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    オーストラリアのスーパーアニュエーション払い戻し完全ガイド|DASP申請方法・65%の税金・帰国後の手続き

    オーストラリアでワーキングホリデーを終え、日本へ帰国する際に忘れずに確認しておきたいのが、スーパーアニュエーションの払い戻しです。

    オーストラリアで働いていた方は、給料とは別に、雇用主がスーパーアニュエーション(Superannuation)と呼ばれる退職年金を積み立てている場合があります。

    2026年10月現在、雇用主の法定拠出率は原則12%です。

    この退職年金は通常、一定の退職年齢などに達するまで引き出せません。しかし、ワーキングホリデーや学生ビザなどで一時的にオーストラリアに滞在していた外国人には、帰国後に払い戻しを受けられる制度があります。

    それが、DASP(Departing Australia Superannuation Payment)です。

    対象となる方は、オーストラリアを出国し、ビザが失効するなどの条件を満たせば、積み立てた退職年金を一括で受け取ることができます。

    ただし、ここで気になるのが税金です。

    ワーキングホリデー渡航者のDASPには、課税対象となる部分に原則65%という高い税率が適用されます。

    例えば、DASPの支払対象額がA$4,000で、その全額が65%の課税対象であれば、税引後に受け取れるのはA$1,400です。

    積み立てられた金額が、そのまま全額戻ってくるわけではありません。

    また、DASPはオーストラリア滞在中に申請を完了できるものではなく、帰国後もビザが有効な場合には、期限まで待つか、所定のビザ取消手続きを検討する必要があります。

    この記事では、ワーキングホリデーや留学などでオーストラリアに滞在した方を対象に、DASPの申請条件、準備する情報、ATOのオンライン申請方法、65%の税金、銀行口座への受け取り、申請後の確認方法まで詳しく説明します。

    2026年10月時点のオーストラリア税務局の公式情報をもとに、実際に申請する際に役立つ内容をまとめました。

    来月ワーホリを終えて日本へ帰国します。スーパーの残高がA$5,000くらいあるのですが、帰国する前に払い戻しを申請できますか?
    帰国前に申請内容を入力して保存することはできますが、正式な申請の送信は、オーストラリアを出国し、対象となるビザが失効または取り消されてからです。また、ワーホリのDASPには原則65%の税金がかかるので、実際の受取額も確認しておきましょう。




    DASPとは?スーパーアニュエーションの払い戻し制度

    DASPは、デパーティング・オーストラリア・スーパーアニュエーション・ペイメント(Departing Australia Superannuation Payment)の略です。

    オーストラリアで一時滞在ビザを持って働いた人が、一定の条件を満たして出国した後、積み立てられたスーパーアニュエーションを受け取る制度です。

    スーパーアニュエーションの基本的な仕組みについては、前記事「オーストラリアのスーパーアニュエーションとは?ワーホリ・留学生の退職年金12%と残高確認・帰国時の注意点」で詳しく説明しています。

    ここでは、払い戻し手続きに必要な内容を中心に説明します。

    通常は退職するだけでは引き出せない

    オーストラリア人や永住者が仕事を退職しても、それだけでスーパーアニュエーションを自由に引き出せるわけではありません。

    通常は、退職年齢など法律で定められた条件を満たす必要があります。

    一方、一定の一時滞在ビザで働いていた外国人については、オーストラリアを出国してビザが失効するなどの条件を満たせば、DASPを申請できます。

    DASPは年金の全額返金制度ではない

    払い戻されるのは、スーパー基金に残っている資金から所定の税金を差し引いた金額です。

    基金では、雇用主の拠出金に対する税金、管理手数料、保険料、運用損益などが反映されます。

    そのため、雇用主が過去に支払ったスーパー拠出金の合計額と、DASPの申請時の口座残高は一致しない場合があります。

    さらに、DASPの支払時には別途税金が源泉徴収されます。

    DASPの申請は無料でできる

    オーストラリア税務局(Australian Taxation Office/ATO)が提供している公式オンライン申請システムは無料で利用できます。

    民間の申請代行会社へ依頼する必要はありません。

    ただし、書面申請で必要な移民関連の証明書や、スーパー基金が求める本人確認書類の認証などには、別途費用が発生する場合があります。

    DASPを申請できる人・できない人

    DASPは、オーストラリアで働いたすべての外国人が利用できる制度ではありません。

    主に、一定の一時滞在ビザで働き、その後オーストラリアを出国した人を対象としています。

    DASPを申請するための主な条件

    • 対象となるオーストラリアの一時滞在ビザを保有していた
    • オーストラリアを出国している
    • 対象となるビザが失効、または取り消されている
    • 現在、有効なオーストラリアのビザを保有していない
    • オーストラリア国籍や永住権など、対象外となる資格を持っていない
    • DASPの対象となるスーパーアニュエーションが残っている

    ワーキングホリデービザ417、ワーク・アンド・ホリデービザ462の渡航者は、条件を満たせばDASPの対象になります。

    また、学生ビザ500など、対象となる一時滞在ビザで働いていた人も申請できる場合があります。

    滞在・ビザの状況 DASPの一般的な取り扱い
    417ビザで働き、帰国後にビザが失効 条件を満たせば申請可能
    462ビザで働き、帰国後にビザが失効 条件を満たせば申請可能
    学生ビザで働き、帰国後にビザが失効 条件を満たせば申請可能
    帰国したが、ビザがまだ有効 通常、まだ正式申請できない
    まだオーストラリアに滞在中 準備・保存は可能だが正式申請できない
    オーストラリアの永住者 通常DASP対象外
    オーストラリア国籍者 DASP対象外
    ニュージーランド国籍者 原則DASP対象外

    ※現在のビザの有無や、過去に保有したビザの種類などによって個別の判断が必要になります。

    税務上の居住者区分とは別

    日本人ワーホリ渡航者の中には、所得税のタックスリターンで、税務上のオーストラリア居住者に該当する人もいます。

    しかし、所得税における居住者判定と、DASPの申請資格は別の仕組みです。

    所得税で居住者として申告したからといって、それだけでDASPの対象外になるわけではありません。

    DASPは、主に移民法上のビザや出国状況などに基づいて判定されます。

    いつ申請できる?帰国とビザ失効の関係

    DASPで最も間違えやすいのが、申請できるタイミングです。

    重要なのは、オーストラリアから出国していることと、対象ビザがすでに失効または取り消されていることの両方が必要という点です。

    帰国しただけでは申請できない場合がある

    例えば、ワーキングホリデービザが2027年6月30日まで有効で、2027年3月31日に日本へ帰国したとします。

    この場合、日本へ帰国した時点では、まだビザが有効です。

    そのため、通常はDASPを正式に申請できません。

    一方、ビザが2027年6月30日に失効し、その時点でオーストラリア国外にいて、ほかの申請条件も満たしていれば、DASPの正式申請を行えるようになります。

    日付 状況 申請
    2027年3月31日 日本へ帰国。ビザはまだ有効 通常、正式申請不可
    2027年6月30日 ビザの有効期間終了 失効の確認が必要
    ビザ失効が確認された後 オーストラリア国外に滞在 ほかの条件を満たせば申請可能

    帰国前に申請書を作成しておくことはできる

    ATOのDASPオンライン申請システムでは、オーストラリアを出国する前から申請情報を入力し、保存することができます。

    ただし、出国前やビザが有効な間は、正式に申請を送信できません。

    帰国後、申請資格を満たした時点で、保存していた申請を再開して送信します。

    申請に必要な情報を現地にいる間に準備しておけば、帰国後の手続きが楽になるでしょう。

    ビザの有効期間が長く残っている場合

    すでにオーストラリアを出国していて、ビザがまだ有効な場合は、オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)へビザの取消しを申し出る方法もあります。

