあります。

    これは、医療機関が保険会社へ直接請求する方法です。

    患者は保険で補償されない差額だけを支払う場合があります。

    ただし、提携医療機関であっても、すべての医療費が自己負担なしになるわけではありません。

    2.一度全額を支払い、後から請求する方法

    医療機関がダイレクト・ビリングに対応していない場合は、診察料などをいったん自分で支払います。

    その後、保険会社のアプリやウェブサイトから、保険金の請求(Claim)を行います。

    請求時に必要になる主な情報

    • 保険証券番号
    • 医療機関の請求書
    • 支払いを証明する領収書
    • 診察日
    • 診察内容や医療サービスの情報
    • 保険金の振込先銀行口座

    保険会社によっては、スマートフォンのアプリで領収書を撮影し、アップロードして請求できます。

    保険金の受け取りには豪州銀行口座が必要な場合も

    例えば、ブーパの公式案内では、保険金の振込先としてオーストラリア国内の銀行口座情報を求めており、海外の銀行口座には直接振り込めないと説明しています。

    保険会社によって取り扱いが異なるため、帰国直前の請求では受取方法も確認してください。

    領収書は必ず保管する

    病院で診察を受けた後は、請求書や領収書を保管してください。

    保険金の請求だけでなく、保険会社から追加確認を求められた際にも必要です。

    オンライン診療も選択肢

    保険会社によっては、アプリを使ったオンライン診療サービスを提供しています。

    症状によっては、外出せずに医師へ相談できるため便利です。

    ただし、オンライン診療で対応できない症状や、対面診察が必要な場合もあります。

    学校指定のOSHCと自分で選ぶOSHCの違い

    オーストラリアの学校へ入学手続きをすると、学校からOSHCの料金を提示されることがあります。

    授業料や入学金と一緒に請求される場合もあります。

    この場合、学校が手配するOSHCに必ず加入しなければならないのでしょうか。

    通常は自分で保険会社を選べる

    オーストラリア政府の2026年版OSHC公式案内では、留学生は自分でOSHCの保険会社を選べると明記されています。

    学校から勧められた保険会社を必ず利用する必要はありません。

    また、留学中に保険会社を変更することもできます。

    ただし、変更時に保険の空白期間を作らないことが重要です。

    学校手配と自己手配の比較

    項目 学校が手配 自分で手配
    加入手続き 学校がサポートする場合が多い 自分で手続きする
    保険会社の選択 学校の提携先が中心 自分で比較・選択できる
    保険料 学校が提示する料金 公式見積もりで比較できる
    ビザ用の保険情報 学校がCoEなどへ登録する場合あり 自分で申請情報を確認
    補償内容の確認 本人が確認する必要あり 本人が確認する必要あり

    学校手配の方が高いとは限らない

    学校が保険会社と提携し、特定の料金や商品を提供している場合があります。

    そのため、学校手配が必ず割高になるというわけではありません。

    一方、同じ補償内容で自己手配の方が安い場合もあります。

    学校の見積もりを受け取ったら、まず加入期間と保険会社・商品名を確認し、他社の見積もりと比較してみるとよいでしょう。

    保険証券の存在を確認する

    学校や留学エージェントへ保険料を支払った場合も、加入手続きが完了したことを確認してください。

    保険会社名、保険証券番号、補償開始日・終了日を確認し、必要に応じて保険会社へ直接問い合わせることもできます。

    学校からOSHCの料金を請求されたという事実だけでは、実際に保険が有効になっていることの証明にはなりません。

    保険会社の変更・延長・帰国時の払い戻し

    OSHCは一度加入したら、留学期間中ずっと同じ保険会社を使わなければならないわけではありません。

    必要に応じて、保険会社の変更や加入期間の延長ができます。

    保険会社を変更する場合

    例えば、メディバンクのOSHCへ加入していた人が、別の保険会社へ変更する場合です。

    新しい保険会社で加入手続きを行い、現在の保険との切り替え日を調整します。

    重要なのは、OSHCの補償に空白期間を作らないことです。

    また、持病や特定の治療について待機期間がある場合は、以前の保険会社で経過した期間を新しい保険会社へ引き継げるか確認しましょう。

    同等の補償であれば待機期間を引き継げる場合がありますが、追加補償の部分などは取り扱いが異なる場合があります。

    留学期間を延長する場合

    学校を卒業する予定が延びたり、新しいコースへ進学したりする場合は、OSHCの加入期間も確認してください。

    保険が期限切れになる前に、必要な延長手続きを行いましょう。

    予定より早く日本へ帰国する場合

    留学を途中で終了した場合や、学生ビザの申請が認められなかった場合などは、未使用期間のOSHC保険料が返金される場合があります。

    ただし、すべてのケースで自動的に全額返金されるわけではありません。

    返金条件は、保険会社の約款と実際の状況によって異なります。

    例えば、次のような資料を求められる場合があります。

    • 学生ビザの拒否通知
    • 学校の退学・修了証明
    • オーストラリアからの出国記録
    • 航空券などの帰国確認資料
    • 保険証券番号

    卒業後に別のビザへ変更する場合

    学生ビザから卒業生ビザ485など、別の滞在資格へ変更する場合は、健康保険の要件も変わる可能性があります。

    OSHCをそのまま利用できるとは限らないため、新しいビザに対応する保険へ切り替える必要があるか確認してください。

    OSHCとは別に、海外渡航者向け健康保険であるOVHCなどが選択肢になる場合があります。

    日本の海外留学保険・ワーホリ保険との違い

    OSHCへ加入しているのであれば、日本の海外留学保険は不要なのでしょうか。

    これは、どこまでの補償を希望するかによって異なります。

    OSHCは、学生ビザの健康保険要件を満たすことを主な目的とした医療保険です。

    一方、日本の海外留学保険には、医療費だけでなく、携行品の盗難、賠償責任、救援者費用などが含まれる商品もあります。

    補償・機能 基本OSHC 日本の海外留学保険
    学生ビザ500のOSHC要件 原則満たす 通常、代用不可
    一般的な病気・けがの診療 補償あり・自己負担の場合あり 商品・条件による
    入院・手術 所定の補償あり 商品・条件による
    緊急救急車 所定の補償あり 商品・条件による
    携行品の盗難 通常対象外 補償のある商品もある
    日常生活の賠償責任 通常対象外 補償のある商品もある
    本国への医療搬送 基本プランでは通常対象外 補償のある商品もある
    オーストラリア国外の旅行中の医療費 通常対象外 補償地域・条件による

    ※日本の海外留学保険は商品によって補償内容が大きく異なります。表は一般的な比較です。

    OSHCだけでは不足する可能性がある補償

    例えば、留学中にパソコンやスマートフォンを盗まれた場合、基本OSHCでは通常補償されません。

    また、他人の物を壊して賠償責任が生じた場合なども、基本OSHCの対象ではありません。

    そのため、こうしたリスクに備えたい場合は、日本の海外留学保険や別の保険商品を検討することになります。

    ワーキングホリデーの場合は?

    ワーキングホリデービザ417や462で滞在する場合、学生ビザ500と同じOSHCの加入義務は、通常ありません。

    ただし、医療費に備える必要がないという意味ではありません。

    ワーホリ渡航者の場合は、日本の海外旅行保険・ワーキングホリデー保険、オーストラリアのOVHCなどから、自分の滞在条件に合う保険を検討できます。

    また、仕事中の事故については、労災保険など別の制度が関係する場合もあります。

    学生ビザとワーキングホリデービザでは保険の必要条件が異なるため、混同しないようにしましょう。

    OSHCに関するトラブルと相談先

    OSHCを利用していると、保険会社から医療費の支払いを拒否されたり、返金手続きが進まなかったりする場合があります。

    また、学校や留学エージェントへOSHCの料金を支払ったのに、保険が正しく手配されていなかったというトラブルも報告されています。

    まずは保険会社へ確認する

    補償額や待機期間、保険金の支払いについて疑問がある場合は、加入している保険会社へ問い合わせてください。

    保険金が支払われない理由や、どの約款が適用されているか説明を求めることができます。

    必要に応じて、診療明細、領収書、加入証明書などを用意しましょう。

    保険会社との問題が解決しない場合

    オーストラリアには、民間医療保険に関する苦情を受け付ける制度があります。

    連邦オンブズマン(Commonwealth Ombudsman)のプライベート・ヘルス・インシュランス・オンブズマン(Private Health Insurance Ombudsman)は、OSHCについても相談を受け付けています。

    例えば、次のような問題が対象になります。

    • 保険金の支払いに関するトラブル
    • 待機期間や既往症の判断
    • 契約の取消しや保険料の返金
    • 保険会社からの説明内容
    • 保険会社・仲介業者との契約に関する問題

    オンブズマンへの相談は無料です。

    Commonwealth Ombudsman:民間医療保険に関する苦情相談

    学校がOSHCを手配していなかった場合

    学校へOSHCの料金を支払ったにもかかわらず、保険が手配されていなかった場合は、学校にも確認が必要です。

    学校側の対応について問題がある場合には、教育機関の種類に応じた学生向けオンブズマンなどが相談先になります。

    また、英語での説明が難しい場合、オーストラリアの通訳サービスであるトランスレーティング・アンド・インタープリーティング・サービス(Translating and Interpreting Service/TIS National)を利用できる場合があります。

    電話番号は131 450です。

    通訳サービスは、対応する機関や利用方法によって費用負担の取り扱いが異なる場合があります。

    オーストラリア留学のOSHCに関するよくある質問

    オーストラリアのOSHCとは何ですか?

    OSHCはOverseas Student Health Coverの略で、オーストラリアの留学生向け健康保険です。学生ビザ500で滞在する場合、原則として加入が必要です。GPの診察、専門医、入院、手術、救急車など、所定の医療費を補償します。
    オーストラリアの学生ビザではOSHCへの加入が必須ですか?

    原則として必要です。学生ビザ500では、適切な健康保険を滞在期間中に維持する必要があります。ノルウェー、スウェーデン、ベルギーの一部留学生には例外がありますが、日本人留学生は通常OSHCに加入する必要があります。
    日本の海外留学保険に入っていればOSHCは不要ですか?

    通常、不要にはなりません。日本の一般的な海外留学保険は、学生ビザ500のOSHC要件を満たすものとして扱われません。原則としてOSHCへの加入が必要ですが、携行品や賠償責任などの補償を追加するために日本の海外留学保険を併用することは可能です。
    OSHCの保険料は1年間でいくらですか?

    保険会社、加入期間、加入人数、補償内容によって異なります。2026年10月時点では、メディバンク公式サイトに一部商品の月A$79.10からという参考表示がありますが、すべての人に適用される料金ではありません。同じ加入期間と契約条件で、複数の保険会社から見積もりを取って比較してください。
    OSHCは学校が指定する保険会社に入る必要がありますか?

    いいえ。オーストラリア政府の公式案内では、留学生が自分でOSHCの保険会社を選べると説明しています。学校が勧める保険を利用することも、自分で保険会社を比較して加入することも可能です。ただし、学生ビザの補償条件を満たす必要があります。
    OSHCでは病院代がすべて無料になりますか?

    必ずしも無料にはなりません。OSHCではMBSという政府の医療基準料金をもとに補償額を計算します。医療機関の請求料金が保険給付額を上回る場合、差額のGap Feeを自己負担する必要があります。補償額は保険会社や商品によって異なります。
    OSHCで歯科治療や眼鏡代は補償されますか?

    通常、基本OSHCには一般的な歯科治療や眼鏡・コンタクトレンズの購入費用は含まれません。こうした費用に備える場合は、Extrasなどの追加保険を検討できます。ただし、補償上限や待機期間などがあります。
    OSHCは学校が始まる日から加入すればよいですか?

    いいえ。学生ビザでオーストラリア国外から渡航する場合、OSHCの補償開始日は入国日に合わせる必要があります。また、学生ビザの必要な滞在期間を通じて保険を維持する必要があるため、コース修了日だけでなく、その後の滞在期間も考慮してください。
    持病や妊娠・出産もOSHCで補償されますか?

    補償される場合がありますが、既往症や妊娠・出産関連の治療には待機期間などの条件が設けられることがあります。2026年から、2年以上のOSHC契約について妊娠関連治療の待機期間を撤廃する取り組みも始まっています。具体的な条件は保険会社へ確認してください。
    OSHCの保険会社は留学途中で変更できますか?

    はい。留学途中でも保険会社を変更できます。ただし、学生ビザの条件を満たすため、OSHCに空白期間が生じないようにする必要があります。既往症などの待機期間を引き継げるかも確認してください。
    留学を途中でやめた場合、OSHCの保険料は返金されますか?

    途中帰国や学生ビザの拒否など、所定の条件を満たす場合には未使用期間の保険料が返金されることがあります。返金条件や必要書類は保険会社によって異なります。すべてのケースで全額返金されるわけではありません。
    ワーキングホリデーでもOSHCに加入しなければなりませんか?

    ワーキングホリデービザ417・462では、学生ビザ500と同じOSHC加入義務は通常ありません。ただし、医療費に備えることは重要です。日本の海外旅行保険、ワーキングホリデー保険、オーストラリアのOVHCなどから、ビザ条件に合う保険を検討してください。



    まとめ|OSHCは料金だけでなく補償内容と加入期間を比較しよう

    OSHCは、オーストラリアへ学生ビザで留学する人のための健康保険です。

    日本人が学生ビザ500で留学する場合、原則としてOSHCへの加入が必要になります。

    加入期間は、学校の授業期間だけではなく、オーストラリアへの入国日から必要な滞在期間をカバーするように設定することが大切です。

    また、OSHCの保険会社は学校が勧めるものに限定されていません。

    自分で保険会社を選び、料金や補償内容を比較することもできます。

    主な保険会社には、アリアンツ、ブーパ、メディバンク、ahm、ニブがあります。

    いずれも政府が求める基本的な医療補償を備えたOSHCを提供していますが、保険料、医療機関との提携状況、上位プランの補償などは同じではありません。

    特に注意したいのが、OSHCに加入していても医療費の自己負担が発生することです。

    GPの診察や専門医の診療では、MBSという政府の基準料金をもとに保険給付額が計算されます。

    医療機関の請求額が給付額を上回る場合、その差額を本人が負担します。

    また、通常の歯科治療や眼鏡の購入、理学療法などは、基本OSHCでは補償対象外になることが多いため、必要に応じて追加保険を検討しましょう。

    持病や妊娠・出産に関する治療については、待機期間や補償条件にも注意が必要です。

    2026年には、長期のOSHC契約について妊娠関連治療の待機期間を見直す取り組みも始まっていますが、実際の取り扱いは保険会社や商品によって異なります。

    留学先の学校がOSHCを手配する場合も、自分で手配する場合も、保険会社名、保険証券番号、補償開始日・終了日を確認し、加入証明書を保存しておきましょう。

    OSHCを選ぶ際は、保険料の安さだけでなく、医療費の自己負担、加入期間、提携医療機関、保険金の請求方法まで確認することが大切です。

    オーストラリアで安心して勉強や生活を続けるためにも、留学前にOSHCの仕組みを理解しておきましょう。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリア留学はいくらかかる?語学学校・TAFE・大学の学費と生活費を比較

    オーストラリア留学はいくらかかる?語学学校・TAFE・大学の学費と生活費を比較

    オーストラリアへの留学を考え始めたとき、最初に気になるのが費用ではないでしょうか。

    「語学学校へ半年通うなら、いくら必要?」「TAFEと大学ではどのくらい学費が違う?」「アルバイトをすれば生活費を賄える?」「シドニーと地方都市では、どのくらい費用が変わる?」など、留学を計画するうえで確認しておきたいことはたくさんあります。

    オーストラリアの留学費用は、学校の種類、専攻、留学期間、滞在都市、住まいによって大きく異なります。

    例えば、一般英語を学ぶ語学学校では、1週間単位で授業料が設定されていることが多く、半年程度の留学なら授業料だけでA$10,000前後になる学校もあります。

    一方、TAFEなどの職業教育機関では、年間A$15,000~25,000程度のコースがあるほか、大学では年間A$35,000~55,000程度の学費がかかる専攻も珍しくありません。

    さらに、実際の留学には授業料以外にも費用が必要です。

    シェアハウスの家賃、食費、交通費、携帯電話、学生ビザの申請料金、留学生健康保険のOSHC、航空券などを合わせると、学費だけを見ていたときよりも総額が大きくなります。

    オーストラリア政府が定める学生ビザの資金証明では、2026年10月時点で、学生本人の12か月分の生活費としてA$29,710という基準額が使われています。

    ただし、これは実際の生活費が年間A$29,710で必ず収まるという意味ではありません。滞在する都市や生活スタイルによって、さらに費用が必要になる場合があります。

    この記事では、2026年に学校や大学が公表している公式料金を例に、語学学校、TAFE・専門学校、大学の学費を比較します。

    さらに、半年・1年間の留学総費用、学生ビザ、OSHC、家賃、生活費、アルバイト収入、資金証明、奨学金、費用を抑えるための学校選びまで、日本から留学を検討している方に役立つ情報をまとめました。

    なお、この記事の学校別料金は2026年10月時点で確認できる2026年度の公式情報を使用しています。実際の2027年度以降の学費については、学校の最新の料金表を確認してください。

    オーストラリアの語学学校へ半年留学したいと思っています。学校の授業料は調べたのですが、家賃や生活費も含めると、全部でいくら用意すればよいのでしょうか?
    学校の料金だけではなく、滞在期間中の家賃・食費・交通費、学生ビザ、OSHC、航空券なども計算する必要があります。例えば、週A$410の語学学校へ26週間通う場合、授業料はA$10,660です。ただし、生活費などを合わせると、今回の試算では総額A$30,000を超えます。




    オーストラリア留学に必要な費用の内訳

    オーストラリア留学の費用は、大きく分けて「学校へ支払う費用」「渡航・ビザ関係の費用」「現地生活費」の3つがあります。

    どれかひとつだけを計算しても、留学に必要な総予算にはなりません。

    費用の種類 主な内容
    授業料 語学学校、TAFE、専門学校、大学の授業料
    入学申込料 学校への入学手続きにかかる費用
    教材・設備費 教科書、制服、パソコン、実習道具など
    学生ビザ申請料金 学生ビザ500の申請料金
    OSHC 留学生向け健康保険
    航空券 日本とオーストラリアの往復・片道航空券
    住居費 家賃、ホームステイ、学生寮など
    生活費 食費、交通費、携帯電話、日用品など
    初期費用 家賃の保証金、家具、生活用品など
    その他 英語試験、健康診断、旅行、緊急時の費用など

    授業料だけで予算を決めない

    例えば、半年間の語学学校の授業料がA$10,000だったとします。

    ところが、家賃だけで週A$300かかれば、26週間でA$7,800です。

    さらに、食費、交通費、保険、学生ビザ、航空券などが必要になります。

    学校の授業料が安くても、家賃が高い場所に住めば、留学全体の費用は高くなります。

    留学開始時にはまとまったお金が必要

    出発前には、学校の申込料や授業料の一部、OSHC、ビザ申請料金、航空券などを支払うことになります。

    また、オーストラリアへ到着した後も、住居の保証金や最初の家賃、生活用品の購入などが重なる場合があります。

    そのため、留学の総予算とは別に、最初の1~2か月に必要な現金・預金を準備しておくことが重要です。

    語学学校・TAFE・大学の違いと学費比較

    オーストラリア留学といっても、学校の種類によって学ぶ内容や取得できる資格、学費は大きく異なります。

    まずは、3つの主な進学先を整理しましょう。

    語学学校

    英語力の向上を目的とした学校です。

    日常英会話、進学準備、IELTS対策、ビジネス英語などを学びます。

    留学生向け英語集中コースは、ELICOS(English Language Intensive Courses for Overseas Students)とも呼ばれます。

    TAFE・専門学校

    実践的な職業技能や専門知識を身に付ける教育機関です。

    TAFEは、テイフ(Technical and Further Education)と呼ばれる公的職業教育機関の総称です。

    民間の専門学校もありますが、TAFEとすべて同じ組織ではありません。

    職業教育訓練は、VET(Vocational Education and Training)とも呼ばれます。

    大学・大学院

    学士号、修士号、博士号などの学位を取得するための教育機関です。

    一般的に、語学学校や職業教育コースよりも長期間の学習が必要で、授業料も高くなる傾向があります。

    学校の種類 2026年の公式料金の例 主な目的
    語学学校 週A$410~A$590の例あり 英語力向上・進学準備
    TAFE・専門学校 年A$17,420や、コース総額A$25,000前後の例あり 職業資格・専門技能
    大学学士課程 年A$36,000~A$50,000程度の例あり 学士号取得
    大学院修士課程 年A$35,000~A$60,000程度の例あり 専門分野の高度な学習

    ※特定の学校が公表している2026年度料金などから作成した比較です。オーストラリア全国の最低価格・最高価格を示すものではありません。コースによって大きく異なります。

    例えば、大学の医学・歯学・獣医学などでは、上記を大きく上回る学費がかかる場合があります。

    また、同じTAFEでも、ビジネス系と看護・技術系では必要な教材や実習費用が異なります。

    留学費用を比較するときは、学校の種類だけでなく、具体的なコース名と修了までの期間を確認しましょう。

    語学学校の授業料はいくら?2026年の実例

    語学学校では、通常、1週間当たりの料金をもとに授業料を計算します。

    同じ学校でも、授業の時間帯、コースの種類、入学する週数によって料金が異なる場合があります。

    ここでは、実際に学校が公表している2026年度の料金を見てみましょう。

    インパクト・イングリッシュ・カレッジ

    インパクト・イングリッシュ・カレッジ(Impact English College)は、メルボルン(Melbourne)とブリスベン(Brisbane)に校舎を持つ語学学校です。

    2026年度の公式料金表では、一般英語を含む各コースの授業料が週A$410です。

    さらに、入学申込料A$200、教材費週A$15などが設定されています。

    費用 2026年の料金
    授業料 A$410/週
    入学申込料 A$200
    教材費 A$15/週(最低A$60)

    例えば、26週間通うと、授業料はA$10,660です。

    教材費はA$390、申込料はA$200なので、これらを合わせるとA$11,250になります。

    ただし、滞在費、航空券、ビザ、保険などは含まれていません。

    インパクト・イングリッシュ・カレッジ:2026年度公式料金

    ナビタス・イングリッシュ

    ナビタス・イングリッシュ(Navitas English)は、シドニー(Sydney)やパース(Perth)などで英語教育を提供しています。

    2026年度の公式料金表では、一般英語コースについて、シドニーの日中コースが週A$590、夜間コースが週A$490です。

    パースでは日中コースが週A$555、夜間コースが週A$470と案内されています。

    ただし、これは通常料金表の金額であり、入学申込料や教材費などは別途確認が必要です。

    ナビタス・イングリッシュ:公式料金案内

    グリフィス大学系の英語コース

    グリフィス大学(Griffith University)の英語教育コースについて、ナビタスの公式料金案内では、2026年の授業料は25週間まで週A$470、26週間以上では週A$440と掲載されています。

    また、2027年度はそれぞれ週A$490、週A$460となる予定です。

    同じコースでも、長期間申し込むことで週当たりの料金が変わる場合があることが分かります。

    料金の安い学校と高い学校は何が違う?

    学校によって、授業時間、クラス人数、講師の配置、施設、進学サポート、課外活動などが異なります。

    ただし、授業料が高ければ必ず英語力が伸びるというわけではありません。

    自分の目標に合う授業内容か、通いやすい場所にあるか、十分な学習時間が確保されているかを確認しましょう。

    また、料金表に記載されている金額が、実際に申し込むコースや入学日に適用されるかも重要です。

    TAFE・専門学校の学費とコースの選び方

    TAFEや専門学校は、実践的な技能を学びたい方や、特定の職業に関する資格を取得したい方に選ばれています。

    オーストラリアには、公的なTAFEのほか、民間の職業教育機関もあります。

    学べる分野には、調理、ホスピタリティー、IT、デザイン、会計、介護、幼児教育、建設関連などがあります。

    どのような資格を取得できる?

    職業教育では、次のような資格が用意されています。

    • Certificate III
    • Certificate IV
    • Diploma
    • Advanced Diploma

    ただし、資格名だけで授業料や受講期間が決まるわけではありません。

    同じDiplomaでも、分野や学校によって費用が大きく異なります。

    2026年の学費例

    チャールズ・ダーウィン大学(Charles Darwin University/CDU)が公表している2026年度の職業教育向け留学生料金表では、ホスピタリティー・マネジメントのDiplomaに相当するコースについて、年間授業料A$17,420と案内されています。

    また、ベーカリー関連のCertificate IIIも年間A$17,420です。

    一方、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT University)の2026年度案内では、Certificate IV in Accounting and Bookkeepingのコース総額がA$13,000、Diploma of Graphic DesignがA$25,750、Diploma of Information TechnologyがA$25,250です。

    学校・コースの例 2026年の学費 料金の単位
    CDU/Diploma of Hospitality Management A$17,420 年間
    RMIT/Certificate IV in Accounting and Bookkeeping A$13,000 コース全体
    RMIT/Diploma of Graphic Design A$25,750 コース全体
    RMIT/Diploma of Information Technology A$25,250 コース全体

    ※年間授業料とコース全体の授業料が混在しているため、金額を単純比較しないでください。実際の修了までの期間、教材・設備費、入学時期も確認が必要です。

    なお、TAFE NSW(TAFE New South Wales)の留学生向けコースでは、教材・制服・設備などに、コースによってA$300~A$1,000程度の追加費用が発生する場合があると案内されています。

    オーストラリア人向けの補助金料金に注意

    学校の公式サイトを見ると、Free TAFEや政府補助によって、授業料が無料・割引になると案内されていることがあります。

    しかし、こうした制度は通常、一定の国籍、居住資格、州の要件などを満たす人を対象としています。

    日本から学生ビザで留学する人が、同じ料金で受講できるとは限りません。

    学費を調べるときは、必ずInternational Students向けの料金を確認しましょう。

    RMIT:留学生向けのコース別学費

    TAFE NSW:留学生向け公式サイト

    大学・大学院の学費はいくら?

    オーストラリアの大学は、学問分野や専攻によって学費が大きく異なります。

    また、大学によって留学生向けの授業料が異なり、同じ大学内でも文系・理系・医療系などで料金が変わります。

    ここではRMITが2026年度に公表している学費を例に見てみましょう。

    学士課程の学費

    RMITの学士課程 2026年度の年間授業料
    Bachelor of Arts (Creative Writing) A$41,280
    Bachelor of Engineering (Electrical Engineering) (Honours) A$47,040
    Bachelor of Laws A$45,120
    Bachelor of Education (Primary and Secondary) A$36,480

    これらは年間の授業料であり、学士号取得までの総額ではありません。

    例えば、年間A$41,280のコースに3年間在籍したと仮定すると、単純計算で授業料はA$123,840です。

    ただし、大学の授業料は年度ごとに改定される場合があり、3年間ずっと同じ料金とは限りません。

    大学院の学費

    RMITの2026年度案内では、経営学修士(MBA)の年間授業料がA$50,880、Master of FinanceがA$48,960、Master of PhysiotherapyがA$53,760となっています。

    修士課程は1年、1年半、2年など、コースごとに期間が異なります。

    必ず修了までの総授業料を確認してください。

    大学の授業料は分割払いできる?

    大学では、学期ごと、履修科目ごとなどに授業料を請求する仕組みが一般的です。

    入学時に全学年分を一括で支払うわけではないことも多くあります。

    ただし、学校の契約条件や納付期限によって異なります。

    また、入学申込料、学生サービス関連料金、教材費、実習費などが別途発生する場合があります。

    大学の公式見積書やオファーレターに記載されている条件を確認しましょう。



    半年・1年間の留学費用をシミュレーション

    ここからは、授業料だけでなく、滞在費やビザなどを含めた留学総費用を計算します。

    2026年度に学校が公表している実際の授業料を使用し、生活費や航空券などは比較用の仮定を置いて試算します。

    生活費については、1年間A$30,000、半年A$15,000として計算します。

    これは、RMITが留学生向けに案内しているメルボルンでの年間生活費A$30,000~A$45,000という参考範囲の低い側に相当します。

    ただし、あくまで比較用の金額であり、すべての人がA$30,000で生活できるという意味ではありません。

    また、ビザ申請料金は比較を統一するために一般的なA$2,500を使用します。2026年7月以降、一部の独立した語学コースなどでは低い申請料金が適用されるため、実際の料金は個別に確認してください。

    ケースA:語学学校へ26週間(約半年)留学

    インパクト・イングリッシュ・カレッジの週A$410という2026年度料金を例に計算します。

    項目 費用
    授業料:A$410×26週間 A$10,660
    入学申込料 A$200
    教材費:A$15×26週間 A$390
    生活費:半年分の仮定 A$15,000
    OSHC:仮定 A$400
    学生ビザ:一般料金で仮定 A$2,500
    航空券:仮定 A$1,500
    初期費用・予備費:仮定 A$1,000
    総額 A$31,650

    この試算では、半年間の留学費用は約A$31,650です。

    仮に1豪ドル=100円とすると、約316万5,000円になります。

    ※100円という為替レートは計算用の仮定であり、現在の実勢レートではありません。

    ただし、実際のOSHC料金、ビザの優遇料金の適用、航空運賃、住居費などによって総額は変わります。

    ケースB:職業教育コースへ1年間留学

    CDUの2026年度の年間授業料A$17,420のコースを例にします。

    項目 費用
    年間授業料 A$17,420
    生活費:年間の仮定 A$30,000
    OSHC:仮定 A$750
    学生ビザ:一般料金で仮定 A$2,500
    航空券:仮定 A$1,500
    教材・初期費用・予備費:仮定 A$1,500
    総額 A$53,670

    この試算では、1年間で約A$53,670です。

    1豪ドル=100円と仮定すると、約536万7,000円になります。

    なお、CDUのキャンパスがある地域と、生活費の参考にしたメルボルンでは、実際の家賃や生活費が異なります。

    この表は学校別の料金と生活費を組み合わせた比較モデルであり、特定の都市における確定見積もりではありません。

    ケースC:大学へ1年間留学

    RMITのBachelor of Education (Primary and Secondary)の2026年度年間授業料A$36,480を例にします。

    項目 費用
    年間授業料 A$36,480
    生活費:年間の仮定 A$30,000
    OSHC:仮定 A$750
    学生ビザ:一般料金で仮定 A$2,500
    航空券:仮定 A$1,500
    教材・初期費用・予備費:仮定 A$1,500
    総額 A$72,730

    この試算では、大学留学の最初の1年間の費用は約A$72,730です。

    1豪ドル=100円と仮定すると、約727万3,000円になります。

    学位取得までに複数年が必要な場合、2年目以降にも授業料と生活費が発生します。

    また、大学の授業料は年度ごとに変更される場合があります。

    3つの留学費用を比較

    留学タイプ 試算期間 総費用
    語学学校 26週間 A$31,650
    TAFE・職業教育 1年間 A$53,670
    大学学士課程 1年間 A$72,730

    ※総費用には学校公式の学費例と、当記事で設定した仮定の生活費などが含まれています。期間・学校・都市が異なるため、単純な優劣比較ではありません。

    学費だけを比べると差が小さく感じられる場合でも、滞在期間を含めた総費用では大きな差になることがあります。

    長期留学では、年間の授業料だけでなく、修了までに何年かかるかを確認することが重要です。

    学生ビザの申請料金と2026年の変更点

    オーストラリアで3か月を超える留学をする場合、通常は学生ビザ500を検討します。

    ただし、実際に必要なビザは留学の目的や期間、個人の事情によって異なります。

    2026年7月から学生ビザ申請料金が変更

    オーストラリア内務省は、2026年7月1日から学生ビザの申請料金を改定しました。

    現在、一般的な学生ビザ500の主申請者の料金はA$2,500からと案内されています。

    ただし、これはすべての学生ビザ申請者に一律に適用される金額ではありません。

    2026年7月の改定では、一定の国の国籍者や、独立したELICOS・Non-Awardセクターの対象申請者などに、通常より低い申請料金が適用される仕組みがあります。

    日本のパスポートで申請する場合でも、学校やコースの区分によって料金が異なる可能性があります。

    実際に申請する際は、内務省の公式ビザ料金計算ツールで確認してください。

    2026年10月2日から学生ビザの申請規則も変更

    さらに、2026年10月2日から、学生ビザ500と学生ガーディアンビザ590について、新しい申請規則が施行されました。

    主に、オーストラリア国内で学生ビザを申請できる人、学生ビザから次の学生ビザへの申請、家族を申請に含められる条件などが変更されています。

    特に、現在オーストラリア国内に滞在していて、別のビザから学生ビザへの変更を考えている方は注意してください。

    例えば、ワーキングホリデーで滞在し、その後学生ビザに変更して長期留学しようと考えている場合、現在のビザの種類によっては、オーストラリア国内から申請できないことがあります。

    留学費用を支払う前に、希望する申請方法が認められているか確認しましょう。

    内務省:学生ビザ500の申請条件・料金

    内務省:2026年10月2日からの学生ビザ申請規則

    学生ビザの資金証明はいくら必要?

    オーストラリアへ学生ビザで留学する場合、一定の生活費や学費を支払える資金があることを証明する必要があります。

    学生ビザの審査では、申請者の状況などに応じて、資金に関する書類の提出を求められる場合があります。

    2026年10月時点の生活費基準

    内務省が公表している学生ビザの資金能力要件では、学生本人の12か月分の生活費としてA$29,710が基準になっています。

    対象 12か月分の基準額
    学生本人 A$29,710
    同行する配偶者・パートナー A$10,394
    同行する子ども A$4,449
    就学年齢の子どもの学校費用 原則A$13,502以上/年

    ※家族の扱いはビザ規則に従います。2026年10月2日から家族の申請条件が変更されているため、家族同伴を予定する場合は最新の申請条件も確認してください。

    A$29,710だけあればビザを申請できる?

    いいえ。

    資金証明では、生活費だけでなく、授業料、渡航費用、必要に応じた同行家族の費用なども考慮します。

    例えば、1年間の授業料がA$20,000のコースを受講する場合です。

    授業料をまだ支払っていないと仮定すると、生活費と授業料だけでもA$49,710になります。

    さらに渡航費用なども必要です。

    すでに授業料を支払っている場合

    内務省の公式案内では、学生ビザの資金計算を行う際、すでに支払った授業料について、支払いを証明できる場合は必要な授業料から差し引く方法が示されています。

    つまり、すでに授業料の一部を学校へ支払っている場合は、その金額を考慮できます。

    資金証明の額と実際の生活費は違う

    ここは重要な点です。

    年間A$29,710という金額は、ビザ審査で使用する基準であり、実際の生活費を保証する予算ではありません。

    例えば、メルボルンにあるRMITは、2026年の留学生向け案内で、同市の年間生活費についてA$30,000~A$45,000という参考範囲を示しています。

    住居費が高い地域に滞在する場合は、必要な予算も増える可能性があります。

    親からの送金や奨学金でもよい?

    資金証明には、金融機関の預金、金融機関からの融資、政府・教育機関の奨学金など、条件を満たす資金を利用できる場合があります。

    親族などから資金提供を受ける場合は、資金提供者との関係や資金の出所、実際にその資金を利用できることを説明する必要がある場合があります。

    必要な証明書類は申請者の状況に応じて異なるため、内務省の最新案内に従ってください。

    OSHC・英語試験・教材費などの追加費用

    留学費用を計算するときに、忘れやすいのが学校以外へ支払う費用です。

    OSHCの保険料

    学生ビザ500で留学する場合、原則としてOSHCへの加入が必要です。

    OSHCは留学生専用の健康保険で、オーストラリア滞在中の医療費に備えるものです。

    保険料は加入期間、保険会社、契約する人数などによって異なります。

    RMITが公表している2026年の留学生向け費用案内では、単身者のOSHCについて、年間A$590~A$750という参考範囲が示されています。

    ただし、これは同大学の案内における参考額です。

    すべての保険会社で同じ料金になるわけではありません。

    OSHCの仕組みや保険会社の比較については、関連記事「オーストラリア留学のOSHCとは?学生ビザに必要な健康保険の料金・補償内容・加入方法を解説」を参考にしてください。

    英語試験の費用

    大学や専門学校へ入学する場合、IELTSやPTEなどの英語試験の結果を求められることがあります。

    RMITの2026年度案内では、オーストラリア国内のIELTS AcademicやPTE Academicについて、A$490程度という参考額が掲載されています。

    ただし、受験地や試験の種類によって料金が異なります。

    日本で受験する場合は、日本の試験主催者が公表している料金を確認してください。

    教材・パソコン・制服・実習費

    例えば、大学でオンライン教材や指定のソフトウェアを使用する場合、パソコンなどを準備する必要があります。

    また、調理や看護などの実習を含むコースでは、制服、靴、専門器具、健康診断、予防接種などが必要になる場合があります。

    授業料に含まれているものと、別料金になるものを確認しましょう。

    学生サービス関連の費用

    大学によっては、学生サービス・設備関連料金であるSSAF(Student Services and Amenities Fee)が別途請求される場合があります。

    RMITの2026年度案内では、SSAFについて年間最大A$373と示されています。

    実際に請求されるか、いくらになるかは学校・コースなどの条件によって異なります。

    シドニー・メルボルン・ブリスベンなどの生活費

    オーストラリア留学の費用を左右するのが、どの都市で生活するかという点です。

    同じ学校の授業料であっても、住居費や交通費などによって、年間の総費用は変わります。

    シドニー

    シドニーは、大学や語学学校、専門学校などが多い都市です。

    交通機関が整っており、アルバイト先を探す選択肢もあります。

    一方、住居費が高い地域も多く、大学や学校の近くに住むと家賃が高くなる場合があります。

    中心部から離れた場所に住めば家賃を抑えられる場合がありますが、その分交通費や通学時間が増える可能性があります。

    メルボルン

    メルボルンは、大学や専門学校、語学学校の選択肢が多い都市です。

    中心部では公共交通機関が利用しやすく、地域によって家賃や生活環境が大きく異なります。

    また、中心部から離れた場所に住む場合は、交通費や通学時間も考慮する必要があります。

    ブリスベン

    ブリスベンは、クイーンズランド州の州都です。

    大学や語学学校、専門学校などがあり、温暖な気候を好む留学生にも選ばれています。

    ただし、近年は住宅需要などによって賃貸市場の状況が変化しているため、シドニーやメルボルンより必ず住居費が安いとは限りません。

    パース・アデレード・地方都市

    パース(Perth)、アデレード(Adelaide)、ホバート(Hobart)なども留学先の選択肢です。

    地方都市では、コースや地域によって学費・住居費を抑えられる場合があります。

    ただし、交通機関、学校の選択肢、アルバイトの求人、医療機関へのアクセスなども考慮しましょう。

    家賃が週A$100違うと年間では?

    家賃の差額 年間の差額
    週A$50 A$2,600
    週A$100 A$5,200
    週A$150 A$7,800

    これは52週間で計算した単純な例です。

    週A$100の差でも、1年間ではA$5,200になります。

    語学学校や専門学校の授業料の違いより、住居費の違いが総予算に大きく影響する場合もあります。

    生活費は政府の計算ツールで確認できる

    オーストラリア政府のスタディ・オーストラリア(Study Australia)では、生活費計算ツール(Cost of Living Calculator)を提供しています。

    住居、交通機関、生活スタイルなどを選ぶことで、留学中の生活費の参考額を確認できます。

    留学先の都市を決める前に利用するとよいでしょう。

    Study Australia公式サイト:Cost of Living Calculator



    ホームステイ・シェアハウス・学生寮の比較

    留学中の住居には、いくつかの選択肢があります。

    主なものはホームステイ、シェアハウス、学生寮です。

    どの住居を選ぶかによって、費用だけでなく、食事や通学、生活環境も変わります。

    ホームステイ

    一般家庭で生活する方法です。

    学校の提携先やホームステイ手配会社を通じて申し込むことがあります。

    食事が含まれるプランもあり、オーストラリアでの生活に慣れていない方にとっては便利です。

    例えば、インパクト・イングリッシュ・カレッジの2026年度案内では、平日2食・週末3食付きの1人部屋ホームステイが週A$410と掲載されています。

    また、ホームステイの手配料はA$350です。

    ただし、実際の住居の空き状況や条件によって料金が変わる場合があります。

    シェアハウス

    複数の人で住宅を借りて暮らす方法です。

    自分の個室がある場合もあれば、同じ部屋を複数人で使うシェアルームの場合もあります。

    一般的に、学校が手配するホームステイや学生寮より費用を抑えられる場合があります。

    ただし、家賃に電気代やインターネット料金が含まれているか、食費を自分で負担するかなどを確認してください。

    また、入居時にはボンド(Bond)と呼ばれる保証金が必要になる場合があります。

    ボンドの取り扱いは州や地域の法律によって異なるため、必ず確認しましょう。

    学生寮

    学校に近い学生向けの住居です。

    家具付きの部屋や共用キッチン、勉強スペースなどを備えた施設もあります。

    例えば、インパクト・イングリッシュ・カレッジの2026年度案内では、メルボルンの提携学生レジデンスについて、1人部屋が週A$500と掲載されています。

    ただし、学生寮は施設や部屋タイプによって料金が大きく異なります。

    住居 メリット 注意点
    ホームステイ 食事付きプランがある・生活に慣れやすい 生活ルール・通学距離・手配料
    シェアハウス 費用を抑えられる場合がある 物件確認・保証金・光熱費
    学生寮 学校へ通いやすい施設がある 家賃・契約期間・追加料金

    最初は短期滞在にして、現地で住居を探す方法も

    日本から長期間のシェアハウスを契約するのが不安な場合は、最初の数週間だけ学校の手配する住居や短期宿泊施設に滞在し、現地で部屋を探す方法もあります。

    ただし、空室が少ない時期には住居探しに時間がかかることがあります。

    入学時期や賃貸市場の状況を考え、余裕を持って計画しましょう。

    学生ビザでアルバイトをすれば費用を賄える?