    ただし、ビザを取り消すと、そのビザで再入国することはできなくなります。

    また、セカンド・サードワーホリや、ほかのビザを申請する予定がある方は、取消しが今後の渡航計画に与える影響を確認してください。

    DASPを早く受け取りたいという理由だけで、十分に確認せずビザを取り消すことはおすすめしません。

    公式情報:オーストラリア内務省:ビザの取消手続き

    帰国前に準備しておきたい情報と書類

    DASPは日本に帰国してからでも申請できます。

    ただし、必要な情報が手元になかったり、スーパー基金へログインできなくなったりすると、手続きに時間がかかることがあります。

    帰国前に、次の情報を確認して保存しておきましょう。

    準備するもの 確認内容
    パスポート 氏名、生年月日、パスポート番号
    TFN オーストラリアの税務番号
    ビザ情報 ビザの種類、有効期限など
    スーパー基金名 加入している基金の正式名称
    Member Number スーパー基金の会員番号
    基金のABN スーパー基金の事業者番号
    スーパー残高 現在の口座残高と拠出状況
    給与明細 最終給与、スーパーの拠出記録
    メールアドレス 日本帰国後も受信できるもの
    銀行口座情報 払い戻し金の受取先

    TFNが分からなくても申請できる?

    ATOのDASPオンライン申請では、TFNの入力は任意です。

    ただし、TFNを入力すると、本人のスーパー基金を検索しやすくなるなどのメリットがあります。

    そのため、TFNが分かる場合は準備しておくことをおすすめします。

    パスポートを更新している場合

    ワーキングホリデーで入国した際と、DASP申請時のパスポートが異なる場合は注意してください。

    ATOのオンラインシステムは、内務省の情報を利用して出国状況やビザの履歴を確認します。

    過去のパスポート番号と現在の登録情報が一致しない場合などは、追加確認が必要になることがあります。

    可能であれば、オーストラリア入国時に使用したパスポートの情報も保存しておきましょう。

    日本のメールアドレスを登録しておこう

    オーストラリアの携帯電話番号や、現地で取得したメールアドレスを帰国時に解約する方もいるかもしれません。

    しかし、スーパー基金からの連絡や追加書類の依頼が届かなくなると、手続きが進まなくなる可能性があります。

    帰国後も利用できるメールアドレスと連絡先を登録しておきましょう。



    自分のスーパー基金と残高を確認する方法

    ワーキングホリデー中に複数の職場で働いた場合、スーパー口座が複数作られていることがあります。

    例えば、最初にシドニー(Sydney)のカフェ、次にクイーンズランド州(Queensland)の農場、最後にメルボルン(Melbourne)のホテルで働いた場合です。

    それぞれの雇用主が異なる基金へスーパーを拠出している可能性があります。

    DASPを申請する前に、すべてのスーパー口座を確認しておきましょう。

    myGovから確認する

    オーストラリア政府のマイガブ(myGov)とATOのオンラインサービスを連携している場合、登録されているスーパー口座を確認できます。

    1. myGovへログインする
    2. Australian Taxation Officeを選択する
    3. Superのメニューへ進む
    4. 登録されているスーパー基金の一覧を確認する
    5. 必要に応じて基金名、会員番号、残高などを確認する