    留学費用を計算するとき、アルバイト収入を見込んでいる方もいるでしょう。

    学生ビザ500では、一定の条件で就労が認められています。

    ただし、授業期間中の就労時間には制限があります。

    原則2週間で48時間まで

    2026年10月現在、学生ビザ500では、コースの授業期間中、原則として2週間で48時間まで働くことができます。

    これは週24時間の平均に相当しますが、法律上は2週間単位で管理されます。

    また、通常、コース開始前に働くことはできません。

    ただし、以前から就労可能な別のビザを保有していた場合などには例外があります。

    学校の正式な休暇期間中は、原則として時間制限なく働ける場合があります。

    一方、研究による修士課程や博士課程などには、一般的な就労時間制限とは異なる取り扱いがあります。

    アルバイト収入の計算例

    例えば、時給A$30の仕事で週20時間働いた場合を考えてみます。

    項目 金額
    時給 A$30
    週の勤務時間 20時間
    週の税引前給与 A$600
    4週間の税引前給与 A$2,400

    これは計算例であり、現在の求人の平均時給や、実際にその時間数の仕事を確保できることを示すものではありません。

    また、給与からは条件に応じて所得税が源泉徴収されるため、上記がそのまま手取り額になるわけではありません。

    アルバイトで生活費をすべて賄える?

    仕事が安定して見つかり、家賃や生活費を抑えられれば、アルバイト収入で生活費の一部を負担できる場合があります。

    しかし、仕事がすぐに見つかるとは限りません。

    学校の授業や課題、試験勉強によって、希望するほど働けないこともあります。

    また、仕事のシフトが少ない週や、病気で働けない期間も考える必要があります。

    アルバイト収入を前提に資金証明を減らせる?

    将来のアルバイト収入を見込んでいるからといって、学生ビザの資金証明が自動的に免除されるわけではありません。

    学生ビザの審査では、学費や生活費を支払う能力を証明する必要があります。

    留学費用を組み立てる際には、アルバイト収入は生活費の補助として考え、仕事がなくても一定期間生活できる資金を確保しておくことをおすすめします。

    Study Australia:学生ビザの就労条件

    奨学金・授業料割引で留学費用を抑える方法

    留学費用を減らすためには、学校の授業料割引や奨学金を調べる方法もあります。

    特に大学・大学院へ進学する方は、奨学金の有無を確認しておくとよいでしょう。

    大学独自の留学生向け奨学金

    オーストラリアの大学には、留学生向けに授業料の一部を免除する奨学金を用意しているところがあります。

    例えば、学業成績や英語力、出身国、専攻などを条件とする奨学金です。

    ただし、申請者全員が受けられるわけではありません。

    また、奨学金の対象となる入学年度やコースが限定されている場合があります。

    研究課程の奨学金

    研究による修士課程や博士課程では、授業料免除や生活費の給付を含む奨学金が用意されている場合があります。

    ただし、応募条件や選考基準は厳しく、研究計画や学業成績などが重視されます。

    語学学校の授業料割引

    語学学校では、期間限定のキャンペーンや、長期申込み向けの授業料割引が行われることがあります。

    例えば、一定期間以上の申込みで週当たりの授業料が安くなる場合です。

    ただし、割引料金だけでなく、申込料や教材費も含めた総額を比較しましょう。

    奨学金の情報はどこで探す?

    オーストラリア政府のStudy Australiaには、留学生向けの奨学金を検索できる案内があります。

    また、進学を希望する大学の公式サイトで、International Scholarshipsなどのページを確認してください。

    Study Australia公式:奨学金情報

    格安の学校を選ぶ前に確認したいこと

    インターネットでは、比較的安い授業料を提示している語学学校や専門学校も見つかります。

    もちろん、授業料を抑えること自体は悪いことではありません。

    ただし、料金だけで学校を決める前に、学校やコースの登録状況を確認しておくことが重要です。

    CRICOS登録を確認する

    オーストラリアで学生ビザを利用して学ぶためには、通常、学校とコースがCRICOSに登録されている必要があります。

    CRICOSは、留学生向けに登録された教育機関とコースを管理するオーストラリア政府の制度です。

    正式名称は、コモンウェルス・レジスター・オブ・インスティテューションズ・アンド・コーシズ・フォー・オーバーシーズ・スチューデンツ(Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Students)です。

    政府の公式サイトで、学校名やコース名、CRICOSコードを検索できます。

    オーストラリア政府:CRICOS公式検索サイト

    学校の場所も確認する

    学校のウェブサイトに複数のキャンパスが紹介されていても、希望するコースがすべてのキャンパスで提供されているとは限りません。

    留学生として受講できるキャンパス、授業時間帯、入学日を確認してください。

    出席条件と授業内容を確認する

    学生ビザでは、コースへの在籍や学習に関する条件を守る必要があります。

    学校によって、出席・進捗管理の仕組みや、オンライン授業の割合などが異なります。

    授業料が安いという理由だけで、通学しにくい学校や、自分の目的に合わないコースを選ばないようにしましょう。

    2026年には民間教育機関の新規登録に関する規制も導入

    オーストラリア政府は2026年5月19日から2027年5月19日までの期間、民間の新規VET・ELICOS教育機関や新しいコースのCRICOS登録について、一時的な受付停止措置を導入しています。

    ただし、既存の登録教育機関がすべて営業を停止しているという意味ではありません。

    また、公立のTAFEや大学などは、この措置の対象外とされています。

    新しい学校やコースを検討する場合は、登録状況を政府公式サイトで確認しましょう。

    学校が閉鎖された場合の学費保護

    オーストラリアには、授業料保護制度であるTPS(Tuition Protection Service)があります。

    対象となる教育機関がコースを提供できなくなった場合、条件に応じて、代替コースへの進学や未受講分の授業料の返金を支援する制度です。

    ただし、学生が自分の都合で退学した場合に、授業料が必ず返金される制度ではありません。

    入学前に全額支払う必要がある?

    オーストラリアの留学生保護制度では、通常、学校がコース開始前に受け取る授業料は、コース総額の50%を超えてはならないという原則があります。

    ただし、学生側が希望してそれ以上支払う場合や、コース期間が25週間以下の場合などには例外があります。

    入学前に全額支払いを求められた場合は、契約書と法律上の条件を確認してください。

    オーストラリア教育省:留学生の授業料保護制度

    入学から渡航までの費用と支払いの流れ

    留学の準備では、費用の総額だけでなく、いつ支払う必要があるかを整理しておくことも大切です。

    例えば、1年間の学費がA$20,000の場合、学校への支払いが分割であっても、学生ビザを申請する前に一定額を支払う必要があることがあります。

    STEP 1.学校・コースの見積もりを取る

    まず、希望する学校の授業料と追加費用を確認します。

    見積もりには、入学申込料、教材費、実習費なども含まれているか確認してください。

    STEP 2.入学申込みとオファーレター

    学校が入学を認めると、オファーレター(Offer Letter)などが発行されます。

    この書類には、コース内容、開始日、授業料、支払条件などが記載されています。

    申込前には、キャンセル・返金条件も確認しましょう。

    STEP 3.学校の指定する費用を支払う

    契約条件に従って、授業料の一部やOSHCなどを支払います。

    ただし、学校がOSHCを手配する場合と、学生が自分で保険会社へ加入する場合では、支払い方法が異なります。

    STEP 4.CoEの発行を受ける

    正式に入学が確認されると、CoE(Confirmation of Enrolment)と呼ばれる入学確認書が発行されます。

    通常、学生ビザの申請にはCoEが必要です。

    STEP 5.学生ビザを申請する

    内務省のオンラインシステムで学生ビザを申請します。

    ビザの申請料金は、申請時に支払います。

    必要に応じて、健康診断や追加資料の費用なども発生します。

    STEP 6.航空券・滞在先を手配する

    学生ビザが許可されたら、渡航日程に合わせて航空券や住居を手配します。

    なお、内務省は、学生ビザの審査が終わる前に変更・取消しが難しい旅行手配を行うことについて注意を促しています。

    航空券や住居の契約条件を確認しておきましょう。

    STEP 7.現地の初期費用を準備する

    渡航後には、住居の保証金、最初の家賃、携帯電話、日用品などに費用がかかる場合があります。

    到着後すぐに現地のアルバイト収入が入るとは限らないため、生活費に余裕を持たせておきましょう。

    留学費用を抑えるための実践的な工夫

    オーストラリア留学の費用を抑える方法はいくつかあります。

    ただし、単に安い学校を選ぶことだけが節約ではありません。

    学習の目的を達成するために必要な期間や、現地での生活環境なども考える必要があります。

    1.学校の総費用を比較する

    週当たりの授業料だけでなく、申込料、教材費、手配料などを合わせて比較しましょう。

    例えば、週A$20の授業料差でも、26週間ならA$520の違いになります。

    2.住居費を優先して比較する

    留学期間が長くなるほど、家賃の違いが総額に影響します。

    ただし、家賃の安い場所でも、学校までの交通費や通学時間が大きく増える場合があります。

    家賃だけでなく、交通費も含めて比較してください。

    3.必要な留学期間を考える

    例えば、英語力を向上させたい方が、最初から1年間の語学留学を申し込む必要があるとは限りません。

    現在の英語力と目標に応じて、適切な期間を考えるとよいでしょう。

    ただし、学校のキャンペーンなどで長期割引がある場合、短期申込みを繰り返す方が割高になることもあります。

    4.奨学金や授業料割引を確認する

    大学・専門学校の奨学金や、語学学校の授業料キャンペーンなどを確認しましょう。

    ただし、割引の対象となる入学日や申込み期限などに注意してください。

    5.為替レートを考慮する

    オーストラリアの学費は通常、豪ドルで設定されています。

    そのため、日本円で準備する金額は為替レートによって変わります。

    例えば、A$30,000を支払う場合です。

    仮の為替レート 必要な日本円
    1豪ドル=95円 285万円
    1豪ドル=100円 300万円
    1豪ドル=105円 315万円
    1豪ドル=110円 330万円

    ※すべて計算用の仮定レートです。実際の為替レートや送金手数料は含んでいません。

    同じA$30,000の学費でも、1豪ドル=95円と110円では45万円の差があります。

    実際の送金では、銀行や海外送金サービスの手数料、為替換算コストも確認しましょう。

    6.予備費を用意する

    どれだけ細かく見積もっても、実際の留学では想定外の支出が発生することがあります。

    例えば、体調不良で仕事を休んだり、引っ越しが必要になったり、航空券を変更したりする場合です。

    学費と最低限の生活費だけを用意するのではなく、予備費も含めた資金計画を立てることをおすすめします。

    オーストラリア留学費用に関するよくある質問

    オーストラリアの語学学校へ半年留学するといくらかかりますか?

    学校の授業料、生活費、ビザ、保険、航空券などによって異なります。この記事では、2026年の週A$410という授業料を使い、26週間の学費、生活費などを合わせて約A$31,650と試算しています。ただし、ビザの優遇料金や住居費、実際の保険料によって総額は変わります。
    オーストラリアのTAFEの学費は年間いくらですか?

    TAFEや職業教育コースの学費は分野と学校によって異なります。2026年度の公式料金には、年間A$17,420のホスピタリティー関連コースや、コース総額A$25,000前後の情報技術・デザイン関連Diplomaなどの例があります。年間料金とコース全体の料金を区別して確認してください。
    オーストラリアの大学の学費は1年間でいくらですか?

    大学や専攻によって異なります。RMITが公表している2026年度の例では、学士課程で年間A$36,480~A$47,040のコースがあります。大学院や医療系の専攻ではさらに高額になる場合があります。学位取得までの総授業料と毎年の料金改定を確認してください。
    2026年のオーストラリア学生ビザの申請料金はいくらですか?

    2026年7月1日から料金が改定され、一般的な学生ビザ500の主申請者はA$2,500からです。ただし、対象となる国の国籍者や、独立したELICOS・Non-Awardセクターの対象申請者などには、低い料金が適用される場合があります。実際の料金は内務省の公式計算ツールで確認してください。
    学生ビザの資金証明はいくら必要ですか?

    2026年10月時点の内務省の基準では、学生本人の12か月分の生活費としてA$29,710が使われています。ただし、これに授業料、渡航費用、必要に応じた家族の費用などが加わります。すでに支払った授業料は、証明できる場合に資金計算で考慮できます。
    学生ビザでアルバイトをして生活費を賄えますか?

    学生ビザ500では、授業期間中は原則2週間で48時間まで働けます。仕事が安定して見つかれば生活費の一部を負担できる場合がありますが、就職や収入は保証されません。アルバイト収入だけを前提に留学資金を計算しないことが重要です。
    シドニーとメルボルンでは、どちらの留学費用が安いですか?

    学校の授業料と住居費によって異なるため、一律には判断できません。シドニーとメルボルンは地域によって家賃に大きな差があります。学校ごとの授業料と、住む予定の地域の家賃、交通費などを比較してください。
    学生ビザなら必ずOSHCに入らなければなりませんか?

    日本人が学生ビザ500で留学する場合は、原則としてOSHCへの加入が必要です。学校の授業期間だけでなく、必要なオーストラリア滞在期間をカバーする必要があります。OSHCの料金は保険会社、加入期間、加入人数によって異なります。
    オーストラリアの語学学校は3か月だけでも留学できますか?

    はい。短期間の語学留学を受け付けている学校もあります。また、対象となる訪問ビザでは、通常、最長3か月までの学習が認められています。ただし、ビザによって滞在条件や就労の可否が異なり、訪問ビザでは通常働けません。目的に合ったビザを確認してください。
    オーストラリアのTAFEは日本人留学生でも無料で通えますか?

    オーストラリア国内向けにFree TAFEなどの制度がありますが、通常は一定の居住資格などが条件です。日本から学生ビザで留学する人が自動的に無料になるわけではありません。留学生向けのInternational Students料金を確認してください。
    オーストラリア留学に奨学金はありますか?

    はい。大学や大学院などには、留学生向けに授業料の一部を免除する奨学金や、研究課程の支援制度などがあります。ただし、対象コース、学業成績、英語力、申請時期などの条件があります。大学の公式サイトやStudy Australiaの奨学金情報を確認してください。
    留学先の学校が閉鎖されたら支払った学費はどうなりますか?

    対象となる学校がコースを提供できなくなった場合、オーストラリアの授業料保護制度TPSによって、代替コースへの進学や未受講分の授業料の返金を支援する仕組みがあります。ただし、すべての返金トラブルを無条件で補償する制度ではありません。



    まとめ|留学費用は学校の授業料と生活費を合わせて考えよう

    オーストラリアの留学費用は、語学学校、TAFE・専門学校、大学など、進学先の種類によって大きく異なります。

    語学学校では週単位の授業料が一般的で、2026年の公式料金には週A$410~A$590の例があります。

    TAFEや専門学校では、比較的短期間で職業資格を取得できるコースもありますが、学費は専攻や学校によって異なります。

    大学では、年間A$35,000以上の授業料がかかるコースもあり、学位取得までの複数年の費用を考える必要があります。

    さらに、実際の留学には住居費、食費、交通費、OSHC、学生ビザ、航空券などが必要です。

    今回の試算では、語学学校26週間でA$31,650、職業教育コース1年間でA$53,670、大学1年間でA$72,730となりました。

    ただし、これらは2026年度の学校公式料金と、比較のために設定した生活費などを組み合わせたモデルケースです。

    実際の金額は、学校、都市、住居、留学期間、為替レートなどによって変わります。

    学生ビザの資金証明では、学生本人の12か月分の生活費としてA$29,710という基準が使われていますが、これは実際の年間生活費の上限ではありません。

    また、2026年7月には学生ビザの申請料金が変更され、10月2日からは国内申請や家族の扱いなどの規則も変更されました。

    これから留学を予定する方は、最新のビザ条件も確認しておきましょう。

    学生ビザでは一定の範囲でアルバイトができますが、仕事がすぐに見つかるとは限りません。

    学費や家賃をアルバイト収入だけで支払うことを前提にせず、余裕を持った予算を準備することが大切です。

    オーストラリア留学の費用を比較する際は、授業料の安さだけでなく、修了までの期間、住居費、追加費用、ビザ条件、学校の登録状況まで確認しましょう。

    自分の目標に合う学校と生活環境を選び、無理のない留学計画を立ててください。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアのスーパーアニュエーション払い戻し完全ガイド|DASP申請方法・65%の税金・帰国後の手続き

    オーストラリアのスーパーアニュエーション払い戻し完全ガイド|DASP申請方法・65%の税金・帰国後の手続き

    オーストラリアでワーキングホリデーを終え、日本へ帰国する際に忘れずに確認しておきたいのが、スーパーアニュエーションの払い戻しです。

    オーストラリアで働いていた方は、給料とは別に、雇用主がスーパーアニュエーション(Superannuation)と呼ばれる退職年金を積み立てている場合があります。

    2026年10月現在、雇用主の法定拠出率は原則12%です。

    この退職年金は通常、一定の退職年齢などに達するまで引き出せません。しかし、ワーキングホリデーや学生ビザなどで一時的にオーストラリアに滞在していた外国人には、帰国後に払い戻しを受けられる制度があります。

    それが、DASP(Departing Australia Superannuation Payment)です。

    対象となる方は、オーストラリアを出国し、ビザが失効するなどの条件を満たせば、積み立てた退職年金を一括で受け取ることができます。

    ただし、ここで気になるのが税金です。

    ワーキングホリデー渡航者のDASPには、課税対象となる部分に原則65%という高い税率が適用されます。

    例えば、DASPの支払対象額がA$4,000で、その全額が65%の課税対象であれば、税引後に受け取れるのはA$1,400です。

    積み立てられた金額が、そのまま全額戻ってくるわけではありません。

    また、DASPはオーストラリア滞在中に申請を完了できるものではなく、帰国後もビザが有効な場合には、期限まで待つか、所定のビザ取消手続きを検討する必要があります。

    この記事では、ワーキングホリデーや留学などでオーストラリアに滞在した方を対象に、DASPの申請条件、準備する情報、ATOのオンライン申請方法、65%の税金、銀行口座への受け取り、申請後の確認方法まで詳しく説明します。

    2026年10月時点のオーストラリア税務局の公式情報をもとに、実際に申請する際に役立つ内容をまとめました。

    来月ワーホリを終えて日本へ帰国します。スーパーの残高がA$5,000くらいあるのですが、帰国する前に払い戻しを申請できますか?
    帰国前に申請内容を入力して保存することはできますが、正式な申請の送信は、オーストラリアを出国し、対象となるビザが失効または取り消されてからです。また、ワーホリのDASPには原則65%の税金がかかるので、実際の受取額も確認しておきましょう。




    DASPとは?スーパーアニュエーションの払い戻し制度

    DASPは、デパーティング・オーストラリア・スーパーアニュエーション・ペイメント(Departing Australia Superannuation Payment)の略です。

    オーストラリアで一時滞在ビザを持って働いた人が、一定の条件を満たして出国した後、積み立てられたスーパーアニュエーションを受け取る制度です。

    スーパーアニュエーションの基本的な仕組みについては、前記事「オーストラリアのスーパーアニュエーションとは?ワーホリ・留学生の退職年金12%と残高確認・帰国時の注意点」で詳しく説明しています。

    ここでは、払い戻し手続きに必要な内容を中心に説明します。

    通常は退職するだけでは引き出せない

    オーストラリア人や永住者が仕事を退職しても、それだけでスーパーアニュエーションを自由に引き出せるわけではありません。

    通常は、退職年齢など法律で定められた条件を満たす必要があります。

    一方、一定の一時滞在ビザで働いていた外国人については、オーストラリアを出国してビザが失効するなどの条件を満たせば、DASPを申請できます。

    DASPは年金の全額返金制度ではない

    払い戻されるのは、スーパー基金に残っている資金から所定の税金を差し引いた金額です。

    基金では、雇用主の拠出金に対する税金、管理手数料、保険料、運用損益などが反映されます。

    そのため、雇用主が過去に支払ったスーパー拠出金の合計額と、DASPの申請時の口座残高は一致しない場合があります。

    さらに、DASPの支払時には別途税金が源泉徴収されます。

    DASPの申請は無料でできる

    オーストラリア税務局(Australian Taxation Office/ATO)が提供している公式オンライン申請システムは無料で利用できます。

    民間の申請代行会社へ依頼する必要はありません。

    ただし、書面申請で必要な移民関連の証明書や、スーパー基金が求める本人確認書類の認証などには、別途費用が発生する場合があります。

    DASPを申請できる人・できない人

    DASPは、オーストラリアで働いたすべての外国人が利用できる制度ではありません。

    主に、一定の一時滞在ビザで働き、その後オーストラリアを出国した人を対象としています。

    DASPを申請するための主な条件

    • 対象となるオーストラリアの一時滞在ビザを保有していた
    • オーストラリアを出国している
    • 対象となるビザが失効、または取り消されている
    • 現在、有効なオーストラリアのビザを保有していない
    • オーストラリア国籍や永住権など、対象外となる資格を持っていない
    • DASPの対象となるスーパーアニュエーションが残っている

    ワーキングホリデービザ417、ワーク・アンド・ホリデービザ462の渡航者は、条件を満たせばDASPの対象になります。

    また、学生ビザ500など、対象となる一時滞在ビザで働いていた人も申請できる場合があります。

    滞在・ビザの状況 DASPの一般的な取り扱い
    417ビザで働き、帰国後にビザが失効 条件を満たせば申請可能
    462ビザで働き、帰国後にビザが失効 条件を満たせば申請可能
    学生ビザで働き、帰国後にビザが失効 条件を満たせば申請可能
    帰国したが、ビザがまだ有効 通常、まだ正式申請できない
    まだオーストラリアに滞在中 準備・保存は可能だが正式申請できない
    オーストラリアの永住者 通常DASP対象外
    オーストラリア国籍者 DASP対象外
    ニュージーランド国籍者 原則DASP対象外

    ※現在のビザの有無や、過去に保有したビザの種類などによって個別の判断が必要になります。

    税務上の居住者区分とは別

    日本人ワーホリ渡航者の中には、所得税のタックスリターンで、税務上のオーストラリア居住者に該当する人もいます。

    しかし、所得税における居住者判定と、DASPの申請資格は別の仕組みです。

    所得税で居住者として申告したからといって、それだけでDASPの対象外になるわけではありません。

    DASPは、主に移民法上のビザや出国状況などに基づいて判定されます。

    いつ申請できる?帰国とビザ失効の関係

    DASPで最も間違えやすいのが、申請できるタイミングです。

    重要なのは、オーストラリアから出国していることと、対象ビザがすでに失効または取り消されていることの両方が必要という点です。

    帰国しただけでは申請できない場合がある

    例えば、ワーキングホリデービザが2027年6月30日まで有効で、2027年3月31日に日本へ帰国したとします。

    この場合、日本へ帰国した時点では、まだビザが有効です。

    そのため、通常はDASPを正式に申請できません。

    一方、ビザが2027年6月30日に失効し、その時点でオーストラリア国外にいて、ほかの申請条件も満たしていれば、DASPの正式申請を行えるようになります。

    日付 状況 申請
    2027年3月31日 日本へ帰国。ビザはまだ有効 通常、正式申請不可
    2027年6月30日 ビザの有効期間終了 失効の確認が必要
    ビザ失効が確認された後 オーストラリア国外に滞在 ほかの条件を満たせば申請可能

    帰国前に申請書を作成しておくことはできる

    ATOのDASPオンライン申請システムでは、オーストラリアを出国する前から申請情報を入力し、保存することができます。

    ただし、出国前やビザが有効な間は、正式に申請を送信できません。

    帰国後、申請資格を満たした時点で、保存していた申請を再開して送信します。

    申請に必要な情報を現地にいる間に準備しておけば、帰国後の手続きが楽になるでしょう。

    ビザの有効期間が長く残っている場合

    すでにオーストラリアを出国していて、ビザがまだ有効な場合は、オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)へビザの取消しを申し出る方法もあります。

    ただし、ビザを取り消すと、そのビザで再入国することはできなくなります。

    また、セカンド・サードワーホリや、ほかのビザを申請する予定がある方は、取消しが今後の渡航計画に与える影響を確認してください。

    DASPを早く受け取りたいという理由だけで、十分に確認せずビザを取り消すことはおすすめしません。

    公式情報:オーストラリア内務省:ビザの取消手続き

    帰国前に準備しておきたい情報と書類

    DASPは日本に帰国してからでも申請できます。

    ただし、必要な情報が手元になかったり、スーパー基金へログインできなくなったりすると、手続きに時間がかかることがあります。

    帰国前に、次の情報を確認して保存しておきましょう。

    準備するもの 確認内容
    パスポート 氏名、生年月日、パスポート番号
    TFN オーストラリアの税務番号
    ビザ情報 ビザの種類、有効期限など
    スーパー基金名 加入している基金の正式名称
    Member Number スーパー基金の会員番号
    基金のABN スーパー基金の事業者番号
    スーパー残高 現在の口座残高と拠出状況
    給与明細 最終給与、スーパーの拠出記録
    メールアドレス 日本帰国後も受信できるもの
    銀行口座情報 払い戻し金の受取先

    TFNが分からなくても申請できる?

    ATOのDASPオンライン申請では、TFNの入力は任意です。

    ただし、TFNを入力すると、本人のスーパー基金を検索しやすくなるなどのメリットがあります。

    そのため、TFNが分かる場合は準備しておくことをおすすめします。

    パスポートを更新している場合

    ワーキングホリデーで入国した際と、DASP申請時のパスポートが異なる場合は注意してください。

    ATOのオンラインシステムは、内務省の情報を利用して出国状況やビザの履歴を確認します。

    過去のパスポート番号と現在の登録情報が一致しない場合などは、追加確認が必要になることがあります。

    可能であれば、オーストラリア入国時に使用したパスポートの情報も保存しておきましょう。

    日本のメールアドレスを登録しておこう

    オーストラリアの携帯電話番号や、現地で取得したメールアドレスを帰国時に解約する方もいるかもしれません。

    しかし、スーパー基金からの連絡や追加書類の依頼が届かなくなると、手続きが進まなくなる可能性があります。

    帰国後も利用できるメールアドレスと連絡先を登録しておきましょう。



    自分のスーパー基金と残高を確認する方法

    ワーキングホリデー中に複数の職場で働いた場合、スーパー口座が複数作られていることがあります。

    例えば、最初にシドニー(Sydney)のカフェ、次にクイーンズランド州(Queensland)の農場、最後にメルボルン(Melbourne)のホテルで働いた場合です。

    それぞれの雇用主が異なる基金へスーパーを拠出している可能性があります。

    DASPを申請する前に、すべてのスーパー口座を確認しておきましょう。

    myGovから確認する

    オーストラリア政府のマイガブ(myGov)とATOのオンラインサービスを連携している場合、登録されているスーパー口座を確認できます。

    1. myGovへログインする
    2. Australian Taxation Officeを選択する
    3. Superのメニューへ進む
    4. 登録されているスーパー基金の一覧を確認する
    5. 必要に応じて基金名、会員番号、残高などを確認する

    ただし、ATOに表示される情報には更新の時間差があります。

    最新の残高や取引履歴を確認するには、スーパー基金の公式サイトも利用してください。

    DASPオンライン申請システムでも検索できる

    DASPの公式オンライン申請システムでは、TFNを入力すると、ATOに報告されているスーパー基金を検索できます。

    また、基金の名前やABNなどが分かっている場合には、検索結果に表示されていない基金を追加して申請できる場合があります。

    給与明細に書かれている基金名も確認

    スーパー基金のログイン情報が分からない場合は、以前の給与明細を確認してみましょう。

    基金名やスーパーの拠出額が記載されていることがあります。

    必要なら、以前の雇用主へどの基金へ拠出したのか問い合わせる方法もあります。

    複数の基金がある場合

    DASPは、複数のスーパー基金について申請できます。

    ただし、各基金がそれぞれ申請内容を確認し、払い戻し手続きを行います。

    そのため、すべての基金から同じ日に送金されるとは限りません。

    また、基金によって必要な本人確認書類や送金方法が異なる場合があります。

    DASPのオンライン申請方法を順番に解説

    ここからは、ATOの公式オンライン申請システムを利用する方法を説明します。

    政府のオンライン申請システムを利用すれば、申請代行会社へ料金を支払う必要はありません。

    公式申請サイト

    ATO公式:DASP Online Application System

    申請画面は基本的に英語ですが、必要な情報を事前に準備しておけば、自分で申請を進めることも可能です。

    STEP 1.公式申請システムへアクセスする

    ATOのDASPオンライン申請ページを開きます。

    個人で申請する場合は、本人用の申請手続きを選びます。

    登録税理士などの代理人向けとは異なる手続きなので、注意してください。

    STEP 2.個人情報を入力する

    申請システムでは、次のような情報を入力します。

    • 氏名
    • 生年月日
    • パスポートの発行国
    • パスポート番号
    • TFN(分かる場合)
    • メールアドレス

    情報は、パスポートやATOに登録されている内容と一致するように入力してください。

    STEP 3.本人確認と申請資格の確認

    入力した情報は、オーストラリア内務省のデータと照合されます。

    ここで、オーストラリアを出国しているか、ビザが失効しているか、ワーキングホリデービザを保有していたかなどが確認されます。

    申請資格が確認されると、次の手続きへ進めます。

    まだオーストラリア国内にいる場合や、ビザが有効な場合は、申請を保存することはできますが、正式に送信できません。

    STEP 4.再ログイン用の秘密の質問を設定する

    申請システムでは、再びアクセスする際の本人確認のため、秘密の質問と回答を設定します。

    一度申請を保存し、帰国後に再開する予定がある場合は、この回答を忘れないようにしましょう。

    また、再ログインの際には、最初に入力した氏名、生年月日、パスポート番号などを同じ形式で入力する必要があります。

    STEP 5.スーパー基金を検索する

    TFNを入力している場合、ATOに報告されているスーパー基金を検索できます。

    表示された基金名が、自分の加入していた基金と一致するか確認してください。

    検索結果に基金が表示されない場合でも、加入先が分かっていれば、基金のABNなどを使って追加できる場合があります。

    STEP 6.連絡先とスーパー口座情報を入力する

    申請では、日本の住所やメールアドレス、基金の会員番号などを入力します。

    基金から追加の確認が必要になった場合、この連絡先に問い合わせが届くことがあります。

    日本へ帰国後も確実に連絡を受けられる情報を入力してください。

    STEP 7.申請先と受取方法を確認する

    スーパーの資金が、現在どこで管理されているかによって、申請先が異なります。

    • スーパー基金が資金を管理している場合:そのスーパー基金
    • すでにATOへ移管されている場合:ATO

    オンライン申請システムでは、両方の申請に対応しています。

    ただし、受取方法や必要な確認手続きは、基金とATOで異なる場合があります。

    STEP 8.申請内容を確認する

    氏名、パスポート情報、連絡先、スーパー基金、会員番号などに誤りがないか確認します。

    正式に申請を送信した後は、入力内容をオンラインで自由に変更できないため、送信前の確認が重要です。

    STEP 9.申請を送信する

    オーストラリアを出国し、ビザが失効または取り消され、その他の資格を満たしていれば、正式に申請を送信できます。

    送信すると、申請内容を確認するメールが届きます。

    また、該当するスーパー基金やATOにも、申請が通知されます。

    STEP 10.必要な追加書類を提出する

    申請後、基金によっては追加の本人確認書類や、銀行口座の証明などを求める場合があります。

    追加資料が必要な場合は、基金からの案内に従って提出してください。

    公式オンライン申請は無料ですが、こうした証明書類の取得や認証に費用がかかる場合があります。

    申請時間の目安

    ATOの申請システムでは、オンライン申請の所要時間を約30分と案内しています。

    ただし、すべての人が30分以内に手続きを終えられるという意味ではありません。

    基金が複数ある場合や、本人確認に問題がある場合は、さらに時間がかかることがあります。

    オンラインで申請できない場合・書面申請の注意点

    DASPのオンライン申請システムで本人確認ができない場合や、特定のスーパー基金へ直接申請したい場合には、書面による申請方法もあります。

    ただし、オンライン申請と書面申請では、必要になる証明書類が異なります。

    スーパー基金への書面申請

    ATOには、スーパー基金へ提出するDASP申請書が用意されています。

    この申請書には、本人の情報、基金の情報、過去の雇用先、受取方法などを記入します。

    書面申請では、基金へ直接書類を提出します。ATOの書式を使用した場合でも、資金を管理している基金に提出する点に注意してください。

    残高A$5,000以上の場合

    スーパー基金へ書面で申請する場合、払い戻し対象額がA$5,000以上であれば、通常、内務省が発行する移民資格証明(Certification of Immigration Status)が必要です。

    この証明書は、内務省が申請者のビザや出国状況などを確認し、スーパー基金へ情報を提供するものです。

    発行に料金がかかる場合があります。

    一方、オンライン申請システムでは、内務省の情報を電子的に照合する仕組みがあるため、書面申請とは手続きが異なります。

    残高A$5,000未満の場合

    書面申請で払い戻し対象額がA$5,000未満の場合には、所定の認証済み書類などを提出する方法が認められる場合があります。

    ただし、実際に必要な書類は基金によって異なります。

    パスポートの認証コピーや過去のビザ情報などを求められることもあります。

    書面申請は帰国前に提出できる?

    原則として、正式なDASP申請はオーストラリアから出国した後に行います。

    帰国前に書類を準備することはできますが、申請資格を満たす前に送付しても、処理できない場合があります。

    書面による申請を考えている場合は、必ず基金の公式案内を確認してください。

    公式情報:ATO:スーパー基金へ提出するDASP申請書

    DASPの税金はなぜ65%?通常の税率との違い

    ワーキングホリデー渡航者のDASPで、特に気になるのが税率です。

    2017年7月1日以降に行われるDASPでは、ワーキングホリデー渡航者に対し、通常の一時滞在者とは異なる税率が設けられています。

    ワーキングホリデーのDASP税率は、課税対象部分について65%です。

    一般の一時滞在者との比較

    DASPの構成部分 一般の対象一時滞在者 ワーホリ対象者
    非課税部分(Tax-free Component) 0% 0%
    課税対象・課税済み部分(Taxed Element) 35% 65%
    課税対象・未課税部分(Untaxed Element) 45% 65%

    ここでいうTaxed Elementは、スーパー基金内ですでに一定の税務処理を受けている部分などを意味します。

    一般的な雇用主のスーパー拠出金から形成された残高は、通常、この課税対象のTaxed Elementに含まれます。

    一方、本人が税引後の資金から拠出した一定の金額など、法律上の非課税部分がある場合には、DASP税はかかりません。

    ただし、ワーキングホリデーで短期間働いただけの一般的なケースでは、口座残高の大部分が課税対象部分となっていることが多いでしょう。

    65%は所得税の15%と別の税金

    オーストラリアのワーキングホリデーでは、給与所得について最初のA$45,000に15%の基本税率が適用される制度があります。

    しかし、これはスーパーアニュエーションのDASP税率とは別です。

    給与から15%の所得税が引かれていたからといって、DASPの65%が15%に減額されるわけではありません。

    また、日本国籍のワーホリ渡航者が、日豪租税条約によって通常の居住者向け所得税率を適用された場合でも、それだけでDASPの税率が変わるわけではありません。

    税金は誰が支払う?

    DASPの税金は、通常、払い戻しを行うスーパー基金またはATOが源泉徴収します。

    つまり、申請者は、税金を差し引いた後の金額を受け取ります。

    原則として、DASPについて別途65%分の税金を振り込む必要はありません。

    また、払い戻しを行った機関は、所定のDASP支払明細(DASP Payment Summary)を発行します。

    その明細で、支払総額や源泉徴収された税金を確認できます。

    65%という税率は高いものですが、ATOの通常のタックスリターンで払い過ぎた所得税として取り戻せる性質のものではありません。

    実際にいくら戻る?残高別の手取り額を計算

    それでは、DASPで実際にいくら受け取れるのか計算してみましょう。

    ここでは、払い戻し対象額の全額が65%課税の対象であると仮定します。

    DASP支払対象額 65%の税金 税引後受取額
    A$1,000 A$650 A$350
    A$2,000 A$1,300 A$700
    A$3,000 A$1,950 A$1,050
    A$4,000 A$2,600 A$1,400
    A$5,000 A$3,250 A$1,750
    A$8,000 A$5,200 A$2,800
    A$10,000 A$6,500 A$3,500

    ※すべての支払対象額が65%課税部分であるという仮定です。非課税部分がある場合、実際の受取額は異なります。また、送金手数料や為替換算費用などは含めていません。

    最初に雇用主が支払った金額からも税金が引かれている

    ここで、もうひとつ注意したい点があります。

    雇用主がスーパー基金へ拠出する際、通常の課税対象拠出金には基金内で15%の拠出金税がかかります。

    その後、DASPで払い戻しを受ける際には、課税対象の残高へさらに65%のDASP税が適用されます。

    例えば、雇用主がA$1,000を拠出した場合を考えてみましょう。

    項目 金額
    雇用主のスーパー拠出金 A$1,000.00
    拠出金税15% -A$150.00
    基金内に残る金額 A$850.00
    DASP税65% -A$552.50
    最終的な受取額 A$297.50

    これは、運用損益、手数料、保険料などが一切ないと仮定した単純な計算です。

    実際の口座残高は基金の運用によって増減し、別途管理手数料などが差し引かれる場合があります。

    ただ、この例を見ると、最初の雇用主拠出金A$1,000に対して、最終的な受取額がA$297.50になる可能性があることが分かります。

    つまり、通常の課税対象拠出金については、単に最初の拠出金の35%が手元に残るという計算ではありません。

    申請時の残高で判断する

    DASPの受取額を試算するときは、給与明細に書かれた過去のスーパー拠出金の合計ではなく、基金の現在の残高と支払対象部分を確認してください。

    そのうえで、実際に適用されるDASP税率を計算する必要があります。



    払い戻し金は日本の銀行口座で受け取れる?

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合、DASPの払い戻し金をどの銀行口座で受け取るかも重要です。

    この点は、スーパー基金が資金を管理している場合と、ATOが資金を管理している場合で異なります。

    スーパー基金が資金を管理している場合

    スーパー基金によっては、海外の銀行口座への送金に対応している場合があります。

    ただし、すべての基金が日本の銀行口座への送金に対応しているわけではありません。

    例えば、次のような受取方法が考えられます。

    • 本人名義のオーストラリア国内銀行口座への振込
    • 基金が対応している場合の海外銀行口座への送金
    • 小切手など、基金が提供している受取方法

    実際に利用できる方法は基金の規則によって異なります。

    ATOが資金を管理している場合

    すでにスーパー基金からATOへ資金が移管されている場合、DASPの受取方法に制限があります。

    ATOが管理しているスーパーのDASPでは、基本的に次の方法が案内されています。

    • 本人名義のオーストラリア国内銀行口座への振込
    • 小切手による支払い

    ATOが管理するスーパーでは、日本の銀行口座への直接の電子送金が、通常のDASP受取方法として提供されているわけではありません。

    友人のオーストラリア銀行口座でもよい?

    原則として、自分と無関係な友人の口座を振込先に指定することはできません。

    ATOから銀行振込で受け取る場合は、通常、本人名義のオーストラリア国内銀行口座が必要です。

    そのため、帰国前に銀行口座を閉鎖する予定の方は注意してください。

    日本円への両替にも費用がかかる

    DASPをオーストラリアの銀行口座で受け取った後、日本へ送金する場合には、送金手数料や為替換算コストなどが発生することがあります。

    また、海外送金に対応するサービスによって、最終的に日本円で受け取れる金額は異なります。

    DASPの65%の税金だけでなく、銀行手数料や送金費用についても考えておくとよいでしょう。

    帰国前に銀行口座を解約しない方がよい?

    DASPをオーストラリアの銀行口座で受け取る予定があるなら、払い戻しが完了するまで口座を残しておく方が便利な場合があります。

    ただし、帰国後の口座維持が可能か、海外居住者の取り扱いや月額手数料がどうなるかは銀行によって異なります。

    帰国前に銀行へ確認しておきましょう。

    申請から入金まで何日かかる?進捗の確認方法

    DASPを申請した後、どのくらいで払い戻し金が届くのでしょうか。

    ATOの公式オンライン申請システムでは、一般的に、スーパー基金またはATOが申請処理に必要な情報をすべて受け取ってから28日以内に支払いを受けられると案内しています。

    ただし、これは通常の処理期間の目安です。

    申請から必ず28日以内に入金されるという保証ではありません。

    処理が遅れる主な理由

    • 本人確認書類が不足している
    • パスポートの情報と登録内容が一致しない
    • 内務省のビザ情報が確認できない
    • スーパー基金の会員番号が誤っている
    • 銀行口座情報に問題がある
    • 追加の書類が必要になっている
    • 申請時点ではビザがまだ有効だった

    申請状況はどこで確認できる?

    DASPのオンライン申請システムに再びログインすると、過去に提出した申請情報を確認できます。

    ただし、公式システムの案内では、提出済みの申請が実際に処理完了したかどうかは表示されません。

    進捗状況を確認したい場合は、申請先へ直接問い合わせる必要があります。

    申請先 問い合わせ先
    スーパー基金が管理する資金 該当するスーパー基金
    ATOが管理する資金 ATO

    追加書類の依頼が来ていないか確認する

    申請後は、登録したメールアドレスに基金から連絡が届いていないか確認してください。

    迷惑メールフォルダーに入っている可能性もあります。

    必要な書類が提出されていない場合、処理が進まないことがあります。

    DASP Payment Summaryを保存する

    払い戻しが完了すると、基金またはATOから支払明細が発行されます。

    DASPの支払明細には、支払額や源泉徴収された税金などが記載されます。

    払い戻し金額が正しいか確認するためにも、明細は保存しておきましょう。

    帰国後6か月以上放置するとどうなる?