    ただし、ATOに表示される情報には更新の時間差があります。

    最新の残高や取引履歴を確認するには、スーパー基金の公式サイトも利用してください。

    DASPオンライン申請システムでも検索できる

    DASPの公式オンライン申請システムでは、TFNを入力すると、ATOに報告されているスーパー基金を検索できます。

    また、基金の名前やABNなどが分かっている場合には、検索結果に表示されていない基金を追加して申請できる場合があります。

    給与明細に書かれている基金名も確認

    スーパー基金のログイン情報が分からない場合は、以前の給与明細を確認してみましょう。

    基金名やスーパーの拠出額が記載されていることがあります。

    必要なら、以前の雇用主へどの基金へ拠出したのか問い合わせる方法もあります。

    複数の基金がある場合

    DASPは、複数のスーパー基金について申請できます。

    ただし、各基金がそれぞれ申請内容を確認し、払い戻し手続きを行います。

    そのため、すべての基金から同じ日に送金されるとは限りません。

    また、基金によって必要な本人確認書類や送金方法が異なる場合があります。

    DASPのオンライン申請方法を順番に解説

    ここからは、ATOの公式オンライン申請システムを利用する方法を説明します。

    政府のオンライン申請システムを利用すれば、申請代行会社へ料金を支払う必要はありません。

    公式申請サイト

    ATO公式:DASP Online Application System

    申請画面は基本的に英語ですが、必要な情報を事前に準備しておけば、自分で申請を進めることも可能です。

    STEP 1.公式申請システムへアクセスする

    ATOのDASPオンライン申請ページを開きます。

    個人で申請する場合は、本人用の申請手続きを選びます。

    登録税理士などの代理人向けとは異なる手続きなので、注意してください。

    STEP 2.個人情報を入力する

    申請システムでは、次のような情報を入力します。

    • 氏名
    • 生年月日
    • パスポートの発行国
    • パスポート番号
    • TFN(分かる場合)
    • メールアドレス

    情報は、パスポートやATOに登録されている内容と一致するように入力してください。

    STEP 3.本人確認と申請資格の確認

    入力した情報は、オーストラリア内務省のデータと照合されます。

    ここで、オーストラリアを出国しているか、ビザが失効しているか、ワーキングホリデービザを保有していたかなどが確認されます。

    申請資格が確認されると、次の手続きへ進めます。

    まだオーストラリア国内にいる場合や、ビザが有効な場合は、申請を保存することはできますが、正式に送信できません。

    STEP 4.再ログイン用の秘密の質問を設定する

    申請システムでは、再びアクセスする際の本人確認のため、秘密の質問と回答を設定します。

    一度申請を保存し、帰国後に再開する予定がある場合は、この回答を忘れないようにしましょう。

    また、再ログインの際には、最初に入力した氏名、生年月日、パスポート番号などを同じ形式で入力する必要があります。

    STEP 5.スーパー基金を検索する

    TFNを入力している場合、ATOに報告されているスーパー基金を検索できます。

    表示された基金名が、自分の加入していた基金と一致するか確認してください。

    検索結果に基金が表示されない場合でも、加入先が分かっていれば、基金のABNなどを使って追加できる場合があります。

    STEP 6.連絡先とスーパー口座情報を入力する

    申請では、日本の住所やメールアドレス、基金の会員番号などを入力します。

    基金から追加の確認が必要になった場合、この連絡先に問い合わせが届くことがあります。

    日本へ帰国後も確実に連絡を受けられる情報を入力してください。

    STEP 7.申請先と受取方法を確認する

    スーパーの資金が、現在どこで管理されているかによって、申請先が異なります。

    • スーパー基金が資金を管理している場合:そのスーパー基金
    • すでにATOへ移管されている場合:ATO

    オンライン申請システムでは、両方の申請に対応しています。

    ただし、受取方法や必要な確認手続きは、基金とATOで異なる場合があります。

    STEP 8.申請内容を確認する

    氏名、パスポート情報、連絡先、スーパー基金、会員番号などに誤りがないか確認します。

    正式に申請を送信した後は、入力内容をオンラインで自由に変更できないため、送信前の確認が重要です。

    STEP 9.申請を送信する

    オーストラリアを出国し、ビザが失効または取り消され、その他の資格を満たしていれば、正式に申請を送信できます。

    送信すると、申請内容を確認するメールが届きます。

    また、該当するスーパー基金やATOにも、申請が通知されます。

    STEP 10.必要な追加書類を提出する

    申請後、基金によっては追加の本人確認書類や、銀行口座の証明などを求める場合があります。

    追加資料が必要な場合は、基金からの案内に従って提出してください。

    公式オンライン申請は無料ですが、こうした証明書類の取得や認証に費用がかかる場合があります。

    申請時間の目安

    ATOの申請システムでは、オンライン申請の所要時間を約30分と案内しています。

    ただし、すべての人が30分以内に手続きを終えられるという意味ではありません。

    基金が複数ある場合や、本人確認に問題がある場合は、さらに時間がかかることがあります。

    オンラインで申請できない場合・書面申請の注意点

    DASPのオンライン申請システムで本人確認ができない場合や、特定のスーパー基金へ直接申請したい場合には、書面による申請方法もあります。

    ただし、オンライン申請と書面申請では、必要になる証明書類が異なります。

    スーパー基金への書面申請

    ATOには、スーパー基金へ提出するDASP申請書が用意されています。

    この申請書には、本人の情報、基金の情報、過去の雇用先、受取方法などを記入します。

    書面申請では、基金へ直接書類を提出します。ATOの書式を使用した場合でも、資金を管理している基金に提出する点に注意してください。

    残高A$5,000以上の場合

    スーパー基金へ書面で申請する場合、払い戻し対象額がA$5,000以上であれば、通常、内務省が発行する移民資格証明(Certification of Immigration Status)が必要です。

    この証明書は、内務省が申請者のビザや出国状況などを確認し、スーパー基金へ情報を提供するものです。

    発行に料金がかかる場合があります。

    一方、オンライン申請システムでは、内務省の情報を電子的に照合する仕組みがあるため、書面申請とは手続きが異なります。

    残高A$5,000未満の場合

    書面申請で払い戻し対象額がA$5,000未満の場合には、所定の認証済み書類などを提出する方法が認められる場合があります。

    ただし、実際に必要な書類は基金によって異なります。

    パスポートの認証コピーや過去のビザ情報などを求められることもあります。

    書面申請は帰国前に提出できる?

    原則として、正式なDASP申請はオーストラリアから出国した後に行います。

    帰国前に書類を準備することはできますが、申請資格を満たす前に送付しても、処理できない場合があります。

    書面による申請を考えている場合は、必ず基金の公式案内を確認してください。

    公式情報:ATO:スーパー基金へ提出するDASP申請書

    DASPの税金はなぜ65%?通常の税率との違い

    ワーキングホリデー渡航者のDASPで、特に気になるのが税率です。

    2017年7月1日以降に行われるDASPでは、ワーキングホリデー渡航者に対し、通常の一時滞在者とは異なる税率が設けられています。

    ワーキングホリデーのDASP税率は、課税対象部分について65%です。

    一般の一時滞在者との比較

    DASPの構成部分 一般の対象一時滞在者 ワーホリ対象者
    非課税部分(Tax-free Component) 0% 0%
    課税対象・課税済み部分(Taxed Element) 35% 65%
    課税対象・未課税部分(Untaxed Element) 45% 65%

    ここでいうTaxed Elementは、スーパー基金内ですでに一定の税務処理を受けている部分などを意味します。

    一般的な雇用主のスーパー拠出金から形成された残高は、通常、この課税対象のTaxed Elementに含まれます。

    一方、本人が税引後の資金から拠出した一定の金額など、法律上の非課税部分がある場合には、DASP税はかかりません。

    ただし、ワーキングホリデーで短期間働いただけの一般的なケースでは、口座残高の大部分が課税対象部分となっていることが多いでしょう。

    65%は所得税の15%と別の税金

    オーストラリアのワーキングホリデーでは、給与所得について最初のA$45,000に15%の基本税率が適用される制度があります。

    しかし、これはスーパーアニュエーションのDASP税率とは別です。

    給与から15%の所得税が引かれていたからといって、DASPの65%が15%に減額されるわけではありません。

    また、日本国籍のワーホリ渡航者が、日豪租税条約によって通常の居住者向け所得税率を適用された場合でも、それだけでDASPの税率が変わるわけではありません。

    税金は誰が支払う?

    DASPの税金は、通常、払い戻しを行うスーパー基金またはATOが源泉徴収します。

    つまり、申請者は、税金を差し引いた後の金額を受け取ります。

    原則として、DASPについて別途65%分の税金を振り込む必要はありません。

    また、払い戻しを行った機関は、所定のDASP支払明細(DASP Payment Summary)を発行します。

    その明細で、支払総額や源泉徴収された税金を確認できます。

    65%という税率は高いものですが、ATOの通常のタックスリターンで払い過ぎた所得税として取り戻せる性質のものではありません。

    実際にいくら戻る?残高別の手取り額を計算

    それでは、DASPで実際にいくら受け取れるのか計算してみましょう。

    ここでは、払い戻し対象額の全額が65%課税の対象であると仮定します。

    DASP支払対象額 65%の税金 税引後受取額
    A$1,000 A$650 A$350
    A$2,000 A$1,300 A$700
    A$3,000 A$1,950 A$1,050
    A$4,000 A$2,600 A$1,400
    A$5,000 A$3,250 A$1,750
    A$8,000 A$5,200 A$2,800
    A$10,000 A$6,500 A$3,500

    ※すべての支払対象額が65%課税部分であるという仮定です。非課税部分がある場合、実際の受取額は異なります。また、送金手数料や為替換算費用などは含めていません。

    最初に雇用主が支払った金額からも税金が引かれている

    ここで、もうひとつ注意したい点があります。

    雇用主がスーパー基金へ拠出する際、通常の課税対象拠出金には基金内で15%の拠出金税がかかります。

    その後、DASPで払い戻しを受ける際には、課税対象の残高へさらに65%のDASP税が適用されます。

    例えば、雇用主がA$1,000を拠出した場合を考えてみましょう。

    項目 金額
    雇用主のスーパー拠出金 A$1,000.00
    拠出金税15% -A$150.00
    基金内に残る金額 A$850.00
    DASP税65% -A$552.50
    最終的な受取額 A$297.50

    これは、運用損益、手数料、保険料などが一切ないと仮定した単純な計算です。

    実際の口座残高は基金の運用によって増減し、別途管理手数料などが差し引かれる場合があります。

    ただ、この例を見ると、最初の雇用主拠出金A$1,000に対して、最終的な受取額がA$297.50になる可能性があることが分かります。

    つまり、通常の課税対象拠出金については、単に最初の拠出金の35%が手元に残るという計算ではありません。

    申請時の残高で判断する

    DASPの受取額を試算するときは、給与明細に書かれた過去のスーパー拠出金の合計ではなく、基金の現在の残高と支払対象部分を確認してください。

    そのうえで、実際に適用されるDASP税率を計算する必要があります。



    払い戻し金は日本の銀行口座で受け取れる?

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合、DASPの払い戻し金をどの銀行口座で受け取るかも重要です。

    この点は、スーパー基金が資金を管理している場合と、ATOが資金を管理している場合で異なります。

    スーパー基金が資金を管理している場合

    スーパー基金によっては、海外の銀行口座への送金に対応している場合があります。

    ただし、すべての基金が日本の銀行口座への送金に対応しているわけではありません。

    例えば、次のような受取方法が考えられます。

    • 本人名義のオーストラリア国内銀行口座への振込
    • 基金が対応している場合の海外銀行口座への送金
    • 小切手など、基金が提供している受取方法

    実際に利用できる方法は基金の規則によって異なります。

    ATOが資金を管理している場合

    すでにスーパー基金からATOへ資金が移管されている場合、DASPの受取方法に制限があります。

    ATOが管理しているスーパーのDASPでは、基本的に次の方法が案内されています。

    • 本人名義のオーストラリア国内銀行口座への振込
    • 小切手による支払い

    ATOが管理するスーパーでは、日本の銀行口座への直接の電子送金が、通常のDASP受取方法として提供されているわけではありません。

    友人のオーストラリア銀行口座でもよい?

    原則として、自分と無関係な友人の口座を振込先に指定することはできません。

    ATOから銀行振込で受け取る場合は、通常、本人名義のオーストラリア国内銀行口座が必要です。

    そのため、帰国前に銀行口座を閉鎖する予定の方は注意してください。

    日本円への両替にも費用がかかる

    DASPをオーストラリアの銀行口座で受け取った後、日本へ送金する場合には、送金手数料や為替換算コストなどが発生することがあります。

    また、海外送金に対応するサービスによって、最終的に日本円で受け取れる金額は異なります。

    DASPの65%の税金だけでなく、銀行手数料や送金費用についても考えておくとよいでしょう。

    帰国前に銀行口座を解約しない方がよい?

    DASPをオーストラリアの銀行口座で受け取る予定があるなら、払い戻しが完了するまで口座を残しておく方が便利な場合があります。

    ただし、帰国後の口座維持が可能か、海外居住者の取り扱いや月額手数料がどうなるかは銀行によって異なります。

    帰国前に銀行へ確認しておきましょう。

    申請から入金まで何日かかる?進捗の確認方法

    DASPを申請した後、どのくらいで払い戻し金が届くのでしょうか。

    ATOの公式オンライン申請システムでは、一般的に、スーパー基金またはATOが申請処理に必要な情報をすべて受け取ってから28日以内に支払いを受けられると案内しています。

    ただし、これは通常の処理期間の目安です。

    申請から必ず28日以内に入金されるという保証ではありません。

    処理が遅れる主な理由

    • 本人確認書類が不足している
    • パスポートの情報と登録内容が一致しない
    • 内務省のビザ情報が確認できない
    • スーパー基金の会員番号が誤っている
    • 銀行口座情報に問題がある
    • 追加の書類が必要になっている
    • 申請時点ではビザがまだ有効だった

    申請状況はどこで確認できる?

    DASPのオンライン申請システムに再びログインすると、過去に提出した申請情報を確認できます。

    ただし、公式システムの案内では、提出済みの申請が実際に処理完了したかどうかは表示されません。

    進捗状況を確認したい場合は、申請先へ直接問い合わせる必要があります。

    申請先 問い合わせ先
    スーパー基金が管理する資金 該当するスーパー基金
    ATOが管理する資金 ATO

    追加書類の依頼が来ていないか確認する

    申請後は、登録したメールアドレスに基金から連絡が届いていないか確認してください。

    迷惑メールフォルダーに入っている可能性もあります。

    必要な書類が提出されていない場合、処理が進まないことがあります。

    DASP Payment Summaryを保存する

    払い戻しが完了すると、基金またはATOから支払明細が発行されます。

    DASPの支払明細には、支払額や源泉徴収された税金などが記載されます。

    払い戻し金額が正しいか確認するためにも、明細は保存しておきましょう。

    帰国後6か月以上放置するとどうなる?

    ワーキングホリデーを終えて帰国したものの、スーパーアニュエーションの存在を忘れていたという方もいるでしょう。

    あるいは、ビザが失効してから何年も経っている場合もあるかもしれません。

    そのような場合でも、通常、払い戻しの権利がすぐになくなるわけではありません。

    未請求のスーパーはATOへ移管される場合がある

    オーストラリアでは、対象となる一時滞在者が出国し、ビザが失効した後もスーパーを請求しなかった場合、基金がその資金をATOへ移管する仕組みがあります。

    法律上、出国とビザ失効の遅い方から少なくとも6か月が経過し、その他の条件を満たす元一時滞在者のスーパーが対象になります。

    ただし、6か月経ったその日に必ず資金が移管されるという意味ではありません。

    ATOが対象者の情報を確認し、基金への通知や資金移管の手続きが行われます。

    ATOへ移管されるとどうなる?

    スーパー基金ではなく、ATOが未請求のスーパーを管理することになります。

    この場合、DASPの申請先はATOになります。

    また、ATOが管理している資金については、受取方法も基金が直接支払う場合とは異なります。

    何年も経っていても請求できる?

    はい。申請資格を満たしていれば、帰国から長期間が経過していても請求できる場合があります。

    ただし、以前のパスポート、ビザ、スーパー基金などの情報が必要になることがあります。

    また、古い記録の場合、オンラインだけでは情報を確認できず、追加の手続きが必要になることもあります。

    スーパー基金が分からない場合

    ATOのDASPオンライン申請システムでは、TFNなどを使って、スーパー基金やATOが保有する資金を検索できる場合があります。

    基金名や会員番号が分からない場合でも、まず公式システムで確認してみるとよいでしょう。

    ただし、すべての過去の口座を自動的に発見できるとは限りません。

    以前の給与明細や雇用先の情報が残っている場合は、あわせて確認してください。

    学生ビザや別のビザでも働いた場合の65%税率

    DASPの税率について、特に注意が必要なのが、ワーキングホリデー以外のビザでも働いた経験がある方です。

    例えば、次のようなケースです。

    • 最初は学生ビザで働き、その後ワーキングホリデーへ変更した
    • ワーキングホリデーを終えて、別の就労ビザで働いた
    • ワーキングホリデーと学生ビザの両方で働いた
    • 複数のスーパー基金へ拠出されていた

    こうした場合、単に最後に保有していたビザだけで、DASP税率が決まるわけではありません。

    ワーホリ中の拠出金が含まれているかが重要

    ATOの公式案内によると、ワーキングホリデービザ417または462を保有していた場合、DASPの税率は、基金ごとに判断されます。

    そして、DASPの支払額に、ワーキングホリデー期間中のスーパー拠出金に由来する金額が含まれている場合、原則として、その基金からのDASP全体の課税対象部分に65%が適用されます。

    例えば、同じスーパー基金に次のような拠出金が入っていたとします。

    勤務時のビザ スーパー拠出金の例
    ワーキングホリデー417 A$2,000
    その後の別の一時就労ビザ A$4,000
    拠出金合計 A$6,000

    この基金のDASPに、ワーキングホリデー期間中の拠出金に由来する資金が含まれている場合、原則としてDASP全体の課税対象部分に65%の税率が適用されます。

    ワーホリ期間中の拠出分だけ65%、別のビザで働いた期間の分だけ35%というように、同じ基金の支払額を単純に期間で分けるわけではありません。

    ※上記のA$6,000は拠出金の例であり、基金の実際の支払残高ではありません。

    別の基金にワーホリの拠出金がない場合

    一方、ワーキングホリデービザを過去に保有していたとしても、あるスーパー基金のDASPにワーホリ期間中の拠出金に由来する資金が含まれていなければ、その基金については通常のDASP税率が適用される場合があります。

    例えば、ワーホリを経験した後に別のビザへ変更し、その後に新しく加入した基金が、ワーホリ期間中の拠出金を一切含んでいない場合です。

    ただし、過去にほかの基金から資金を移管している場合などは、取り扱いが複雑になることがあります。

    最終的な税率は、それぞれのスーパー基金が保有する情報とATOの規則に基づいて判断します。

    複数のビザやスーパー基金を利用していた方は、DASPの申請前に各基金の加入履歴と拠出金の履歴を確認しておきましょう。

    DASPとタックスリターンは別の手続き

    DASPの申請と混同されやすいのが、オーストラリアのタックスリターンです。

    しかし、この2つは別の手続きです。

    項目 タックスリターン DASP
    目的 所得税の精算 退職年金の払い戻し
    主な対象 給与・事業所得など スーパー基金の資金
    申請時期 原則税務年度終了後 出国後、ビザ失効などの条件を満たしてから
    主な手続き先 ATO スーパー基金またはATO
    税金 所得に応じた所得税率 DASP独自の源泉徴収税率

    DASPは個人所得税の申告書へ記載する?