    ワーキングホリデーを終えて帰国したものの、スーパーアニュエーションの存在を忘れていたという方もいるでしょう。

    あるいは、ビザが失効してから何年も経っている場合もあるかもしれません。

    そのような場合でも、通常、払い戻しの権利がすぐになくなるわけではありません。

    未請求のスーパーはATOへ移管される場合がある

    オーストラリアでは、対象となる一時滞在者が出国し、ビザが失効した後もスーパーを請求しなかった場合、基金がその資金をATOへ移管する仕組みがあります。

    法律上、出国とビザ失効の遅い方から少なくとも6か月が経過し、その他の条件を満たす元一時滞在者のスーパーが対象になります。

    ただし、6か月経ったその日に必ず資金が移管されるという意味ではありません。

    ATOが対象者の情報を確認し、基金への通知や資金移管の手続きが行われます。

    ATOへ移管されるとどうなる?

    スーパー基金ではなく、ATOが未請求のスーパーを管理することになります。

    この場合、DASPの申請先はATOになります。

    また、ATOが管理している資金については、受取方法も基金が直接支払う場合とは異なります。

    何年も経っていても請求できる?

    はい。申請資格を満たしていれば、帰国から長期間が経過していても請求できる場合があります。

    ただし、以前のパスポート、ビザ、スーパー基金などの情報が必要になることがあります。

    また、古い記録の場合、オンラインだけでは情報を確認できず、追加の手続きが必要になることもあります。

    スーパー基金が分からない場合

    ATOのDASPオンライン申請システムでは、TFNなどを使って、スーパー基金やATOが保有する資金を検索できる場合があります。

    基金名や会員番号が分からない場合でも、まず公式システムで確認してみるとよいでしょう。

    ただし、すべての過去の口座を自動的に発見できるとは限りません。

    以前の給与明細や雇用先の情報が残っている場合は、あわせて確認してください。

    学生ビザや別のビザでも働いた場合の65%税率

    DASPの税率について、特に注意が必要なのが、ワーキングホリデー以外のビザでも働いた経験がある方です。

    例えば、次のようなケースです。

    • 最初は学生ビザで働き、その後ワーキングホリデーへ変更した
    • ワーキングホリデーを終えて、別の就労ビザで働いた
    • ワーキングホリデーと学生ビザの両方で働いた
    • 複数のスーパー基金へ拠出されていた

    こうした場合、単に最後に保有していたビザだけで、DASP税率が決まるわけではありません。

    ワーホリ中の拠出金が含まれているかが重要

    ATOの公式案内によると、ワーキングホリデービザ417または462を保有していた場合、DASPの税率は、基金ごとに判断されます。

    そして、DASPの支払額に、ワーキングホリデー期間中のスーパー拠出金に由来する金額が含まれている場合、原則として、その基金からのDASP全体の課税対象部分に65%が適用されます。

    例えば、同じスーパー基金に次のような拠出金が入っていたとします。

    勤務時のビザ スーパー拠出金の例
    ワーキングホリデー417 A$2,000
    その後の別の一時就労ビザ A$4,000
    拠出金合計 A$6,000

    この基金のDASPに、ワーキングホリデー期間中の拠出金に由来する資金が含まれている場合、原則としてDASP全体の課税対象部分に65%の税率が適用されます。

    ワーホリ期間中の拠出分だけ65%、別のビザで働いた期間の分だけ35%というように、同じ基金の支払額を単純に期間で分けるわけではありません。

    ※上記のA$6,000は拠出金の例であり、基金の実際の支払残高ではありません。

    別の基金にワーホリの拠出金がない場合

    一方、ワーキングホリデービザを過去に保有していたとしても、あるスーパー基金のDASPにワーホリ期間中の拠出金に由来する資金が含まれていなければ、その基金については通常のDASP税率が適用される場合があります。

    例えば、ワーホリを経験した後に別のビザへ変更し、その後に新しく加入した基金が、ワーホリ期間中の拠出金を一切含んでいない場合です。

    ただし、過去にほかの基金から資金を移管している場合などは、取り扱いが複雑になることがあります。

    最終的な税率は、それぞれのスーパー基金が保有する情報とATOの規則に基づいて判断します。

    複数のビザやスーパー基金を利用していた方は、DASPの申請前に各基金の加入履歴と拠出金の履歴を確認しておきましょう。

    DASPとタックスリターンは別の手続き

    DASPの申請と混同されやすいのが、オーストラリアのタックスリターンです。

    しかし、この2つは別の手続きです。

    項目 タックスリターン DASP
    目的 所得税の精算 退職年金の払い戻し
    主な対象 給与・事業所得など スーパー基金の資金
    申請時期 原則税務年度終了後 出国後、ビザ失効などの条件を満たしてから
    主な手続き先 ATO スーパー基金またはATO
    税金 所得に応じた所得税率 DASP独自の源泉徴収税率

    DASPは個人所得税の申告書へ記載する?

    通常、DASPとして受け取った金額と、その支払時に源泉徴収されたDASP税は、オーストラリアの個人所得税のタックスリターンには記載しません。

    DASPには独自の源泉徴収税制があり、一般の給与所得などとは別に取り扱われるためです。

    DASPの65%をタックスリターンで取り戻せる?

    通常、取り戻せません。

    ただし、スーパー基金やATOが誤った税率を適用していた場合には、別途、DASPの税金について返還・訂正を求める手続きがあります。

    例えば、本来は通常のDASP税率が適用される基金に対して、誤ってワーホリの65%税率が適用された場合などです。

    その場合は、支払いを行った基金やATOへ確認してください。

    日本での税務申告は別途確認する

    日本へ帰国し、日本の税務上の居住者としてDASPを受け取る場合には、日本側での所得区分や申告義務についても確認が必要です。

    オーストラリアで65%のDASP税が源泉徴収されたからといって、日本で必ず非課税になるという意味ではありません。

    日本側の課税関係は、受け取った資金の性質、受取時の居住者区分などによって判断が必要です。

    金額が大きい場合などは、国際税務に詳しい税理士へ確認しておくと安心です。

    オーストラリアのタックスリターンについては、関連記事「オーストラリアのワーホリ・留学生のタックスリターン|申告時期・方法・税金の還付を解説」を参考にしてください。

    申請時によくあるトラブルと対処方法

    DASPの申請では、本人確認やスーパー基金の情報に関するトラブルが起こることがあります。

    よくある問題と確認方法を整理しました。

    1.申請システムでビザが有効と表示される

    オーストラリアを出国していても、まだビザが有効な場合には、正式申請を送信できません。

    ビザの失効を待つか、今後の渡航予定を確認したうえで、必要に応じて内務省へ相談してください。

    2.パスポート情報が一致しない

    入国時からパスポートを更新している場合や、入力した氏名が登録情報と異なる場合があります。

    パスポート番号、氏名、生年月日などを確認してください。

    内務省の記録に問題がある場合は、必要な登録情報の更新について確認しましょう。

    3.スーパー基金が検索結果に表示されない

    TFNを入力しても、すべての基金が必ず検索結果に表示されるわけではありません。

    以前の給与明細や基金の会員番号を確認し、必要に応じて基金を追加して申請してください。

    4.スーパー基金の会員番号が分からない

    基金から送られたメールや過去の年次報告書、給与明細などを確認しましょう。

    それでも分からない場合は、本人確認を行ったうえで、基金へ問い合わせる方法があります。

    5.最終給与のスーパーがまだ入金されていない

    2026年7月1日からPayday Super制度が導入され、雇用主は原則として給与支払日ごとにスーパーを拠出する必要があります。

    ただし、一般的には給与支払日から7営業日以内に基金へ到達すればよく、新規従業員の最初の拠出などには例外があります。

    給与明細に金額が書かれていても、基金への入金がまだ反映されていない場合があります。

    帰国直前には、最後の給与とスーパーの入金状況を確認しておきましょう。

    6.申請しても28日以内に入金されない

    まず、基金から追加書類の依頼が届いていないか確認します。

    必要な情報をすべて提出しているのに処理が進まない場合は、申請先の基金またはATOへ直接問い合わせてください。

    7.税引後の受取額が予想より少ない

    基金のDASP Payment Summaryを確認してください。

    65%の税金のほか、基金内の手数料、運用損益、銀行送金費用などが関係している場合があります。

    また、以前の給与明細に記載されたスーパーの合計額と、現在の基金残高が一致するとは限りません。

    8.代行業者から高額な手数料を請求された

    ATOの公式オンライン申請システムは無料です。

    代行会社へ依頼する場合でも、その会社が行う業務と手数料を確認してください。

    また、代理申請を行う業者には、登録税理士など所定の資格や登録が必要になる場合があります。

    DASPの申請を代行すると称する業者へ、パスポート情報や銀行口座情報を安易に送らないようにしましょう。

    DASPの申請と税金に関するよくある質問

    DASPとは何ですか?

    DASPはDeparting Australia Superannuation Paymentの略で、一定の一時滞在ビザでオーストラリアに滞在して働いた人が、帰国後にスーパーアニュエーションの払い戻しを申請できる制度です。出国やビザ失効などの条件を満たす必要があります。
    ワーホリのスーパーアニュエーションは帰国前に返金申請できますか?

    帰国前にオンライン申請の情報を入力して保存することはできますが、正式な申請は通常、オーストラリアを出国し、対象となるビザが失効または取り消されてから行います。
    日本へ帰国してもワーホリビザが有効な場合はどうなりますか?

    帰国後もビザが有効な場合、通常はDASPを正式に申請できません。ビザの失効を待つか、今後の渡航計画に問題がないことを確認したうえで、内務省へのビザ取消申請を検討することになります。
    DASPの申請料金はいくらですか?

    ATOの公式オンライン申請システムは無料で利用できます。ただし、書面申請で必要になる移民資格証明や、本人確認書類の認証などには費用が発生する場合があります。民間の申請代行業者を利用する場合は、別途サービス料金がかかることがあります。
    ワーキングホリデーのDASP税率は何%ですか?

    ワーキングホリデー渡航者のDASPは、課税対象部分に原則65%の税率が適用されます。一方、法律上の非課税部分にはDASP税はかかりません。税金は通常、支払う基金またはATOが源泉徴収します。
    スーパーの残高がA$5,000なら、いくら受け取れますか?

    A$5,000の全額が65%のDASP課税対象であれば、税額はA$3,250、税引後の受取額はA$1,750です。ただし、非課税部分の有無や実際の基金残高、送金費用などによって受取額は異なります。
    DASPの65%の税金はタックスリターンで戻ってきますか?

    通常、戻りません。DASPは給与所得などのタックスリターンとは別の源泉徴収税制です。誤った税率でDASP税が源泉徴収された場合には、別途、基金やATOへ訂正・返還を求める手続きがあります。
    DASPは日本の銀行口座へ振り込んでもらえますか?

    スーパー基金が資金を管理している場合は、基金によって海外送金に対応していることがあります。一方、ATOが管理するスーパーの場合は、基本的に本人名義のオーストラリア国内銀行口座への振込か小切手による支払いとなります。
    DASPの払い戻しには何日かかりますか?

    ATOの公式案内では、スーパー基金またはATOが申請処理に必要な情報をすべて受け取ってから、通常28日以内の支払いが目安です。追加の本人確認などが必要な場合には、さらに時間がかかることがあります。
    帰国後6か月以上スーパーを請求しなかった場合はどうなりますか?

    出国とビザ失効から所定の期間が経過し、その他の条件を満たすと、未請求のスーパーが基金からATOへ移管される場合があります。ATOへ移管された後でも、DASPの申請資格を満たせば請求できることがあります。
    学生ビザで働いた期間のスーパーにも65%の税金がかかりますか?

    過去にワーキングホリデービザを持っていた人で、ある基金のDASPにワーホリ期間中の拠出金に由来する資金が含まれていれば、その基金からのDASP全体の課税対象部分に原則65%が適用されます。一方、ワーホリ期間中の拠出金に由来する資金が含まれていない基金では、通常のDASP税率が適用される場合があります。
    DASPの申請にTFNは必須ですか?

    ATOのDASPオンライン申請では、TFNの入力は任意です。ただし、TFNを入力すると、ATOが保有するスーパー基金の情報を検索しやすくなるため、分かる場合は用意しておくことをおすすめします。



    まとめ|DASPは帰国前の準備とビザ失効の確認が重要

    オーストラリアのDASPは、ワーキングホリデーや留学などで働いた人が、帰国後にスーパーアニュエーションの払い戻しを受けるための制度です。

    対象となる方は、オーストラリアを出国し、ビザが失効または取り消されるなどの条件を満たせば申請できます。

    ATOの公式オンライン申請システムを利用すれば、自分で無料で申請を進められます。

    ただし、帰国しただけでは申請できず、ビザがまだ有効な場合には、失効を待つか、必要に応じて内務省の取消手続きを検討することになります。

    また、ワーキングホリデー渡航者のDASPには、課税対象部分に原則65%という税率が適用されます。

    そのため、口座残高がそのまま全額戻るわけではありません。

    さらに、スーパー基金が管理する資金と、ATOへ移管された資金では、申請先や受取方法が異なる場合があります。

    特に、日本の銀行口座への送金を希望する方は、資金がどこで管理されているかを確認してください。

    帰国前には、スーパー基金名、会員番号、TFN、パスポート情報、銀行口座、最終給与に対応するスーパーの入金状況などを整理しておくと安心です。

    申請後は、基金やATOから届く連絡を確認し、追加の書類が必要な場合は速やかに対応しましょう。

    また、DASPの税金は通常のタックスリターンとは別の制度です。給与所得の還付手続きと混同しないようにしてください。

    DASPをスムーズに申請するためには、帰国前にスーパーの口座情報を確認し、出国後のビザの状態と受取方法を把握しておくことが大切です。

    ワーキングホリデーを終えてから何年も経っている場合でも、条件を満たせば請求できることがあります。

    以前オーストラリアで働いていた方も、スーパーアニュエーションが残っていないか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアのスーパーアニュエーションとは?ワーホリ・留学生の退職年金12%と残高確認・帰国時の注意点

    オーストラリアのスーパーアニュエーションとは?ワーホリ・留学生の退職年金12%と残高確認・帰国時の注意点

    オーストラリアでワーキングホリデーや留学中にアルバイトをすると、給与明細に「Super」や「Superannuation」という項目が表示されることがあります。

    これは、スーパーアニュエーション(Superannuation)と呼ばれる、オーストラリアの退職年金制度です。

    オーストラリアでは、雇用主が従業員のために、給与とは別に一定額を退職年金口座へ拠出する制度があります。

    2026年10月現在、その法定拠出率は原則12%です。

    例えば、対象となる給与が週A$1,000なら、雇用主は通常、その12%に相当するA$120をスーパーアニュエーションの口座へ拠出します。

    この制度は、オーストラリア人だけのものではありません。日本からワーキングホリデーや留学で渡航し、現地で働いている人も、条件を満たせば対象になります。

    また、カジュアルとしてレストランやホテル、農場などで働いている人にも、原則として同じ制度が適用されます。

    ここで知っておきたいのが、2026年7月1日に始まった新しいPayday Super制度です。

    それまでは雇用主が原則として四半期ごとに退職年金を支払う仕組みでしたが、現在は給料の支払日に合わせて拠出する制度へ変わっています。

    そのため、これからオーストラリアで働く方は、給与明細だけでなく、スーパーアニュエーションの口座にも実際にお金が入っているか確認しておくことが大切です。

    また、ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合には、条件を満たすと積み立てられた退職年金を払い戻してもらえる制度があります。

    ただし、ワーキングホリデー渡航者の払い戻しには高い税率が適用されるため、積み立て額がそのまま全額返金されるわけではありません。

    この記事では、スーパーアニュエーションの仕組み、12%の計算方法、口座の作り方、基金の選び方、未払いの確認方法、帰国時の注意点まで、オーストラリア政府の公式情報をもとに詳しく解説します。

    内容は2026年10月時点の制度に基づいています。

    ワーホリでカフェの仕事が決まりました。時給A$33で、スーパーアニュエーションは12%と言われたのですが、この12%は給料から引かれるのでしょうか?
    通常、法律で義務付けられている12%のスーパーアニュエーションは、給与とは別に雇用主が拠出します。時給A$33にスーパーが加算される契約なら、対象給与1時間分に対してA$3.96が退職年金口座へ支払われる計算です。ただし、提示された給与がスーパー込みなのかは、契約前に確認しましょう。




    スーパーアニュエーションとは?日本の年金との違い

    スーパーアニュエーションは、オーストラリアの退職年金制度です。

    通常は「スーパー(Super)」と略して呼ばれています。

    オーストラリアで働く人のために、雇用主が一定額を専用の退職年金口座へ拠出し、その資金を長期間運用する仕組みです。

    日本の年金制度と似ている部分もありますが、重要な違いがあります。

    日本の国民年金や厚生年金は公的年金制度ですが、オーストラリアのスーパーアニュエーションでは、通常、民間などの年金基金が個人ごとの資金を管理・運用します。

    オーストラリアには別に、一定の年齢や居住条件、資産・所得などに応じて支給される公的な老齢年金制度もあります。

    スーパーアニュエーションは、その公的年金とは異なる仕組みです。

    スーパーアニュエーションの基本的な流れ

    1. オーストラリアで従業員として働く
    2. 雇用主が対象給与をもとに退職年金の拠出額を計算する
    3. 雇用主がスーパー基金の本人名義口座へ拠出する
    4. スーパー基金が資金を管理・運用する
    5. 退職時など、法律で認められた条件を満たすと引き出せる

    ワーキングホリデー渡航者の場合は、オーストラリアを出国し、ビザが失効するなどの条件を満たすと、通常の退職年齢になる前に払い戻しを申請できる制度があります。

    銀行口座とは別のもの

    スーパーアニュエーションは、普段の買い物や家賃支払いに使用する銀行口座とは異なります。

    例えば、コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank)に給与振込用の口座があっても、それだけでスーパーアニュエーションの口座を持っていることにはなりません。

    退職年金を管理するスーパー基金の口座が別に必要です。

    また、給与が銀行口座に振り込まれる日と、スーパー基金の口座へ拠出金が反映される日は、必ずしも一致しません。

    スーパーアニュエーションは自分のお金?

    はい。原則として、本人の退職後の生活資金として積み立てられるものです。

    ただし、銀行預金のように自由に引き出せるわけではありません。

    また、基金が運用するため、投資収益、手数料、保険料、税金などによって口座残高は増減します。

    ワーホリ・留学生・カジュアルも対象になる?

    オーストラリアのスーパーアニュエーションは、オーストラリア国籍者だけの制度ではありません。

    就労できるビザを持つ外国人でも、条件を満たしていれば雇用主による拠出を受けられます。

    ワーキングホリデーや学生ビザで働く日本人も対象です。

    また、フルタイム、パートタイム、カジュアルという雇用形態によって、スーパーの対象から一律に除外されることはありません。

    スーパーアニュエーションの主な対象条件

    労働者 基本的な取り扱い
    18歳以上のフルタイム従業員 原則対象
    18歳以上のパートタイム従業員 原則対象
    18歳以上のカジュアル従業員 原則対象
    18歳以上のワーホリ・留学生 原則対象
    18歳未満で週30時間を超えて働く従業員 原則対象
    18歳未満で週30時間以下の従業員 通常は対象外
    個人事業主・請負契約者 契約内容によって異なる

    ※一般的なスーパー・ギャランティー(Super Guarantee/SG)の対象条件です。仕事の種類や特別な雇用関係などによって例外があります。

    カジュアルでもスーパーを受け取れる

    例えば、シドニー(Sydney)のカフェで週20時間だけ働くカジュアル従業員も、18歳以上であれば通常、スーパーの対象になります。

    カジュアルは有給年次休暇が原則ない雇用形態ですが、スーパーアニュエーションまで対象外になるわけではありません。

    また、以前は一定の少額給与についてスーパーの拠出義務が発生しない規則がありましたが、月A$450という最低収入基準は2022年7月1日に廃止されています。

    そのため、現在は月の給与がA$450未満だからといって、それだけでスーパーの対象外になることはありません。

    ファームの仕事も対象?

    はい。農場で果物や野菜の収穫、選別、梱包などの仕事をする場合でも、条件を満たす従業員には原則としてスーパーが拠出されます。

    仕事が短期間だったり、歩合給だったりしても、自動的に対象外になるわけではありません。

    特にセカンド・サードワーホリの取得を目指して農場で働いている方は、給与明細とスーパーの拠出状況を確認しておきましょう。

    現金払いならスーパーは不要?

    いいえ。

    給料が銀行振込か現金払いかによって、スーパーの拠出義務がなくなるわけではありません。

    法律上の対象となる従業員であれば、雇用主には必要な拠出義務があります。

    公式情報:フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman):税金とスーパーアニュエーション

    スーパーアニュエーション12%の計算方法

    2026年10月現在、スーパーアニュエーションの法定拠出率は12%です。

    2025年7月1日に11.5%から12%へ引き上げられ、その後も12%が適用されています。

    ただし、厳密には、給料として受け取った金額すべてに単純に12%を掛ければよいとは限りません。

    2026年7月からは、クオリファイイング・アーニングス(Qualifying Earnings/QE)という拠出額計算上の所得区分が導入されています。

    通常勤務に対する給与に加えて、一定のコミッションや給与からの自主拠出なども含まれます。

    残業代や手当などの取り扱いは支給内容によって異なるため、実際の給与明細や雇用条件を確認する必要があります。

    時給A$33で週25時間働いた場合

    分かりやすく、すべてがスーパーの対象となる通常勤務だった場合で計算してみます。

    項目 金額
    時給 A$33.00
    週の勤務時間 25時間
    税引前の週給 A$825.00
    スーパー拠出率 12%
    雇用主の週当たり拠出額 A$99.00

    この場合、給与A$825に対し、雇用主がA$99をスーパー基金へ拠出します。

    つまり、雇用主が負担する基本的な金額は、給与とスーパーを合わせてA$924となります。

    なお、給与A$825については、別途所得税の源泉徴収が行われる場合があります。

    勤務時間別のスーパー拠出額

    次は、対象となる時給をA$33として、勤務時間別に計算した例です。

    週の勤務時間 税引前の週給 スーパー12%
    15時間 A$495.00 A$59.40
    20時間 A$660.00 A$79.20
    25時間 A$825.00 A$99.00
    30時間 A$990.00 A$118.80
    38時間 A$1,254.00 A$150.48

    ※通常勤務時間の給与がすべて対象となる場合の計算例です。実際の仕事の最低時給や給与総額を示すものではありません。

    給料から12%を引かれるわけではない

    スーパーについて最も誤解されやすいのが、この点です。

    例えば、税引前の給与がA$1,000で、雇用主がスーパーとしてA$120を拠出する場合です。

    通常、このA$120を給与A$1,000から差し引いて、従業員の給与をA$880にするわけではありません。

    法定のスーパー拠出は、原則として給与とは別に雇用主が負担します。

    「Plus Super」と「Including Super」の違い

    求人広告には、次のような表現が使われることがあります。

    求人広告の表現 一般的な意味
    A$30 per hour + Super 時給A$30にスーパーを別途加算
    A$30 per hour plus Super 時給A$30にスーパーを別途加算
    A$30 per hour including Super スーパーを含めた総報酬としてA$30を提示
    A$70,000 package including Super スーパーを含む年間報酬総額A$70,000

    スーパー込みの契約でも、法定最低賃金を下回る基本給与にしてよいわけではありません。

    仕事を始める前に、提示された金額が基本給与なのか、スーパーを含む総報酬なのかを確認しましょう。

    年収A$60,000の場合

    税引前の基本年収がA$60,000で、その全額がスーパーの対象となると仮定すると、雇用主の年間拠出額はA$7,200になります。

    一方、スーパー込みで年間総報酬がA$60,000という契約なら、計算は異なります。

    こうした違いによって実際に受け取る給与額が変わるため、年収で契約する場合も条件を確認してください。

    2026年7月開始のPayday Superとは?

    2026年7月1日から、オーストラリアのスーパーアニュエーション制度に大きな変更がありました。

    新しく導入されたのが、ペイデイ・スーパー(Payday Super)です。

    これは、雇用主が従業員へ給与を支払うたびに、スーパーアニュエーションも拠出する制度です。

    以前は原則3か月ごとの支払いだった

    従来の制度では、雇用主は原則として四半期ごとにスーパーを基金へ支払えばよい仕組みでした。

    例えば、7月から9月までの給与に対するスーパーを、10月28日までに支払うといった方法です。

    給与は毎週受け取っていても、スーパー基金への入金は数か月後ということもありました。

    現在は給与支払日ごとに拠出する

    2026年7月1日からは、原則として給与支払日に合わせてスーパーを拠出する必要があります。

    例えば、給料が毎週金曜日に支払われる場合、雇用主はその支払いに対応するスーパーの拠出も行います。

    ただし、基金にその日のうちに必ず反映されなければならないという意味ではありません。

    一般的な規則では、拠出金が給与支払日から7営業日以内に対象の基金へ到達する必要があります。

    また、新しく雇用された従業員への最初の拠出など、一部のケースでは20営業日以内という例外もあります。

    項目 2026年6月以前 2026年7月以降
    法定拠出率 12%(2025年7月以降) 12%
    拠出のタイミング 原則四半期ごと 給与支払日ごと
    通常の支払期限 四半期終了後の指定期日 原則給与支払日から7営業日以内に基金へ到達
    計算の基礎 Ordinary Time Earnings Qualifying Earnings

    ※2026年6月以前の説明は制度変更直前の取り扱いです。2026年7月の移行期や一部の例外には別の規則があります。

    ワーホリ渡航者には何が変わる?

    スーパーの法定拠出率そのものは変わっていません。

    大きく変わったのは、雇用主が拠出するタイミングです。

    給与を受け取るたびにスーパーの拠出が行われることで、以前より未払いに気付きやすくなります。

    また、基金に資金が届くまでの期間も短くなります。

    ただし、給与明細に金額が記載されていても、基金側への反映には時間差があります。

    給与明細と基金の記録の両方を確認することをおすすめします。

    ATO公式:Payday Superの新しい規則

    フェアワーク:2026年7月からの制度変更



    スーパーアニュエーションの口座はどう作る?

    初めてオーストラリアで働く方は、スーパー基金の口座を持っていないことが多いと思います。

    スーパーアニュエーションの拠出を受けるには、通常、基金の口座が必要です。

    口座の作り方には、主に2つの方法があります。

    自分でスーパー基金を選ぶ方法

    オーストラリアでは、通常、従業員が自分のスーパー基金を選ぶことができます。

    例えば、オーストラリアンスーパー(AustralianSuper)、ホストプラス(Hostplus)、アウェア・スーパー(Aware Super)などの基金があります。

    それぞれ運用商品、手数料、保険、オンラインサービスなどが異なります。

    自分で基金を選ぶ場合は、公式サイトから口座開設の手続きを行い、雇用主へ必要な口座情報を伝えます。

    ただし、すべての基金がすべての人を無条件に受け入れているわけではありません。

    渡航者の年齢や本人確認、口座開設条件などを確認してください。

    雇用主のデフォルト基金を利用する方法

    自分でスーパー基金を選ばない場合、雇用主が利用しているデフォルト基金へ拠出されることがあります。

    デフォルト基金は、雇用主が従業員のために用意している基金です。

    ただし、以前の職場でスーパー口座を持っている人については、雇用主が勝手に新しい基金を選ぶのではなく、既存の口座を確認する仕組みがあります。

    これはステープルド・スーパー・ファンド(Stapled Super Fund)と呼ばれます。

    口座開設時に必要になる主な情報

    情報・書類 内容
    氏名 正式な氏名
    生年月日 本人確認用
    住所 オーストラリア国内の連絡先など
    電話番号・メール 連絡・ログイン用
    TFN 本人の税務番号
    本人確認書類 パスポートなど、基金が求めるもの
    雇用先情報 必要に応じて入力

    TFNを登録しておこう

    タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)は、スーパー基金が本人の口座を識別し、税務処理を行う際にも利用されます。

    TFNが登録されていないと、税務上の取り扱いや口座の管理で不都合が生じる場合があります。

    TFNを取得済みの方は、必要に応じて基金へ登録しておきましょう。

    ただし、TFNを知らせる際は、基金の公式サイトや雇用主の正式な書類など、安全な方法を利用してください。

    スーパー基金はどこを選ぶ?比較するポイント

    オーストラリアには多くのスーパー基金があり、どこを選べばよいか迷うかもしれません。

    ワーキングホリデーのように、比較的短期間の滞在を予定している場合は、手数料や口座の使いやすさを特に確認しておきたいところです。

    1.管理手数料

    スーパー基金には、口座の管理に関する手数料があります。

    例えば、毎週一定額が引かれるものや、口座残高に対して一定割合がかかるものなどです。

    金額は基金や商品によって異なります。

    ワーキングホリデーでは、短期間しか拠出しない人もいます。

    そのため、少額の残高に対して固定手数料が高い商品を選ぶと、費用の負担が大きくなる場合があります。

    2.投資・運用手数料

    スーパー基金は、集めた資金を株式や債券などに投資して運用します。

    そのため、口座管理手数料とは別に、投資運用に関する費用がかかる場合があります。

    運用手数料は、基金や投資商品によって異なります。

    3.投資先の違い

    スーパー基金では、次のような運用タイプが用意されている場合があります。

    運用タイプ 一般的な特徴
    Conservative 比較的値動きの小さい資産を重視
    Balanced 株式・債券などを組み合わせる
    Growth 株式など成長性の高い資産の比率が大きめ
    Cash 現金・短期金融商品を中心とする場合がある

    これらは一般的な分類であり、実際の投資内容は基金によって異なります。

    また、運用成績が良い年もあれば、マイナスになる年もあります。

    過去の運用実績が、将来の運用成績を保証するものではありません。

    4.保険の有無と保険料

    スーパー基金によっては、生命保険、所得補償保険、障害に関する保険などが付帯する場合があります。

    ただし、保険が付いている場合、その保険料がスーパー口座の残高から差し引かれます。

    短期間のワーキングホリデーでは、保険の必要性や補償条件も確認しておきたいところです。

    外国人の一時滞在者では、補償対象や保険金の請求条件が異なる場合があります。

    5.オンラインサービス

    海外からでも残高や取引履歴を確認できるかは、重要なポイントです。

    日本へ帰国した後に、本人確認や払い戻し手続きを行う可能性があるためです。

    メールアドレスや海外の携帯電話番号を登録できるか、オンラインで住所変更できるかなども確認しておくと便利です。

    政府のYourSuper比較ツール

    オーストラリア税務局では、ユア・スーパー比較ツール(YourSuper Comparison Tool)を無料で提供しています。

    このツールでは、マイ・スーパー(MySuper)商品について、手数料や運用成績などを比較できます。

    ただし、すべてのスーパー商品を網羅した比較ではありません。

    基金の公式資料で、実際に加入する商品の条件も確認しましょう。

    ATO公式:YourSuper Comparison Tool

    マネースマート(Moneysmart):スーパー基金の選び方

    スーパー基金の口座情報を雇用主へ提出する方法

    スーパー基金の口座を開設したら、次は雇用主に口座情報を伝えます。

    銀行口座とは異なり、スーパー基金への拠出には専用の識別番号などを使用します。

    雇用主へ伝える主な情報

    項目 内容
    Super Fund Name スーパー基金名
    Member Number 本人の会員・口座番号
    Fund ABN 基金の事業者番号
    USI 基金の商品を識別する番号
    TFN 必要に応じて登録する税務番号

    USIは、ユニーク・スーパーアニュエーション・アイデンティファイアー(Unique Superannuation Identifier)の略です。

    スーパー基金が提供する商品などを識別するために使用されます。

    Superannuation Standard Choice Form

    スーパー基金の選択には、スーパーアニュエーション・スタンダード・チョイス・フォーム(Superannuation Standard Choice Form)という書類が使用されることがあります。

    雇用主から渡される場合もあれば、給与システムを通じてオンラインで情報を登録する場合もあります。

    この書類では、従業員が選んだ基金や、雇用主のデフォルト基金などを指定します。

    自分で選んだ基金に拠出してもらいたい場合は、その基金の情報を正確に入力してください。

    銀行のBSB番号は必要?

    通常の給与振込先に使うBSB番号や銀行口座番号と、スーパー基金の会員番号は別です。

    給与用の銀行口座情報を伝えただけでは、スーパー基金の指定が完了するわけではありません。

    スーパー基金の登録が済んでいるか、雇用主へ確認しておきましょう。

    公式情報:ATO:Superannuation Standard Choice Form

    転職したらスーパー口座を作り直す?

    ワーキングホリデーでは、数か月ごとに仕事を変えることも珍しくありません。

    例えば、最初はメルボルン(Melbourne)のレストランで働き、その後は農場、最後はケアンズ(Cairns)のホテルで働くといったケースです。

    そのたびに新しいスーパー口座を作る必要があるのでしょうか。

    答えは、通常、必要ありません。

    すでにスーパー基金の口座を持っている場合は、新しい雇用主にもその口座情報を伝えることができます。

    Stapled Super Fundとは?

    オーストラリアでは、転職のたびに別のスーパー口座が増えることを防ぐため、ステープルド・スーパーという仕組みがあります。

    すでにスーパー口座を持っている従業員が、新しい職場で基金を指定しなかった場合、雇用主はATOへ既存の基金情報を照会する必要があることがあります。

    その結果、既存の基金へ拠出される仕組みです。

    複数のスーパー口座を持つデメリット

    複数の基金に口座が分かれている場合、それぞれで管理手数料や保険料が差し引かれることがあります。

    例えば、3つの職場で働き、それぞれ別のスーパー口座を作ってしまった場合です。

    口座残高が少額でも、それぞれに費用がかかると、退職年金の残高が目減りする可能性があります。

    また、帰国後に払い戻し手続きをする際も、複数の基金に分かれていると確認や申請が複雑になります。

    口座をまとめることもできる

    複数のスーパー口座を持っている場合は、ひとつにまとめる手続きができることがあります。

    myGovからATOのオンラインサービスにログインし、スーパー口座の情報を確認して移管手続きを進める方法があります。

    ただし、統合前に、現在の基金で加入している保険が失われないか、手数料や運用条件が変わらないかを確認してください。

    ワーキングホリデー中に何度か転職する予定がある方は、最初に開設したスーパー口座を、次の職場でも引き続き使用するという方法を検討するとよいでしょう。



    myGovでスーパーの残高を確認する方法

    スーパーアニュエーションは、自分の口座へ実際にどのくらい積み立てられているか確認できます。

    その方法のひとつが、オーストラリア政府のマイガブ(myGov)です。

    myGovのアカウントにATOのオンラインサービスを連携していれば、スーパー基金の情報を確認できます。

    myGovで確認する基本的な流れ

    1. myGov公式サイトへログインする
    2. Australian Taxation Officeを選択する
    3. ATOのオンラインサービスへ進む
    4. Superというメニューを選択する
    5. InformationやFund detailsなどの項目を確認する
    6. スーパー基金の情報や報告されている残高を確認する

    実際の画面表示やメニュー名は変更される場合があります。

    また、ATOのオンラインサービスに表示される残高と、スーパー基金の現在の残高が一致しない場合があります。

    情報が報告・更新されるまでに時間差があるためです。

    基金の公式サイトでも確認する

    スーパー基金に口座を持っている場合は、その基金の公式サイトやアプリから、取引履歴と残高を確認できることがあります。

    毎回の給与に対応した拠出金が入っているかを調べたいときは、基金側の取引履歴を確認するとよいでしょう。

    また、運用損益や管理手数料なども確認できます。

    スーパー口座が見つからない場合

    以前の職場でどの基金に加入していたか分からない場合や、転職を繰り返して複数の口座ができている場合もあるでしょう。

    そのようなときは、myGovからATOのオンラインサービスを利用して、失念したスーパー口座を探すことができます。

    該当する口座が見つからない場合は、以前の雇用主やスーパー基金へ問い合わせる方法もあります。

    オーストラリア政府:スーパーの残高確認・口座管理

    給与明細にSuperと書かれていれば入金済み?

    スーパーアニュエーションの支払いを確認する際、注意したいことがあります。

    それは、給与明細にスーパーの金額が記載されていても、基金へ実際に入金済みとは限らないということです。

    オーストラリアの給与明細(Payslip)には、通常、給与総額、源泉徴収税額、手当などとともに、スーパーに関する情報も記載されます。

    ただし、給与明細には、すでに拠出した金額のほか、拠出予定額が表示される場合があります。

    そのため、給与明細だけでは実際の入金状況を完全には確認できません。

    給与明細で確認する主な項目

    英語 意味
    Gross Pay 税引前給与
    Net Pay 手取り給与
    PAYG Withholding 源泉徴収された所得税
    Superannuation スーパー拠出額
    Super Guarantee 法定スーパー拠出
    Super Fund 拠出先の基金
    Employer Contribution 雇用主による拠出

    実際の給与明細では、これらの言葉がすべて表示されるとは限りません。

    給与システムによって表記が異なる場合があります。

    確認方法は2段階

    まず、給与明細にスーパーの拠出額が適切に計算されているか確認します。

    次に、スーパー基金の口座で実際の入金履歴を確認します。

    Payday Superの制度では、通常、給与支払日から7営業日以内に基金へ拠出金が到達する必要がありますが、最初の拠出などは例外があります。

    また、基金のシステム上で会員口座に表示されるまで、さらに処理時間がかかる場合もあります。

    そのため、給与支払日当日に基金の残高が増えていないだけで、直ちに未払いと判断する必要はありません。

    ただし、支払期限を過ぎても記録が確認できない場合は、雇用主や基金へ問い合わせてください。

    給与明細は保存しておこう

    もしスーパーが未払いだった場合、給与明細や銀行への給与振込記録は、勤務状況を確認するための資料になります。

    特にワーキングホリデーでは、帰国後に以前の職場へ問い合わせることが難しくなる場合があります。

    勤務中から保存しておくことをおすすめします。

    フェアワーク:給与明細に記載すべき情報

    スーパーが支払われていない場合の対処方法

    スーパー基金の口座を確認したところ、雇用主からの拠出が見当たらない場合は、どうすればよいのでしょうか。

    まずは、支払期限や基金の処理状況を確認してください。

    そのうえで、次の順番で対応するとよいでしょう。

    STEP 1.自分が対象となるか確認する

    年齢、雇用形態、働いた時間などを確認します。

    例えば18歳以上の一般的な従業員であれば、通常はスーパーの対象です。

    自分の契約形態が不明な場合は、ATOの公式案内を確認してください。

    STEP 2.給与明細を確認する

    スーパーの拠出額が記載されているか、計算が正しいか確認します。

    また、勤務した期間と給与支払日を整理しておきましょう。

    STEP 3.スーパー基金へ確認する

    登録されている口座が正しいか、入金履歴があるか確認します。

    雇用主が誤った会員番号や基金へ支払っている可能性もあります。

    STEP 4.雇用主へ問い合わせる

    給与担当者などに、スーパーの支払状況を確認してください。

    英語では、次のように伝えることができます。

    I’ve checked my super account, but I can’t see the contributions for my recent pay periods. Could you please confirm when they were paid and which fund they were sent to?

    「スーパー口座を確認しましたが、最近の給与に対応する拠出が見つかりません。いつ、どの基金へ支払われたか確認していただけますか?」という意味です。

    STEP 5.ATOへ未払いを報告する

    雇用主へ確認しても問題が解決しない場合は、ATOへ未払いのスーパーを報告できます。

    ATOには、雇用主がスーパーを支払っていない、支払いが遅れている、誤った基金へ拠出しているといった問題を報告するためのオンライン手続きがあります。

    報告する際には、雇用主の名前、勤務期間、給与情報、スーパー基金の情報などが必要になる場合があります。

    ワーホリでも申告できる?

    はい。

    ワーキングホリデー渡航者や留学生も、法律上の対象となる従業員であれば、スーパーの拠出を受ける権利があります。

    雇用主が「短期滞在者にはスーパーを払わない」と説明したとしても、それが正しいとは限りません。

    また、スーパーの未払いは所得税のタックスリターンとは別の問題です。

    タックスリターンを提出しただけで、未払いのスーパーが自動的に支払われるわけではありません。

    ATO公式:未払いスーパーの報告

    スーパーの税金・手数料・保険料に注意

    スーパーアニュエーションについて、もうひとつ理解しておきたいことがあります。

    それは、雇用主が拠出した金額が、そのまま全額口座残高として残るわけではないということです。

    スーパー基金では、税金、管理手数料、投資運用費用、保険料などが差し引かれる場合があります。

    雇用主の拠出金には通常15%の税金がかかる

    一般的に、雇用主による法定スーパー拠出金には、基金内で15%の拠出金税(Contributions Tax)が課されます。

    例えば、雇用主がA$1,000をスーパー基金へ拠出した場合です。

    項目 金額
    雇用主の拠出金 A$1,000.00
    拠出金税15% A$150.00
    税引後の金額 A$850.00

    これは通常の課税対象拠出金の単純な計算例です。

    実際の残高には、運用損益、手数料、保険料なども影響します。

    運用によって残高が増減する

    銀行預金とは異なり、スーパー基金では資金が運用されます。

    投資先によっては、残高が増える場合もあれば、減る場合もあります。

    特に株式への投資割合が高い商品では、短期間の値動きが大きくなることがあります。

    ワーキングホリデーを1年程度で終了し、その後に払い戻しを考えている方は、長期間の退職年金運用を前提とした商品と、自分の利用予定が合っているか確認しておきたいところです。

    保険料が引かれる場合がある

    基金によっては、生命保険や障害に関する保険などが付帯する場合があります。

    ただし、保険料はスーパー口座の残高から差し引かれることがあります。

    また、オーストラリアでは原則として、25歳未満の新規加入者や残高A$6,000未満の口座について、自動的な保険加入に制限があります。

    本人が加入を希望した場合や、一定の危険な仕事に従事する場合などには例外があります。

    保険が付いているかどうか、どのような補償があるか、保険料はいくらかを確認してください。

    短期滞在では手数料の割合にも注意

    例えば、スーパー口座の残高がA$2,000しかない場合です。

    仮に年間A$100の固定管理手数料がかかれば、それだけで残高の5%に相当します。

    これは実際の基金料金ではなく、手数料の影響を示す計算例です。

    スーパー基金を比較する際には、運用成績だけでなく、少額残高に対する固定手数料や保険料にも注意しましょう。

    マネースマート:スーパー口座の保険

    ABNで働く個人事業主にもスーパーはある?

    オーストラリアでは、ABNを取得して個人事業主として働く方もいます。

    例えば、独立したフードデリバリー配達員や、フリーランスのデザイナー、清掃業者などです。

    一般的な個人事業主の場合、自分自身の事業から自分へスーパーを拠出する義務は、通常ありません。

    ただし、ABNを持っている人でも、取引先にスーパーの拠出義務が発生する場合があります。

    主に労働力を提供する請負契約の場合

    ATOは、独立した請負契約であっても、主に本人の労働力や技能に対して報酬が支払われ、本人が直接仕事を行うなどの条件を満たす場合、スーパーの目的では従業員として扱われることがあると案内しています。

    例えば、単にABNを使って請求書を発行しているからといって、スーパーの拠出義務が必ずなくなるわけではありません。

    一方、本当に独立した事業者として成果物を提供し、事業上の責任を負っている場合などは、扱いが異なることがあります。

    ABNを取得しただけで判断しない

    スーパーの対象となるかどうかは、ABNの有無だけでなく、契約の目的や報酬の計算方法、実際の働き方などを考慮して判断します。

    また、雇用主が従業員を形式上だけ個人事業主として扱う偽装請負が問題となる場合もあります。

    詳しくは、関連記事「オーストラリアのABNとは?個人事業主・Uber・配達員などで必要になる番号を解説」も参考にしてください。

    自分の契約にスーパーの拠出義務があるか分からない場合は、ATOの公式案内で確認することをおすすめします。



    日本へ帰国するとき、スーパーは払い戻してもらえる?

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する方にとって、気になるのが積み立てられたスーパーアニュエーションの取り扱いです。

    日本へ帰国する場合、一定の条件を満たせば、オーストラリアで積み立てたスーパーを払い戻してもらえる制度があります。

    これは、デパーティング・オーストラリア・スーパーアニュエーション・ペイメント(Departing Australia Superannuation Payment/DASP)と呼ばれています。

    DASPを申請できる主な条件

    通常、次の条件を満たす必要があります。

    • 対象となる一時滞在ビザでオーストラリアに滞在していた
    • オーストラリアを出国している
    • 保有していた対象ビザが失効または取り消されている
    • オーストラリア市民、永住者など、対象外の資格を持っていない
    • スーパー基金に本人の資金が残っている

    ワーキングホリデーの417ビザや462ビザで働いていた人も、条件を満たせば対象になります。

    ただし、オーストラリアに滞在中で、ビザがまだ有効な場合は、通常、この制度で引き出すことはできません。

    帰国しただけで自動的に返金される?

    いいえ。

    スーパー基金に資金が積み立てられていても、航空機で日本へ帰国しただけで、自動的に銀行口座へ送金されるわけではありません。

    DASPの申請手続きを行う必要があります。

    また、一定期間申請されなかった元一時滞在者のスーパーについては、基金からATOへ移管される制度があります。

    そのため、帰国後に長期間放置するより、基金名や会員番号、残高を把握したうえで、申請可能な時期を確認しておくとよいでしょう。

    ワーキングホリデーのDASP税率は65%

    ここは特に重要です。

    ワーキングホリデー渡航者がDASPを受け取る場合、払い戻し金の課税対象部分には原則65%のDASP税率が適用されます。

    ただし、法律上の非課税部分には、この65%は適用されません。

    一般的な雇用主の拠出金から形成された残高は、通常、DASPの課税対象部分に含まれます。

    例えば、払い戻し対象のA$3,000がすべてDASPの課税対象部分だった場合、次のようになります。

    項目 金額
    DASPの課税対象部分 A$3,000
    DASP税65% A$1,950
    税引後の受取額 A$1,050

    つまり、スーパー基金の残高がA$3,000あっても、この条件なら手取りはA$1,050です。

    ただし、実際のDASPには課税対象部分と非課税部分があり、個別の状況によって計算が異なります。

    また、基金内では拠出金に対する税金や手数料なども発生します。

    最初に雇用主が拠出した金額と、DASPとして最終的に受け取れる金額は同じではありません。

    タックスリターンとは別の制度

    DASPは、給与所得のタックスリターンとは別の手続きです。

    一般的なタックスリターンでは、給与所得などに対する所得税を精算します。

    一方、DASPはスーパーアニュエーションの払い戻しであり、独自の源泉徴収税率が適用されます。

    通常、DASPとして受け取った金額を、給与などと合わせてオーストラリアの個人所得税申告書へ記載する必要はありません。

    帰国前にしておきたいこと

    • スーパー基金名と会員番号を控える
    • 基金に登録されている氏名・生年月日を確認する
    • TFNを確認する
    • 最新の口座残高と拠出履歴を確認する
    • 最後の雇用主による拠出が反映されているか確認する
    • 日本帰国後も使用できるメールアドレスを登録する
    • 基金へのログイン方法を確認する
    • DASPの申請条件と受取方法を確認する

    特に最後の給与に対応するスーパーが未入金のまま、DASPの申請を進めてしまうことがないように注意してください。

    また、セカンド・サードワーホリで再びオーストラリアへ戻る予定がある場合は、現在のビザの状態や再渡航予定を考慮して、申請条件を確認しましょう。

    スーパーを日本の年金へ移すことはできる?

    オーストラリアのスーパーアニュエーションは、日本の国民年金や厚生年金へそのまま移管できる制度ではありません。

    また、日本とオーストラリアの社会保障協定による年金加入期間の通算制度と、スーパー基金の残高の払い戻しは別の仕組みです。

    帰国時には、まずDASPの対象となるか確認してください。

    なお、DASPの具体的な申請方法、必要書類、税金、受取方法については、次の記事で詳しく解説します。

    公式情報:ATO公式:Departing Australia Superannuation Payment(DASP)

    スーパーアニュエーションに関するよくある質問

    オーストラリアのスーパーアニュエーションとは何ですか?

    スーパーアニュエーションは、オーストラリアの退職年金制度です。雇用主が対象となる従業員のために、給与とは別に一定額をスーパー基金へ拠出します。資金は基金によって管理・運用され、原則として退職時などの条件を満たした場合に引き出せます。
    2026年のスーパーアニュエーションの拠出率はいくらですか?

    2026年10月現在、スーパーアニュエーションの法定拠出率は原則12%です。2025年7月1日に11.5%から12%へ引き上げられました。2026年7月1日からはPayday Super制度が始まり、原則として給与支払日ごとに拠出する仕組みになっています。
    ワーキングホリデーや留学生でもスーパーを受け取れますか?

    はい。ワーキングホリデーや学生ビザで働く日本人でも、法律上の対象となる従業員であればスーパーの拠出を受けられます。18歳以上の場合、カジュアル、パートタイム、フルタイムのいずれも原則対象です。
    スーパーアニュエーションの12%は給料から引かれますか?

    通常、法定のスーパー拠出は給与とは別に雇用主が負担します。ただし、求人広告や雇用契約でスーパー込みの報酬が提示されている場合もあります。契約前に基本給与とスーパーの金額を確認してください。法定最低賃金を下回る基本給与にしてよいわけではありません。
    Payday Superとは何ですか?

    2026年7月1日に始まった制度で、雇用主が給与を支払うたびにスーパーアニュエーションも拠出します。一般的には給与支払日から7営業日以内に拠出金が基金へ到達する必要があります。新しい従業員の最初の拠出など、一部には例外があります。
    仕事を変えるたびに新しいスーパー口座が必要ですか?

    通常、新しい口座を作る必要はありません。すでに持っているスーパー基金の口座を、別の雇用主でも使用できます。また、既存の基金を引き続き利用するStapled Super Fundという制度があります。
    スーパーの残高はどこで確認できますか?

    スーパー基金の公式サイトやアプリのほか、myGovからATOのオンラインサービスにログインして確認できます。myGovでは複数の基金の情報や、失念したスーパー口座も検索できます。ただし、ATOの情報には反映まで時間差がある場合があります。
    給与明細にスーパーが記載されていれば入金されていますか?

    必ずしもそうではありません。給与明細には拠出予定額が表示される場合があります。実際に基金へ入金されているかは、スーパー基金の取引履歴などで確認してください。2026年7月からはPayday Superの支払期限が適用されています。
    雇用主がスーパーを支払っていない場合はどうすればよいですか?

    まず給与明細とスーパー基金の入金履歴を確認し、支払期限が過ぎている場合は雇用主へ問い合わせてください。解決しない場合は、ATOの公式オンライン手続きを通じて未払いのスーパーを報告できます。ワーキングホリデー渡航者も対象です。
    日本へ帰国したらスーパーを返金してもらえますか?

    ワーキングホリデーなどの対象となる一時滞在ビザを持っていた人は、オーストラリア出国後、ビザが失効するなどの条件を満たせば、DASPという制度で払い戻しを申請できる場合があります。ただし、自動的に返金されるわけではありません。
    ワーホリのスーパー払い戻しには65%の税金がかかりますか?

    ワーキングホリデー渡航者がDASPを受け取る場合、払い戻しの課税対象部分には原則65%の税率が適用されます。一方、法律上の非課税部分にこの税率は適用されません。また、基金内では拠出金税や手数料などが発生するため、雇用主の拠出額がそのまま返金されるわけではありません。



    まとめ|スーパーアニュエーションは働き始めたら確認しておこう

    オーストラリアのスーパーアニュエーションは、従業員のために雇用主が一定額を拠出する退職年金制度です。

    2026年10月現在、法定拠出率は原則12%で、ワーキングホリデー渡航者や留学生も、対象となる従業員であれば拠出を受けることができます。

    フルタイムやパートタイムだけでなく、カジュアルとして働く場合も原則対象です。

    また、2026年7月1日からPayday Super制度が始まり、従来の四半期ごとの支払いから、原則として給与支払日ごとの拠出へ変更されました。

    これにより、スーパーの支払い状況を以前より早く確認しやすくなっています。

    ただし、給与明細にスーパーの金額が記載されていても、実際に基金へ拠出済みとは限りません。

    働き始めたら、スーパー基金名と会員番号を確認し、基金の公式サイトやmyGovで入金状況を確認しておきましょう。

    また、転職する場合は、以前のスーパー口座を引き続き使用することもできます。

    複数の口座を作ると、それぞれで管理手数料などが発生する可能性があるため、口座を整理することも大切です。

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合には、条件を満たせばDASPという制度で払い戻しを申請できます。

    ただし、ワーキングホリデー渡航者のDASPには、課税対象部分に原則65%という高い税率が適用されるため、積み立てられた金額がそのまま全額戻るわけではありません。

    オーストラリアで仕事を始めたら、給与だけでなく、スーパーアニュエーションが正しく拠出されているか確認する習慣を付けておきましょう。

    帰国直前になって口座を探したり、未払いに気付いたりすることがないよう、基金名、会員番号、ログイン方法、給与明細などを保存しておくことをおすすめします。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアのワーホリ・留学生のタックスリターン|申告時期・方法・税金の還付を解説

    オーストラリアのワーホリ・留学生のタックスリターン|申告時期・方法・税金の還付を解説

    オーストラリアへワーキングホリデーで到着したら、早めに済ませておきたい手続きのひとつが銀行口座の開設です。

    現地で仕事を始めると、給料は通常、銀行口座へ振り込まれます。家賃の支払いや買い物、友人との割り勘などでも、オーストラリアの銀行口座があると便利です。

    ただ、初めて海外で銀行口座を開設するとなると、少し不安に感じるかもしれません。

    「日本のパスポートだけで開設できる?」「オーストラリアの住所がまだ決まっていない場合は?」「どの銀行を選べばいい?」「日本から事前に口座を開設できる?」など、気になることは多いと思います。

    オーストラリアには、コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank of Australia/CommBank)、ウエストパック銀行(Westpac)、ナショナル・オーストラリア銀行(National Australia Bank/NAB)、ANZ銀行(ANZ)などの主要銀行があります。

    いずれもワーキングホリデーや留学などで渡航する人が利用できる口座を提供していますが、申込方法や必要書類、毎月の口座維持手数料は同じではありません。

    例えば、口座維持手数料が最初から無料の銀行もあれば、一定の年齢や入金条件を満たした場合に無料となる銀行もあります。

    また、渡航前にオンラインで申込みを始められる銀行もありますが、日本で申請を済ませただけで、すぐに入金や出金ができるとは限りません。オーストラリア到着後に、支店での本人確認が必要になる場合があります。

    この記事では、日本からワーキングホリデーや留学で渡航する方を対象に、銀行口座の開設方法、主要4銀行の比較、必要書類、デビットカード、給与の受け取り、日本との海外送金まで、2026年10月時点の公式情報をもとに解説します。

    来月からオーストラリアでワーホリを始めます。到着後すぐに仕事を探したいのですが、銀行口座は日本にいる間に作っておいた方がいいですか?
    銀行によっては渡航前から申込みを始められます。ただし、到着後の本人確認が必要な場合があるので、日本で手続きを済ませただけで口座が完全に使えるとは限りません。到着後すぐに銀行へ行けるよう、パスポートやビザ、現地の住所などを準備しておきましょう。




    ワーホリでオーストラリアの銀行口座は必要?

    オーストラリアのワーキングホリデービザを取得するために、現地の銀行口座を事前に開設する必要はありません。

    旅行をするだけなら、日本で発行されたクレジットカードやデビットカードでも支払える場面は多くあります。

    しかし、オーストラリアで仕事をする場合は、現地の銀行口座を開設しておくと便利です。

    現地の雇用主は、通常、給与を従業員の銀行口座へ振り込みます。

    オーストラリア政府のマイガブ(myGov)でも、就職時には雇用主へ銀行口座名義、BSB番号、口座番号を知らせることが一般的と案内しています。

    現地口座があると便利な場面

    • アルバイトや就職先から給与を受け取る
    • シェアハウスの家賃やボンドを振り込む
    • 友人との食事代などを割り勘する
    • スーパーやカフェでデビットカードを使う
    • 現地のATMで現金を引き出す
    • 日本から生活費を送金する
    • 通信料金などを口座引き落としで支払う
    • 給与の一部を貯蓄口座へ移す

    特に、オーストラリアの銀行間送金では、日本の銀行振込とは少し異なる仕組みがあります。

    携帯電話番号やメールアドレスを使って送金できるPayIDなどは、現地生活で役立つ機能のひとつです。

    銀行口座は何日以内に開設すればよい?

    ワーキングホリデー渡航者が、入国後何日以内に銀行口座を開設しなければならないという一律の義務はありません。

    ただし、到着後すぐに仕事が決まる可能性もあります。

    必要な本人確認やカードの準備に時間がかかることも考えると、到着後の最初の数日間で手続きを進めておくと安心です。

    現地の銀行口座とTFNが揃っていれば、就職先への給与関係の情報提出も進めやすくなります。

    普通預金口座と貯蓄口座の違い

    オーストラリアの銀行には、目的の異なる口座があります。

    ワーキングホリデーで最初に必要になるのは、日常の支払いや給与の受け取りに使用するトランザクション・アカウント(Transaction Account)です。

    日本の普通預金口座に近いものと考えると分かりやすいでしょう。

    一方、貯金しておくための口座は、セービングス・アカウント(Savings Account)と呼ばれます。

    項目 Transaction Account Savings Account
    主な用途 給与受取・日常の支払い 貯蓄・利息の受取
    デビットカード 通常利用できる 直接利用できない商品もある
    日常の買い物 便利 商品によって制限あり
    金利 ゼロまたは低い場合が多い 利息が付く商品が多い
    給与の受け取り 一般的 口座の機能による

    例えば、毎日の買い物や家賃の支払いにはトランザクション口座を使用し、すぐに使わないお金を貯蓄口座へ移すという方法があります。

    オーストラリアの銀行では、最初の口座開設時に両方の口座を案内されることもあります。

    最初から貯蓄口座も作った方がよい?

    必須ではありません。

    まずは日常の支払いに使う口座を開設し、現地生活が落ち着いてから貯蓄口座を追加してもよいでしょう。

    貯蓄口座では、毎月一定額を入金することや、残高を増やすことなどが高い金利を受ける条件になっている場合があります。

    ワーキングホリデーでは収入が変動することもあるため、条件を無理なく満たせるか確認することが大切です。

    また、短期滞在の場合は、金利だけでなく、口座を使いやすいか、海外送金や解約手続きが簡単かなども考えておきたいところです。

    主要4銀行を比較|口座維持手数料はいくら?

    オーストラリアには多くの金融機関がありますが、初めて渡航する方にとって選択肢になりやすいのが、大手4銀行です。

    支店やATMが各地にあり、オンラインバンキングやスマートフォンアプリも利用できます。

    ここでは、各銀行の日常取引用口座の代表的な商品を比較します。

    料金は2026年10月時点の各銀行公式サイトで確認できる条件です。

    銀行・口座名 通常の月額料金 主な無料条件
    コモンウェルス銀行
    Everyday Smart Access
    A$4 30歳未満、月A$2,000以上の入金、その他の対象条件
    ウエストパック銀行
    Westpac Choice
    A$5 41歳未満、月A$2,000以上の入金、新規渡航者の最初の12か月など
    ナショナル・オーストラリア銀行
    NAB Classic Banking
    A$0 月額口座維持手数料なし
    ANZ銀行
    ANZ Access Advantage
    A$5 月A$2,000以上の入金、その他の対象条件

    ※表は月額口座維持手数料の比較です。ATM、海外取引、海外送金、残高超過などの手数料は別に発生する場合があります。また、無料条件は各銀行の規定に従います。

    コモンウェルス銀行

    コモンウェルス銀行は、オーストラリアの大手銀行のひとつです。

    日常生活向けのEveryday Smart Access口座では、通常、月A$4の口座維持手数料が設定されています。

    ただし、30歳未満の方や、1か月にA$2,000以上を口座へ入金する方などは、手数料が無料になります。

    さらに、海外からの新規渡航者向けの申込制度では、最初の12か月間、口座維持手数料が免除される案内があります。

    ただし、その制度の対象条件を満たす必要があります。

    デビットカードにはマスターカード(Mastercard)が採用されており、スマートフォンによる非接触決済にも対応しています。

    コモンウェルス銀行:Everyday Smart Access公式ページ

    ウエストパック銀行

    ウエストパック銀行の代表的な日常取引用口座はWestpac Choiceです。

    通常の月額口座維持手数料はA$5ですが、現在の公式案内では41歳未満の方が無料対象に含まれています。

    また、月A$2,000以上の入金や、新規渡航者向けの最初の12か月間の免除なども設けられています。

    過去の情報では無料となる年齢が異なる場合がありますので、最新の料金表を確認してください。

    ウエストパック銀行:Westpac Choice公式ページ

    ナショナル・オーストラリア銀行

    ナショナル・オーストラリア銀行のNAB Classic Bankingは、月額口座維持手数料がA$0です。

    毎月一定額の入金を行う条件もないため、収入が不安定になりやすいワーキングホリデー渡航者にとって分かりやすい料金体系です。

    標準のVisaデビットカードについても、月額カード料金が無料です。

    ただし、海外取引などには別の手数料がかかる場合があります。

    ナショナル・オーストラリア銀行:NAB Classic Banking公式ページ

    ANZ銀行

    ANZ銀行のANZ Access Advantageでは、通常、月A$5の口座維持手数料があります。

    ただし、月A$2,000以上の入金など、所定の条件を満たす場合は免除されます。

    また、ANZにはANZ Plusという、月額口座維持手数料のないデジタルバンキング商品もあります。

    しかし、ANZ Plusのオンライン本人確認では、有効なオーストラリアのパスポートまたは運転免許証などが条件となっているため、日本のパスポートだけで新規申請する方は利用条件に注意が必要です。

    一方、ANZ Access Advantageでは、外国パスポートによる支店での本人確認が案内されています。

    ワーキングホリデー渡航者は、同じANZでも商品によって申込条件が異なることを覚えておきましょう。

    ANZ銀行:ANZ Access Advantage公式ページ

    結局、どの銀行がよい?

    毎月の口座維持手数料をシンプルにしたいなら、条件なしで月額A$0のナショナル・オーストラリア銀行は比較しやすい選択肢です。

    一方、コモンウェルス銀行やウエストパック銀行でも、年齢や新規渡航者向けの条件を満たせば、月額手数料を支払わずに利用できます。

    どの銀行も主要都市に支店がありますが、地方で生活する予定がある場合は、実際に滞在する地域に支店や利用しやすいATMがあるか確認してください。

    手数料だけではなく、本人確認のしやすさ、アプリの使いやすさ、送金手数料、カードの受け取り方法なども含めて比較するとよいでしょう。

    日本から渡航前に開設できる銀行は?

    オーストラリアへ到着してから銀行へ行く時間がない方は、日本にいる間に申込みを進めたいと思うかもしれません。

    実際、主要銀行の中には、渡航前からオンラインで口座開設の手続きを始められるところがあります。

    ただし、日本から申込みを始められることと、日本からすべての銀行機能を利用できることは別です。

    コモンウェルス銀行:到着14日前から

    コモンウェルス銀行の新規渡航者向け制度では、オーストラリアへの到着予定日まで14日以内、または入国から12か月以内の方などが申込みの対象です。

    申込み後は、口座開設から20日以内にオーストラリア国内の支店でパスポートの原本による本人確認を行う必要があります。

    本人確認が完了するまでは、入金や買い物などに口座を利用できません。

    本人確認を行わない場合には、口座が自動的に閉鎖される可能性もあります。

    コモンウェルス銀行:新規渡航者の申込み条件

    ウエストパック銀行:到着14日前から

    ウエストパック銀行も、到着予定日まで14日以内の方に対して、事前申込みの仕組みを提供しています。

    日本にいる間にオンラインバンキングの登録や口座設定の一部を進められます。

    ただし、日本国籍者が日本のパスポートで申し込む場合は、オーストラリア到着後に支店で本人確認を行う案内となっています。

    本人確認が完了してから、口座を有効化する仕組みです。

    ウエストパック銀行:新規渡航者向け口座開設

    ナショナル・オーストラリア銀行:到着30日前から

    ナショナル・オーストラリア銀行の新規渡航者向け手続きでは、到着予定日まで30日以内、または入国から12か月以内などの条件で、オンライン申込みを始められます。

    ただし、申込みだけでは口座開設が完了しません。

    オーストラリアに到着後、申込みを始めてから30日以内に支店を訪れ、本人確認と口座の有効化を行う必要があります。

    その際には、パスポート、ビザ、オーストラリア国内の住所、携帯電話番号などが必要です。

    また、この制度では、原則としてオーストラリアに6か月以上滞在する予定があり、支店を訪れる時点でパスポートとビザが少なくとも6か月有効であることなどが条件となっています。

    ナショナル・オーストラリア銀行:新規渡航者向け銀行口座

    ANZ銀行の場合

    ANZ銀行では、外国パスポートとビザを持つ方向けの本人確認方法が案内されています。

    ただし、通常のオンライン申込みと外国人向けの申込条件は必ずしも同じではありません。

    日本のパスポートで申請する場合は、支店での本人確認に必要な書類を事前に確認するとよいでしょう。

    渡航前に手続きを始めるべき?

    必ずしも必要ではありません。

    到着後に銀行の支店へ行けるのであれば、現地で口座開設を行うこともできます。

    ただし、渡航前の申込みでは、本人確認を行う期限が設けられていることがあります。

    旅行日程が変更になる可能性がある場合は、あまり早く手続きを進めない方がよいケースもあります。

    銀行の公式条件を確認してから申し込みましょう。



    銀行口座開設に必要な書類と情報

    日本のパスポートを使って口座を開設する場合、通常、本人確認書類とオーストラリアでの連絡先などが必要です。

    銀行や申込方法によって異なりますが、次の情報を準備しておくとよいでしょう。

    必要なもの 内容
    パスポート 有効な日本のパスポート原本
    オーストラリアのビザ ワーキングホリデーなどの有効なビザ情報
    オーストラリア国内の住所 滞在先・居住地の住所
    携帯電話番号 本人確認やSMS認証に使用
    メールアドレス 銀行からの連絡やオンラインバンキング用
    税務上の居住地情報 税務上どの国の居住者に当たるか
    外国の納税者番号 該当する国のTINなど
    TFN すでにオーストラリアで取得している場合

    パスポートだけで開設できる?

    銀行によっては、外国パスポートを主な本人確認書類として利用できます。

    ただし、外国パスポートを持っていれば、必ずどの銀行でもオンラインだけで本人確認が完了するわけではありません。

    例えば、ANZ銀行では、外国パスポートを支店で受け付ける本人確認書類のひとつとして案内しています。

    銀行によっては、別の本人確認書類や住所情報の提示を求められる場合もあります。

    ビザの情報は何を見せればよい?

    オーストラリアのビザは、通常、パスポートに電子的に関連付けられています。

    ワーキングホリデービザが許可された際の通知書を保存しておくと便利です。

    必要に応じて、内務省のビザ・エンタイトルメント・ベリフィケーション・オンライン(Visa Entitlement Verification Online/VEVO)を利用して、有効なビザ情報を確認できます。

    オーストラリア内務省:VEVOでのビザ確認

    TFNがないと銀行口座を開設できない?

    通常、TFNをまだ取得していないことだけを理由に、銀行口座の開設ができなくなるわけではありません。

    ただし、銀行から税務上の居住地や外国の納税者番号について情報を求められることがあります。

    TFNと外国の納税者番号は同じものではありません。

    税務情報については後ほど詳しく説明します。

    到着後の銀行口座開設手順

    それでは、日本からワーキングホリデーで到着した場合を想定し、銀行口座を開設する流れを見てみましょう。

    ここでは、支店で本人確認を行う一般的なケースを紹介します。

    STEP 1.開設する銀行と口座を決める

    まずは、各銀行の手数料や口座の機能を比較します。

    ワーキングホリデーの給与受取用であれば、基本的には日常取引用の口座で十分です。

    利用する銀行が決まったら、公式サイトで外国パスポート保有者の申込方法を確認してください。

    STEP 2.携帯電話と住所を準備する

    銀行では、本人確認や不正利用防止のためにSMS認証を行う場合があります。

    オーストラリアの携帯電話番号を取得しておくと、その後の手続きがスムーズです。

    また、居住地住所も登録する必要があります。

    到着後に住所が変わる予定なら、変更方法も確認しておきましょう。

    STEP 3.オンラインで申込む、または支店へ行く

    銀行によっては、事前にオンライン申込みを行い、その後に支店で本人確認をする仕組みです。

    また、到着後に支店で口座開設の手続きを始められる銀行もあります。

    支店へ行く場合、事前予約をした方がスムーズなこともあります。

    特に日本人渡航者が多い都市の中心部では、口座開設の相談が集中する場合もあるでしょう。

    STEP 4.本人確認を行う

    銀行員から、パスポート、ビザ、住所、連絡先などについて確認されます。

    また、税務上の居住地や口座を利用する目的について質問される場合があります。

    仕事を探す予定なら、給与の受け取りに利用することを伝えればよいでしょう。

    STEP 5.口座の情報を受け取る

    口座が開設されると、口座名義、BSB番号、口座番号などを確認できるようになります。

    これらは、雇用主へ給与振込先を知らせる際に必要です。

    銀行のアプリやオンラインバンキングから確認できる場合が多いので、操作方法を聞いておくと便利です。

    STEP 6.アプリとデビットカードを設定する

    銀行の公式アプリをスマートフォンへインストールし、ログインや本人確認の設定を行います。

    また、デビットカードが発行される場合は、利用開始の方法や暗証番号の設定を確認しましょう。

    銀行によっては、プラスチック製のカードが届く前からデジタルカードを使える場合があります。

    STEP 7.少額の入金・支払いで確認する

    口座の利用が始まったら、入金、アプリの残高表示、少額の支払いなどを確認してみましょう。

    その際、自分の口座番号とBSB番号を間違えないようにしてください。

    口座を開設できたら、必要に応じて雇用主へ銀行情報を提出できます。

    英語が苦手でも大丈夫?窓口での会話例

    初めて銀行へ行く方の中には、英語で手続きをすることに不安を感じる方もいると思います。

    ただ、銀行口座の開設では、名前や住所、パスポート情報など、決まった内容を確認することが多くあります。

    基本的な英語表現を覚えておけば、手続きの内容を理解しやすくなるでしょう。

    銀行口座を開設したいと伝える

    I’d like to open a bank account.

    銀行口座を開設したいです。

    I’m here on a working holiday visa.

    ワーキングホリデービザで滞在しています。

    I need an account to receive my salary.

    給料を受け取るための口座が必要です。

    必要な書類を確認する

    Is my Japanese passport enough for identification?

    本人確認には日本のパスポートだけで十分ですか?

    Do I need to provide proof of address?

    住所を証明する書類が必要ですか?

    手数料を確認する

    Is there a monthly account fee?

    毎月の口座維持手数料はありますか?

    Is the fee waived for working holiday visa holders?

    ワーキングホリデー渡航者は手数料が免除されますか?

    カードの受け取りを確認する

    When can I start using my debit card?

    デビットカードはいつから使えますか?

    Can I use a digital card before the physical card arrives?

    カードの現物が届く前に、デジタルカードを使えますか?

    英語が聞き取れない場合

    Could you please speak a little more slowly?

    もう少しゆっくり話していただけますか?

    Could you write that down for me?

    それを書いていただけますか?

    銀行によっては、通訳サービスなどを利用できる場合もあります。

    説明を十分に理解できないまま、不要な有料サービスやクレジット契約などに申し込まないようにしましょう。

    住所が決まっていない場合の開設方法

    ワーキングホリデーで到着したばかりの方は、まだシェアハウスが決まっていないかもしれません。

    最初はホテルやホステルに滞在しながら、部屋や仕事を探す方も多いでしょう。

    この場合、銀行口座の開設に使用する住所について確認が必要です。

    ホテルの住所でもよい?

    銀行によっては、到着直後の一時滞在先住所を申込みの際に使用できる場合があります。

    例えば、ウエストパック銀行の新規渡航者向け案内では、オーストラリア国内の住所について、ホテルや親族宅などの一時的な住所も例として挙げています。

    ただし、すべての銀行が同じ条件とは限りません。

    本人確認に必要な住所情報と、カードを郵送する住所について、銀行へ確認してください。

    デビットカードの郵送先は重要

    銀行によっては、プラスチック製のデビットカードを登録住所へ郵送します。

    ホテルやホステルに短期間しか滞在しない場合は、カードが届く前にチェックアウトしてしまう可能性があります。

    また、すべての宿泊施設が郵便物の受け取りに対応しているわけではありません。

    カードを支店で受け取れるか、デジタルカードを先に使えるか、郵送先を後から変更できるかなどを確認しておくと安心です。

    引っ越したら住所変更をする

    シェアハウスなどの住居が決まったら、銀行に登録している住所を更新してください。

    住所が古いままだと、銀行からの重要な通知やカードの再発行書類などが届かない可能性があります。

    また、住所だけでなく、携帯電話番号やメールアドレスを変更した場合にも、必要な登録情報を更新しましょう。



    デビットカードはいつ届く?クレジットカードとの違い

    オーストラリアの銀行口座を開設すると、通常、日常の支払いに利用できるデビットカードが発行されます。

    デビットカードは、銀行口座の残高を使って支払うカードです。

    日本のクレジットカードのように、翌月以降にまとめて請求される仕組みとは異なります。

    銀行口座の残高から、通常、支払額がその都度引き落とされます。

    項目 デビットカード クレジットカード
    支払い 原則として預金残高から即時引き落とし 後日請求
    利用可能額 通常は口座残高の範囲内 信用枠の範囲内
    信用審査 通常、一般のクレジット審査は不要 信用審査が必要
    ATMでの引き出し 銀行口座からの現金引き出し キャッシングになる場合がある

    オーストラリアのデビットカードは、Visaやマスターカードなどの国際ブランドに対応しているものが一般的です。

    そのため、スーパーやカフェ、オンラインショップなど、多くの場所で利用できます。

    カードが届く前に買い物できる?

    銀行や口座によっては、本人確認とカードの設定が完了した後、デジタルカードを利用できる場合があります。

    スマートフォンのアップルペイ(Apple Pay)やグーグルペイ(Google Pay)などに登録すれば、対応する店舗で支払いができます。

    ただし、本人確認が完了していない口座では、デジタルカードが表示されていても利用できない場合があります。

    また、スマートフォンでの支払いに対応していない店舗や取引もあるため、渡航直後は日本の決済カードや少額の現金も用意しておくと安心です。

    クレジットカードを最初から申し込む必要はある?

    通常ありません。

    ワーキングホリデーで給与を受け取り、日常の買い物をするだけなら、デビットカードで十分対応できることが多いでしょう。

    クレジットカードは、銀行が収入や居住状況などを審査したうえで発行する商品です。

    ワーキングホリデー渡航者の場合、滞在期間や収入などによっては申込条件を満たさない場合もあります。

    ホテルやレンタカーのデポジットにも使える?

    デビットカードでも保証金の仮押さえを受け付ける施設や会社がありますが、すべてではありません。

    ホテルやレンタカー会社によっては、クレジットカードが必要だったり、デビットカードの場合は保証金の取り扱いが異なったりします。

    また、デビットカードで仮押さえが行われると、口座残高の一部が一時的に利用できなくなる場合があります。

    旅行やレンタカーの予約に使うときは、事前に支払い条件を確認しましょう。

    BSB・Account Numberとは?給料の受け取り方

    銀行口座が開設できたら、仕事を始める際に雇用主へ銀行情報を提出します。

    そのときに必要なのが、BSB番号とAccount Numberです。

    BSBとは?

    BSBは、バンク・ステート・ブランチ(Bank State Branch)の略で、オーストラリア国内の銀行や支店などを識別する6桁の番号です。

    通常、3桁ずつ区切って表示されます。

    銀行間でお金を振り込むときには、このBSB番号と口座番号を使用します。

    Account Numberとは?

    Account Numberは銀行口座番号です。

    桁数は銀行によって異なります。

    日本の銀行口座のように、銀行名・支店名・口座番号だけで伝えるのではなく、オーストラリアではBSBと口座番号を組み合わせて利用します。

    雇用主へ提出する銀行情報

    英語 意味
    Account Name 銀行口座名義
    Bank Name 銀行名
    BSB Number 6桁の銀行・支店識別番号
    Account Number 銀行口座番号

    雇用主は、通常、これらの情報を使って給与を振り込みます。

    政府のmyGovでも、就職時に銀行口座名義、BSB番号、口座番号を提出することが一般的と案内しています。

    オーストラリア政府:雇用主へ提出する銀行情報

    口座番号はどこで確認できる?

    通常、銀行のアプリやインターネットバンキングで確認できます。

    ただし、デビットカードの表面に書かれているカード番号と、銀行口座番号は別のものです。

    給与振込先を伝える際に、カード番号を口座番号と間違えないようにしましょう。

    振込先の変更もできる?

    途中で別の銀行へ変更したり、給与振込先を変えたりすることもできます。

    その場合は、雇用主の給与担当者へ新しい銀行情報を提出します。

    変更手続きが給与計算に間に合わない場合もあるため、古い口座を閉鎖する前に、新しい口座への給与振込が確認できているか確かめましょう。

    PayID・Oskoの使い方と送金時の注意点

    オーストラリアで友人にお金を送る際、BSB番号や口座番号を聞かずに送金できる場合があります。

    そのときに利用されるのが、ペイアイディー(PayID)です。

    PayIDは、携帯電話番号やメールアドレスなどを銀行口座に関連付けて、送金に利用する仕組みです。

    例えば、友人との食事代を立て替えてもらった場合、相手がPayIDを登録していれば、銀行アプリからその携帯電話番号などを指定して送金できます。

    PayIDの設定方法

    PayIDに対応している銀行では、通常、銀行の公式アプリやオンラインバンキングから登録できます。

    一般的な流れは次のとおりです。

    1. 銀行のアプリにログインする
    2. PayIDの設定画面を開く
    3. 携帯電話番号またはメールアドレスを選ぶ
    4. 関連付ける銀行口座を選ぶ
    5. 銀行が指定する本人確認を行う
    6. 登録完了後、PayIDで受け取れるようになる

    実際の画面や名称は銀行によって異なります。

    また、同じ携帯電話番号を、複数の銀行口座へ同時にPayIDとして登録できるわけではありません。

    別の銀行へ移す場合には、PayIDの移管手続きが必要になることがあります。

    Oskoとは?

    オスコ(Osko)は、オーストラリアの即時送金サービスのひとつです。

    対応する金融機関の間では、PayIDまたはBSB・口座番号を使って、通常1分以内に送金が完了する場合があります。

    ただし、すべての支払いが必ず即時に処理されるわけではありません。

    不正送金防止のため、銀行が一時的に送金を保留する場合があります。

    送金前に相手の名前を確認する

    PayIDを利用した送金では、送金先に関連付けられた口座名義が表示されます。

    入力した携帯電話番号やメールアドレスが正しいか、表示された相手の名前とともに確認してください。

    特に、初めて家賃やボンドを送金する場合は注意が必要です。

    PayIDを使った詐欺にも注意

    PayIDを装った偽のメールやSMSによる詐欺が報告されています。

    例えば、「支払いを受け取るにはビジネスアカウントへアップグレードする必要がある」「お金を受け取るために先に手数料を払ってほしい」といった連絡です。

    しかし、PayIDそのものが利用者に直接メールを送って、送金やアップグレード料金を要求することはありません。

    こうした連絡が届いた場合は、送信者の説明を信用せず、自分の銀行アプリで入金状況を確認してください。

    オーストラリアン・ペイメンツ・プラス(Australian Payments Plus):PayIDの公式案内



    日本からオーストラリアの銀行口座へ送金する方法

    ワーキングホリデーでは、日本にある貯金の一部を、オーストラリアの銀行口座へ移すこともあるでしょう。

    現地で家賃や生活費を支払う際に、オーストラリアドルを銀行口座へ用意しておくと便利です。

    日本から送金する方法には、銀行の海外送金サービスや、海外送金を取り扱う専門サービスなどがあります。

    銀行から海外送金する場合

    日本の銀行からオーストラリアの銀行へ送金する場合、通常、次のような情報が必要になります。

    • 受取人の正式な氏名
    • 受取銀行名
    • 銀行のSWIFT/BICコード
    • BSB番号
    • 口座番号
    • 受取人の住所など、銀行が求める情報

    必要な情報は、送金元の銀行と受取銀行によって異なります。

    特にSWIFT/BICコードは、国際送金のために銀行を識別するコードです。

    オーストラリア国内のBSB番号とは役割が異なります。

    また、オーストラリアでは、日本やヨーロッパの銀行で使われる口座識別方法とは違う番号体系が使われます。

    送金先の情報を入力する際には、銀行が案内している国際送金用の情報を確認してください。

    送金手数料だけで比較しない

    海外送金の費用は、銀行が表示する送金手数料だけではありません。

    次のような費用や条件も関係します。

    • 送金サービスの取扱手数料
    • 日本円から豪ドルへの換算レート
    • 中継銀行の手数料
    • 受取銀行の手数料
    • 実際に口座へ入金される金額
    • 送金が完了するまでの期間

    例えば、送金手数料が無料でも、為替レートに含まれるコストが大きければ、受取額が少なくなる場合があります。

    比較するときは、同じ日本円を送金した場合、最終的に何豪ドルを受け取れるのか確認すると分かりやすいでしょう。

    海外送金の計算例

    日本から10万円を送る場合を考えてみます。

    ここでは計算を分かりやすくするため、仮に1豪ドル=100円とします。

    項目 例A 例B
    送金額 100,000円 100,000円
    換算レート 1豪ドル=101円 1豪ドル=100円
    別途の手数料 0円 1,000円
    概算受取額 約A$990.10 A$990.00

    この例では、送金手数料が無料のAと、手数料を別に取るBで、最終的な受取額はほぼ同じです。

    これは仕組みを説明するための仮定であり、実際の為替レートや送金サービスの料金ではありません。

    また、中継銀行や受取銀行による追加費用は含めていません。

    海外送金サービスを利用する場合

    銀行以外では、ワイズ(Wise)などの海外送金サービスが選択肢になることもあります。

    ただし、利用条件、本人確認、手数料、対応通貨、送金限度額はサービスによって異なります。

    また、海外送金サービスの残高保管機能は、オーストラリアの銀行預金と同じ預金保護を受けるとは限りません。

    送金手数料だけでなく、資金の保管方法や規制上の取り扱いも確認しておきましょう。

    最初は少額の送金で確認する

    初めて日本から送金する場合は、口座番号や銀行情報に間違いがないか確認するため、少額で送金を試してから本格的に資金を移す方法もあります。

    ただし、送金ごとに固定手数料が発生する場合もあるので、その点には注意してください。

    ATM・海外利用・口座維持手数料で注意すること

    銀行口座を開設するときは、月額口座維持手数料だけでなく、実際の使い方に応じた手数料も確認しましょう。

    ATMの引き出し手数料

    オーストラリアでは、自分の銀行や提携銀行のATMなら、引き出し手数料が無料になる場合があります。

    一方、独立系ATMや一部の設置場所では、ATM運営会社による手数料がかかることがあります。

    引き出し前に画面に手数料が表示される場合は、内容を確認してから操作してください。

    日本でデビットカードを使った場合

    オーストラリアで発行されたデビットカードを、日本への一時帰国中に利用することも考えられます。

    ただし、日本円での買い物や海外ATMでの現金引き出しには、海外取引手数料や為替換算コストがかかる場合があります。

    例えば、ウエストパックのChoice口座では、海外取引に関する所定の手数料が設定されています。

    ナショナル・オーストラリア銀行の標準的なVisaデビットカードにも、海外取引手数料の対象となる利用があります。

    口座維持手数料が無料でも、海外利用まで必ず無料になるわけではありません。

    オンラインの海外サイトで買う場合も注意

    オーストラリア国内でカードを使っていても、海外の事業者が処理するオンライン取引などでは、海外取引手数料がかかる場合があります。

    例えば、海外のホテル予約サイトや外国企業のオンラインサービスなどを利用する場合です。

    決済画面にオーストラリアドルで表示されているからといって、すべて国内取引として扱われるとは限りません。

    残高不足による手数料

    銀行口座の残高が足りない状態で支払いを行った場合、銀行によっては残高超過に関する手数料や利息が発生することがあります。

    例えば、コモンウェルス銀行のSmart Accessでは、一定の条件で残高超過手数料がかかる場合があります。

    銀行によっては、残高を超える取引を許可しない設定もあります。

    ワーキングホリデーで収入が不規則になる場合は、不要な手数料を避けるために設定を確認しておくとよいでしょう。

    TFNと銀行口座の税務情報は同じ?