    通常、DASPとして受け取った金額と、その支払時に源泉徴収されたDASP税は、オーストラリアの個人所得税のタックスリターンには記載しません。

    DASPには独自の源泉徴収税制があり、一般の給与所得などとは別に取り扱われるためです。

    DASPの65%をタックスリターンで取り戻せる?

    通常、取り戻せません。

    ただし、スーパー基金やATOが誤った税率を適用していた場合には、別途、DASPの税金について返還・訂正を求める手続きがあります。

    例えば、本来は通常のDASP税率が適用される基金に対して、誤ってワーホリの65%税率が適用された場合などです。

    その場合は、支払いを行った基金やATOへ確認してください。

    日本での税務申告は別途確認する

    日本へ帰国し、日本の税務上の居住者としてDASPを受け取る場合には、日本側での所得区分や申告義務についても確認が必要です。

    オーストラリアで65%のDASP税が源泉徴収されたからといって、日本で必ず非課税になるという意味ではありません。

    日本側の課税関係は、受け取った資金の性質、受取時の居住者区分などによって判断が必要です。

    金額が大きい場合などは、国際税務に詳しい税理士へ確認しておくと安心です。

    オーストラリアのタックスリターンについては、関連記事「オーストラリアのワーホリ・留学生のタックスリターン|申告時期・方法・税金の還付を解説」を参考にしてください。

    申請時によくあるトラブルと対処方法

    DASPの申請では、本人確認やスーパー基金の情報に関するトラブルが起こることがあります。

    よくある問題と確認方法を整理しました。

    1.申請システムでビザが有効と表示される

    オーストラリアを出国していても、まだビザが有効な場合には、正式申請を送信できません。

    ビザの失効を待つか、今後の渡航予定を確認したうえで、必要に応じて内務省へ相談してください。

    2.パスポート情報が一致しない

    入国時からパスポートを更新している場合や、入力した氏名が登録情報と異なる場合があります。

    パスポート番号、氏名、生年月日などを確認してください。

    内務省の記録に問題がある場合は、必要な登録情報の更新について確認しましょう。

    3.スーパー基金が検索結果に表示されない

    TFNを入力しても、すべての基金が必ず検索結果に表示されるわけではありません。

    以前の給与明細や基金の会員番号を確認し、必要に応じて基金を追加して申請してください。

    4.スーパー基金の会員番号が分からない

    基金から送られたメールや過去の年次報告書、給与明細などを確認しましょう。

    それでも分からない場合は、本人確認を行ったうえで、基金へ問い合わせる方法があります。

    5.最終給与のスーパーがまだ入金されていない

    2026年7月1日からPayday Super制度が導入され、雇用主は原則として給与支払日ごとにスーパーを拠出する必要があります。

    ただし、一般的には給与支払日から7営業日以内に基金へ到達すればよく、新規従業員の最初の拠出などには例外があります。

    給与明細に金額が書かれていても、基金への入金がまだ反映されていない場合があります。

    帰国直前には、最後の給与とスーパーの入金状況を確認しておきましょう。

    6.申請しても28日以内に入金されない

    まず、基金から追加書類の依頼が届いていないか確認します。

    必要な情報をすべて提出しているのに処理が進まない場合は、申請先の基金またはATOへ直接問い合わせてください。

    7.税引後の受取額が予想より少ない

    基金のDASP Payment Summaryを確認してください。

    65%の税金のほか、基金内の手数料、運用損益、銀行送金費用などが関係している場合があります。

    また、以前の給与明細に記載されたスーパーの合計額と、現在の基金残高が一致するとは限りません。

    8.代行業者から高額な手数料を請求された

    ATOの公式オンライン申請システムは無料です。

    代行会社へ依頼する場合でも、その会社が行う業務と手数料を確認してください。

    また、代理申請を行う業者には、登録税理士など所定の資格や登録が必要になる場合があります。

    DASPの申請を代行すると称する業者へ、パスポート情報や銀行口座情報を安易に送らないようにしましょう。

    DASPの申請と税金に関するよくある質問

    DASPとは何ですか?

    DASPはDeparting Australia Superannuation Paymentの略で、一定の一時滞在ビザでオーストラリアに滞在して働いた人が、帰国後にスーパーアニュエーションの払い戻しを申請できる制度です。出国やビザ失効などの条件を満たす必要があります。
    ワーホリのスーパーアニュエーションは帰国前に返金申請できますか?

    帰国前にオンライン申請の情報を入力して保存することはできますが、正式な申請は通常、オーストラリアを出国し、対象となるビザが失効または取り消されてから行います。
    日本へ帰国してもワーホリビザが有効な場合はどうなりますか?

    帰国後もビザが有効な場合、通常はDASPを正式に申請できません。ビザの失効を待つか、今後の渡航計画に問題がないことを確認したうえで、内務省へのビザ取消申請を検討することになります。
    DASPの申請料金はいくらですか?

    ATOの公式オンライン申請システムは無料で利用できます。ただし、書面申請で必要になる移民資格証明や、本人確認書類の認証などには費用が発生する場合があります。民間の申請代行業者を利用する場合は、別途サービス料金がかかることがあります。
    ワーキングホリデーのDASP税率は何%ですか?

    ワーキングホリデー渡航者のDASPは、課税対象部分に原則65%の税率が適用されます。一方、法律上の非課税部分にはDASP税はかかりません。税金は通常、支払う基金またはATOが源泉徴収します。
    スーパーの残高がA$5,000なら、いくら受け取れますか?

    A$5,000の全額が65%のDASP課税対象であれば、税額はA$3,250、税引後の受取額はA$1,750です。ただし、非課税部分の有無や実際の基金残高、送金費用などによって受取額は異なります。
    DASPの65%の税金はタックスリターンで戻ってきますか?

    通常、戻りません。DASPは給与所得などのタックスリターンとは別の源泉徴収税制です。誤った税率でDASP税が源泉徴収された場合には、別途、基金やATOへ訂正・返還を求める手続きがあります。
    DASPは日本の銀行口座へ振り込んでもらえますか?

    スーパー基金が資金を管理している場合は、基金によって海外送金に対応していることがあります。一方、ATOが管理するスーパーの場合は、基本的に本人名義のオーストラリア国内銀行口座への振込か小切手による支払いとなります。
    DASPの払い戻しには何日かかりますか?

    ATOの公式案内では、スーパー基金またはATOが申請処理に必要な情報をすべて受け取ってから、通常28日以内の支払いが目安です。追加の本人確認などが必要な場合には、さらに時間がかかることがあります。
    帰国後6か月以上スーパーを請求しなかった場合はどうなりますか?

    出国とビザ失効から所定の期間が経過し、その他の条件を満たすと、未請求のスーパーが基金からATOへ移管される場合があります。ATOへ移管された後でも、DASPの申請資格を満たせば請求できることがあります。
    学生ビザで働いた期間のスーパーにも65%の税金がかかりますか?

    過去にワーキングホリデービザを持っていた人で、ある基金のDASPにワーホリ期間中の拠出金に由来する資金が含まれていれば、その基金からのDASP全体の課税対象部分に原則65%が適用されます。一方、ワーホリ期間中の拠出金に由来する資金が含まれていない基金では、通常のDASP税率が適用される場合があります。
    DASPの申請にTFNは必須ですか?

    ATOのDASPオンライン申請では、TFNの入力は任意です。ただし、TFNを入力すると、ATOが保有するスーパー基金の情報を検索しやすくなるため、分かる場合は用意しておくことをおすすめします。



    まとめ|DASPは帰国前の準備とビザ失効の確認が重要

    オーストラリアのDASPは、ワーキングホリデーや留学などで働いた人が、帰国後にスーパーアニュエーションの払い戻しを受けるための制度です。

    対象となる方は、オーストラリアを出国し、ビザが失効または取り消されるなどの条件を満たせば申請できます。

    ATOの公式オンライン申請システムを利用すれば、自分で無料で申請を進められます。

    ただし、帰国しただけでは申請できず、ビザがまだ有効な場合には、失効を待つか、必要に応じて内務省の取消手続きを検討することになります。

    また、ワーキングホリデー渡航者のDASPには、課税対象部分に原則65%という税率が適用されます。

    そのため、口座残高がそのまま全額戻るわけではありません。

    さらに、スーパー基金が管理する資金と、ATOへ移管された資金では、申請先や受取方法が異なる場合があります。

    特に、日本の銀行口座への送金を希望する方は、資金がどこで管理されているかを確認してください。

    帰国前には、スーパー基金名、会員番号、TFN、パスポート情報、銀行口座、最終給与に対応するスーパーの入金状況などを整理しておくと安心です。

    申請後は、基金やATOから届く連絡を確認し、追加の書類が必要な場合は速やかに対応しましょう。

    また、DASPの税金は通常のタックスリターンとは別の制度です。給与所得の還付手続きと混同しないようにしてください。

    DASPをスムーズに申請するためには、帰国前にスーパーの口座情報を確認し、出国後のビザの状態と受取方法を把握しておくことが大切です。

    ワーキングホリデーを終えてから何年も経っている場合でも、条件を満たせば請求できることがあります。

    以前オーストラリアで働いていた方も、スーパーアニュエーションが残っていないか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

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  • オーストラリアのABNとは?個人事業主・Uber・配達員などで必要になる番号を解説

    オーストラリアのABNとは?個人事業主・Uber・配達員などで必要になる番号を解説

    オーストラリアで仕事を探していると、「ABNを持っていますか?」と聞かれることがあります。

    特に、ウーバーイーツ(Uber Eats)などのフードデリバリー、建設現場の仕事、清掃、フリーランスの仕事などを考えている方は、ABNという言葉を見かける機会が多いのではないでしょうか。

    「ABNとは何?」「TFNとは違うの?」「ワーキングホリデーでも取得できる?」「ABNを持っていれば税金が安くなる?」など、初めてオーストラリアで働く方には分かりにくい点もあると思います。

    ABNは、オーストラリアで事業を行う個人や会社などに発行される番号です。

    例えば、自分で仕事を請け負う個人事業主や、独立した配達事業者、フリーランスなどが利用します。

    日本人のワーキングホリデー渡航者でも、条件を満たしていればABNを取得できます。また、オーストラリア政府の公式サイトから申請すれば、取得料金は無料です。

    ただし、注意したいことがあります。

    ABNは、取得すれば誰でも自由に働ける許可証ではありません。また、ABNで仕事をする場合には、通常のアルバイトとは税金や契約の取り扱いが異なります。

    特に、雇用主から「ABNを取れば最低賃金は関係ない」「ABNなら退職年金を払わなくてよい」と説明された場合は、その内容が正しいとは限りません。

    この記事では、オーストラリアのABNについて、TFNとの違い、申請方法、ウーバーや配達員の仕事、GST、税金、経費、労働者としての権利まで、2026年10月時点の公式情報をもとに詳しく解説します。

    オーストラリアでフードデリバリーの仕事を始めたいのですが、ABNが必要と言われました。すでにTFNは持っていますが、別に取得する必要があるのでしょうか?
    独立した個人事業主として配達の仕事を行う場合は、通常ABNが必要です。TFNは個人の税務番号、ABNは事業者の識別番号で、役割が異なります。ただし、会社の従業員として配達する場合は、通常その仕事のためにABNを取得する必要はありません。




    ABNとは?オーストラリアの事業者番号

    ABNは、オーストラリアン・ビジネス・ナンバー(Australian Business Number)の略です。

    オーストラリア国内で事業を行う個人や会社などを識別するための、11桁の番号です。

    ABNの登録を管理しているのは、オーストラリアン・ビジネス・レジスター(Australian Business Register/ABR)という政府機関です。

    事業者はABNを使って、取引先との契約、請求書の発行、税務登録などを行います。

    例えば、個人でウェブサイト制作の仕事を請け負う場合や、独立した配達員として仕事をする場合などです。

    ABNを持つということはどういう意味?

    個人事業主として事業を行う場合、自分自身が事業の責任者になります。

    仕事を受注し、代金を受け取り、必要な経費を支払い、収入や支出を記録して税務申告を行います。

    会社を設立する必要はなく、個人で事業を行う形をソール・トレーダー(Sole Trader)と呼びます。

    日本の個人事業主に近い仕組みです。

    ただし、個人事業主は、事業に関する債務などについて個人で責任を負います。会社を設立した場合とは、法律上の責任が異なります。

    ABNは会社だけの番号ではない

    ABNという名前から、会社を経営している人だけが使う番号と思われるかもしれません。

    しかし、個人事業主も取得できます。

    小規模な仕事であっても、継続的に商業活動を行う事業として認められれば、ABNを取得できる場合があります。

    一方、単にアルバイトをしているだけの人が、自由にABNを取得してその仕事に使用できるわけではありません。

    ABNの取得には、実際に事業を営んでいる、または事業開始のための具体的な準備を行っているなどの条件があります。

    公式情報:オーストラリアン・ビジネス・レジスター:ABNの取得資格

    ABNとTFNの違い

    ABNとよく混同されるのが、タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)です。

    TFNは、オーストラリア税務局(Australian Taxation Office/ATO)が発行する税務番号です。

    一般的な会社員やアルバイトだけでなく、個人事業主も税務申告などに使用します。

    ABNとTFNは、どちらか一方を持っていればもう一方が不要になるというものではありません。

    項目 TFN ABN
    正式名称 Tax File Number Australian Business Number
    桁数 通常9桁 11桁
    主な用途 個人の税務管理 事業者の識別
    一般的なアルバイト 通常必要 通常不要
    個人事業主 税務申告などに使用 事業活動に使用
    公式申請料金 無料 無料

    例えば、レストランにカジュアル従業員として雇用される場合、通常はTFNを雇用主へ提出します。

    一方、自分でウェブサイト制作の仕事を請け負い、取引先に請求書を発行する場合は、通常ABNを使用します。

    その後、個人事業主として得た利益をタックスリターンで申告する際には、自分のTFNを使用します。

    個人事業主でもTFNは必要?

    はい。個人事業主は、個人のTFNを使って所得税を申告するのが基本です。

    会社とは異なり、ソール・トレーダーの場合、通常は事業用に別のTFNを取得する必要はありません。

    すでにワーキングホリデーでTFNを取得している方は、その番号を引き続き使用できます。

    TFNの取得方法については、関連記事「オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点」を参考にしてください。

    ABNが必要な仕事・不要な仕事

    ABNが必要かどうかは、仕事の種類だけでなく、従業員として雇われているのか、独立した事業者として仕事を請け負っているのかによって異なります。

    例えば、同じ配達の仕事でも、会社に雇用されている場合と、独立した事業者として配達を行う場合では扱いが違います。

    仕事の例 ABNの扱い
    レストランのカジュアル従業員 通常不要
    ホテルのパートタイム従業員 通常不要
    会社に雇用される配達ドライバー 通常不要
    独立したフードデリバリー配達員 通常必要
    独立したライドシェアドライバー 通常必要
    フリーランスのデザイナー 事業として請け負う場合は通常必要
    独立した清掃事業者 通常必要
    会社の従業員として働く建設作業員 通常不要
    独立した建設関連の請負事業者 通常必要

    ただし、業務の名称だけで判断できない場合もあります。

    例えば、建設現場で「コントラクター(Contractor)」という名称で働いていても、実際には勤務時間や仕事内容を会社が細かく管理し、従業員と同じように働いている場合があります。

    こうした場合は、単に契約書にコントラクターと書かれているだけで、独立した事業者として認められるわけではありません。

    趣味で不用品を売る場合もABNが必要?