    銀行口座を開設する際には、税金に関する質問を受けることがあります。

    例えば、オーストラリアのTFNや、ほかの国の納税者番号を持っているかどうかです。

    ここで注意したいのが、TFNと外国のTINを混同しないことです。

    TFNとは?

    TFNは、オーストラリア税務局が発行する個人の税務番号です。

    ワーキングホリデーで働く場合、給与に関する税金の管理に使用します。

    TFNはオーストラリア到着後に申請できます。

    TINとは?

    TINは、タックス・アイデンティフィケーション・ナンバー(Tax Identification Number)の略で、納税者番号を意味する国際的な用語です。

    日本では、個人番号(マイナンバー)が税務上のTINに相当します。

    オーストラリアの銀行が外国のTINを尋ねるのは、海外の税務当局との情報交換制度などに対応するためです。

    日本人なら必ずマイナンバーを提出する?

    必ずしもそうとは限りません。

    銀行が確認するのは、国籍だけではなく、税務上の居住地です。

    日本国籍だからといって、すべての人が税務上の日本居住者に該当するわけではありません。

    反対に、オーストラリアに滞在していても、日本の税務上の居住者に該当する場合があります。

    銀行から外国の税務上の居住地やTINについて尋ねられた場合は、自分の実際の状況に従って回答してください。

    銀行へTFNを登録しないとどうなる?

    オーストラリアの銀行口座から利息を受け取る場合、TFNを登録していないと、税務上の条件によっては、銀行が利息から税金を源泉徴収することがあります。

    ただし、これは給与にかかる税金とは別の問題です。

    TFNを銀行へ登録していないからといって、口座残高そのものに一律の税金がかかるという意味ではありません。

    また、外国居住者に対する利息の源泉徴収には、通常のTFN未提出時とは異なる取り扱いが適用される場合があります。

    詳しくはATOや銀行の公式案内を確認してください。

    TFNが届いたら銀行へ知らせる

    口座開設時にTFNをまだ取得していなかった場合は、番号が発行された後に銀行へ登録できることがあります。

    オンラインバンキングなどで更新できる場合もありますので、銀行の案内を確認しましょう。

    TFNの取得については、関連記事「オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点」も参考にしてください。

    銀行口座の安全対策と預金保護制度

    オーストラリアで銀行口座を開設したら、カードやオンラインバンキングの安全対策も確認しておきましょう。

    海外生活では、知らない相手との送金や、オンラインでの買い物なども増えるかもしれません。

    スマートフォンのセキュリティー設定

    銀行の公式アプリには、ログイン時の本人確認、支払通知、カードの一時停止などの機能が設けられている場合があります。

    最初にアプリを設定する際には、強固なパスワードや生体認証などを利用しましょう。

    また、SMS認証に使用する携帯電話番号を変更する場合は、銀行に登録された番号も更新してください。

    銀行を装ったSMS・メールに注意

    銀行を装い、「不正な取引がありました」「口座が凍結されます」といったメッセージを送る詐欺があります。

    メッセージ内のリンクからログイン情報やカード番号を入力させようとする場合は注意が必要です。

    不審な連絡が届いたときは、リンクからアクセスするのではなく、銀行の公式アプリや正式な問い合わせ先を利用してください。

    デビットカードを紛失した場合

    銀行によっては、公式アプリからカードを一時的に停止できる場合があります。

    カードを紛失したり、不正利用が疑われたりする場合は、速やかに銀行へ連絡してください。

    また、身に覚えのない取引がないか、定期的に口座の利用履歴を確認しましょう。

    オーストラリアの預金保護制度

    オーストラリアには、金融請求制度(Financial Claims Scheme/FCS)という政府の預金保護制度があります。

    オーストラリア健全性規制庁(Australian Prudential Regulation Authority/APRA)の公式案内では、対象金融機関が経営破綻し、政府が制度を発動した場合、1人につき対象金融機関ごとに最大A$250,000までの預金が保護されます。

    ただし、これは銀行口座ごとにA$250,000という意味ではありません。

    同じ銀行免許のもとで複数の口座を保有している場合は、原則として預金を合算して判断します。

    また、対象となるのは、オーストラリア国内の対象金融機関に預けられた豪ドル建ての対象預金などです。

    海外送金サービスの残高やプリペイドカードなどが、すべて同じ制度で保護されるわけではありません。

    なお、APRAの案内では、国籍や居住者区分だけを理由に、この預金保護制度の対象外になるわけではありません。

    APRA公式:Financial Claims Scheme

    日本へ帰国するとき、銀行口座はどうする?

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する際には、オーストラリアの銀行口座をどうするか考える必要があります。

    帰国後すぐに閉鎖した方がよい場合もあれば、しばらく残しておいた方が便利な場合もあります。

    例えば、最後の給与がまだ振り込まれていない場合や、シェアハウスのボンドが返還されていない場合です。

    帰国前に確認したいこと

    • 最後の給与を受け取ったか
    • ボンドや保証金の返金予定がないか
    • 税金の還付を受ける可能性があるか
    • 自動引き落としや定期支払いが残っていないか
    • 貯蓄口座など、別の口座がないか
    • 銀行に登録している住所や電話番号が正しいか
    • 残高を日本へ送金する方法を確認したか

    口座を閉鎖する場合

    銀行口座を閉鎖するには、銀行の所定の手続きが必要です。

    銀行や口座の種類によっては、オンライン、電話、支店などで手続きできる場合があります。

    ただし、海外からの口座閉鎖には別の本人確認方法が必要となる場合があります。

    日本へ帰国してから手続きが難しくならないよう、帰国前に銀行へ確認しておくと安心です。

    口座を残す場合

    セカンドワーホリで再びオーストラリアに戻る予定がある場合などは、口座を残しておきたい方もいるでしょう。

    ただし、月額口座維持手数料がかかる場合や、一定期間利用がないと休眠口座の取り扱いになる場合があります。

    また、オーストラリア国外へ転居した場合、税務上の居住地や連絡先の更新が必要になることもあります。

    口座を残すことが可能か、海外から引き続き利用できるか、銀行の条件を確認してください。

    残高をゼロにすれば口座は閉鎖される?

    いいえ。残高をゼロにしただけでは、通常、口座の正式な閉鎖手続きは完了しません。

    月額口座維持手数料や定期支払いが設定されている場合、口座を放置すると問題が発生する可能性があります。

    利用しない口座は、正式に閉鎖することをおすすめします。

    オーストラリアの銀行口座開設に関するよくある質問

    ワーキングホリデーでもオーストラリアの銀行口座を開設できますか?

    はい。日本のパスポートと有効なワーキングホリデービザを持っている方は、各銀行の申込条件を満たせば銀行口座を開設できます。本人確認に必要な書類や手続きは銀行によって異なります。
    オーストラリアの銀行口座は日本から開設できますか?

    銀行によっては渡航前にオンライン申込みを始められます。コモンウェルス銀行とウエストパック銀行では到着14日前から、ナショナル・オーストラリア銀行では到着30日前からの手続きが案内されています。ただし、オーストラリア到着後の本人確認が必要で、日本から申込みを始めただけでは口座を自由に使えない場合があります。
    ワーホリにおすすめの銀行はどこですか?

    毎月の口座維持手数料を重視するなら、条件なしで月額A$0のNAB Classic Bankingは比較しやすい選択肢です。一方、コモンウェルス銀行、ウエストパック銀行、ANZ銀行でも、年齢や入金などの条件によって口座維持手数料が無料になる場合があります。申込条件や利用する地域の支店・ATMも比較してください。
    日本のパスポートだけで銀行口座を開設できますか?

    外国パスポートを本人確認書類として受け付ける銀行はありますが、通常、ビザ情報、オーストラリアの住所、連絡先、税務上の情報なども確認されます。必要書類は銀行と申込方法によって異なるため、事前に公式サイトで確認してください。
    シェアハウスが決まっていなくても銀行口座を開設できますか?

    銀行によっては、一時滞在先のホテルや親族宅などの住所を利用できる場合があります。ただし、カードなどの郵便物を受け取れる住所が必要になることもあるため、銀行へ確認してください。正式な住居が決まった後は登録住所を更新しましょう。
    銀行口座の開設にTFNは必要ですか?

    通常、オーストラリアのTFNをまだ取得していないことだけで口座を開設できなくなるわけではありません。ただし、税務上の居住地や外国の納税者番号などの情報を求められる場合があります。TFN取得後に銀行へ登録できる場合もあります。
    BSBとAccount Numberは何が違いますか?

    BSBは銀行や支店などを識別する6桁の番号、Account Numberは個別の銀行口座番号です。オーストラリアで給与を受け取る際には、通常、口座名義、BSB番号、口座番号を雇用主へ提出します。
    デビットカードは口座開設後すぐに使えますか?

    銀行によって異なります。本人確認や利用設定が完了した後、プラスチック製カードの到着を待たずに、デジタルカードをスマートフォンで利用できる銀行もあります。カードの郵送先や利用開始方法を確認してください。
    PayIDとは何ですか?

    PayIDは携帯電話番号やメールアドレスなどを銀行口座に関連付け、送金に利用する仕組みです。対応する金融機関間では、Oskoなどを通じて通常1分以内に送金できる場合があります。ただし、不正送金防止のため処理が保留されることもあります。
    日本からオーストラリアの銀行口座へ送金できますか?

    はい。日本の銀行や海外送金サービスを利用して送金できます。一般的には受取人名、受取銀行名、SWIFT/BIC、BSB、口座番号などが必要です。送金手数料だけでなく、為替換算レートや中継銀行・受取銀行の手数料も確認してください。
    日本へ帰国するときは銀行口座を閉鎖する必要がありますか?

    口座を残せるかどうかは銀行や口座の条件によります。帰国後も利用する予定がある場合は、海外居住者の取り扱いや手数料、連絡先の変更方法を確認してください。利用しない場合は、最後の給与や保証金などを受け取った後、正式に口座を閉鎖するとよいでしょう。



    まとめ|銀行口座は到着後早めに開設し、手数料と本人確認の条件を比較しよう

    オーストラリアでワーキングホリデーを始める方にとって、銀行口座は日常生活や仕事で役立つ大切なものです。

    給与の受け取り、家賃の振り込み、買い物、友人との送金など、さまざまな場面で利用します。

    主な銀行には、コモンウェルス銀行、ウエストパック銀行、ナショナル・オーストラリア銀行、ANZ銀行があります。

    それぞれ、月額口座維持手数料や免除条件が異なります。

    ナショナル・オーストラリア銀行のように、毎月の入金条件なしで口座維持手数料が無料の銀行もあれば、年齢や給与入金などによって無料となる銀行もあります。

    また、渡航前にオンラインで申込みを始められる銀行もありますが、オーストラリア到着後に支店で本人確認を行う必要がある場合があります。

    口座を開設する際には、パスポート、ビザ、オーストラリアの住所、携帯電話番号などを準備しておきましょう。

    口座開設後は、BSB番号と口座番号を確認し、仕事が決まったら雇用主へ正しく伝えます。

    デビットカードやPayID、スマートフォンの銀行アプリも設定しておけば、現地での支払いや送金が便利になります。

    また、日本から生活費を送金する場合は、送金手数料だけでなく、為替レートや最終的な受取額を比較することが大切です。

    ワーキングホリデーの銀行選びでは、口座維持手数料、本人確認のしやすさ、給与の受け取り、カードやアプリの使いやすさを総合的に比較しましょう。

    銀行口座を開設できたら、TFNの申請や携帯電話、住居探しなど、到着後に必要な手続きも進めていきましょう。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアの銀行口座の開設方法|ワーホリ到着後の手続き・必要書類・主要4銀行を比較

    オーストラリアの銀行口座の開設方法|ワーホリ到着後の手続き・必要書類・主要4銀行を比較

    オーストラリアへワーキングホリデーで到着したら、早めに済ませておきたい手続きのひとつが銀行口座の開設です。

    現地で仕事を始めると、給料は通常、銀行口座へ振り込まれます。家賃の支払いや買い物、友人との割り勘などでも、オーストラリアの銀行口座があると便利です。

    ただ、初めて海外で銀行口座を開設するとなると、少し不安に感じるかもしれません。

    「日本のパスポートだけで開設できる?」「オーストラリアの住所がまだ決まっていない場合は?」「どの銀行を選べばいい?」「日本から事前に口座を開設できる?」など、気になることは多いと思います。

    オーストラリアには、コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank of Australia/CommBank)、ウエストパック銀行(Westpac)、ナショナル・オーストラリア銀行(National Australia Bank/NAB)、ANZ銀行(ANZ)などの主要銀行があります。

    いずれもワーキングホリデーや留学などで渡航する人が利用できる口座を提供していますが、申込方法や必要書類、毎月の口座維持手数料は同じではありません。

    例えば、口座維持手数料が最初から無料の銀行もあれば、一定の年齢や入金条件を満たした場合に無料となる銀行もあります。

    また、渡航前にオンラインで申込みを始められる銀行もありますが、日本で申請を済ませただけで、すぐに入金や出金ができるとは限りません。オーストラリア到着後に、支店での本人確認が必要になる場合があります。

    この記事では、日本からワーキングホリデーや留学で渡航する方を対象に、銀行口座の開設方法、主要4銀行の比較、必要書類、デビットカード、給与の受け取り、日本との海外送金まで、2026年10月時点の公式情報をもとに解説します。

    来月からオーストラリアでワーホリを始めます。到着後すぐに仕事を探したいのですが、銀行口座は日本にいる間に作っておいた方がいいですか?
    銀行によっては渡航前から申込みを始められます。ただし、到着後の本人確認が必要な場合があるので、日本で手続きを済ませただけで口座が完全に使えるとは限りません。到着後すぐに銀行へ行けるよう、パスポートやビザ、現地の住所などを準備しておきましょう。




    ワーホリでオーストラリアの銀行口座は必要?

    オーストラリアのワーキングホリデービザを取得するために、現地の銀行口座を事前に開設する必要はありません。

    旅行をするだけなら、日本で発行されたクレジットカードやデビットカードでも支払える場面は多くあります。

    しかし、オーストラリアで仕事をする場合は、現地の銀行口座を開設しておくと便利です。

    現地の雇用主は、通常、給与を従業員の銀行口座へ振り込みます。

    オーストラリア政府のマイガブ(myGov)でも、就職時には雇用主へ銀行口座名義、BSB番号、口座番号を知らせることが一般的と案内しています。

    現地口座があると便利な場面

    • アルバイトや就職先から給与を受け取る
    • シェアハウスの家賃やボンドを振り込む
    • 友人との食事代などを割り勘する
    • スーパーやカフェでデビットカードを使う
    • 現地のATMで現金を引き出す
    • 日本から生活費を送金する
    • 通信料金などを口座引き落としで支払う
    • 給与の一部を貯蓄口座へ移す

    特に、オーストラリアの銀行間送金では、日本の銀行振込とは少し異なる仕組みがあります。

    携帯電話番号やメールアドレスを使って送金できるPayIDなどは、現地生活で役立つ機能のひとつです。

    銀行口座は何日以内に開設すればよい?

    ワーキングホリデー渡航者が、入国後何日以内に銀行口座を開設しなければならないという一律の義務はありません。

    ただし、到着後すぐに仕事が決まる可能性もあります。

    必要な本人確認やカードの準備に時間がかかることも考えると、到着後の最初の数日間で手続きを進めておくと安心です。

    現地の銀行口座とTFNが揃っていれば、就職先への給与関係の情報提出も進めやすくなります。

    普通預金口座と貯蓄口座の違い

    オーストラリアの銀行には、目的の異なる口座があります。

    ワーキングホリデーで最初に必要になるのは、日常の支払いや給与の受け取りに使用するトランザクション・アカウント(Transaction Account)です。

    日本の普通預金口座に近いものと考えると分かりやすいでしょう。

    一方、貯金しておくための口座は、セービングス・アカウント(Savings Account)と呼ばれます。

    項目 Transaction Account Savings Account
    主な用途 給与受取・日常の支払い 貯蓄・利息の受取
    デビットカード 通常利用できる 直接利用できない商品もある
    日常の買い物 便利 商品によって制限あり
    金利 ゼロまたは低い場合が多い 利息が付く商品が多い
    給与の受け取り 一般的 口座の機能による

    例えば、毎日の買い物や家賃の支払いにはトランザクション口座を使用し、すぐに使わないお金を貯蓄口座へ移すという方法があります。

    オーストラリアの銀行では、最初の口座開設時に両方の口座を案内されることもあります。

    最初から貯蓄口座も作った方がよい?

    必須ではありません。

    まずは日常の支払いに使う口座を開設し、現地生活が落ち着いてから貯蓄口座を追加してもよいでしょう。

    貯蓄口座では、毎月一定額を入金することや、残高を増やすことなどが高い金利を受ける条件になっている場合があります。

    ワーキングホリデーでは収入が変動することもあるため、条件を無理なく満たせるか確認することが大切です。

    また、短期滞在の場合は、金利だけでなく、口座を使いやすいか、海外送金や解約手続きが簡単かなども考えておきたいところです。

    主要4銀行を比較|口座維持手数料はいくら?

    オーストラリアには多くの金融機関がありますが、初めて渡航する方にとって選択肢になりやすいのが、大手4銀行です。

    支店やATMが各地にあり、オンラインバンキングやスマートフォンアプリも利用できます。

    ここでは、各銀行の日常取引用口座の代表的な商品を比較します。

    料金は2026年10月時点の各銀行公式サイトで確認できる条件です。

    銀行・口座名 通常の月額料金 主な無料条件
    コモンウェルス銀行
    Everyday Smart Access
    A$4 30歳未満、月A$2,000以上の入金、その他の対象条件
    ウエストパック銀行
    Westpac Choice
    A$5 41歳未満、月A$2,000以上の入金、新規渡航者の最初の12か月など
    ナショナル・オーストラリア銀行
    NAB Classic Banking
    A$0 月額口座維持手数料なし
    ANZ銀行
    ANZ Access Advantage
    A$5 月A$2,000以上の入金、その他の対象条件

    ※表は月額口座維持手数料の比較です。ATM、海外取引、海外送金、残高超過などの手数料は別に発生する場合があります。また、無料条件は各銀行の規定に従います。

    コモンウェルス銀行

    コモンウェルス銀行は、オーストラリアの大手銀行のひとつです。

    日常生活向けのEveryday Smart Access口座では、通常、月A$4の口座維持手数料が設定されています。

    ただし、30歳未満の方や、1か月にA$2,000以上を口座へ入金する方などは、手数料が無料になります。

    さらに、海外からの新規渡航者向けの申込制度では、最初の12か月間、口座維持手数料が免除される案内があります。

    ただし、その制度の対象条件を満たす必要があります。

    デビットカードにはマスターカード(Mastercard)が採用されており、スマートフォンによる非接触決済にも対応しています。

    コモンウェルス銀行:Everyday Smart Access公式ページ

    ウエストパック銀行

    ウエストパック銀行の代表的な日常取引用口座はWestpac Choiceです。

    通常の月額口座維持手数料はA$5ですが、現在の公式案内では41歳未満の方が無料対象に含まれています。

    また、月A$2,000以上の入金や、新規渡航者向けの最初の12か月間の免除なども設けられています。

    過去の情報では無料となる年齢が異なる場合がありますので、最新の料金表を確認してください。

    ウエストパック銀行:Westpac Choice公式ページ

    ナショナル・オーストラリア銀行

    ナショナル・オーストラリア銀行のNAB Classic Bankingは、月額口座維持手数料がA$0です。

    毎月一定額の入金を行う条件もないため、収入が不安定になりやすいワーキングホリデー渡航者にとって分かりやすい料金体系です。

    標準のVisaデビットカードについても、月額カード料金が無料です。

    ただし、海外取引などには別の手数料がかかる場合があります。

    ナショナル・オーストラリア銀行:NAB Classic Banking公式ページ

    ANZ銀行

    ANZ銀行のANZ Access Advantageでは、通常、月A$5の口座維持手数料があります。

    ただし、月A$2,000以上の入金など、所定の条件を満たす場合は免除されます。

    また、ANZにはANZ Plusという、月額口座維持手数料のないデジタルバンキング商品もあります。

    しかし、ANZ Plusのオンライン本人確認では、有効なオーストラリアのパスポートまたは運転免許証などが条件となっているため、日本のパスポートだけで新規申請する方は利用条件に注意が必要です。

    一方、ANZ Access Advantageでは、外国パスポートによる支店での本人確認が案内されています。

    ワーキングホリデー渡航者は、同じANZでも商品によって申込条件が異なることを覚えておきましょう。

    ANZ銀行:ANZ Access Advantage公式ページ

    結局、どの銀行がよい?

    毎月の口座維持手数料をシンプルにしたいなら、条件なしで月額A$0のナショナル・オーストラリア銀行は比較しやすい選択肢です。

    一方、コモンウェルス銀行やウエストパック銀行でも、年齢や新規渡航者向けの条件を満たせば、月額手数料を支払わずに利用できます。

    どの銀行も主要都市に支店がありますが、地方で生活する予定がある場合は、実際に滞在する地域に支店や利用しやすいATMがあるか確認してください。

    手数料だけではなく、本人確認のしやすさ、アプリの使いやすさ、送金手数料、カードの受け取り方法なども含めて比較するとよいでしょう。

    日本から渡航前に開設できる銀行は?

    オーストラリアへ到着してから銀行へ行く時間がない方は、日本にいる間に申込みを進めたいと思うかもしれません。

    実際、主要銀行の中には、渡航前からオンラインで口座開設の手続きを始められるところがあります。

    ただし、日本から申込みを始められることと、日本からすべての銀行機能を利用できることは別です。

    コモンウェルス銀行:到着14日前から

    コモンウェルス銀行の新規渡航者向け制度では、オーストラリアへの到着予定日まで14日以内、または入国から12か月以内の方などが申込みの対象です。

    申込み後は、口座開設から20日以内にオーストラリア国内の支店でパスポートの原本による本人確認を行う必要があります。

    本人確認が完了するまでは、入金や買い物などに口座を利用できません。

    本人確認を行わない場合には、口座が自動的に閉鎖される可能性もあります。

    コモンウェルス銀行:新規渡航者の申込み条件

    ウエストパック銀行:到着14日前から

    ウエストパック銀行も、到着予定日まで14日以内の方に対して、事前申込みの仕組みを提供しています。

    日本にいる間にオンラインバンキングの登録や口座設定の一部を進められます。

    ただし、日本国籍者が日本のパスポートで申し込む場合は、オーストラリア到着後に支店で本人確認を行う案内となっています。

    本人確認が完了してから、口座を有効化する仕組みです。

    ウエストパック銀行:新規渡航者向け口座開設

    ナショナル・オーストラリア銀行:到着30日前から

    ナショナル・オーストラリア銀行の新規渡航者向け手続きでは、到着予定日まで30日以内、または入国から12か月以内などの条件で、オンライン申込みを始められます。

    ただし、申込みだけでは口座開設が完了しません。

    オーストラリアに到着後、申込みを始めてから30日以内に支店を訪れ、本人確認と口座の有効化を行う必要があります。

    その際には、パスポート、ビザ、オーストラリア国内の住所、携帯電話番号などが必要です。

    また、この制度では、原則としてオーストラリアに6か月以上滞在する予定があり、支店を訪れる時点でパスポートとビザが少なくとも6か月有効であることなどが条件となっています。

    ナショナル・オーストラリア銀行:新規渡航者向け銀行口座

    ANZ銀行の場合

    ANZ銀行では、外国パスポートとビザを持つ方向けの本人確認方法が案内されています。

    ただし、通常のオンライン申込みと外国人向けの申込条件は必ずしも同じではありません。

    日本のパスポートで申請する場合は、支店での本人確認に必要な書類を事前に確認するとよいでしょう。

    渡航前に手続きを始めるべき?

    必ずしも必要ではありません。

    到着後に銀行の支店へ行けるのであれば、現地で口座開設を行うこともできます。

    ただし、渡航前の申込みでは、本人確認を行う期限が設けられていることがあります。

    旅行日程が変更になる可能性がある場合は、あまり早く手続きを進めない方がよいケースもあります。

    銀行の公式条件を確認してから申し込みましょう。



    銀行口座開設に必要な書類と情報

    日本のパスポートを使って口座を開設する場合、通常、本人確認書類とオーストラリアでの連絡先などが必要です。

    銀行や申込方法によって異なりますが、次の情報を準備しておくとよいでしょう。

    必要なもの 内容
    パスポート 有効な日本のパスポート原本
    オーストラリアのビザ ワーキングホリデーなどの有効なビザ情報
    オーストラリア国内の住所 滞在先・居住地の住所
    携帯電話番号 本人確認やSMS認証に使用
    メールアドレス 銀行からの連絡やオンラインバンキング用
    税務上の居住地情報 税務上どの国の居住者に当たるか
    外国の納税者番号 該当する国のTINなど
    TFN すでにオーストラリアで取得している場合

    パスポートだけで開設できる?

    銀行によっては、外国パスポートを主な本人確認書類として利用できます。

    ただし、外国パスポートを持っていれば、必ずどの銀行でもオンラインだけで本人確認が完了するわけではありません。

    例えば、ANZ銀行では、外国パスポートを支店で受け付ける本人確認書類のひとつとして案内しています。

    銀行によっては、別の本人確認書類や住所情報の提示を求められる場合もあります。

    ビザの情報は何を見せればよい?

    オーストラリアのビザは、通常、パスポートに電子的に関連付けられています。

    ワーキングホリデービザが許可された際の通知書を保存しておくと便利です。

    必要に応じて、内務省のビザ・エンタイトルメント・ベリフィケーション・オンライン(Visa Entitlement Verification Online/VEVO)を利用して、有効なビザ情報を確認できます。

    オーストラリア内務省:VEVOでのビザ確認

    TFNがないと銀行口座を開設できない?

    通常、TFNをまだ取得していないことだけを理由に、銀行口座の開設ができなくなるわけではありません。

    ただし、銀行から税務上の居住地や外国の納税者番号について情報を求められることがあります。

    TFNと外国の納税者番号は同じものではありません。

    税務情報については後ほど詳しく説明します。

    到着後の銀行口座開設手順

    それでは、日本からワーキングホリデーで到着した場合を想定し、銀行口座を開設する流れを見てみましょう。

    ここでは、支店で本人確認を行う一般的なケースを紹介します。

    STEP 1.開設する銀行と口座を決める

    まずは、各銀行の手数料や口座の機能を比較します。

    ワーキングホリデーの給与受取用であれば、基本的には日常取引用の口座で十分です。

    利用する銀行が決まったら、公式サイトで外国パスポート保有者の申込方法を確認してください。

    STEP 2.携帯電話と住所を準備する

    銀行では、本人確認や不正利用防止のためにSMS認証を行う場合があります。

    オーストラリアの携帯電話番号を取得しておくと、その後の手続きがスムーズです。

    また、居住地住所も登録する必要があります。

    到着後に住所が変わる予定なら、変更方法も確認しておきましょう。

    STEP 3.オンラインで申込む、または支店へ行く

    銀行によっては、事前にオンライン申込みを行い、その後に支店で本人確認をする仕組みです。

    また、到着後に支店で口座開設の手続きを始められる銀行もあります。

    支店へ行く場合、事前予約をした方がスムーズなこともあります。

    特に日本人渡航者が多い都市の中心部では、口座開設の相談が集中する場合もあるでしょう。

    STEP 4.本人確認を行う

    銀行員から、パスポート、ビザ、住所、連絡先などについて確認されます。

    また、税務上の居住地や口座を利用する目的について質問される場合があります。

    仕事を探す予定なら、給与の受け取りに利用することを伝えればよいでしょう。

    STEP 5.口座の情報を受け取る

    口座が開設されると、口座名義、BSB番号、口座番号などを確認できるようになります。

    これらは、雇用主へ給与振込先を知らせる際に必要です。

    銀行のアプリやオンラインバンキングから確認できる場合が多いので、操作方法を聞いておくと便利です。

    STEP 6.アプリとデビットカードを設定する

    銀行の公式アプリをスマートフォンへインストールし、ログインや本人確認の設定を行います。

    また、デビットカードが発行される場合は、利用開始の方法や暗証番号の設定を確認しましょう。

    銀行によっては、プラスチック製のカードが届く前からデジタルカードを使える場合があります。

    STEP 7.少額の入金・支払いで確認する

    口座の利用が始まったら、入金、アプリの残高表示、少額の支払いなどを確認してみましょう。

    その際、自分の口座番号とBSB番号を間違えないようにしてください。

    口座を開設できたら、必要に応じて雇用主へ銀行情報を提出できます。

    英語が苦手でも大丈夫?窓口での会話例

    初めて銀行へ行く方の中には、英語で手続きをすることに不安を感じる方もいると思います。

    ただ、銀行口座の開設では、名前や住所、パスポート情報など、決まった内容を確認することが多くあります。

    基本的な英語表現を覚えておけば、手続きの内容を理解しやすくなるでしょう。

    銀行口座を開設したいと伝える

    I’d like to open a bank account.

    銀行口座を開設したいです。

    I’m here on a working holiday visa.

    ワーキングホリデービザで滞在しています。

    I need an account to receive my salary.

    給料を受け取るための口座が必要です。

    必要な書類を確認する

    Is my Japanese passport enough for identification?

    本人確認には日本のパスポートだけで十分ですか?

    Do I need to provide proof of address?

    住所を証明する書類が必要ですか?

    手数料を確認する

    Is there a monthly account fee?

    毎月の口座維持手数料はありますか?

    Is the fee waived for working holiday visa holders?

    ワーキングホリデー渡航者は手数料が免除されますか?

    カードの受け取りを確認する

    When can I start using my debit card?

    デビットカードはいつから使えますか?

    Can I use a digital card before the physical card arrives?

    カードの現物が届く前に、デジタルカードを使えますか?

    英語が聞き取れない場合

    Could you please speak a little more slowly?

    もう少しゆっくり話していただけますか?

    Could you write that down for me?

    それを書いていただけますか?

    銀行によっては、通訳サービスなどを利用できる場合もあります。

    説明を十分に理解できないまま、不要な有料サービスやクレジット契約などに申し込まないようにしましょう。

    住所が決まっていない場合の開設方法

    ワーキングホリデーで到着したばかりの方は、まだシェアハウスが決まっていないかもしれません。

    最初はホテルやホステルに滞在しながら、部屋や仕事を探す方も多いでしょう。

    この場合、銀行口座の開設に使用する住所について確認が必要です。

    ホテルの住所でもよい?

    銀行によっては、到着直後の一時滞在先住所を申込みの際に使用できる場合があります。

    例えば、ウエストパック銀行の新規渡航者向け案内では、オーストラリア国内の住所について、ホテルや親族宅などの一時的な住所も例として挙げています。

    ただし、すべての銀行が同じ条件とは限りません。

    本人確認に必要な住所情報と、カードを郵送する住所について、銀行へ確認してください。

    デビットカードの郵送先は重要

    銀行によっては、プラスチック製のデビットカードを登録住所へ郵送します。

    ホテルやホステルに短期間しか滞在しない場合は、カードが届く前にチェックアウトしてしまう可能性があります。

    また、すべての宿泊施設が郵便物の受け取りに対応しているわけではありません。

    カードを支店で受け取れるか、デジタルカードを先に使えるか、郵送先を後から変更できるかなどを確認しておくと安心です。

    引っ越したら住所変更をする

    シェアハウスなどの住居が決まったら、銀行に登録している住所を更新してください。

    住所が古いままだと、銀行からの重要な通知やカードの再発行書類などが届かない可能性があります。

    また、住所だけでなく、携帯電話番号やメールアドレスを変更した場合にも、必要な登録情報を更新しましょう。



    デビットカードはいつ届く?クレジットカードとの違い

    オーストラリアの銀行口座を開設すると、通常、日常の支払いに利用できるデビットカードが発行されます。

    デビットカードは、銀行口座の残高を使って支払うカードです。

    日本のクレジットカードのように、翌月以降にまとめて請求される仕組みとは異なります。

    銀行口座の残高から、通常、支払額がその都度引き落とされます。

    項目 デビットカード クレジットカード
    支払い 原則として預金残高から即時引き落とし 後日請求
    利用可能額 通常は口座残高の範囲内 信用枠の範囲内
    信用審査 通常、一般のクレジット審査は不要 信用審査が必要
    ATMでの引き出し 銀行口座からの現金引き出し キャッシングになる場合がある

    オーストラリアのデビットカードは、Visaやマスターカードなどの国際ブランドに対応しているものが一般的です。

    そのため、スーパーやカフェ、オンラインショップなど、多くの場所で利用できます。

    カードが届く前に買い物できる?

    銀行や口座によっては、本人確認とカードの設定が完了した後、デジタルカードを利用できる場合があります。

    スマートフォンのアップルペイ(Apple Pay)やグーグルペイ(Google Pay)などに登録すれば、対応する店舗で支払いができます。

    ただし、本人確認が完了していない口座では、デジタルカードが表示されていても利用できない場合があります。

    また、スマートフォンでの支払いに対応していない店舗や取引もあるため、渡航直後は日本の決済カードや少額の現金も用意しておくと安心です。

    クレジットカードを最初から申し込む必要はある?

    通常ありません。

    ワーキングホリデーで給与を受け取り、日常の買い物をするだけなら、デビットカードで十分対応できることが多いでしょう。

    クレジットカードは、銀行が収入や居住状況などを審査したうえで発行する商品です。

    ワーキングホリデー渡航者の場合、滞在期間や収入などによっては申込条件を満たさない場合もあります。

    ホテルやレンタカーのデポジットにも使える?

    デビットカードでも保証金の仮押さえを受け付ける施設や会社がありますが、すべてではありません。

    ホテルやレンタカー会社によっては、クレジットカードが必要だったり、デビットカードの場合は保証金の取り扱いが異なったりします。

    また、デビットカードで仮押さえが行われると、口座残高の一部が一時的に利用できなくなる場合があります。

    旅行やレンタカーの予約に使うときは、事前に支払い条件を確認しましょう。

    BSB・Account Numberとは?給料の受け取り方

    銀行口座が開設できたら、仕事を始める際に雇用主へ銀行情報を提出します。

    そのときに必要なのが、BSB番号とAccount Numberです。

    BSBとは?

    BSBは、バンク・ステート・ブランチ(Bank State Branch)の略で、オーストラリア国内の銀行や支店などを識別する6桁の番号です。

    通常、3桁ずつ区切って表示されます。

    銀行間でお金を振り込むときには、このBSB番号と口座番号を使用します。

    Account Numberとは?

    Account Numberは銀行口座番号です。

    桁数は銀行によって異なります。

    日本の銀行口座のように、銀行名・支店名・口座番号だけで伝えるのではなく、オーストラリアではBSBと口座番号を組み合わせて利用します。

    雇用主へ提出する銀行情報

    英語 意味
    Account Name 銀行口座名義
    Bank Name 銀行名
    BSB Number 6桁の銀行・支店識別番号
    Account Number 銀行口座番号

    雇用主は、通常、これらの情報を使って給与を振り込みます。

    政府のmyGovでも、就職時に銀行口座名義、BSB番号、口座番号を提出することが一般的と案内しています。

    オーストラリア政府:雇用主へ提出する銀行情報

    口座番号はどこで確認できる?

    通常、銀行のアプリやインターネットバンキングで確認できます。

    ただし、デビットカードの表面に書かれているカード番号と、銀行口座番号は別のものです。

    給与振込先を伝える際に、カード番号を口座番号と間違えないようにしましょう。

    振込先の変更もできる?

    途中で別の銀行へ変更したり、給与振込先を変えたりすることもできます。

    その場合は、雇用主の給与担当者へ新しい銀行情報を提出します。

    変更手続きが給与計算に間に合わない場合もあるため、古い口座を閉鎖する前に、新しい口座への給与振込が確認できているか確かめましょう。

    PayID・Oskoの使い方と送金時の注意点

    オーストラリアで友人にお金を送る際、BSB番号や口座番号を聞かずに送金できる場合があります。

    そのときに利用されるのが、ペイアイディー(PayID)です。

    PayIDは、携帯電話番号やメールアドレスなどを銀行口座に関連付けて、送金に利用する仕組みです。

    例えば、友人との食事代を立て替えてもらった場合、相手がPayIDを登録していれば、銀行アプリからその携帯電話番号などを指定して送金できます。

    PayIDの設定方法

    PayIDに対応している銀行では、通常、銀行の公式アプリやオンラインバンキングから登録できます。

    一般的な流れは次のとおりです。

    1. 銀行のアプリにログインする
    2. PayIDの設定画面を開く
    3. 携帯電話番号またはメールアドレスを選ぶ
    4. 関連付ける銀行口座を選ぶ
    5. 銀行が指定する本人確認を行う
    6. 登録完了後、PayIDで受け取れるようになる

    実際の画面や名称は銀行によって異なります。

    また、同じ携帯電話番号を、複数の銀行口座へ同時にPayIDとして登録できるわけではありません。

    別の銀行へ移す場合には、PayIDの移管手続きが必要になることがあります。

    Oskoとは?