    例えば、引っ越しのために古い家具や衣類を売却するだけなら、通常、そのためにABNを取得する必要はありません。

    一方、商品を継続的に仕入れて販売し、利益を得ることを目的とした事業を行う場合は、ABNの取得対象となる可能性があります。

    ABRは、事業性を判断する際、営利目的、継続性、事業規模、記録の管理などを考慮すると案内しています。

    単に一度だけ物を売ったという理由で、必ず事業者になるわけではありません。

    ワーキングホリデーでもABNを取得できる?

    日本のパスポートを持ち、オーストラリアのワーキングホリデービザで滞在している方でも、条件を満たせばABNを取得できます。

    重要なのは、実際にABNの取得資格がある事業を行っていることと、ビザの就労条件を守っていることです。

    ABNそのものに、オーストラリアでの就労を許可する効力はありません。

    ワーキングホリデービザ417では、原則として滞在期間中にさまざまな種類の仕事をすることができますが、同じ雇用主のもとで働く期間などに制限があります。

    個人事業主にも6か月の就労制限が関係する

    ワーキングホリデービザには、ビザ条件8547という規定があります。

    これは、原則として同じ雇用主のもとで6か月を超えて働くことを制限するものです。

    この規定は、単に雇用契約を結んでいる従業員だけでなく、個人事業主として働く場合にも関係します。

    内務省は、個人事業主の場合、実際にサービスの提供を受ける最終利用者(End User)を、6か月制限の判断対象として扱うと案内しています。

    ただし、複数の顧客へサービスを提供する場合や、対象となる例外業種で働く場合には、異なる取り扱いが認められることがあります。

    例えば、複数の顧客にサービスを提供する独立した清掃事業者と、実質的に1社だけへ継続してサービスを提供する事業者とでは、事情が異なります。

    また、2024年1月から、農業、観光・ホスピタリティー、医療、介護など一定の分野では、事前許可なしで同じ雇用主のもとで6か月を超えて働ける例外が設けられています。

    ABNを取得したからといって、こうしたビザ条件を無視してよいわけではありません。

    長期間同じ取引先で働く予定がある方は、内務省の公式案内で条件を確認してください。

    オーストラリア内務省:ワーホリの6か月就労制限と個人事業主の扱い



    ABNの申請条件と必要な情報

    ABNを取得するには、オーストラリアで事業を行う資格があることが必要です。

    すでに営業している事業だけでなく、具体的な開業準備を始めている場合も、申請の対象になることがあります。

    例えば、事業用の設備を購入する、仕事の見積もりを提出する、必要な保険を手配するなど、実際に事業開始へ向けた活動がある場合です。

    一方、特に事業を始める予定がなく、単に番号だけを取得しておきたいという場合は、取得資格を満たさない可能性があります。

    個人事業主のABN申請で準備しておきたい情報

    項目 内容
    氏名 パスポート等に記載された正式な氏名
    生年月日 本人確認のための情報
    TFN すでに取得している場合
    住所 事業所在地・連絡先住所
    電話・メール 連絡可能な情報
    事業内容 配達、清掃、デザインなどの主な活動
    事業開始日 実際に開始した日、または開始予定日
    事業形態 個人事業主の場合はSole Trader
    その他 以前のABNや事業登録など、該当する情報

    TFNがまだない場合は?

    ABNの申請にTFNを必ず入力しなければならないわけではありません。

    しかし、ABRは、TFNなどを使って本人確認ができる場合、申請処理が早くなると案内しています。

    特に外国人申請者では、TFNを入力しなかった場合、追加の本人確認書類を求められることがあります。

    ワーキングホリデーで到着した方は、まずTFNを取得してからABNを申請すると、本人確認の手続きを進めやすくなるでしょう。

    ただし、個別の状況によって必要な書類は異なります。

    オーストラリア国外にいても申請できる?

    オーストラリア国外にいる人でも、オーストラリア国内で事業を行っている、またはオーストラリアと関連する対象事業を行っている場合には、ABNの取得資格があることがあります。

    しかし、単に将来オーストラリアで働きたいというだけでは、必ず申請できるわけではありません。

    国外から申請する場合には、事業内容や本人確認に関する追加資料が必要になることもあります。

    ABR:オーストラリア国外の事業者によるABN申請

    ABNを無料で申請する方法

    ABNは、オーストラリア政府の公式ウェブサイトからオンラインで申請できます。

    取得資格を満たしていれば、申請そのものは無料です。

    個人事業主として申請する場合の基本的な流れを見てみましょう。

    STEP 1.オーストラリア政府の公式サイトへアクセスする

    まず、ABRの公式サイトにアクセスします。

    ABR公式:Applying for an ABN

    ABNの申請方法や取得資格を確認し、オンライン申請へ進みます。

    STEP 2.事業形態を選択する

    個人で独立した事業を営む場合は、Sole Traderを選びます。

    ソール・トレーダーは、日本の個人事業主に近い事業形態です。

    法人を設立するわけではありません。

    STEP 3.ABNを取得する資格があるか確認する

    申請画面では、事業の内容や活動状況について質問されます。

    実際に事業を営んでいるか、事業を始める具体的な準備があるかなどが確認されます。

    単にABNが欲しいという理由ではなく、実際の事業活動に基づいて回答してください。

    STEP 4.個人情報を入力する

    氏名、生年月日、TFNなどの情報を入力します。

    すでにオーストラリアでTFNを取得している場合は、正しい番号を入力してください。

    本人確認に使用されるため、氏名や生年月日がATOの記録と一致していることも重要です。

    STEP 5.事業の内容と開始日を入力する

    どのような事業を行うのか、事業の開始日、所在地などを入力します。

    例えば、独立したフードデリバリーの仕事を行う場合は、その実際の事業内容に対応する項目を選びます。

    申請内容を実際の活動と一致させることが重要です。

    STEP 6.必要な税務登録を確認する

    ABNを申請する際には、GSTなどの税務登録についても質問される場合があります。

    ただし、個人事業主だからといって、必ずGSTへ登録しなければならないわけではありません。

    事業の種類や売上によって条件が異なります。

    特に乗客を運ぶライドシェアの仕事をする方は、GST登録の特別な条件があるため注意してください。

    STEP 7.申請内容を確認して送信する

    最後に入力内容を確認し、オンラインで申請します。

    申請が認められると、ABNが発行されます。

    番号が表示された場合は、確認画面を保存しておきましょう。

    また、申請内容の追加確認が必要な場合には、受付番号などが発行されることがあります。

    この番号は問い合わせなどで必要になるため、忘れずに保存してください。

    申請画面の項目や手順は変更される場合がありますので、実際の画面上の説明に従ってください。

    ABNが発行されるまでの期間と申請料金

    ABNの発行にかかる時間は、申請内容や本人確認の状況によって異なります。

    ABRの公式案内では、申請が問題なく認められた場合、11桁のABNがその場で発行されます。

    一方、追加の確認が必要な場合には、ABRは通常20営業日以内に内容を確認することを目標としています。

    また、追加資料の提出を求められる場合もあります。

    申請状況 発行までの目安
    オンライン申請がその場で承認 即時に発行
    追加の確認が必要 通常20営業日以内を目標に確認
    本人確認・追加資料が必要 状況によってさらに時間がかかる場合あり

    これらは政府が案内する処理方法であり、すべての申請が必ず20営業日以内に完了するという意味ではありません。

    ABNの申請料金はいくら?