    オスコ(Osko)は、オーストラリアの即時送金サービスのひとつです。

    対応する金融機関の間では、PayIDまたはBSB・口座番号を使って、通常1分以内に送金が完了する場合があります。

    ただし、すべての支払いが必ず即時に処理されるわけではありません。

    不正送金防止のため、銀行が一時的に送金を保留する場合があります。

    送金前に相手の名前を確認する

    PayIDを利用した送金では、送金先に関連付けられた口座名義が表示されます。

    入力した携帯電話番号やメールアドレスが正しいか、表示された相手の名前とともに確認してください。

    特に、初めて家賃やボンドを送金する場合は注意が必要です。

    PayIDを使った詐欺にも注意

    PayIDを装った偽のメールやSMSによる詐欺が報告されています。

    例えば、「支払いを受け取るにはビジネスアカウントへアップグレードする必要がある」「お金を受け取るために先に手数料を払ってほしい」といった連絡です。

    しかし、PayIDそのものが利用者に直接メールを送って、送金やアップグレード料金を要求することはありません。

    こうした連絡が届いた場合は、送信者の説明を信用せず、自分の銀行アプリで入金状況を確認してください。

    オーストラリアン・ペイメンツ・プラス(Australian Payments Plus):PayIDの公式案内



    日本からオーストラリアの銀行口座へ送金する方法

    ワーキングホリデーでは、日本にある貯金の一部を、オーストラリアの銀行口座へ移すこともあるでしょう。

    現地で家賃や生活費を支払う際に、オーストラリアドルを銀行口座へ用意しておくと便利です。

    日本から送金する方法には、銀行の海外送金サービスや、海外送金を取り扱う専門サービスなどがあります。

    銀行から海外送金する場合

    日本の銀行からオーストラリアの銀行へ送金する場合、通常、次のような情報が必要になります。

    • 受取人の正式な氏名
    • 受取銀行名
    • 銀行のSWIFT/BICコード
    • BSB番号
    • 口座番号
    • 受取人の住所など、銀行が求める情報

    必要な情報は、送金元の銀行と受取銀行によって異なります。

    特にSWIFT/BICコードは、国際送金のために銀行を識別するコードです。

    オーストラリア国内のBSB番号とは役割が異なります。

    また、オーストラリアでは、日本やヨーロッパの銀行で使われる口座識別方法とは違う番号体系が使われます。

    送金先の情報を入力する際には、銀行が案内している国際送金用の情報を確認してください。

    送金手数料だけで比較しない

    海外送金の費用は、銀行が表示する送金手数料だけではありません。

    次のような費用や条件も関係します。

    • 送金サービスの取扱手数料
    • 日本円から豪ドルへの換算レート
    • 中継銀行の手数料
    • 受取銀行の手数料
    • 実際に口座へ入金される金額
    • 送金が完了するまでの期間

    例えば、送金手数料が無料でも、為替レートに含まれるコストが大きければ、受取額が少なくなる場合があります。

    比較するときは、同じ日本円を送金した場合、最終的に何豪ドルを受け取れるのか確認すると分かりやすいでしょう。

    海外送金の計算例

    日本から10万円を送る場合を考えてみます。

    ここでは計算を分かりやすくするため、仮に1豪ドル=100円とします。

    項目 例A 例B
    送金額 100,000円 100,000円
    換算レート 1豪ドル=101円 1豪ドル=100円
    別途の手数料 0円 1,000円
    概算受取額 約A$990.10 A$990.00

    この例では、送金手数料が無料のAと、手数料を別に取るBで、最終的な受取額はほぼ同じです。

    これは仕組みを説明するための仮定であり、実際の為替レートや送金サービスの料金ではありません。

    また、中継銀行や受取銀行による追加費用は含めていません。

    海外送金サービスを利用する場合

    銀行以外では、ワイズ(Wise)などの海外送金サービスが選択肢になることもあります。

    ただし、利用条件、本人確認、手数料、対応通貨、送金限度額はサービスによって異なります。

    また、海外送金サービスの残高保管機能は、オーストラリアの銀行預金と同じ預金保護を受けるとは限りません。

    送金手数料だけでなく、資金の保管方法や規制上の取り扱いも確認しておきましょう。

    最初は少額の送金で確認する

    初めて日本から送金する場合は、口座番号や銀行情報に間違いがないか確認するため、少額で送金を試してから本格的に資金を移す方法もあります。

    ただし、送金ごとに固定手数料が発生する場合もあるので、その点には注意してください。

    ATM・海外利用・口座維持手数料で注意すること

    銀行口座を開設するときは、月額口座維持手数料だけでなく、実際の使い方に応じた手数料も確認しましょう。

    ATMの引き出し手数料

    オーストラリアでは、自分の銀行や提携銀行のATMなら、引き出し手数料が無料になる場合があります。

    一方、独立系ATMや一部の設置場所では、ATM運営会社による手数料がかかることがあります。

    引き出し前に画面に手数料が表示される場合は、内容を確認してから操作してください。

    日本でデビットカードを使った場合

    オーストラリアで発行されたデビットカードを、日本への一時帰国中に利用することも考えられます。

    ただし、日本円での買い物や海外ATMでの現金引き出しには、海外取引手数料や為替換算コストがかかる場合があります。

    例えば、ウエストパックのChoice口座では、海外取引に関する所定の手数料が設定されています。

    ナショナル・オーストラリア銀行の標準的なVisaデビットカードにも、海外取引手数料の対象となる利用があります。

    口座維持手数料が無料でも、海外利用まで必ず無料になるわけではありません。

    オンラインの海外サイトで買う場合も注意

    オーストラリア国内でカードを使っていても、海外の事業者が処理するオンライン取引などでは、海外取引手数料がかかる場合があります。

    例えば、海外のホテル予約サイトや外国企業のオンラインサービスなどを利用する場合です。

    決済画面にオーストラリアドルで表示されているからといって、すべて国内取引として扱われるとは限りません。

    残高不足による手数料

    銀行口座の残高が足りない状態で支払いを行った場合、銀行によっては残高超過に関する手数料や利息が発生することがあります。

    例えば、コモンウェルス銀行のSmart Accessでは、一定の条件で残高超過手数料がかかる場合があります。

    銀行によっては、残高を超える取引を許可しない設定もあります。

    ワーキングホリデーで収入が不規則になる場合は、不要な手数料を避けるために設定を確認しておくとよいでしょう。

    TFNと銀行口座の税務情報は同じ?

    銀行口座を開設する際には、税金に関する質問を受けることがあります。

    例えば、オーストラリアのTFNや、ほかの国の納税者番号を持っているかどうかです。

    ここで注意したいのが、TFNと外国のTINを混同しないことです。

    TFNとは?

    TFNは、オーストラリア税務局が発行する個人の税務番号です。

    ワーキングホリデーで働く場合、給与に関する税金の管理に使用します。

    TFNはオーストラリア到着後に申請できます。

    TINとは?

    TINは、タックス・アイデンティフィケーション・ナンバー(Tax Identification Number)の略で、納税者番号を意味する国際的な用語です。

    日本では、個人番号(マイナンバー)が税務上のTINに相当します。

    オーストラリアの銀行が外国のTINを尋ねるのは、海外の税務当局との情報交換制度などに対応するためです。

    日本人なら必ずマイナンバーを提出する?

    必ずしもそうとは限りません。

    銀行が確認するのは、国籍だけではなく、税務上の居住地です。

    日本国籍だからといって、すべての人が税務上の日本居住者に該当するわけではありません。

    反対に、オーストラリアに滞在していても、日本の税務上の居住者に該当する場合があります。

    銀行から外国の税務上の居住地やTINについて尋ねられた場合は、自分の実際の状況に従って回答してください。

    銀行へTFNを登録しないとどうなる?

    オーストラリアの銀行口座から利息を受け取る場合、TFNを登録していないと、税務上の条件によっては、銀行が利息から税金を源泉徴収することがあります。

    ただし、これは給与にかかる税金とは別の問題です。

    TFNを銀行へ登録していないからといって、口座残高そのものに一律の税金がかかるという意味ではありません。

    また、外国居住者に対する利息の源泉徴収には、通常のTFN未提出時とは異なる取り扱いが適用される場合があります。

    詳しくはATOや銀行の公式案内を確認してください。

    TFNが届いたら銀行へ知らせる

    口座開設時にTFNをまだ取得していなかった場合は、番号が発行された後に銀行へ登録できることがあります。

    オンラインバンキングなどで更新できる場合もありますので、銀行の案内を確認しましょう。

    TFNの取得については、関連記事「オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点」も参考にしてください。

    銀行口座の安全対策と預金保護制度

    オーストラリアで銀行口座を開設したら、カードやオンラインバンキングの安全対策も確認しておきましょう。

    海外生活では、知らない相手との送金や、オンラインでの買い物なども増えるかもしれません。

    スマートフォンのセキュリティー設定

    銀行の公式アプリには、ログイン時の本人確認、支払通知、カードの一時停止などの機能が設けられている場合があります。

    最初にアプリを設定する際には、強固なパスワードや生体認証などを利用しましょう。

    また、SMS認証に使用する携帯電話番号を変更する場合は、銀行に登録された番号も更新してください。

    銀行を装ったSMS・メールに注意

    銀行を装い、「不正な取引がありました」「口座が凍結されます」といったメッセージを送る詐欺があります。

    メッセージ内のリンクからログイン情報やカード番号を入力させようとする場合は注意が必要です。

    不審な連絡が届いたときは、リンクからアクセスするのではなく、銀行の公式アプリや正式な問い合わせ先を利用してください。

    デビットカードを紛失した場合

    銀行によっては、公式アプリからカードを一時的に停止できる場合があります。

    カードを紛失したり、不正利用が疑われたりする場合は、速やかに銀行へ連絡してください。

    また、身に覚えのない取引がないか、定期的に口座の利用履歴を確認しましょう。

    オーストラリアの預金保護制度

    オーストラリアには、金融請求制度(Financial Claims Scheme/FCS)という政府の預金保護制度があります。

    オーストラリア健全性規制庁(Australian Prudential Regulation Authority/APRA)の公式案内では、対象金融機関が経営破綻し、政府が制度を発動した場合、1人につき対象金融機関ごとに最大A$250,000までの預金が保護されます。

    ただし、これは銀行口座ごとにA$250,000という意味ではありません。

    同じ銀行免許のもとで複数の口座を保有している場合は、原則として預金を合算して判断します。

    また、対象となるのは、オーストラリア国内の対象金融機関に預けられた豪ドル建ての対象預金などです。

    海外送金サービスの残高やプリペイドカードなどが、すべて同じ制度で保護されるわけではありません。

    なお、APRAの案内では、国籍や居住者区分だけを理由に、この預金保護制度の対象外になるわけではありません。

    APRA公式:Financial Claims Scheme

    日本へ帰国するとき、銀行口座はどうする?

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する際には、オーストラリアの銀行口座をどうするか考える必要があります。

    帰国後すぐに閉鎖した方がよい場合もあれば、しばらく残しておいた方が便利な場合もあります。

    例えば、最後の給与がまだ振り込まれていない場合や、シェアハウスのボンドが返還されていない場合です。

    帰国前に確認したいこと

    • 最後の給与を受け取ったか
    • ボンドや保証金の返金予定がないか
    • 税金の還付を受ける可能性があるか
    • 自動引き落としや定期支払いが残っていないか
    • 貯蓄口座など、別の口座がないか
    • 銀行に登録している住所や電話番号が正しいか
    • 残高を日本へ送金する方法を確認したか

    口座を閉鎖する場合

    銀行口座を閉鎖するには、銀行の所定の手続きが必要です。

    銀行や口座の種類によっては、オンライン、電話、支店などで手続きできる場合があります。

    ただし、海外からの口座閉鎖には別の本人確認方法が必要となる場合があります。

    日本へ帰国してから手続きが難しくならないよう、帰国前に銀行へ確認しておくと安心です。

    口座を残す場合

    セカンドワーホリで再びオーストラリアに戻る予定がある場合などは、口座を残しておきたい方もいるでしょう。

    ただし、月額口座維持手数料がかかる場合や、一定期間利用がないと休眠口座の取り扱いになる場合があります。

    また、オーストラリア国外へ転居した場合、税務上の居住地や連絡先の更新が必要になることもあります。

    口座を残すことが可能か、海外から引き続き利用できるか、銀行の条件を確認してください。

    残高をゼロにすれば口座は閉鎖される?

    いいえ。残高をゼロにしただけでは、通常、口座の正式な閉鎖手続きは完了しません。

    月額口座維持手数料や定期支払いが設定されている場合、口座を放置すると問題が発生する可能性があります。

    利用しない口座は、正式に閉鎖することをおすすめします。

    オーストラリアの銀行口座開設に関するよくある質問

    ワーキングホリデーでもオーストラリアの銀行口座を開設できますか?

    はい。日本のパスポートと有効なワーキングホリデービザを持っている方は、各銀行の申込条件を満たせば銀行口座を開設できます。本人確認に必要な書類や手続きは銀行によって異なります。
    オーストラリアの銀行口座は日本から開設できますか?

    銀行によっては渡航前にオンライン申込みを始められます。コモンウェルス銀行とウエストパック銀行では到着14日前から、ナショナル・オーストラリア銀行では到着30日前からの手続きが案内されています。ただし、オーストラリア到着後の本人確認が必要で、日本から申込みを始めただけでは口座を自由に使えない場合があります。
    ワーホリにおすすめの銀行はどこですか?

    毎月の口座維持手数料を重視するなら、条件なしで月額A$0のNAB Classic Bankingは比較しやすい選択肢です。一方、コモンウェルス銀行、ウエストパック銀行、ANZ銀行でも、年齢や入金などの条件によって口座維持手数料が無料になる場合があります。申込条件や利用する地域の支店・ATMも比較してください。
    日本のパスポートだけで銀行口座を開設できますか?

    外国パスポートを本人確認書類として受け付ける銀行はありますが、通常、ビザ情報、オーストラリアの住所、連絡先、税務上の情報なども確認されます。必要書類は銀行と申込方法によって異なるため、事前に公式サイトで確認してください。
    シェアハウスが決まっていなくても銀行口座を開設できますか?

    銀行によっては、一時滞在先のホテルや親族宅などの住所を利用できる場合があります。ただし、カードなどの郵便物を受け取れる住所が必要になることもあるため、銀行へ確認してください。正式な住居が決まった後は登録住所を更新しましょう。
    銀行口座の開設にTFNは必要ですか?

    通常、オーストラリアのTFNをまだ取得していないことだけで口座を開設できなくなるわけではありません。ただし、税務上の居住地や外国の納税者番号などの情報を求められる場合があります。TFN取得後に銀行へ登録できる場合もあります。
    BSBとAccount Numberは何が違いますか?

    BSBは銀行や支店などを識別する6桁の番号、Account Numberは個別の銀行口座番号です。オーストラリアで給与を受け取る際には、通常、口座名義、BSB番号、口座番号を雇用主へ提出します。
    デビットカードは口座開設後すぐに使えますか?

    銀行によって異なります。本人確認や利用設定が完了した後、プラスチック製カードの到着を待たずに、デジタルカードをスマートフォンで利用できる銀行もあります。カードの郵送先や利用開始方法を確認してください。
    PayIDとは何ですか?

    PayIDは携帯電話番号やメールアドレスなどを銀行口座に関連付け、送金に利用する仕組みです。対応する金融機関間では、Oskoなどを通じて通常1分以内に送金できる場合があります。ただし、不正送金防止のため処理が保留されることもあります。
    日本からオーストラリアの銀行口座へ送金できますか?

    はい。日本の銀行や海外送金サービスを利用して送金できます。一般的には受取人名、受取銀行名、SWIFT/BIC、BSB、口座番号などが必要です。送金手数料だけでなく、為替換算レートや中継銀行・受取銀行の手数料も確認してください。
    日本へ帰国するときは銀行口座を閉鎖する必要がありますか?

    口座を残せるかどうかは銀行や口座の条件によります。帰国後も利用する予定がある場合は、海外居住者の取り扱いや手数料、連絡先の変更方法を確認してください。利用しない場合は、最後の給与や保証金などを受け取った後、正式に口座を閉鎖するとよいでしょう。



    まとめ|銀行口座は到着後早めに開設し、手数料と本人確認の条件を比較しよう

    オーストラリアでワーキングホリデーを始める方にとって、銀行口座は日常生活や仕事で役立つ大切なものです。

    給与の受け取り、家賃の振り込み、買い物、友人との送金など、さまざまな場面で利用します。

    主な銀行には、コモンウェルス銀行、ウエストパック銀行、ナショナル・オーストラリア銀行、ANZ銀行があります。

    それぞれ、月額口座維持手数料や免除条件が異なります。

    ナショナル・オーストラリア銀行のように、毎月の入金条件なしで口座維持手数料が無料の銀行もあれば、年齢や給与入金などによって無料となる銀行もあります。

    また、渡航前にオンラインで申込みを始められる銀行もありますが、オーストラリア到着後に支店で本人確認を行う必要がある場合があります。

    口座を開設する際には、パスポート、ビザ、オーストラリアの住所、携帯電話番号などを準備しておきましょう。

    口座開設後は、BSB番号と口座番号を確認し、仕事が決まったら雇用主へ正しく伝えます。

    デビットカードやPayID、スマートフォンの銀行アプリも設定しておけば、現地での支払いや送金が便利になります。

    また、日本から生活費を送金する場合は、送金手数料だけでなく、為替レートや最終的な受取額を比較することが大切です。

    ワーキングホリデーの銀行選びでは、口座維持手数料、本人確認のしやすさ、給与の受け取り、カードやアプリの使いやすさを総合的に比較しましょう。

    銀行口座を開設できたら、TFNの申請や携帯電話、住居探しなど、到着後に必要な手続きも進めていきましょう。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアのABNとは?個人事業主・Uber・配達員などで必要になる番号を解説

    オーストラリアのABNとは?個人事業主・Uber・配達員などで必要になる番号を解説

    オーストラリアで仕事を探していると、「ABNを持っていますか?」と聞かれることがあります。

    特に、ウーバーイーツ(Uber Eats)などのフードデリバリー、建設現場の仕事、清掃、フリーランスの仕事などを考えている方は、ABNという言葉を見かける機会が多いのではないでしょうか。

    「ABNとは何?」「TFNとは違うの?」「ワーキングホリデーでも取得できる?」「ABNを持っていれば税金が安くなる?」など、初めてオーストラリアで働く方には分かりにくい点もあると思います。

    ABNは、オーストラリアで事業を行う個人や会社などに発行される番号です。

    例えば、自分で仕事を請け負う個人事業主や、独立した配達事業者、フリーランスなどが利用します。

    日本人のワーキングホリデー渡航者でも、条件を満たしていればABNを取得できます。また、オーストラリア政府の公式サイトから申請すれば、取得料金は無料です。

    ただし、注意したいことがあります。

    ABNは、取得すれば誰でも自由に働ける許可証ではありません。また、ABNで仕事をする場合には、通常のアルバイトとは税金や契約の取り扱いが異なります。

    特に、雇用主から「ABNを取れば最低賃金は関係ない」「ABNなら退職年金を払わなくてよい」と説明された場合は、その内容が正しいとは限りません。

    この記事では、オーストラリアのABNについて、TFNとの違い、申請方法、ウーバーや配達員の仕事、GST、税金、経費、労働者としての権利まで、2026年10月時点の公式情報をもとに詳しく解説します。

    オーストラリアでフードデリバリーの仕事を始めたいのですが、ABNが必要と言われました。すでにTFNは持っていますが、別に取得する必要があるのでしょうか?
    独立した個人事業主として配達の仕事を行う場合は、通常ABNが必要です。TFNは個人の税務番号、ABNは事業者の識別番号で、役割が異なります。ただし、会社の従業員として配達する場合は、通常その仕事のためにABNを取得する必要はありません。




    ABNとは?オーストラリアの事業者番号

    ABNは、オーストラリアン・ビジネス・ナンバー(Australian Business Number)の略です。

    オーストラリア国内で事業を行う個人や会社などを識別するための、11桁の番号です。

    ABNの登録を管理しているのは、オーストラリアン・ビジネス・レジスター(Australian Business Register/ABR)という政府機関です。

    事業者はABNを使って、取引先との契約、請求書の発行、税務登録などを行います。

    例えば、個人でウェブサイト制作の仕事を請け負う場合や、独立した配達員として仕事をする場合などです。

    ABNを持つということはどういう意味?

    個人事業主として事業を行う場合、自分自身が事業の責任者になります。

    仕事を受注し、代金を受け取り、必要な経費を支払い、収入や支出を記録して税務申告を行います。

    会社を設立する必要はなく、個人で事業を行う形をソール・トレーダー(Sole Trader)と呼びます。

    日本の個人事業主に近い仕組みです。

    ただし、個人事業主は、事業に関する債務などについて個人で責任を負います。会社を設立した場合とは、法律上の責任が異なります。

    ABNは会社だけの番号ではない

    ABNという名前から、会社を経営している人だけが使う番号と思われるかもしれません。

    しかし、個人事業主も取得できます。

    小規模な仕事であっても、継続的に商業活動を行う事業として認められれば、ABNを取得できる場合があります。

    一方、単にアルバイトをしているだけの人が、自由にABNを取得してその仕事に使用できるわけではありません。

    ABNの取得には、実際に事業を営んでいる、または事業開始のための具体的な準備を行っているなどの条件があります。

    公式情報:オーストラリアン・ビジネス・レジスター:ABNの取得資格

    ABNとTFNの違い

    ABNとよく混同されるのが、タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)です。

    TFNは、オーストラリア税務局(Australian Taxation Office/ATO)が発行する税務番号です。

    一般的な会社員やアルバイトだけでなく、個人事業主も税務申告などに使用します。

    ABNとTFNは、どちらか一方を持っていればもう一方が不要になるというものではありません。

    項目 TFN ABN
    正式名称 Tax File Number Australian Business Number
    桁数 通常9桁 11桁
    主な用途 個人の税務管理 事業者の識別
    一般的なアルバイト 通常必要 通常不要
    個人事業主 税務申告などに使用 事業活動に使用
    公式申請料金 無料 無料

    例えば、レストランにカジュアル従業員として雇用される場合、通常はTFNを雇用主へ提出します。

    一方、自分でウェブサイト制作の仕事を請け負い、取引先に請求書を発行する場合は、通常ABNを使用します。

    その後、個人事業主として得た利益をタックスリターンで申告する際には、自分のTFNを使用します。

    個人事業主でもTFNは必要?

    はい。個人事業主は、個人のTFNを使って所得税を申告するのが基本です。

    会社とは異なり、ソール・トレーダーの場合、通常は事業用に別のTFNを取得する必要はありません。

    すでにワーキングホリデーでTFNを取得している方は、その番号を引き続き使用できます。

    TFNの取得方法については、関連記事「オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点」を参考にしてください。

    ABNが必要な仕事・不要な仕事

    ABNが必要かどうかは、仕事の種類だけでなく、従業員として雇われているのか、独立した事業者として仕事を請け負っているのかによって異なります。

    例えば、同じ配達の仕事でも、会社に雇用されている場合と、独立した事業者として配達を行う場合では扱いが違います。

    仕事の例 ABNの扱い
    レストランのカジュアル従業員 通常不要
    ホテルのパートタイム従業員 通常不要
    会社に雇用される配達ドライバー 通常不要
    独立したフードデリバリー配達員 通常必要
    独立したライドシェアドライバー 通常必要
    フリーランスのデザイナー 事業として請け負う場合は通常必要
    独立した清掃事業者 通常必要
    会社の従業員として働く建設作業員 通常不要
    独立した建設関連の請負事業者 通常必要

    ただし、業務の名称だけで判断できない場合もあります。

    例えば、建設現場で「コントラクター(Contractor)」という名称で働いていても、実際には勤務時間や仕事内容を会社が細かく管理し、従業員と同じように働いている場合があります。

    こうした場合は、単に契約書にコントラクターと書かれているだけで、独立した事業者として認められるわけではありません。

    趣味で不用品を売る場合もABNが必要?

    例えば、引っ越しのために古い家具や衣類を売却するだけなら、通常、そのためにABNを取得する必要はありません。

    一方、商品を継続的に仕入れて販売し、利益を得ることを目的とした事業を行う場合は、ABNの取得対象となる可能性があります。

    ABRは、事業性を判断する際、営利目的、継続性、事業規模、記録の管理などを考慮すると案内しています。

    単に一度だけ物を売ったという理由で、必ず事業者になるわけではありません。

    ワーキングホリデーでもABNを取得できる?

    日本のパスポートを持ち、オーストラリアのワーキングホリデービザで滞在している方でも、条件を満たせばABNを取得できます。

    重要なのは、実際にABNの取得資格がある事業を行っていることと、ビザの就労条件を守っていることです。

    ABNそのものに、オーストラリアでの就労を許可する効力はありません。

    ワーキングホリデービザ417では、原則として滞在期間中にさまざまな種類の仕事をすることができますが、同じ雇用主のもとで働く期間などに制限があります。

    個人事業主にも6か月の就労制限が関係する

    ワーキングホリデービザには、ビザ条件8547という規定があります。

    これは、原則として同じ雇用主のもとで6か月を超えて働くことを制限するものです。

    この規定は、単に雇用契約を結んでいる従業員だけでなく、個人事業主として働く場合にも関係します。

    内務省は、個人事業主の場合、実際にサービスの提供を受ける最終利用者(End User)を、6か月制限の判断対象として扱うと案内しています。

    ただし、複数の顧客へサービスを提供する場合や、対象となる例外業種で働く場合には、異なる取り扱いが認められることがあります。

    例えば、複数の顧客にサービスを提供する独立した清掃事業者と、実質的に1社だけへ継続してサービスを提供する事業者とでは、事情が異なります。

    また、2024年1月から、農業、観光・ホスピタリティー、医療、介護など一定の分野では、事前許可なしで同じ雇用主のもとで6か月を超えて働ける例外が設けられています。

    ABNを取得したからといって、こうしたビザ条件を無視してよいわけではありません。

    長期間同じ取引先で働く予定がある方は、内務省の公式案内で条件を確認してください。

    オーストラリア内務省:ワーホリの6か月就労制限と個人事業主の扱い



    ABNの申請条件と必要な情報

    ABNを取得するには、オーストラリアで事業を行う資格があることが必要です。

    すでに営業している事業だけでなく、具体的な開業準備を始めている場合も、申請の対象になることがあります。

    例えば、事業用の設備を購入する、仕事の見積もりを提出する、必要な保険を手配するなど、実際に事業開始へ向けた活動がある場合です。

    一方、特に事業を始める予定がなく、単に番号だけを取得しておきたいという場合は、取得資格を満たさない可能性があります。

    個人事業主のABN申請で準備しておきたい情報

    項目 内容
    氏名 パスポート等に記載された正式な氏名
    生年月日 本人確認のための情報
    TFN すでに取得している場合
    住所 事業所在地・連絡先住所
    電話・メール 連絡可能な情報
    事業内容 配達、清掃、デザインなどの主な活動
    事業開始日 実際に開始した日、または開始予定日
    事業形態 個人事業主の場合はSole Trader
    その他 以前のABNや事業登録など、該当する情報

    TFNがまだない場合は?

    ABNの申請にTFNを必ず入力しなければならないわけではありません。

    しかし、ABRは、TFNなどを使って本人確認ができる場合、申請処理が早くなると案内しています。

    特に外国人申請者では、TFNを入力しなかった場合、追加の本人確認書類を求められることがあります。

    ワーキングホリデーで到着した方は、まずTFNを取得してからABNを申請すると、本人確認の手続きを進めやすくなるでしょう。

    ただし、個別の状況によって必要な書類は異なります。

    オーストラリア国外にいても申請できる?

    オーストラリア国外にいる人でも、オーストラリア国内で事業を行っている、またはオーストラリアと関連する対象事業を行っている場合には、ABNの取得資格があることがあります。

    しかし、単に将来オーストラリアで働きたいというだけでは、必ず申請できるわけではありません。

    国外から申請する場合には、事業内容や本人確認に関する追加資料が必要になることもあります。

    ABR:オーストラリア国外の事業者によるABN申請

    ABNを無料で申請する方法

    ABNは、オーストラリア政府の公式ウェブサイトからオンラインで申請できます。

    取得資格を満たしていれば、申請そのものは無料です。

    個人事業主として申請する場合の基本的な流れを見てみましょう。

    STEP 1.オーストラリア政府の公式サイトへアクセスする

    まず、ABRの公式サイトにアクセスします。

    ABR公式:Applying for an ABN

    ABNの申請方法や取得資格を確認し、オンライン申請へ進みます。

    STEP 2.事業形態を選択する

    個人で独立した事業を営む場合は、Sole Traderを選びます。

    ソール・トレーダーは、日本の個人事業主に近い事業形態です。

    法人を設立するわけではありません。

    STEP 3.ABNを取得する資格があるか確認する

    申請画面では、事業の内容や活動状況について質問されます。

    実際に事業を営んでいるか、事業を始める具体的な準備があるかなどが確認されます。

    単にABNが欲しいという理由ではなく、実際の事業活動に基づいて回答してください。

    STEP 4.個人情報を入力する

    氏名、生年月日、TFNなどの情報を入力します。

    すでにオーストラリアでTFNを取得している場合は、正しい番号を入力してください。

    本人確認に使用されるため、氏名や生年月日がATOの記録と一致していることも重要です。

    STEP 5.事業の内容と開始日を入力する

    どのような事業を行うのか、事業の開始日、所在地などを入力します。

    例えば、独立したフードデリバリーの仕事を行う場合は、その実際の事業内容に対応する項目を選びます。

    申請内容を実際の活動と一致させることが重要です。

    STEP 6.必要な税務登録を確認する

    ABNを申請する際には、GSTなどの税務登録についても質問される場合があります。

    ただし、個人事業主だからといって、必ずGSTへ登録しなければならないわけではありません。

    事業の種類や売上によって条件が異なります。

    特に乗客を運ぶライドシェアの仕事をする方は、GST登録の特別な条件があるため注意してください。

    STEP 7.申請内容を確認して送信する

    最後に入力内容を確認し、オンラインで申請します。

    申請が認められると、ABNが発行されます。

    番号が表示された場合は、確認画面を保存しておきましょう。

    また、申請内容の追加確認が必要な場合には、受付番号などが発行されることがあります。

    この番号は問い合わせなどで必要になるため、忘れずに保存してください。

    申請画面の項目や手順は変更される場合がありますので、実際の画面上の説明に従ってください。

    ABNが発行されるまでの期間と申請料金

    ABNの発行にかかる時間は、申請内容や本人確認の状況によって異なります。

    ABRの公式案内では、申請が問題なく認められた場合、11桁のABNがその場で発行されます。

    一方、追加の確認が必要な場合には、ABRは通常20営業日以内に内容を確認することを目標としています。

    また、追加資料の提出を求められる場合もあります。

    申請状況 発行までの目安
    オンライン申請がその場で承認 即時に発行
    追加の確認が必要 通常20営業日以内を目標に確認
    本人確認・追加資料が必要 状況によってさらに時間がかかる場合あり

    これらは政府が案内する処理方法であり、すべての申請が必ず20営業日以内に完了するという意味ではありません。

    ABNの申請料金はいくら?

    オーストラリア政府のABRから直接申請する場合、ABNの登録料金は無料です。

    また、ABNの登録自体に毎年更新料を支払う仕組みはありません。

    ただし、ABN申請を代行する民間業者へ依頼する場合は、サービス料金が発生することがあります。

    インターネットで検索すると、有料のABN申請サービスが表示される場合がありますが、それが政府の公式申請料金という意味ではありません。

    自分で手続きできる方は、政府の公式サイトから無料で申請できます。

    事業名の登録は別料金

    ABNと、ビジネスネーム(Business Name)の登録は別の手続きです。

    例えば、自分の正式な個人名で事業を行う場合は、通常、別の事業名登録は必要ありません。

    一方、独自の店名や屋号を使って営業する場合は、オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission/ASIC)への事業名登録が必要になることがあります。

    事業名登録には別途料金がかかります。

    ワーキングホリデーで短期間フリーランスの仕事をする方は、まず自分の事業に事業名登録が必要かどうか確認するとよいでしょう。

    オーストラリア政府:ABNの無料登録について

    ウーバーとウーバーイーツではABNの扱いが違う?

    オーストラリアでABNに関する質問が多い仕事のひとつが、ウーバーを使った仕事です。

    ただし、ウーバーで乗客を運ぶ仕事と、ウーバーイーツで料理などを配達する仕事では、税金の取り扱いに違いがあります。

    ウーバーのライドシェアドライバー

    ウーバーを利用して乗客を目的地まで運ぶ仕事は、ライドシェア(Ride-sourcing)に該当します。

    独立した事業者としてこの仕事を行う場合、通常ABNが必要です。

    さらに、重要なのがGSTへの登録です。

    オーストラリア税務局では、タクシーやライドシェアの乗客輸送サービスについて、売上金額にかかわらずGST登録を必要としています。

    例えば、年間売上がA$10,000しかなくても、独立したライドシェアドライバーとして乗客を運ぶ場合は、GST登録が必要です。

    ウーバーイーツの配達員

    一方、ウーバーイーツなどのフードデリバリーは、料理や商品を配達するサービスです。

    乗客を運ぶライドシェアとは異なります。

    独立した個人事業主として配達する場合は、通常ABNが必要ですが、GST登録については、原則として一般事業と同じ売上基準が適用されます。

    年間のGST対象売上がA$75,000未満で、ほかに義務的な登録条件がなければ、通常はGST登録が義務付けられません。

    ただし、A$75,000を超える見込みがある場合や、すでに登録している場合は取り扱いが異なります。

    フードデリバリーとライドシェアを両方行う場合

    例えば、平日は料理の配達を行い、週末には乗客を運ぶライドシェアを行う場合です。

    同じ個人事業主が両方の事業を行い、ライドシェアの仕事によってGST登録義務が生じると、その登録は事業者全体に関係します。

    そのため、フードデリバリーの売上についても、GSTの取り扱いを確認する必要があります。

    仕事 ABN GST登録
    独立したウーバーの乗客輸送 通常必要 売上に関係なく必要
    独立したウーバーイーツ配達 通常必要 原則として年間GST売上A$75,000以上で必要
    独立したドアダッシュ配達 通常必要 原則として一般のGST売上基準
    会社に雇用される配達員 通常不要 雇用される本人には通常登録不要

    ドアダッシュ(DoorDash)などの仕事も、実際にどのような契約で働くのかを確認してください。

    また、各プラットフォームの登録条件、使用できる車両、保険、運転免許証などの条件は変更されることがあります。

    ABNを持っているだけで、すべての配達サービスやライドシェアに登録できるわけではありません。

    公式情報:ATO:フードデリバリー配達員のABN・GST・税務

    GSTとは?A$75,000の登録基準を解説

    ABNを取得する際に、もうひとつ知っておきたいのがGSTです。

    GSTは、グッズ・アンド・サービス・タックス(Goods and Services Tax)の略で、オーストラリアの消費税に相当する税金です。

    基本税率は10%です。

    ただし、商品やサービスによってはGSTがかからないものもあります。

    ABNを取得したら必ずGSTを払う?

    いいえ。ABNを取得しただけで、自動的にGST登録が必要になるわけではありません。

    一般的な営利事業では、年間のGST対象売上がA$75,000以上になる場合、GST登録が必要です。

    また、今後12か月の売上がその基準に達すると見込まれる場合も、登録が必要になることがあります。

    注意したいのは、A$75,000は利益ではなく、原則としてGST対象の売上高を基準として判断することです。

    例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

    項目 例A 例B
    年間売上 A$30,000 A$90,000
    年間経費 A$8,000 A$50,000
    利益 A$22,000 A$40,000
    GST登録 一般的には義務なし 原則として必要

    上記はすべての売上がGST対象で、ライドシェアなどの特別な登録条件がない場合の単純な例です。

    例Bでは利益がA$40,000でも、売上がA$90,000あるため、GST登録の基準を超えています。

    GST登録後は何をする?

    GST登録した事業者は、GST対象となる売上についてGSTを計算し、税務局へ申告・納付します。

    例えば、GSTを含む商品やサービスの販売額がA$110の場合、そのうちGSTはA$10です。

    また、事業用の仕入れや経費に含まれるGSTについて、一定の条件で税額控除を受けられる場合があります。

    GST登録した事業者は、通常、ビジネス・アクティビティー・ステートメント(Business Activity Statement/BAS)という申告書を提出します。

    提出頻度は、事業者の条件に応じて毎月、四半期などに分かれます。

    GST未登録なのに請求書へGSTを加算してもよい?

    いいえ。GSTに登録していない事業者は、GSTとして税金を請求・徴収することはできません。

    例えば、個人事業主として清掃サービスを提供していて、GST登録の義務もなく登録していない場合、請求書に勝手に10%のGSTを加算してはいけません。

    一方、GST登録している場合には、課税対象となるサービスについて適切にGSTを計算する必要があります。

    ABNの取得とGST登録は別の手続きです。事業の種類と売上に応じて、それぞれ必要かどうか判断してください。

    公式情報:ATO:GST登録が必要になる条件



    個人事業主と従業員の違い・偽装請負に注意

    ABNで仕事をする場合に、最も注意したいのが雇用契約の問題です。

    オーストラリアでは、会社に雇用される従業員と、独立して仕事を請け負う個人事業主では、法律上の権利や義務が異なります。

    従業員と個人事業主の主な違い

    項目 従業員 独立した個人事業主
    契約関係 雇用契約 業務委託・請負契約など
    最低賃金 適用される 原則として従業員向け最低賃金は適用されない
    有給休暇 雇用形態に応じて適用 通常、従業員向けの有給休暇はない
    所得税 通常は雇用主が源泉徴収 原則として自分で管理・申告
    仕事の経費 雇用主負担または経費精算の場合あり 通常は自分で管理
    スーパーアニュエーション 原則として雇用主が拠出 契約内容によっては発注側に拠出義務あり

    個人事業主は、自分の事業として仕事を請け負います。

    仕事の条件を自分で調整したり、複数の取引先と契約したりする場合があります。

    一方、従業員の場合は、雇用主の指示のもとで仕事を行い、適用される最低賃金や労働条件の保護を受けます。

    ABNを取れば最低賃金を払わなくてもよい?

    これは正しくありません。

    例えば、レストランで従業員と同じようにシフトを組まれ、勤務時間や業務内容を細かく指定されているにもかかわらず、雇用主から「ABNで請求書を出してほしい」と言われる場合があります。

    しかし、実際には従業員に該当する人を、契約上だけ個人事業主として扱っているのであれば、法律上問題になる可能性があります。

    このような取り扱いは、シャム・コントラクティング(Sham Contracting)、日本語では偽装請負と呼ばれることがあります。

    オーストラリアでは、従業員を正当な根拠なく独立事業者として扱い、労働者の権利を回避する行為は法律で禁止されています。

    ABNを持っていても従業員と判断される場合がある

    判断に当たっては、契約書の名称だけでなく、実際の働き方や当事者間の関係などが考慮されます。

    例えば、仕事内容の管理、仕事の自由度、器具や設備の提供、報酬の仕組み、ほかの顧客へのサービス提供などです。

    これらの要素は全体として判断されるため、ひとつの条件だけで従業員か個人事業主かが決まるわけではありません。

    ワーキングホリデーだからといって、違法な労働条件を受け入れる必要はありません。

    ABNで働くよう求められた場合は、なぜその契約形態になるのか確認しましょう。

    フェアワーク・オンブズマン:偽装請負に関する公式案内

    ABNで働く場合の請求書と給与の受け取り方

    通常のアルバイトでは、雇用主が給与を計算し、税金を源泉徴収したうえで、従業員の銀行口座へ振り込みます。

    一方、個人事業主の場合は、仕事の契約に従って報酬を請求し、代金を受け取ります。

    ウーバーイーツなどのプラットフォームでは、アプリや事業者側のシステムを通じて支払いが管理される場合があります。

    一方、個人でデザインや清掃、建設関連の仕事を請け負う場合には、自分で請求書(Invoice)を発行することがあります。

    請求書に記載しておきたい項目

    • 自分の事業名または正式な氏名
    • ABN
    • 請求書番号
    • 請求書の発行日
    • 取引先の名前
    • 提供したサービスの内容
    • 料金・数量などの計算
    • 支払総額
    • 支払期限
    • 銀行振込先などの支払方法

    GST登録している場合は、GSTに関する法律上必要な情報も記載します。

    GST未登録の事業者は、GSTを加算しないようにしてください。

    請求書の計算例

    例えば、GST未登録のフリーランスが、取引先へ次のような仕事を提供した場合です。

    項目 内容
    サービス ウェブサイト画像制作
    単価 A$150
    数量 3件
    小計 A$450
    GST 未登録のため加算しない
    請求額 A$450

    これは計算例であり、実際の報酬相場を示すものではありません。

    ABNを伝えないと47%引かれる?

    オーストラリアには、事業者が取引先へABNを提示しない場合、一定の条件で支払側が代金から税金を源泉徴収する制度があります。

    通常、ABNの提示が必要な取引で番号が示されず、例外条件にも該当しない場合は、支払額の47%を源泉徴収しなければならないことがあります。

    ただし、これはすべての取引や、通常の雇用による給与に一律に適用される規則ではありません。

    個人事業主として取引先に請求書を発行する場合は、自分のABNを正確に記載しておきましょう。

    また、入金があったときには、請求額、入金額、入金日などを記録しておくと、年度末の税務申告がスムーズになります。

    ABNで得た収入の税金とタックスリターン

    ABNを使って個人事業主として働く場合、通常の従業員とは税金の管理方法が異なります。

    従業員は、通常、雇用主が給与から所得税を源泉徴収します。

    一方、個人事業主が仕事の報酬を受け取る場合、原則として自分で所得を記録し、必要な税務申告と納税を行います。

    つまり、銀行口座へ報酬が振り込まれても、その全額を自由に使ってよいとは限りません。

    後から税金の支払いが必要になる可能性があります。

    個人事業主の税金は売上全体にかかる?

    個人事業主の所得税では、通常、事業の収入から認められる事業経費を差し引いて、課税対象となる所得を計算します。

    例えば、年間の収入と経費が次のような場合です。

    項目 金額
    年間事業収入 A$30,000
    事業に必要な経費 A$8,000
    事業利益 A$22,000

    この例では、税務上認められる経費がA$8,000であれば、事業利益はA$22,000になります。

    ただし、実際の課税所得は、ほかの給与所得、税務上の調整、経費の控除条件などによって異なります。

    また、GSTに登録している場合は、売上や経費のGSTの取り扱いについても考慮する必要があります。

    ワーキングホリデーの15%税率はABNにも使える?

    ワーキングホリデーで働く方には、一定の条件でワーキングホリデー渡航者向けの所得税率が適用されます。

    ただし、ABNで得た事業収入について、請求時に自動的に15%が源泉徴収されるわけではありません。

    最終的な所得税の計算は、税務上の居住者判定、ワーキングホリデーの税制、租税条約、ほかの所得などを考慮して行われます。

    日本国籍者については、日本とオーストラリアの租税条約の関係で、税務上のオーストラリア居住者に該当する場合に、一般的な居住者税率が適用されることもあります。

    単純に「ABNだから税率15%」「ABNなら非課税」と考えないようにしてください。

    税金を支払うための資金を残しておく

    個人事業主の場合、仕事の報酬を受け取った段階では所得税が差し引かれていないことがあります。

    そのため、事業収入をすべて生活費に使ってしまうと、タックスリターンで税金を支払う際に困る可能性があります。

    必要に応じて、将来の納税に備えた資金を別の口座などで管理するとよいでしょう。

    また、所得や過去の申告状況によっては、PAYG Instalmentsという所得税の予定納付制度が適用される場合もあります。

    タックスリターンはどうする?

    オーストラリアの税務年度は、通常7月1日から翌年6月30日までです。

    ソール・トレーダーは、通常、個人のタックスリターンに事業収入と事業経費を含めて申告します。

    会社のように、個人事業主のための独立した法人税申告書を作るわけではありません。

    また、ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合も、オーストラリアで発生した所得について申告が必要になることがあります。

    申告時期や手続きは、ATOの公式サイトで確認してください。

    ATO:個人事業主の税務上の義務



    配達・フリーランスの必要経費はどこまで認められる?

    個人事業主として働く場合、収入を得るために必要な経費を、一定の条件で所得から控除できます。

    ただし、事業に関係のない私生活の支出は、通常、事業経費として認められません。

    また、事業と私生活の両方に使っているものについては、事業用の割合を合理的に計算する必要があります。

    フードデリバリーで考えられる経費

    例えば、独立したフードデリバリー事業者の場合、次のような費用が経費となる可能性があります。

    • 仕事に使用する自転車やバイクなどの費用
    • 配達用バッグ
    • 事業用の携帯電話・通信費
    • 仕事に使用する車両の燃料費
    • 車両の修理・整備費用
    • 事業用の保険料
    • 業務に必要な登録や許可に関する費用
    • 会計・税務申告に関する費用

    ただし、これらがすべて購入した年に全額控除できるという意味ではありません。

    車両や高額な設備などについては、資産の減価償却や別の税務ルールが適用される場合があります。

    自転車や車を私生活でも使う場合

    例えば、配達の仕事で使うバイクを、休日の買い物や観光にも使用している場合は、費用のすべてを事業経費にはできません。

    業務で使った割合を計算し、合理的な記録を残しておく必要があります。

    自動車については、使用状況に応じて認められる計算方法が異なります。

    仕事で走行した距離や目的を記録しておくと、経費を計算する際に役立ちます。

    携帯電話代も全額経費になる?

    携帯電話を仕事と私生活の両方で使用する場合、通常は仕事に使用した割合を区分する必要があります。

    例えば、月額A$60の通信プランを契約し、そのうち40%が業務での利用に当たると合理的に判断できる場合、事業用の通信費は月A$24という計算になります。

    ただし、実際に何%を業務で使用したかを説明できる記録が必要です。

    経費の領収書は保存する

    事業の収入と経費に関する領収書や記録は、通常5年間の保存が必要です。

    紙の領収書だけでなく、電子データで保存できる場合もあります。

    ワーキングホリデーでは、帰国後に申告や問い合わせが必要になることもあるため、書類はクラウドなどで整理しておくと便利です。

    なお、事業の性質や税務上の事情によっては、5年を超える保存が必要な記録もあります。

    スーパーアニュエーション・保険・就労上の注意点

    個人事業主として働く場合、所得税以外にも確認しておきたいことがあります。

    そのひとつが、スーパーアニュエーション(Superannuation)です。

    スーパーアニュエーションは、オーストラリアの退職年金制度です。

    通常の従業員には、条件に応じて雇用主が退職年金口座へ拠出を行います。

    一方、ソール・トレーダーは自分自身の雇用主ではないため、自分の事業から自分へスーパーアニュエーションを支払う義務は、通常ありません。

    ABNで働いていてもスーパーが支払われる場合がある

    ここは注意が必要です。

    ABNを持っている個人事業主であっても、契約内容によっては、報酬を支払う側にスーパーアニュエーションの拠出義務が発生することがあります。

    例えば、個人の労働力や技能を提供することが契約の主な目的で、本人が直接仕事を行い、労働時間に応じて報酬が支払われるような場合です。

    ATOは、契約者がABNを持っているかどうかだけで、スーパーアニュエーションの支払義務が決まるわけではないと説明しています。

    したがって、取引先から「ABNで働いているからスーパーは一切支払わない」と説明されても、それが必ず正しいとは限りません。

    ATO:個人事業主・請負契約とスーパーアニュエーション

    仕事中の事故と保険

    フードデリバリーや清掃、建設関連の仕事では、業務中の事故やけがにも注意が必要です。

    例えば、配達中に交通事故を起こしたり、取引先の物を壊してしまったりする可能性があります。

    通常の海外旅行保険では、業務中の事故や特定の職業活動が補償対象外になる場合があります。

    また、自家用車の保険が商業配達や有償の乗客輸送を補償しているとは限りません。

    事業内容に応じて、車両保険、対人・対物賠償責任保険、業務上の事故に備える保険などを確認しておきましょう。

    保険の条件は、州、事業内容、契約先によって異なります。

    最低賃金の保護はどうなる?

    本当に独立した個人事業主の場合、従業員向けの最低賃金制度がそのまま適用されるわけではありません。

    ただし、デジタルプラットフォームを通じて働く一部の労働者については、2024年以降の労働法改正により、特別な保護制度が設けられています。

    また、実態が従業員であれば、通常の労働法が適用される場合があります。

    ABNを持っているという理由だけで、自分には労働法上の権利がないと判断しないようにしましょう。

    仕事の契約条件に不安がある場合は、フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman)の公式情報を確認してください。

    フェアワーク:独立請負人の権利と義務

    帰国・廃業するときのABNの取り扱い

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合、ABNをそのまま放置してよいのか気になる方もいるでしょう。

    ABNは、取得した後も登録情報を正しく管理する必要があります。

    オーストラリア国内での事業を終了した場合や、オーストラリアと関連する事業活動を行わなくなった場合には、原則としてABNを取り消す必要があります。

    事業を終了したらABNを取り消す

    例えば、オーストラリアでフードデリバリーの仕事をしていた方が、ワーキングホリデーを終え、完全に事業を終了して帰国する場合です。

    このような場合、ABRの公式サイトからABNの取消手続きを行えます。

    また、ABRでは、事業を終了した場合など、登録内容の変更を認識してから28日以内に必要な更新・取消しを行うよう案内しています。

    ABNを取り消す前に確認すること

    • 未払いの売上や請求書がないか
    • 税務申告が必要か
    • GST登録がある場合、BASの提出が必要か
    • 未払いの税金がないか
    • 事業に関する登録を終了する必要があるか
    • 事業用の記録を保存しているか

    ABNを取り消しただけで、過去の税務申告や納税の義務がなくなるわけではありません。

    また、ABNを取り消すと、GSTなど一部の税務登録も取り消されます。

    そのため、必要な申告や納税を確認してから手続きを進めてください。

    次のセカンドワーホリで戻ってくる予定の場合

    将来オーストラリアへ戻る予定がある場合でも、現在の事業活動を終了しているのであれば、ABNの登録状況を確認する必要があります。

    事業を一時的に休止しているのか、完全に終了しているのかによって、取り扱いが異なる場合があります。

    帰国後もオーストラリアと関連する事業を継続している場合などは、個別の事情に応じた判断が必要です。

    ABNの登録を終了する必要があるか不明な場合は、ABRへ確認してください。

    ABR公式:ABNの取消方法

    オーストラリアのABNに関するよくある質問

    オーストラリアのABNとは何ですか?

    ABNはAustralian Business Numberの略で、オーストラリアの事業者を識別する11桁の番号です。会社だけでなく、個人事業主も取得できます。事業の請求書や取引、税務登録などに利用します。
    ABNの取得料金はいくらですか?

    オーストラリア政府のAustralian Business Registerから直接申請する場合、ABNの登録は無料です。民間の申請代行業者を利用するとサービス料金が発生する場合がありますが、政府の正式なABN登録料金ではありません。
    ABNとTFNの違いは何ですか?

    TFNは個人の税務番号、ABNは事業者の識別番号です。通常のアルバイトではTFNを使用します。独立した個人事業主として働く場合は、通常ABNを取得し、所得税の申告には個人のTFNを使用します。
    ワーキングホリデーでもABNを取得できますか?

    はい。日本国籍のワーキングホリデー渡航者でも、実際に対象となる事業を営むなどABNの取得資格を満たしていれば申請できます。ただし、ABNには就労許可の効力はないため、ビザの就労条件を守る必要があります。
    ウーバーイーツの配達員にはABNが必要ですか?

    独立した個人事業主としてウーバーイーツなどの配達を行う場合、通常ABNが必要です。一方、会社の従業員として配達する場合は、通常その仕事のためにABNを取得する必要はありません。
    ウーバーイーツの配達でもGST登録が必要ですか?

    フードデリバリーだけを行う一般的な独立事業者の場合、原則として年間GST売上A$75,000以上でGST登録が必要です。一方、乗客を運ぶライドシェアドライバーには、売上金額にかかわらずGST登録義務があります。両方を営む場合は事業者全体のGSTの取り扱いを確認する必要があります。
    ABNを申請すると何日で発行されますか?

    申請がその場で承認された場合は、11桁のABNが即時に発行されます。追加の本人確認などが必要な場合、ABRは通常20営業日以内の確認を目標としていますが、さらに時間がかかる場合もあります。
    ABNを取得すれば最低賃金は適用されなくなりますか?

    ABNを持っていることだけで、従業員としての権利がなくなるわけではありません。実際には従業員に該当する人を、契約上だけ個人事業主として扱う偽装請負は違法となる場合があります。契約の名称だけでなく、実際の働き方によって判断されます。
    ABNで得た収入も確定申告が必要ですか?

    通常、個人事業主として得た収入は、必要な経費などを計算し、個人のタックスリターンに含めて申告します。事業収入には自動的に所得税が源泉徴収されない場合があるため、税金の支払いに備えた資金管理が重要です。
    個人事業主でもスーパーアニュエーションを受け取れますか?

    個人事業主には、通常、自分自身の事業から自分へスーパーアニュエーションを拠出する義務はありません。ただし、主に本人の労働力を提供する契約など、一定の条件では、報酬を支払う側にスーパーアニュエーションの拠出義務が生じる場合があります。ABNの有無だけでは決まりません。
    日本へ帰国するときはABNを取り消す必要がありますか?

    オーストラリアでの事業を終了し、ABNの取得資格がなくなった場合は、原則としてABNの取消手続きが必要です。取り消す前に、必要な税務申告、GST・BAS、未払い税金などを確認してください。帰国後も事業を継続する場合は状況によって取り扱いが異なります。



    まとめ|ABNは無料で取得できるが、税金と契約の仕組みを理解しておこう

    オーストラリアのABNは、個人事業主や会社などの事業者を識別するための11桁の番号です。

    独立した事業者としてウーバーイーツの配達、フリーランス、清掃などの仕事を行う場合に利用します。

    条件を満たせば、ワーキングホリデーで滞在している日本人でも取得できます。

    ABNはオーストラリア政府の公式サイトから無料で申請でき、問題なく承認されれば、その場で番号が発行される場合もあります。

    ただし、ABNは就労許可証ではありません。ワーキングホリデーのビザ条件は引き続き守る必要があります。

    また、個人事業主として仕事をする場合は、通常のアルバイトと異なり、自分で収入や経費を管理し、必要な税務申告を行うことになります。

    GSTについても注意が必要です。通常のフードデリバリー事業と、乗客を運ぶライドシェアでは、登録条件が異なります。

    さらに、ABNを持っているからといって、必ず法律上の独立事業者になるわけではありません。実際には従業員に該当する場合は、最低賃金やスーパーアニュエーションなどの権利が認められることがあります。

    ABNを取得する前に、自分が本当に独立した事業者として働くのか、GST登録が必要か、税金と保険をどう管理するかを確認しておくことが大切です。

    ウーバーイーツやフリーランスの仕事は、働く時間や仕事の選び方に柔軟性がある一方、事業者としての責任も伴います。

    その違いを理解したうえで、自分に合ったオーストラリアでの働き方を選んでください。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアのシェアハウスの探し方|家賃・ボンド・内見・契約時の注意点を解説

    オーストラリアのシェアハウスの探し方|家賃・ボンド・内見・契約時の注意点を解説

    オーストラリアへワーキングホリデーや留学で渡航する方にとって、最初の大きな課題になるのが住まい探しです。

    ホテルに長期間滞在すると宿泊費がかさむため、多くの方が選ぶのがシェアハウスです。オーストラリアでは、学生やワーキングホリデーの渡航者だけでなく、現地で働いている社会人もシェアハウスを利用しています。

    家賃を抑えられるだけでなく、さまざまな国の人と一緒に暮らすことで、英語を使う機会が増えるのも魅力です。

    ただし、初めてオーストラリアで部屋を借りる方には、戸惑うことも多いでしょう。

    「どのサイトで探せばいい?」「週A$300の家賃は高い?」「ボンドとは何?」「日本から契約しても大丈夫?」「退去するときに保証金は返してもらえる?」など、知っておきたいことがたくさんあります。

    特に気を付けたいのが、契約内容を十分に確認せず、お金を振り込んでしまうことです。

    オーストラリアでは、実在する部屋の写真を使った偽の募集広告や、内見できないまま保証金を請求する賃貸詐欺も報告されています。

    また、シェアハウスといっても、全員で賃貸契約を結ぶ場合と、代表者が借りた住宅の一部を又貸しする場合では、入居者の権利やボンドの管理方法が異なります。

    この記事では、オーストラリアのシェアハウスの探し方、募集広告の読み方、内見時の確認事項、家賃とボンド、契約・退去時の注意点まで、初めての方にも分かりやすく説明します。

    賃貸ルールは州によって異なるため、シドニー(Sydney)、メルボルン(Melbourne)、ブリスベン(Brisbane)などの主要都市について、2026年10月時点の州政府公式情報も紹介します。

    シドニーのシェアハウスを探していたら、週A$320でボンドがA$1,280と書かれていました。家賃とは別にそんなに払う必要があるのでしょうか?
    ボンドは日本の敷金に近い保証金です。ニューサウスウェールズ州の一般的な住宅賃貸契約では、上限は家賃4週間分なので、週A$320ならA$1,280になります。ただし、支払う前に契約形態と、保証金が正式に管理される仕組みを確認することが重要です。




    オーストラリアのシェアハウスとは?

    シェアハウスとは、一軒家やアパートメントを複数の人で借り、キッチン、リビング、バスルームなどを共同利用する住まいです。

    オーストラリアでは、フラットシェア(Flatshare)、ハウスシェア(House Share)などとも呼ばれています。

    一緒に暮らす人はフラットメイト(Flatmate)、またはハウスメイト(Housemate)です。

    物件によっては、オーナー自身が住んでいて、空いている部屋を貸している場合もあります。

    主な部屋の種類

    部屋のタイプ 内容 特徴
    オウンルーム(Own Room) 自分専用の個室 プライバシーを確保しやすい
    シェアルーム(Shared Room) 複数人で寝室を利用 家賃を抑えやすい
    マスタールーム(Master Room) 比較的広い寝室 専用バスルーム付きの場合もある
    スタジオ(Studio) 基本的に独立したワンルーム 共同生活が少なく、家賃は高めになりやすい

    ワーキングホリデーで長期間滞在する場合は、オウンルームを選ぶ方が、生活しやすいと感じるかもしれません。

    相部屋は費用を抑えられますが、相手の生活時間に合わせる必要があり、仕事が早朝や深夜の場合には不便に感じることもあります。

    また、オウンルームと書かれていても、バスルームやキッチンまで自分専用とは限りません。

    個室、専用バスルーム、専用キッチンはそれぞれ別の条件なので、確認しておきましょう。

    シェアハウスのメリットとデメリット

    メリットは、家賃を分担できること、家具付きの部屋が多いこと、同居人と交流できることなどです。

    一方、キッチンやバスルームの利用時間、騒音、清掃、冷蔵庫の使い方などでトラブルになることもあります。

    日本人だけのシェアハウスもありますが、せっかくオーストラリアで暮らすなら、多国籍のシェアハウスを検討してみてもよいでしょう。

    ただし、英語を使う機会が多いことと、生活環境が自分に合うことは別の問題です。

    実際に一緒に暮らす人の雰囲気や生活ルールも、重要な判断材料になります。

    シェアハウスはどこで探す?おすすめのサイト

    オーストラリアでは、インターネットの募集サイトを使ってシェアハウスを探す方法が一般的です。

    個人が空き部屋を掲載するサイトや、賃貸物件を扱う不動産サイト、SNSなどがあります。

    フラットメイツ(Flatmates.com.au)

    オーストラリアでシェアハウスを探す際に、まず確認しておきたいサイトです。

    都市、サバーブ(地区)、家賃、入居可能日、部屋の種類などを指定して検索できます。

    掲載されている部屋の写真や同居人数、設備なども確認でき、募集者へメッセージを送ることができます。

    無料で利用を始められますが、新しい募集への早期連絡など、一部の機能には有料プランがあります。

    オーストラリア到着前から候補を探し、現地到着後の内見を予約する使い方もできます。

    フラットメイツ公式サイト

    ガムツリー(Gumtree)

    ガムツリーは、オーストラリアの地域別クラシファイド広告サイトです。

    家具や中古品の売買だけでなく、部屋や住居に関する募集も掲載されています。

    個人間のやり取りが多いため、募集者の身元や契約条件を十分に確認してください。

    ガムツリー公式サイト

    フェイスブック(Facebook)のグループ

    Facebookには、シドニーやメルボルンなど、都市別の部屋探しグループがあります。

    日本人向けの地域コミュニティーで募集が掲載されていることもあります。

    急な退去による入居者募集などが見つかる場合もありますが、掲載者の身元確認が十分に行われているとは限りません。

    写真や投稿内容だけで信用せず、内見と契約条件の確認を行ってください。

    リアルエステート・ドットコム・ドットエーユー(realestate.com.au)

    オーストラリアの主要な不動産情報サイトです。

    主にアパートメントや一軒家全体の賃貸物件を探すために利用しますが、シェアハウス関連の募集にもアクセスできます。

    友人と一緒に住宅を借りたい場合や、現在の家賃相場を調べたい場合にも便利です。

    realestate.com.auの賃貸物件検索

    最初は複数のサイトを比較する

    サイトによって掲載されている物件は異なります。

    ひとつのサイトだけで探すより、複数のサイトで同じエリアの募集を比較すると、家賃や設備の違いが分かりやすくなります。

    ただし、どのサイトにも偽の募集が掲載される可能性があります。大手サイトに掲載されているという理由だけで、契約の安全性が保証されるわけではありません。

    住むエリアはどう選ぶ?家賃と通勤時間

    シェアハウスを探すときは、家賃だけでなく、どのエリアに住むかも重要です。

    例えば、シドニーの中心部にある部屋は便利ですが、家賃が高くなりやすい傾向があります。

    中心部から少し離れると、同じ予算で広い部屋を見つけられる場合もあります。

    ただし、毎日の通勤に時間がかかるのであれば、家賃だけ安くても生活しやすいとは限りません。

    仕事が決まっている場合

    勤務先まで公共交通機関で通える場所を優先しましょう。

    特にレストランやホテルなどの仕事では、早朝や深夜にシフトが入る場合があります。

    その時間帯に電車やバスが利用できるかも確認してください。

    昼間なら30分で通える場所でも、夜間は公共交通機関の運行が少なくなり、移動に時間がかかる場合があります。

    仕事がまだ決まっていない場合

    ワーキングホリデーで到着したばかりなら、仕事を探しやすい地区や、公共交通機関へのアクセスがよい地区が便利です。

    最初から長期契約を結ばず、短期宿泊施設に滞在しながら仕事と住居を並行して探す方法もあります。

    家賃だけでなく交通費も計算する

    例えば、次の2つの部屋を比較してみましょう。

    項目 Aの部屋 Bの部屋
    家賃 A$350/週 A$280/週
    通勤交通費 A$20/週 A$65/週
    合計 A$370/週 A$345/週
    片道通勤時間 15分 55分

    これは比較のための仮定ですが、Bの部屋は週A$25安い一方、通勤時間が大幅に長くなります。

    休日の過ごし方や買い物の便利さなども含めて、自分に合った場所を選びましょう。

    シェアハウスの家賃はいくら?

    オーストラリアのシェアハウスは、通常、週単位で家賃が表示されています。

    例えば、募集広告に「A$320 pw」と書かれていれば、1週間の家賃がA$320という意味です。

    pwはper weekの略です。

    家賃は都市と部屋の条件によって大きく違う

    シドニーやメルボルンなどの大都市では、中心部に近い地区ほど高い家賃を求められる場合があります。

    また、同じ地区でも、次のような条件によって料金は変わります。

    • 個室か相部屋か
    • 専用バスルームがあるか
    • 家具付きか家具なしか
    • 電気・ガス・水道代が含まれているか
    • 同居人数は何人か
    • 駅や職場までの距離
    • 建物の新しさや設備

    実際の募集サイトでは、週A$200台の部屋もあれば、週A$400を超える部屋も掲載されています。

    ただし、これらは個別の募集例であり、都市全体の平均家賃を示すものではありません。

    希望する地区を決めたら、同じエリアで少なくとも数件の物件を比較することをおすすめします。

    1か月の家賃はいくら?

    週A$300の部屋の場合、4週間分はA$1,200です。

    ただし、1年間は52週間なので、月平均の家賃は次のようになります。

    A$300 × 52週間 ÷ 12か月 = A$1,300

    家賃/週 4週間分 月平均
    A$250 A$1,000 約A$1,083
    A$300 A$1,200 A$1,300
    A$350 A$1,400 約A$1,517
    A$400 A$1,600 約A$1,733

    家賃を日本円へ換算するときは、その時点の為替レートを使用してください。

    また、月々の生活費を計算するときに、1か月を4週間としてしまうと、年間では家賃を少なく見積もってしまいます。

    Bills IncludedとBills Excluded

    募集広告では、電気・ガス・水道・インターネットなどの料金をまとめてBillsと呼ぶことがあります。

    Bills Includedと書かれていれば、通常、広告で指定された光熱費などが家賃に含まれています。

    ただし、すべての費用が含まれているとは限りません。

    例えば、電気と水道は含まれていても、インターネットは別料金という場合もあります。

    契約する前に、何が含まれ、何が別料金になるのか確認しましょう。

    募集広告でよく使われる英語

    シェアハウスの募集広告には、独特の英語表現がよく使われます。

    初めて探す方は、次の言葉を覚えておくと便利です。

    英語 意味
    Own Room / Private Room 個室
    Shared Room 相部屋
    Master Room 主寝室・広めの部屋
    Furnished 家具付き
    Unfurnished 家具なし
    Bills Included / Inc. Bills 指定の光熱費等を含む
    Bills Excluded / Plus Bills 光熱費等が別
    Bond 保証金
    Rent in Advance 前払い家賃
    Minimum Stay 最低滞在期間
    Notice Period 退去通知期間
    Available Now すぐ入居可能
    Inspection / Viewing 内見
    Lease 賃貸契約
    Sublet 又貸し・転貸
    Couples Welcome カップル入居可能
    Non-smoker 非喫煙者

    特に注意したいのが、Minimum StayとNotice Periodです。

    Minimum Stayが3 monthsなら、最低3か月の滞在を求めているという意味です。

    Notice Periodが2 weeksなら、退去の申し出を原則2週間前までに行うという条件を示していることがあります。

    ただし、実際に適用される退去通知期間は契約形態や州法によって異なります。広告に記載された期間が、そのまま法律上有効とは限りません。

    また、「No Lease」と書かれた募集も見かけますが、書面の契約書がないからといって、入居者の権利がすべてなくなるわけではありません。

    契約関係によって適用される法律が異なるため、少なくとも家賃・支払先・ボンド・退去条件については書面に残しておきましょう。



    問い合わせから内見までの流れ

    気になる部屋が見つかったら、募集者へメッセージを送り、内見の日時を相談します。

    人気のある物件では、募集開始から短時間で複数の問い合わせが届くこともあります。

    そのため、興味のある部屋には早めに連絡するとよいでしょう。

    最初の問い合わせで伝えること

    募集者が知りたいのは、誰が、いつから、どのくらいの期間住みたいのかということです。

    次の情報を簡潔に伝えると、やり取りがスムーズです。

    • 名前
    • ワーキングホリデー、学生、就労者などの状況
    • 希望する入居日
    • 予定している滞在期間
    • 内見できる日時

    英語での問い合わせ例

    例えば、次のようなメッセージを送れば十分です。

    Hi, I’m interested in the room you advertised. I’m from Japan and currently in Australia on a working holiday visa. I’m looking for a room from 1 November for around three months. Is the room still available? Would it be possible to arrange an inspection?

    「掲載されている部屋に興味があります。日本から来ており、現在ワーキングホリデービザでオーストラリアに滞在しています。11月1日から3か月程度住める部屋を探しています。まだ空いていますか?内見をお願いできますか?」という内容です。

    入居日や滞在期間は、自分の予定に合わせて変更してください。

    問い合わせへの返事がない場合

    人気物件では、募集者がすべての問い合わせに返信できないこともあります。

    1件だけに絞らず、条件に合う複数の物件へ問い合わせる方が効率的です。

    ただし、内見予定や契約を進めている物件がある場合は、相手との約束を守るようにしましょう。

    内見は必ず行う

    写真だけでは、部屋の広さ、建物の状態、騒音、清潔さ、同居人の雰囲気などは十分に分かりません。

    特に海外から探している場合は、実物を確認するまでボンドや前払い家賃を送金しないことをおすすめします。

    内見が難しい場合でも、信頼できる知人に実際の部屋を確認してもらうなど、掲載者と物件の正当性を確かめる方法を考えましょう。

    内見で必ず確認したい15のポイント

    内見では、部屋の見た目だけでなく、生活するうえで必要な条件も確認してください。

    短時間の内見で見落としやすい項目を整理しました。

    確認項目 チェックする内容
    1.部屋の広さ ベッドや荷物を置いても十分なスペースがあるか
    2.鍵 玄関や個室の施錠方法
    3.家具 ベッド、机、収納など何が含まれるか
    4.エアコン・暖房 使える設備と光熱費の負担
    5.窓・換気 外気を入れられるか、結露やカビがないか
    6.水回り シャワー、トイレ、洗面所の状態
    7.キッチン 調理器具、冷蔵庫、収納スペース
    8.洗濯 洗濯機の利用方法、乾燥設備
    9.インターネット Wi-Fiの有無、通信費
    10.同居人数 実際に何人が暮らしているか
    11.騒音 道路、周囲の店、同居人の生活音
    12.安全設備 煙感知器、玄関の施錠など
    13.交通 駅・バス停までの距離、夜間の交通手段
    14.家賃・ボンド 金額、支払方法、管理先
    15.退去条件 最低滞在期間、通知期間、清掃条件

    同居人の人数を確認する

    例えば3ベッドルームの住宅でも、入居者が3人とは限りません。

    カップルが住んでいたり、相部屋があったりすれば、実際の人数はもっと多くなります。

    バスルームが1つしかない住宅に大人数が住んでいる場合、朝の通勤時間などに不便を感じるかもしれません。

    また、住宅に認められた居住人数を超えて住んでいないかも気を付けたいところです。

    部屋の湿気やカビにも注意

    部屋の隅や天井、窓枠の周辺などにカビや水漏れの跡がないか確認しましょう。

    特に冬に冷え込む地域では、暖房設備や結露への対策も重要です。

    オーストラリアの住宅は、日本の住宅と設備や断熱性能が異なる場合があります。

    部屋が気に入っても、設備に問題がある場合は、契約前に修理の予定などを確認してください。

    夜の周辺環境も確認する

    昼間は静かな住宅街でも、夜になると周囲の店や交通による騒音が大きくなる場合があります。

    深夜に仕事から帰宅する予定がある方は、駅やバス停からの道が明るいか、夜間でも公共交通機関を利用できるかなども確認しておくと安心です。

    シェアハウスの契約形態による違い

    シェアハウスを借りる際、家賃と同じくらい重要なのが契約形態です。

    同じ住宅に複数人で住んでいても、誰と契約しているかによって法律上の立場が異なります。

    1.共同賃借(Co-tenancy / Co-renting)

    複数の入居者が、全員で住宅の賃貸契約を結ぶ形です。

    例えば、3人でアパートメント全体を借り、全員の名前が賃貸契約書に記載されている場合です。

    この場合、共同賃借人は家賃や住宅の管理について共同で責任を負うことがあります。

    特に注意したいのは、ほかの同居人が自分の家賃を払わなかった場合でも、契約によっては自分がその分の支払い責任を負う可能性があることです。

    自分の家賃だけ払っていれば、それ以外は一切関係ないとは限りません。

    2.又貸し・転貸(Subletting)

    代表者が住宅を借り、その一部を別の人に貸す形です。

    住宅を正式に借りている人をヘッドテナント(Head Tenant)、その人から部屋を借りる人をサブテナント(Subtenant)と呼びます。

    例えば、3ベッドルームのアパートメントを1人が契約し、残り2部屋を別の人に貸す場合です。

    ニューサウスウェールズ州(New South Wales)やビクトリア州では、通常、このような転貸には住宅所有者や賃貸人の許可が必要です。

    無断で又貸ししている住宅では、契約上のトラブルが起きる可能性があります。

    また、適法な転貸の場合、ヘッドテナントにはサブテナントに対して賃貸人としての責任が生じることがあります。

    3.同居人・追加居住者(Additional Occupant)

    正式な賃貸契約には名前がなく、住人の了解を得て同居している形です。

    この場合、一般の賃貸人と同じ権利が認められるかどうかは、実際の契約関係や州の法律によって異なります。

    家賃を支払っているからといって、必ず正式な共同賃借人になっているとは限りません。

    4.ルーミングハウス・ボーディングハウス

    住宅の運営者が、複数の人へ個別に部屋を貸す宿泊形態です。

    ビクトリア州では、4人以上が部屋を借りて居住できる施設など、法律上のルーミングハウス(Rooming House)に該当する施設には、一般的な住宅賃貸とは異なる規則が適用されます。

    ニューサウスウェールズ州のボーディングハウスなどにも、別の権利・義務が適用される場合があります。

    契約形態 主な契約相手 注意点
    共同賃借 住宅所有者・管理会社 ほかの共同賃借人の未払い等にも責任が及ぶ場合がある
    転貸 ヘッドテナント 適法な転貸か、ボンドの管理方法を確認
    追加居住者 取り決めの相手による 正式な賃借人と同じ権利があるとは限らない
    ルーミングハウス等 施設の運営者 一般住宅と別の規則が適用される場合がある

    契約する前に、誰に家賃を支払い、自分はどのような立場で入居するのかを確認してください。

    参考:ニューサウスウェールズ州政府:共同生活と賃貸契約

    参考:ビクトリア州消費者行政:共同賃借のルール

    ボンドとは?州ごとの保証金のルール

    シェアハウスの入居時には、家賃とは別にボンド(Bond)と呼ばれる保証金を求められることがあります。

    ボンドは、日本の敷金に近いものです。

    退去時に家賃の未払いがあったり、入居者の責任によって住宅や設備が損傷したりした場合などに、必要な費用へ充当されることがあります。

    一方、適切に退去し、正当な控除理由がなければ、通常は返還されるお金です。

    ただし、ボンドの上限や預け先、返金手続きは州によって異なります。

    主要州のボンドのルール

    州 一般的な住宅賃貸の上限 公的管理機関
    ニューサウスウェールズ州 家賃4週間分 NSW Fair Trading / Rental Bonds Online
    ビクトリア州 原則家賃1か月分 Residential Tenancies Bond Authority(RTBA)
    クイーンズランド州 家賃4週間分 Residential Tenancies Authority(RTA)
    西オーストラリア州 一般に家賃4週間分 Bond Administrator

    上記は一般的な住宅賃貸契約の目安であり、契約形態や住宅の種類によって例外があります。

    ニューサウスウェールズ州の場合

    シドニーを含むニューサウスウェールズ州では、一般的な住宅賃貸契約のボンド上限は家賃4週間分です。

    また、入居時に求められる前払い家賃は最大2週間分です。

    ボンドは正式な制度に従って管理され、Rental Bonds Onlineを利用することができます。

    共同賃借の場合、複数の入居者のボンドを代表者が管理する手続きも設けられています。

    なお、2026年9月21日以降に締結された標準的な住宅賃貸契約では、共同賃借人それぞれの当初のボンド負担額を記録する仕組みも導入されています。

    これは、途中で誰かが退去する際、保証金の分配について争いが起きるのを防ぐためにも役立ちます。

    ビクトリア州の場合

    メルボルンを含むビクトリア州では、一般的な住宅賃貸契約のボンド上限は原則として家賃1か月分です。

    ただし、物件全体の週家賃がA$900を超える場合や、裁判所の判断がある場合などは、上限が異なることがあります。

    ボンドはRTBAが管理します。

    2026年9月9日からは、入居者が所定の手続きによってRTBAへ直接ボンドを支払う方法も認められています。

    また、ビクトリア州のルーミングハウスでは、一般住宅とは異なる上限があります。

    期間の定めがないルーミングハウス契約では通常14日分、期間の定めがある契約では最大28日分です。

    クイーンズランド州の場合

    ブリスベンやゴールドコースト(Gold Coast)があるクイーンズランド州では、一般的な住宅賃貸やルーミングアコモデーションについて、ボンド上限は家賃4週間分です。

    ボンドを受け取った住宅所有者、管理会社、ヘッドテナントなどは、原則として10日以内にRTAへ預ける必要があります。

    また、正式にボンドを受け取ったことを示す領収書も必要です。

    共同生活の場合は、ボンドを負担した人とそれぞれの金額を、適切に記録する必要があります。

    ボンドはヘッドテナントの個人口座へ払ってもよい?

    転貸契約などでは、ヘッドテナントが一時的にボンドを受け取る場合があります。

    しかし、受け取ったボンドを公的機関へ預ける義務がある契約なのに、個人口座に入れたまま管理しているのであれば問題になります。

    州ごとに定められた正式な管理方法を確認し、支払い記録とボンドの受付番号を保存しておきましょう。

    公式情報:NSW政府:Rental Bonds Online

    公式情報:ビクトリア州:ボンドの金額と支払方法

    公式情報:クイーンズランド州:Rental Bond

    公式情報:西オーストラリア州:ボンドの正式な預け入れ

    入居時に必要なお金を計算してみよう

    シェアハウスを借りる際には、最初の家賃だけではなく、ボンドや前払い家賃なども必要です。

    例えば、ニューサウスウェールズ州の一般的な住宅賃貸契約で、週A$320の部屋を借りる場合を考えてみましょう。

    ボンド4週間分、前払い家賃2週間分を求められたと仮定します。

    項目 計算 金額
    ボンド A$320 × 4週間 A$1,280
    前払い家賃 A$320 × 2週間 A$640
    入居時の合計 A$1,920

    つまり、この例では入居時にA$1,920を準備する必要があります。

    ただし、ボンドのA$1,280は条件を満たせば返還される性質のお金です。

    また、前払い家賃のA$640は、最初の2週間分に充当されます。

    次の家賃支払日になったら、再び契約に従って家賃を支払うことになります。

    家具や生活用品の購入費も忘れずに

    部屋にベッドが備え付けられていない場合、購入費用が必要です。

    また、寝具、ハンガー、調理用品、洗剤などを自分で購入する必要があるかもしれません。

    家賃やボンドとは別に、生活用品のための予算も用意しておきましょう。

    ホールディングフィーとは?

    物件によっては、部屋を確保するためにホールディングフィー(Holding Fee)を求められる場合があります。

    ニューサウスウェールズ州の一般的な住宅賃貸契約では、申込者の入居申請が承認された後に、最大1週間分の家賃に相当するホールディングフィーを求めることができます。

    契約が成立した場合は、その金額が家賃へ充当されます。

    ただし、契約しなかった場合の返金条件には規則があります。

    また、こうした州法上の取り扱いを、すべてのシェアハウス契約にそのまま当てはめることはできません。

    金銭を支払う前に、その名目と返金条件を書面で確認してください。



    日本からの契約と賃貸詐欺への注意

    オーストラリアへ渡航する前に、日本からシェアハウスを確保しておきたいと考える方もいるでしょう。

    しかし、実際に物件を確認しないまま契約することにはリスクがあります。

    オーストラリアのスキャムウォッチ(Scamwatch)は、実在しない部屋や、募集者が所有・管理する権限を持たない物件を使った賃貸詐欺について注意を呼びかけています。

    実在する住宅の写真や住所を無断で使用し、ボンドや前払い家賃を振り込ませる手口もあります。

    こんな募集には注意

    • 周辺の募集と比較して家賃が極端に安い
    • オーナーが海外にいるため、内見できないと言われる
    • 内見前にボンドを振り込むよう求められる
    • すぐ送金しないと別の人に貸すと急かされる
    • 募集者の氏名や管理会社の情報が分からない
    • 契約書や支払い記録を発行してもらえない
    • 個人口座への送金や、確認できない決済方法だけを指定される
    • 物件と関係のない第三者へパスポートのコピーなどを求められる

    こうした条件があるからといって必ず詐欺というわけではありませんが、複数当てはまる場合は慎重に判断してください。

    本当に物件が存在するか確認する

    募集広告に住所が書かれていれば、地図や不動産情報サイトなどで建物を確認できます。

    ただし、建物が実在していることと、募集者にその部屋を貸す権限があることは別です。

    できれば現地で内見し、管理者や契約相手を確認してください。

    不動産会社を通じた募集であれば、その会社が州の必要なライセンスを持っているか確認する方法もあります。

    日本から手配するときの現実的な方法

    初めての渡航なら、到着後の数日から1週間程度はホテルやホステルに滞在し、その間にシェアハウスを内見する方法が比較的安全です。

    日本にいる間は候補を探し、到着後に内見する予約を入れておくと効率的でしょう。

    部屋が決まる前の短期宿泊費は必要になりますが、長期間住む場所を慎重に選べるというメリットがあります。

    トラブルに遭った場合

    詐欺が疑われる場合には、相手とのメッセージ、募集広告、振込記録などを保存してください。

    送金後に詐欺に気付いた場合は、速やかに銀行へ連絡し、必要に応じて警察やスキャムウォッチへ報告しましょう。

    スキャムウォッチ:賃貸詐欺の注意事項

    契約書で確認する項目と入居時の記録

    部屋が決まったら、入居前に契約条件を確認します。

    正式な住宅賃貸契約では、州ごとに定められた契約書や手続きが使用されます。

    一方、シェアハウスの転貸や個人間の取り決めでは、契約書の形式が異なることがあります。

    いずれの場合も、家賃やボンドなどの重要な条件は書面に残しておくことをおすすめします。

    契約前に確認する項目

    • 契約相手の氏名・会社名
    • 住宅と借りる部屋の住所
    • 入居開始日
    • 契約期間
    • 週当たりの家賃
    • 家賃の支払日と支払方法
    • ボンドの金額と管理方法
    • 電気・ガス・水道・インターネットの負担
    • 家具・設備の一覧
    • 最低滞在期間
    • 退去の通知期間
    • 途中退去時の条件
    • 清掃・修理の責任
    • 家のルール

    英語の契約書に署名する際は、内容を十分に理解してから署名しましょう。

    分からない部分がある場合は、その場で質問して構いません。

    入居時の写真は必ず残す

    部屋を借りるときは、最初の状態を写真で記録しておくことをおすすめします。

    例えば、壁に以前から傷がある場合や、家具が壊れている場合は、写真を撮影しておきましょう。

    退去時に「自分が傷を付けた」と言われることを防ぐためにも役立ちます。

    ニューサウスウェールズ州の一般的な住宅賃貸契約では、入居時にコンディションレポート(Condition Report)を受け取り、借主側の確認内容を入居後7日以内に返す手続きがあります。

    ビクトリア州のルーミングハウスなどでは、契約形態によって別の期限が設けられています。

    シェアハウスでも、契約形態にかかわらず、入居時に部屋の写真を撮影しておくと安心です。

    契約書と領収書は保存する

    賃貸契約書、ボンドの支払証明、家賃の振込記録、同居ルール、退去に関するメッセージなどは、退去が完了するまで保存しておきましょう。

    口頭で説明された内容と書面の契約条件が異なる場合は、契約前に確認してください。

    参考:ニューサウスウェールズ州:入居時の住宅状態確認

    シェアハウス生活で起こりやすいトラブル

    シェアハウスでは、住んでいる人同士の生活スタイルが違うことがあります。

    特に多国籍の住宅では、食事の時間、掃除の習慣、友人を招く頻度などが人によって違います。

    共同生活を始める前に、どのようなルールがあるのか確認しておくと、入居後のトラブルを減らせます。

    キッチンと冷蔵庫の使い方

    冷蔵庫の棚が個人別に分かれている場合もあれば、ある程度共同利用する場合もあります。

    食材を勝手に使われたり、調理器具が片付けられていなかったりすることで、トラブルになることもあります。

    使える棚や調理器具、掃除のルールを確認しましょう。

    掃除当番

    共有部分の清掃を当番制にしている住宅もあります。

    キッチン、バスルーム、ゴミ出し、掃除機がけなど、役割を分担している場合は、その内容を確認してください。

    清掃を業者へ依頼している住宅では、費用が家賃に含まれているのか、追加で負担するのかも確認しましょう。

    騒音と生活時間

    ワーキングホリデーでは、早朝から農場で働く人もいれば、深夜までレストランで働く人もいます。

    同居人の生活時間が大きく違うと、夜間の話し声や洗濯機の使用などが問題になることがあります。

    夜間の静かな時間帯について、あらかじめルールが決められている住宅もあります。

    来客・宿泊客のルール

    友人や恋人を部屋へ招いてよいか、泊めてもよいかは住宅によって異なります。

    契約書やハウスルールで来客の条件が定められている場合は、それに従いましょう。

    追加の請求が発生した場合

    電気代やインターネット料金などの追加負担が必要になった場合は、契約条件や請求内容を確認してください。

    また、正式な賃貸契約に該当する場合には、光熱費の請求方法についても州の規則が適用されることがあります。

    口頭で突然追加料金を求められた場合は、何の費用なのか、どのような計算なのかを確認しましょう。

    問題が発生した場合は、まず落ち着いて話し合い、必要に応じてメッセージやメールなどで記録を残してください。

    退去通知・清掃・ボンドの返金

    シェアハウスを退去するときは、契約に従って退去の申し出を行います。

    注意したいのは、すべてのシェアハウスに共通する退去通知期間があるわけではないという点です。

    例えば、クイーンズランド州の一般的な期間の定めのない住宅賃貸契約では、借主が通常の理由で退去する場合、原則14日前までの通知が必要です。

    一方、同州のルーミングアコモデーションでは、期間の定めのない契約の通常の退去通知は原則7日前です。

    同じ州でも契約形態によって異なります。

    さらに、契約期間の途中で退去する場合は、家賃や再募集費用などの問題が生じることもあります。

    退去前に確認すること

    • 契約上の退去通知期間
    • 退去する正式な日付
    • 最後に家賃を支払う日
    • ボンドの返金方法
    • 部屋の清掃範囲
    • 鍵の返却方法
    • 公共料金などの精算

    通常の使用による劣化と損傷は違う

    オーストラリアの賃貸制度では、通常の使用による経年劣化をフェア・ウェア・アンド・ティア(Fair Wear and Tear)と呼びます。

    一般的な住宅賃貸契約では、通常の使用による劣化まで、借主が修理費用を負担する必要はありません。

    一方、借主の不注意によって壁や家具を壊した場合などは、修理費用の負担が必要になることがあります。

    そのため、入居時に撮影した写真やコンディションレポートが役立ちます。

    ボンドはいつ返金される?

    正式に預けられたボンドは、州の制度に従って返金手続きを行います。

    共同賃借でほかの住人が残る場合には、住宅全体のボンドがすぐ返金されるとは限りません。

    ニューサウスウェールズ州では、共同賃借人の1人が退去し、自分の負担分の返金を求めた場合、残る共同賃借人は原則14日以内に、未払い家賃などの正当な費用を調整したうえで返金する義務があります。

    ビクトリア州でも、入居者が入れ替わる場合には、RTBAの登録情報を正式に変更する手続きがあります。

    このように、自分だけがシェアハウスを出る場合と、住宅全体の賃貸契約が終了する場合では、ボンドの手続きが異なります。

    新しい入居者から直接ボンドを受け取る場合も、誰がいくら負担したか、正式なボンド登録の名義変更が必要かを確認してください。

    退去後に保証金が返金されない場合は、契約書、写真、振込記録などを用意し、州の賃貸相談窓口へ相談できます。

    公式情報:ニューサウスウェールズ州:共同賃借人の退去とボンド

    公式情報:ビクトリア州:入居者の変更とボンド登録

    公式情報:クイーンズランド州:退去通知期間

    オーストラリアのシェアハウスに関するよくある質問

    オーストラリアのシェアハウスはどこで探せますか?

    フラットメイツ、ガムツリー、Facebookの地域別グループ、不動産情報サイトなどで探せます。特にフラットメイツは部屋の種類や都市、家賃、入居日などを指定して検索できるため便利です。ただし、掲載者の身元や物件の状態は必ず確認してください。
    シェアハウスの家賃は月払いですか?週払いですか?

    オーストラリアのシェアハウスでは、家賃を週単位で表示することが一般的です。例えばA$300 pwなら週A$300です。実際の支払頻度は契約によって異なります。1か月平均の家賃を計算する場合は、週の家賃に52を掛けて12で割ります。
    ボンドとは何ですか?退去時に返金されますか?

    ボンドは家賃の未払い、住宅の損傷などに備える保証金で、日本の敷金に近いものです。契約に基づく正当な控除がなければ、通常は退去時に返金されます。上限額や管理方法は州と契約形態によって異なります。
    シドニーのシェアハウスのボンドはいくらですか?

    ニューサウスウェールズ州の一般的な住宅賃貸契約では、ボンドの上限は家賃4週間分です。例えば週A$320なら最大A$1,280です。ただし、シェアハウスの契約形態によって取り扱いが異なる場合があるため、契約内容と正式な預け先を確認してください。
    日本からシェアハウスを契約しても大丈夫ですか?

    日本から部屋を探して問い合わせることはできますが、物件を確認しないままボンドや前払い家賃を送金することにはリスクがあります。可能であれば現地で内見してから契約することをおすすめします。賃貸詐欺にも注意してください。
    シェアハウスには契約書が必要ですか?

    契約書の要件は州や契約形態によって異なりますが、トラブルを防ぐために、家賃、ボンド、支払先、契約期間、退去通知、追加費用などの条件を書面に残すことをおすすめします。書面がない場合でも、法律上の権利が一切なくなるわけではありません。
    シェアハウスは何週間前に退去を伝えればよいですか?

    退去通知期間は州、契約形態、契約期間などによって異なります。例えばクイーンズランド州では、一般的な期間の定めのない住宅賃貸契約の通常の退去通知は原則14日前ですが、ルーミングアコモデーションでは原則7日前です。契約書と州の公式規則を確認してください。
    シェアハウスで光熱費は家賃に含まれていますか?

    物件によって異なります。Bills Includedと書かれていれば指定の光熱費などが家賃に含まれていますが、インターネットや冷暖房費などが別料金の場合もあります。何が含まれるか、契約前に確認してください。
    シェアハウスの同居人が家賃を払わなかった場合、自分にも責任がありますか?

    共同賃借契約で全員の名前が賃貸契約書に記載されている場合、ほかの共同賃借人の家賃未払いについても責任を負う可能性があります。一方、個別の転貸契約などでは取り扱いが異なります。契約形態を確認してください。
    ボンドが返金されない場合はどこに相談できますか?

    住んでいる州と契約形態によって相談先が異なります。ニューサウスウェールズ州ではNSW Fair Trading、ビクトリア州ではConsumer Affairs Victoriaや賃貸紛争解決制度、クイーンズランド州ではResidential Tenancies Authorityなどが相談先になります。契約書、ボンドの支払記録、入退去時の写真を保存しておきましょう。



    まとめ|シェアハウスは家賃だけでなく契約内容を確認しよう

    オーストラリアのシェアハウスは、ワーキングホリデーや留学で長期間滞在する方にとって、住居費を抑えながら現地の生活を経験できる方法です。

    部屋探しには、フラットメイツなどの募集サイトや地域別のコミュニティーを利用できます。

    ただし、掲載されている写真や家賃だけで契約を決めず、できるだけ現地で内見することをおすすめします。

    部屋の広さ、設備、同居人数、通勤時間、光熱費などを確認し、自分の生活に合っているか判断しましょう。

    また、入居時に求められるボンドは、家賃とは別の保証金です。金額の上限や正式な管理方法は州によって異なります。

    特に注意したいのが、共同賃借と又貸しの違いです。誰と契約しているかによって、ほかの入居者の未払い家賃への責任や、退去時のボンド返金手続きが変わる場合があります。

    契約前には、家賃、ボンド、追加料金、最低滞在期間、退去通知期間を確認し、重要な内容を書面に残しておきましょう。

    日本から部屋を探す場合も、内見できないままお金を振り込むことは避け、募集者や物件の正当性を確認することが大切です。

    シェアハウス選びでは、安い家賃だけでなく、安心して暮らせる環境と明確な契約条件を優先することが重要です。

    気に入った部屋が見つかれば、オーストラリアでの生活がぐっと楽しくなるはずです。焦らずに複数の物件を比較し、自分に合った住まいを見つけてください。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!

  • オーストラリアの最低賃金はいくら?カジュアル・パートタイム・フルタイムの違いと給料の計算方法

    オーストラリアの最低賃金はいくら?カジュアル・パートタイム・フルタイムの違いと給料の計算方法

    オーストラリアでワーキングホリデーやアルバイトを考えている方にとって、気になるのが給料です。

    日本と比べて時給が高いと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、オーストラリアの最低賃金は日本より高い水準にあります。

    ただし、求人広告に書かれている時給だけで仕事を選ぶのは少し注意が必要です。

    オーストラリアには、カジュアル(Casual)、パートタイム(Part-time)、フルタイム(Full-time)という雇用形態があり、それぞれ給与や有給休暇などの条件が異なります。

    また、レストランやホテル、小売店などでは、土曜日、日曜日、祝日に働くと通常より高い時給が適用される場合があります。

    例えば、平日の時給がA$33程度の仕事でも、日曜日にはA$46以上、祝日にはA$66以上になるケースがあります。

    一方で、雇用主から提示された金額が、その仕事に適用される最低賃金を下回っている場合もあります。ワーキングホリデーだからといって、最低賃金より安く働かなければならないという決まりはありません。

    この記事では、オーストラリアの最低賃金、カジュアル・パートタイム・フルタイムの違い、土日祝日の割増賃金、業種別の時給、実際の給与計算方法、給与明細の確認方法まで詳しく解説します。

    2026年7月1日から適用されている最新の賃金を使用し、オーストラリア政府の労働条件に関する公式情報をもとに説明します。

    カフェの求人を見ていたら、カジュアルは時給A$33、パートタイムはA$26くらいでした。同じ仕事なのに、どうしてこんなに違うのでしょうか?
    カジュアルには、通常25%のカジュアル・ローディングという上乗せ賃金があります。その代わり、一般的な有給休暇や病気休暇はありません。また、同じ仕事でも土日や祝日には時給が変わることがありますので、求人を見るときは雇用形態と適用される賃金規則も確認しましょう。




    オーストラリアの最低賃金はいくら?

    オーストラリアの最低賃金は、原則として毎年見直されています。

    2026年7月1日から適用されている全国最低賃金(National Minimum Wage)は、次のとおりです。

    項目 最低賃金
    成人の全国最低時給 A$26.44
    成人の全国最低週給 A$1,004.90
    カジュアルの最低時給 A$33.05
    適用開始 2026年7月1日以降の最初の完全な給与計算期間から

    ここで示した金額は、いずれも税引前の金額です。

    また、A$26.44という時給は、原則としてアワードや登録された労働協約の適用を受けない成人労働者の全国最低賃金です。

    全国最低週給のA$1,004.90は、週38時間の標準的な労働時間に対する公定金額です。時給表示は小数点以下2桁に丸められているため、表示時給を単純に38倍した金額とは端数が一致しません。

    すべての仕事の最低時給がA$26.44というわけではない

    ここは非常に重要です。

    オーストラリアでは、多くの仕事にアワード(Award)と呼ばれる業種別・職種別の賃金規則が適用されます。

    そのため、レストラン、ホテル、スーパー、建設業、農業などでは、それぞれの仕事に対応する最低賃金を確認する必要があります。

    例えば、ホテルのフロントスタッフとレストランの調理補助では、適用される賃金規則や職務等級が異なる場合があります。

    また、2026年の賃金改定では、多くのアワードの最低賃金が4.75%引き上げられました。

    新しい最低賃金は、原則として2026年7月1日以降に始まる最初の完全な給与計算期間から適用されています。

    給与の締め日によっては、7月1日その日からではなく、次の給与計算期間から適用される場合があります。

    公式情報:フェアワーク・オンブズマン:2026年最低賃金改定

    最低賃金は仕事によって違う?Awardの仕組み

    オーストラリアで働く際に知っておきたいのが、アワードという制度です。

    アワードは、一定の業種や職種の労働者について、最低賃金や労働条件を定めた法的な規則です。

    正式にはモダン・アワード(Modern Award)と呼ばれています。

    アワードには、最低時給だけでなく、次のような内容も定められています。

    • 職種・経験に応じた賃金等級
    • カジュアル雇用の時給
    • 土曜日・日曜日・祝日の割増賃金
    • 早朝・深夜勤務の手当
    • 残業代
    • 最低勤務時間
    • 休憩時間
    • 各種手当

    例えば、ワーキングホリデーで働く方が多い業種には、次のようなアワードがあります。

    仕事の種類 代表的な賃金規則
    レストラン・カフェ Restaurant Industry Award
    ホテル・宿泊施設 Hospitality Industry (General) Award
    スーパー・一般小売店 General Retail Industry Award
    果物・野菜の栽培・収穫 Horticulture Award
    建設関連 仕事内容に応じた建設業等のアワード

    ただし、仕事の場所や業務内容によっては、表とは別のアワードや企業別労働協約(Enterprise Agreement)が適用される場合もあります。

    例えば、同じ接客の仕事でも、ホテル内のレストランと独立したレストランでは、賃金規則が異なることがあります。

    職務等級にも注意

    アワードには、Level 1、Level 2、Level 3などの職務等級が設けられている場合があります。

    仕事の内容、責任、必要な技能、経験などによって適用される等級が決まります。

    例えば、簡単な清掃や補助業務と、専門的な調理や接客、管理業務では、最低賃金が異なることがあります。

    雇用主から提示された時給が正しいか確認するには、どのアワードの、どの職務等級が適用されるのかを把握することが大切です。

    カジュアル・パートタイム・フルタイムの違い

    オーストラリアで仕事を探していると、求人広告にCasual、Part-time、Full-timeという雇用形態が書かれています。

    日本でもアルバイト、パート、正社員などの区分がありますが、オーストラリアの制度は少し異なります。

    特に、日本で使う「パート」と、オーストラリアのPart-timeは必ずしも同じではありません。

    フルタイム

    フルタイムは、通常、週平均38時間働く雇用形態です。

    継続的な雇用を前提とする場合が多く、有給休暇や病気休暇などの権利があります。

    ただし、仕事内容やアワードによって具体的な勤務時間や勤務日の取り扱いは異なります。

    パートタイム

    パートタイムは、通常、週38時間より短い時間で、比較的規則的に働く雇用形態です。

    例えば、毎週月曜日から木曜日まで、1日5時間勤務するような働き方です。

    フルタイムと同様に、有給休暇や病気休暇などが勤務時間に応じて付与されます。

    カジュアル

    カジュアルは、継続的な仕事の提供について確約がなく、カジュアル特有の給与条件が適用される雇用形態です。

    仕事が忙しいときには多くのシフトに入れてもらえても、閑散期には勤務時間が減ることがあります。

    その代わり、通常はカジュアル・ローディングという賃金の上乗せがあります。

    項目 フルタイム パートタイム カジュアル
    勤務時間 通常週平均38時間 通常週38時間未満 勤務状況により変動
    勤務の継続性 通常は継続的 通常は継続的 継続的な仕事の確約がない
    有給の年次休暇 あり 比例付与 通常なし
    有給の病気・介護休暇 あり 比例付与 通常なし
    カジュアル上乗せ賃金 なし なし 通常25%
    スーパーアニュエーション 対象 対象 対象

    なお、カジュアルにも、家庭内暴力に関する有給休暇など、一部の法律上の休暇権利があります。「カジュアルには一切の休暇がない」という説明は正確ではありません。

    パートタイムは必ず時給が低い?

    カジュアルと比べると、通常の時間給は低いことがあります。

    しかし、パートタイムには有給休暇などがあるため、単純に時給だけで有利・不利を判断できません。

    一定の勤務日数が保証されていることや、収入の見通しを立てやすいこともメリットです。

    一方、ワーキングホリデーでさまざまな地域を移動しながら働きたい方にとっては、カジュアルが便利な場合もあります。

    カジュアルの時給が25%高い理由

    カジュアル雇用の特徴が、カジュアル・ローディング(Casual Loading)です。

    これは、一般的な有給休暇などを受けられないことや、雇用の不安定さを考慮して基本賃金に上乗せされる金額です。

    多くのアワードでは、基本時給に25%が加算されます。

    例えば、基本時給A$26.44の場合、次のようになります。

    A$26.44 × 1.25 = A$33.05

    つまり、基本時給A$26.44の仕事でも、25%のカジュアル・ローディングが適用されれば、通常時給はA$33.05になります。

    基本時給 25%上乗せ後
    A$26.44 A$33.05
    A$28.00 A$35.00
    A$30.00 A$37.50
    A$32.00 A$40.00

    ただし、この表は25%を上乗せする計算例であり、すべての職種に一律に適用される料金表ではありません。

    アワードや企業別労働協約によって、具体的な賃金計算方法や適用条件は異なります。

    カジュアルはシフトを自由に選べる?

    カジュアル雇用では、雇用主がシフトを提示し、従業員が受けるかどうかを判断する形もあります。

    ただし、すべてのカジュアルが好きな時間に自由に働けるわけではありません。

    シフトの通知方法や変更手続きは、雇用契約やアワードによって異なります。

    また、毎週同じ曜日に働いているからといって、それだけで自動的にパートタイムになるわけでもありません。

    長期間働いたらパートタイムに変更できる?

    2024年以降の制度変更により、一定の条件を満たすカジュアル労働者には、継続雇用への変更を求める手続きが設けられています。

    例えば、通常の事業者では6か月以上、小規模事業者では12か月以上働き、その他の条件を満たす場合、フルタイムまたはパートタイムへの変更を申し出られることがあります。

    ただし、勤務期間を満たせば自動的に変更される制度ではなく、法律上の条件や手続きがあります。

    ワーキングホリデーで同じ職場に長期間勤務する方は、確認しておいてもよいでしょう。

    公式情報:フェアワーク:カジュアル雇用の条件



    レストラン・ホテル・小売店の最低時給比較

    それでは、実際にワーキングホリデーで働く方が多い仕事の時給を比較してみましょう。

    以下は2026年7月1日からの公式アワードに基づく料金例です。

    いずれも成人の該当する職務等級について、通常の時間帯に働いた場合の最低時給を示しています。

    仕事・適用アワード フル・パート時給 カジュアル時給
    レストラン Level 1 A$26.44 A$33.05
    ホテル・宿泊業 Level 1 A$26.44 A$33.05
    小売業 Level 1 A$27.81 A$34.76
    園芸・収穫業 Level 1 A$25.74 A$32.18

    ※各アワードの成人Level 1を比較したもので、すべての従業員に同じ等級が適用されるわけではありません。園芸業のLevel 1など、短期間の入門的な等級には全国最低賃金とは異なる特別な最低賃金が認められています。

    レストランとホテルでは時給が同じ?

    表ではLevel 1の通常時給が同じですが、土日祝日の割増率や勤務時間の規則などが異なる場合があります。

    例えば、日曜日のカジュアル時給は、レストランとホテルで異なるケースがあります。

    また、レストランで接客を担当する人が、必ずLevel 1になるとは限りません。

    仕事内容や技能によってLevel 2以上が適用される場合もあります。

    小売店の仕事は?

    スーパーや小売店などでは、一般小売業のアワードが適用される場合があります。

    成人Level 1の通常カジュアル時給はA$34.76です。

    ただし、勤務する店舗や仕事内容によっては、別のアワードや企業別労働協約が適用されることもあります。

    農場の仕事は?

    果物や野菜の栽培・収穫などに適用されるホーティカルチャー・アワード(Horticulture Award)では、Level 1のカジュアル最低時給がA$32.18です。

    なお、このアワードでは経験に応じた等級の変更が定められており、通常、3か月を超える経験を持つ従業員には、Level 2以上が適用されます。

    一般的な「農場の仕事」という言葉だけで、すべて同じ賃金規則になるわけではありません。

    公式情報:フェアワーク:業種別最低賃金ガイド

    土曜日・日曜日・祝日の割増賃金

    オーストラリアの仕事で知っておきたいのが、ペナルティ・レート(Penalty Rates)です。

    これは、週末や祝日、通常とは異なる時間帯に働いた場合に適用される割増賃金のことです。

    日本語ではペナルティという言葉が少し不自然に感じられるかもしれませんが、従業員が罰金を支払うという意味ではありません。

    むしろ、条件に該当する勤務に対して給与が上乗せされる制度です。

    ホテル・宿泊業の具体例

    ホスピタリティ産業一般アワード(Hospitality Industry (General) Award)の成人Level 1について、フルタイム・パートタイムとカジュアルの通常勤務時給を比較してみましょう。

    勤務日 フル・パート カジュアル
    平日の通常時間 A$26.44 A$33.05
    土曜日 A$33.05 A$39.66
    日曜日 A$39.66 A$46.27
    祝日 A$59.49 A$66.10

    いずれも2026年7月1日からの成人Level 1の通常勤務に関する料金です。深夜・早朝の追加手当や残業など、別の条件がある場合は金額が変わります。

    例えば、ホテルでカジュアルとして働く場合、平日の通常時給がA$33.05でも、日曜日はA$46.27になります。

    祝日ならA$66.10です。

    祝日に6時間働いた場合、単純な税引前給与は次のようになります。

    A$66.10 × 6時間 = A$396.60

    もちろん、毎週祝日があるわけではありませんし、祝日に必ずシフトが入るとも限りません。

    ただし、週末勤務が多い仕事では、同じ勤務時間でも収入に違いが出ることが分かります。

    レストランのカジュアルは日曜日も同じ?

    ここで少し意外なのが、独立したレストランなどに適用されるレストラン産業アワード(Restaurant Industry Award)です。

    成人Level 1のカジュアルについては、次のような料金になります。

    勤務日 カジュアルLevel 1
    平日の通常時間 A$33.05
    土曜日 A$39.66
    日曜日 A$39.66
    祝日 A$66.10

    レストラン産業アワードでは、カジュアルのIntroductory~Level 2について、土曜日と日曜日の通常勤務割増率が同じです。

    一方、Level 3以上では日曜日の割増率が高くなります。

    つまり、レストランとホテルで同じ時給A$33.05の仕事でも、日曜日の給料が異なる場合があるということです。

    祝日ならどの仕事でも時給2.5倍?

    必ずしもそうではありません。

    割増率は適用されるアワード、雇用形態、勤務条件などによって異なります。

    また、一般的にカジュアルの休日割増率には、通常のカジュアル・ローディングが含まれています。

    例えば、祝日250%という料金に、さらに25%を上乗せするという意味ではありません。

    アワードで定められた最終的な時給を確認してください。

    参考:Hospitality Industry (General) Award

    参考:Restaurant Industry Award

    実際の給料はいくら?週20時間・30時間の計算例

    それでは、具体的にどのくらいの給料を受け取れるのか、勤務時間別に計算してみましょう。

    まずは、時給A$33.05のカジュアル雇用で、平日の通常時間帯だけ働く場合です。

    週の勤務時間 税引前の週給 4週間分
    15時間 A$495.75 A$1,983.00
    20時間 A$661.00 A$2,644.00
    25時間 A$826.25 A$3,305.00
    30時間 A$991.50 A$3,966.00

    これはすべて通常時間帯で働き、時給がA$33.05であると仮定した税引前の計算です。

    税金のほか、週末勤務、残業、各種手当などは考慮していません。

    週末勤務が入った場合

    次は、ホテルの成人Level 1のカジュアル従業員として、次のように働いたケースです。

    • 平日:20時間
    • 土曜日:6時間
    • 日曜日:4時間
    勤務日 時給 勤務時間 給与
    平日 A$33.05 20時間 A$661.00
    土曜日 A$39.66 6時間 A$237.96
    日曜日 A$46.27 4時間 A$185.08
    週30時間の税引前給与 A$1,084.04

    同じ30時間でも、すべて平日に働く場合のA$991.50と比べると、週A$92.54多くなります。

    4週間続けば、差額はA$370.16です。

    ただし、この例はすべての時間が通常勤務として認められ、残業や深夜手当が発生せず、各勤務日の最低勤務時間なども満たしていると仮定しています。

    実際の給与計算では、適用されるアワードやシフトの組み方を確認する必要があります。

    週30時間働けるとは限らない

    カジュアル雇用では、毎週同じ勤務時間が保証されているとは限りません。

    例えば、観光客の多い季節には週30時間以上働けても、閑散期には週15時間程度になる可能性があります。

    時給が高くても、勤務時間が少なければ収入は減ります。

    仕事を選ぶ際には、時給だけでなく、週に何時間程度の勤務が見込めるのかを確認することも重要です。



    残業代・深夜手当・休憩時間のルール

    オーストラリアでは、長時間働いた場合や深夜に働いた場合にも、アワードに基づく追加の賃金が必要になることがあります。

    ただし、日本の残業代の仕組みと同じではありません。

    残業代(Overtime)

    アワードによっては、通常の勤務時間を超えた場合、150%や200%などの残業割増率が適用されます。

    例えば、ホテルやレストランの一部の職務等級では、残業の最初の2時間は基本時給の150%、それ以降は200%などの規則があります。

    ただし、カジュアル雇用については、通常勤務時給と残業割増時給の計算方法が異なる場合があります。

    また、残業になるかどうかは、単純に1日8時間を超えたかどうかだけで判断するものではありません。

    週の通常勤務時間、1日の勤務上限、シフトの組み方など、適用されるアワードの規則を確認する必要があります。

    深夜・早朝の追加手当

    レストラン産業アワードでは、平日の午後10時から午前0時、午前0時から午前6時など、特定の時間帯に追加手当が設定されています。

    一方、ホテル・宿泊業のアワードでは、早朝や深夜の勤務について別の割増条件が設けられています。

    そのため、夜遅くまで営業するレストランやバーなどで働く場合は、基本時給だけでなく、深夜勤務の手当も確認しましょう。

    休憩時間も給料が出る?

    オーストラリアでは、食事休憩や短い休息時間について、アワードごとに規則が定められています。

    例えば、食事休憩は無給でも、短い休息時間は有給とされる場合があります。

    また、一定時間を超えて働く場合には、指定された休憩を取らせる必要があります。

    雇用主が休憩を認めずに働かせた場合、アワードによっては追加賃金が発生することもあります。

    休憩時間は業種によって異なるため、すべての仕事に同じルールがあると考えないようにしましょう。

    研修や開店準備の時間は無給?

    必要な研修、業務ミーティング、開店準備、閉店作業など、雇用主の指示によって働く時間は、通常、賃金支払いの対象になります。

    例えば、カフェの営業開始30分前に出勤して清掃や準備をするよう指示されている場合、その時間も労働時間として扱われることがあります。

    「お店が開いていない時間だから給料は出ない」という説明が、必ずしも正しいわけではありません。

    農場の仕事と歩合給の最低賃金

    ワーキングホリデーでは、セカンド・サードビザの取得を目指して農場で働く方もいます。

    農場の仕事では、通常の時給制と、収穫した量などによって給与が決まる歩合給(Piece Rate)があります。

    時給制のファームジョブ

    果物や野菜の栽培、収穫、選別、梱包などの仕事には、ホーティカルチャー・アワードが適用される場合があります。

    2026年7月1日からの成人Level 1の最低時給は、フルタイム・パートタイムでA$25.74、カジュアルでA$32.18です。

    ただし、Level 1は経験の少ない従業員向けの等級であり、通常3か月を超える経験がある場合にはLevel 2以上への変更が必要になります。

    また、ワイン用ブドウの収穫など、別のアワードが適用される業務もあります。

    歩合給にも最低賃金保証がある

    ホーティカルチャー・アワードでは、歩合給で働く人にも最低賃金保証が設けられています。

    例えば、成人Level 1のカジュアルとして7.6時間働いた場合、最低保証額は約A$244.57です。

    収穫量から計算した給与がこの金額に達しなかった場合でも、原則として最低保証額を支払う必要があります。

    反対に、歩合による計算額が最低保証額を超えている場合は、高い方の給与が適用されます。

    ただし、これはホーティカルチャー・アワードの対象となる歩合給の例です。すべての農業関連の歩合給に同じ規則があるわけではありません。

    仕事を始める前に確認すること

    農場で働く場合は、時給や歩合単価だけでなく、勤務日数、収穫量、住居費、送迎費用なども確認しておきましょう。

    歩合給の場合は、仕事を始める前に給与の計算方法を記載した書面を受け取る必要があります。

    また、給与明細も保存してください。

    公式情報:フェアワーク:農業の時給・歩合給・最低賃金

    21歳未満の最低賃金はどうなる?

    オーストラリアで働く方の中には、18歳や19歳でワーキングホリデーに来る方もいます。

    ここで注意したいのは、若い労働者に対して、成人とは異なる最低賃金が適用される場合があることです。

    オーストラリアでは、ジュニア・レート(Junior Rates)という年齢別の賃金制度が設けられているアワードがあります。

    例えば、レストランや小売業のアワードでは、年齢によって成人時給の一定割合が適用される場合があります。

    ただし、仕事によっては年齢別の賃金が適用されない場合もあります。

    また、成人の時給が適用される年齢はアワードによって異なります。

    全国最低賃金の年齢別計算例

    アワードや企業別労働協約が適用されない労働者については、21歳未満の年齢別最低賃金が定められています。

    2026年7月からの料金例は次のとおりです。

    年齢 フル・パート時給 カジュアル時給
    18歳 A$18.06 A$22.58
    19歳 A$21.82 A$27.28
    20歳 A$25.84 A$32.30
    21歳以上 A$26.44 A$33.05

    ※アワードや企業別労働協約が適用されない場合の年齢別全国最低賃金です。実際のレストラン、ホテル、小売店などの給与は、適用されるアワードで確認してください。

    20歳なら必ず21歳以上より安い?

    必ずしもそうではありません。

    アワードによっては、年齢にかかわらず特定の職務に成人時給を適用する場合があります。

    また、経験や職務等級によって時給が高くなることもあります。

    若い方が仕事を探す際には、求人広告に書かれた時給だけでなく、自分の年齢と仕事内容に適用される規則を確認しましょう。

    給料から引かれる税金とスーパーアニュエーション

    オーストラリアで働く場合、雇用主から提示される時給は通常、税引前の金額です。

    実際に銀行口座へ振り込まれる金額は、源泉徴収される所得税などによって変わります。

    ワーキングホリデーの所得税

    ワーキングホリデービザ417・462の渡航者には、一般的な給与源泉徴収として、ワーキングホリデー渡航者向けの税率が使われる場合があります。

    登録された雇用主による通常の源泉徴収では、年度内の対象給与A$45,000までは15%が基本です。

    ただし、これはすべての日本人ワーキングホリデー渡航者の最終所得税率が必ず15%になるという意味ではありません。

    日本はオーストラリアとの租税条約に差別禁止条項を持つ国のひとつであり、税務上のオーストラリア居住者に該当する場合には、通常の居住者向けの税率が適用されることがあります。

    最終的な税額は、税務上の居住者区分、所得、租税条約などによって異なります。

    また、雇用主がワーキングホリデー雇用主としてATOに登録していない場合には、給与源泉徴収の扱いが異なる場合があります。

    TFNの提出も忘れずに

    オーストラリアで働く際には、タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)を雇用主へ提出することが一般的です。

    TFNを提出していない場合、一定の条件で通常より高い税率の源泉徴収が必要になる場合があります。

    詳しくは、関連記事「オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点」を参考にしてください。

    スーパーアニュエーションとは?

    スーパーアニュエーション(Superannuation)は、オーストラリアの退職年金制度です。

    日本の厚生年金と同じ制度ではありませんが、雇用主が従業員のために退職年金口座へ拠出する仕組みです。

    2026年10月現在、スーパーアニュエーションの基本的な雇用主拠出率は、対象となる給与の12%です。

    18歳以上で条件を満たす従業員については、カジュアル・パートタイム・フルタイムのいずれでも、原則として拠出対象になります。

    ワーキングホリデー渡航者も対象です。

    また、2026年7月1日から、給与支払日に合わせてスーパーアニュエーションを拠出するPayday Super制度が始まりました。

    雇用主は、給与支払日と同じタイミングで拠出の手続きを行い、原則として拠出額が7営業日以内に対象の基金へ到達するようにする必要があります。

    スーパーアニュエーションは給料から引かれる?

    通常、法律上必要な雇用主のスーパーアニュエーション拠出は、従業員の基本給与とは別に支払われます。

    ただし、求人に「Super Included」と表示されている場合には、提示金額にスーパーアニュエーション相当額が含まれている可能性があります。

    そのため、給与を確認する際には、次の違いに注意してください。

    • A$30 per hour + Super:時給A$30に加えてスーパーアニュエーションを拠出する条件
    • A$30 per hour including Super:スーパーアニュエーションを含む総額として提示されている条件

    もっとも、スーパーアニュエーション込みの表示であっても、実際に適用される最低賃金を下回る基本給与を設定してよいわけではありません。

    求人に応募するときは、提示金額が税引前の基本給与なのか、スーパーアニュエーションを含む総額なのか確認してください。

    公式情報:フェアワーク:給与の税金とスーパーアニュエーション

    給与明細の見方と確認するポイント

    オーストラリアで仕事を始めたら、給与が振り込まれるたびに給与明細(Payslip)を確認しましょう。

    雇用主は通常、給与支払日から1営業日以内に給与明細を発行する義務があります。

    給与明細は紙でも電子データでも構いません。

    ただし、必要な情報が記載されている必要があります。

    給与明細に記載される主な項目

    英語 意味
    Gross Pay 税引前給与
    Net Pay 税金等を引いた後の給与
    Ordinary Hours 通常勤務時間
    Hourly Rate 時給
    Casual Loading カジュアル上乗せ賃金
    Penalty Rate 土日祝日等の割増賃金
    Overtime 残業
    PAYG Withholding 給与から源泉徴収された税金
    Superannuation 退職年金への拠出
    Pay Period 給与計算の対象期間

    なお、これらの項目が必ずすべて独立した行として表示されるわけではありません。

    例えば、カジュアルの時給A$33.05には、すでに25%のカジュアル・ローディングが含まれている場合があります。

    その場合、給与明細に上乗せ部分が別行で表示されていなくても、必要な情報が記載されていれば問題ありません。

    勤務時間が合っているか確認する

    自分でも勤務時間を記録しておくことをおすすめします。

    例えば、次のような内容を記録しておくと便利です。

    • 勤務した日付
    • 勤務開始時刻
    • 勤務終了時刻
    • 休憩時間
    • 土日・祝日の勤務時間
    • 残業時間

    給与明細に記載された勤務時間と実際の勤務時間が異なる場合は、雇用主へ確認しましょう。

    給与明細が発行されない場合

    給与が現金で支払われている場合でも、給与明細の発行義務がなくなるわけではありません。

    「現金払いだから給与明細はない」という説明は、一般的な雇用では正しくありません。

    特にセカンド・サードワーホリを目指して指定労働を行っている場合、給与明細は重要な勤務証明のひとつになります。

    仕事を始めた段階から保存しておきましょう。

    公式情報:フェアワーク:給与明細の発行義務と記載項目

    最低賃金以下で働かされた場合は?

    オーストラリアでは、ワーキングホリデー渡航者や留学生も、通常の労働者と同様に労働法の保護を受けています。

    日本人だから、英語が十分に話せないから、短期間しか働かないからという理由で、適用される最低賃金を下回る給与に同意させることはできません。

    また、本人が同意したとしても、法律上の最低賃金を下回る契約が有効になるわけではありません。

    最低賃金を下回っているかもしれない例

    • 適用されるアワードの最低時給より低い金額で働いている
    • 土日祝日の割増賃金が必要なのに通常時給で計算されている
    • 勤務した時間の一部が給与に含まれていない
    • 必要な研修時間が無給になっている
    • 給与明細が発行されない
    • 雇用主が法律上認められない費用を給与から天引きしている

    トライアル勤務は無給でもよい?

    カフェやレストランなどでは、採用前にトライアル勤務(Trial Shift)を求められることがあります。

    仕事に必要な技能を短時間で確認するための試験的な作業であれば、無給が認められる場合があります。

    ただし、雇用主の監督のもとで、必要な技能を確認するために合理的な範囲で行われることが前提です。

    例えば、バリスタとして応募し、短時間だけコーヒーを作る技能を確認する場合などです。

    一方、通常の従業員と同じように数日間働かせたり、1週間無給で勤務させたりする場合は、賃金の支払いが必要になる可能性があります。

    「トライアルだから何日働かせても無給でよい」というわけではありません。

    ビザを取り消されることはある?

    最低賃金や労働条件について疑問がある場合、フェアワークへ相談することができます。

    オーストラリアでは、ビザを持つ外国人労働者にも労働上の権利があります。

    雇用主が労働者のビザを自由に取り消すことはできません。ビザの許可や取消しは、オーストラリア政府の権限です。

    労働条件に問題がある場合、英語が不安だからといって、相談することを諦める必要はありません。

    公式情報:フェアワーク:無給トライアルのルール

    自分の正しい時給を調べる方法

    自分が受け取るべき正しい最低賃金を調べるには、フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman)の公式サイトを利用するのが確実です。

    フェアワークでは、給与や労働条件を確認するためのペイ・アンド・コンディションズ・ツール(Pay and Conditions Tool/PACT)を無料で提供しています。

    PACTでは、仕事の種類、雇用形態、職務等級などを選択し、適用される最低時給や割増賃金を調べることができます。

    PACTの基本的な使い方

    1. フェアワークの給与計算ページを開く
    2. 従業員(Employee)として給与を確認する項目を選択する
    3. 業種・職種を指定し、適用されるアワードを調べる
    4. カジュアル・パートタイム・フルタイムを選ぶ
    5. 職務等級や年齢など、必要な条件を入力する
    6. 通常時給、土日祝日の割増賃金、残業代などを確認する

    仕事の種類が分からない場合は、雇用主に適用されるアワードと職務等級を確認してみましょう。

    なお、PACTは便利な計算ツールですが、最終的には適用されるアワードや企業別労働協約の規定が基準になります。

    フェアワーク公式:Pay and Conditions Tool

    日本語でも相談できる?

    フェアワークの公式サイトには、日本語で基本的な労働者の権利を説明するページがあります。

    また、電話で相談する場合には、通訳サービスを利用できる場合があります。

    給与や労働条件に関するフェアワークの相談電話は、13 13 94です。

    通訳が必要な場合は、翻訳・通訳サービス(Translating and Interpreting Service/TIS National)の131 450を利用し、フェアワークにつないでもらうこともできます。

    電話の利用可能時間などは変更される場合があるため、事前に公式サイトで確認してください。

    フェアワーク:日本語による労働者向け情報

    オーストラリアの最低賃金に関するよくある質問

    2026年のオーストラリアの最低時給はいくらですか?

    2026年7月1日からの全国最低賃金は、成人の対象労働者について時給A$26.44、週給A$1,004.90です。カジュアルで25%の上乗せが適用される場合は時給A$33.05です。ただし、業種別のアワードや企業別労働協約が適用される仕事では、それぞれの最低賃金を確認する必要があります。
    オーストラリアのカジュアルとパートタイムは何が違いますか?

    パートタイムは通常、週38時間未満で比較的規則的に働き、有給休暇などが勤務時間に応じて付与されます。カジュアルは継続的な仕事の確約がなく、通常25%の上乗せ賃金がありますが、一般的な有給年次休暇や有給病気休暇はありません。
    カジュアルの時給が高いのはなぜですか?

    カジュアルには、一般的な有給休暇などがないことや雇用の不安定さを考慮して、カジュアル・ローディングという上乗せ賃金が設けられています。多くのアワードでは基本時給の25%が加算されます。
    オーストラリアでは日曜日の時給は高くなりますか?

    多くのアワードでは、日曜日に割増賃金が適用されます。ただし、割増率は業種、職務等級、雇用形態によって異なります。例えば2026年7月からのホテル業Level 1の成人カジュアルでは、日曜日の通常勤務時給はA$46.27です。
    祝日に働くと時給は2.5倍になりますか?

    アワードによっては、カジュアルの祝日勤務に基本時給の250%が適用されます。ただし、すべての職種で同じ割増率が適用されるわけではありません。また、250%には通常カジュアル・ローディングが含まれているため、さらに25%を加算するわけではありません。
    ワーキングホリデーでも最低賃金は適用されますか?

    はい。ワーキングホリデーで働く外国人も、オーストラリアの労働法によって保護されています。雇用形態、仕事の種類、年齢などに応じて適用される最低賃金を受け取る権利があります。
    18歳や19歳でも大人と同じ最低時給ですか?

    仕事や適用されるアワードによって異なります。21歳未満に年齢別のジュニア賃金が適用される場合がありますが、職種や職務等級によって成人時給が適用されることもあります。
    農場の歩合給には最低賃金がありますか?

    ホーティカルチャー・アワードの対象となる歩合給労働者には、労働時間に応じた最低賃金保証があります。ただし、農業関連でも適用されるアワードによって規則が異なるため、実際の仕事の賃金規則を確認してください。
    給料明細を発行してもらえない場合はどうすればよいですか?

    オーストラリアでは、雇用主は通常、給与支払日から1営業日以内に給与明細を発行する義務があります。発行されない場合は雇用主へ確認し、必要に応じてフェアワークへ相談してください。
    アルバイトのトライアル勤務は無給でもよいですか?

    採用前に必要な技能を確認するため、監督下で合理的な短時間行うトライアルは無給が認められる場合があります。しかし、通常の業務として長時間働かせたり、技能確認に必要な範囲を超えたりする場合には、給与の支払いが必要になる可能性があります。
    自分の仕事の正しい最低賃金はどこで確認できますか?

    フェアワーク・オンブズマンの公式サイトにあるPay and Conditions Toolを利用すると、業種、雇用形態、職務等級などに応じた最低時給や土日祝日の割増賃金を調べられます。日本語の労働者向け案内も提供されています。



    まとめ|最低賃金だけでなく雇用形態と割増賃金を確認しよう

    オーストラリアの最低賃金は、2026年7月1日から、成人の対象労働者について時給A$26.44、週給A$1,004.90となっています。

    ただし、これはすべての仕事に一律適用される時給ではありません。

    レストラン、ホテル、小売店、農場などでは、業種別のアワードや企業別労働協約に基づいて賃金が決まる場合があります。

    また、オーストラリアの雇用形態には、カジュアル、パートタイム、フルタイムがあり、給与や有給休暇などの条件が異なります。

    カジュアルには通常25%の上乗せ賃金がありますが、一般的な有給休暇などがないことや、勤務時間が安定しない可能性も考えておきたいところです。

    土曜日、日曜日、祝日の勤務では、アワードに基づく割増賃金が適用されることもあります。

    そのため、仕事を選ぶ際には、時給だけを見るのではなく、雇用形態、週の勤務時間、土日祝日の割増賃金、適用されるアワードを合わせて確認することをおすすめします。

    また、仕事を始めた後は、給与明細を受け取り、自分の勤務時間や税金、スーパーアニュエーションなどを確認してください。

    ワーキングホリデーや留学中のアルバイトでも、最低賃金を含む労働者の権利は守られています。

    もし給与や労働条件に疑問がある場合は、フェアワークの公式サイトで調べたり、日本語の案内を利用したりすることができます。

    せっかくオーストラリアで働くのですから、正しい労働条件を理解し、安心して仕事を続けられる職場を選びましょう。

    オーストラリアの旅行手配

    トラベルドンキーでは、オーストラリア各都市のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ等をご紹介、ご予約を承っています。

    オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。

    オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。

    オーストラリアのオプショナルツアー、アクティビティ、宿泊パッケージ

    トラベルドンキーにお任せください!