    オーストラリア政府のABRから直接申請する場合、ABNの登録料金は無料です。

    また、ABNの登録自体に毎年更新料を支払う仕組みはありません。

    ただし、ABN申請を代行する民間業者へ依頼する場合は、サービス料金が発生することがあります。

    インターネットで検索すると、有料のABN申請サービスが表示される場合がありますが、それが政府の公式申請料金という意味ではありません。

    自分で手続きできる方は、政府の公式サイトから無料で申請できます。

    事業名の登録は別料金

    ABNと、ビジネスネーム(Business Name)の登録は別の手続きです。

    例えば、自分の正式な個人名で事業を行う場合は、通常、別の事業名登録は必要ありません。

    一方、独自の店名や屋号を使って営業する場合は、オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission/ASIC)への事業名登録が必要になることがあります。

    事業名登録には別途料金がかかります。

    ワーキングホリデーで短期間フリーランスの仕事をする方は、まず自分の事業に事業名登録が必要かどうか確認するとよいでしょう。

    オーストラリア政府:ABNの無料登録について

    ウーバーとウーバーイーツではABNの扱いが違う?

    オーストラリアでABNに関する質問が多い仕事のひとつが、ウーバーを使った仕事です。

    ただし、ウーバーで乗客を運ぶ仕事と、ウーバーイーツで料理などを配達する仕事では、税金の取り扱いに違いがあります。

    ウーバーのライドシェアドライバー

    ウーバーを利用して乗客を目的地まで運ぶ仕事は、ライドシェア(Ride-sourcing)に該当します。

    独立した事業者としてこの仕事を行う場合、通常ABNが必要です。

    さらに、重要なのがGSTへの登録です。

    オーストラリア税務局では、タクシーやライドシェアの乗客輸送サービスについて、売上金額にかかわらずGST登録を必要としています。

    例えば、年間売上がA$10,000しかなくても、独立したライドシェアドライバーとして乗客を運ぶ場合は、GST登録が必要です。

    ウーバーイーツの配達員

    一方、ウーバーイーツなどのフードデリバリーは、料理や商品を配達するサービスです。

    乗客を運ぶライドシェアとは異なります。

    独立した個人事業主として配達する場合は、通常ABNが必要ですが、GST登録については、原則として一般事業と同じ売上基準が適用されます。

    年間のGST対象売上がA$75,000未満で、ほかに義務的な登録条件がなければ、通常はGST登録が義務付けられません。

    ただし、A$75,000を超える見込みがある場合や、すでに登録している場合は取り扱いが異なります。

    フードデリバリーとライドシェアを両方行う場合

    例えば、平日は料理の配達を行い、週末には乗客を運ぶライドシェアを行う場合です。

    同じ個人事業主が両方の事業を行い、ライドシェアの仕事によってGST登録義務が生じると、その登録は事業者全体に関係します。

    そのため、フードデリバリーの売上についても、GSTの取り扱いを確認する必要があります。

    仕事 ABN GST登録
    独立したウーバーの乗客輸送 通常必要 売上に関係なく必要
    独立したウーバーイーツ配達 通常必要 原則として年間GST売上A$75,000以上で必要
    独立したドアダッシュ配達 通常必要 原則として一般のGST売上基準
    会社に雇用される配達員 通常不要 雇用される本人には通常登録不要

    ドアダッシュ(DoorDash)などの仕事も、実際にどのような契約で働くのかを確認してください。

    また、各プラットフォームの登録条件、使用できる車両、保険、運転免許証などの条件は変更されることがあります。

    ABNを持っているだけで、すべての配達サービスやライドシェアに登録できるわけではありません。

    公式情報:ATO:フードデリバリー配達員のABN・GST・税務

    GSTとは?A$75,000の登録基準を解説

    ABNを取得する際に、もうひとつ知っておきたいのがGSTです。

    GSTは、グッズ・アンド・サービス・タックス(Goods and Services Tax)の略で、オーストラリアの消費税に相当する税金です。

    基本税率は10%です。

    ただし、商品やサービスによってはGSTがかからないものもあります。

    ABNを取得したら必ずGSTを払う?

    いいえ。ABNを取得しただけで、自動的にGST登録が必要になるわけではありません。

    一般的な営利事業では、年間のGST対象売上がA$75,000以上になる場合、GST登録が必要です。

    また、今後12か月の売上がその基準に達すると見込まれる場合も、登録が必要になることがあります。

    注意したいのは、A$75,000は利益ではなく、原則としてGST対象の売上高を基準として判断することです。

    例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

    項目 例A 例B
    年間売上 A$30,000 A$90,000
    年間経費 A$8,000 A$50,000
    利益 A$22,000 A$40,000
    GST登録 一般的には義務なし 原則として必要

    上記はすべての売上がGST対象で、ライドシェアなどの特別な登録条件がない場合の単純な例です。

    例Bでは利益がA$40,000でも、売上がA$90,000あるため、GST登録の基準を超えています。

    GST登録後は何をする?

    GST登録した事業者は、GST対象となる売上についてGSTを計算し、税務局へ申告・納付します。

    例えば、GSTを含む商品やサービスの販売額がA$110の場合、そのうちGSTはA$10です。

    また、事業用の仕入れや経費に含まれるGSTについて、一定の条件で税額控除を受けられる場合があります。

    GST登録した事業者は、通常、ビジネス・アクティビティー・ステートメント(Business Activity Statement/BAS)という申告書を提出します。

    提出頻度は、事業者の条件に応じて毎月、四半期などに分かれます。

    GST未登録なのに請求書へGSTを加算してもよい?

    いいえ。GSTに登録していない事業者は、GSTとして税金を請求・徴収することはできません。

    例えば、個人事業主として清掃サービスを提供していて、GST登録の義務もなく登録していない場合、請求書に勝手に10%のGSTを加算してはいけません。

    一方、GST登録している場合には、課税対象となるサービスについて適切にGSTを計算する必要があります。

    ABNの取得とGST登録は別の手続きです。事業の種類と売上に応じて、それぞれ必要かどうか判断してください。

    公式情報:ATO:GST登録が必要になる条件



    個人事業主と従業員の違い・偽装請負に注意

    ABNで仕事をする場合に、最も注意したいのが雇用契約の問題です。

    オーストラリアでは、会社に雇用される従業員と、独立して仕事を請け負う個人事業主では、法律上の権利や義務が異なります。

    従業員と個人事業主の主な違い

    項目 従業員 独立した個人事業主
    契約関係 雇用契約 業務委託・請負契約など
    最低賃金 適用される 原則として従業員向け最低賃金は適用されない
    有給休暇 雇用形態に応じて適用 通常、従業員向けの有給休暇はない
    所得税 通常は雇用主が源泉徴収 原則として自分で管理・申告
    仕事の経費 雇用主負担または経費精算の場合あり 通常は自分で管理
    スーパーアニュエーション 原則として雇用主が拠出 契約内容によっては発注側に拠出義務あり

    個人事業主は、自分の事業として仕事を請け負います。

    仕事の条件を自分で調整したり、複数の取引先と契約したりする場合があります。

    一方、従業員の場合は、雇用主の指示のもとで仕事を行い、適用される最低賃金や労働条件の保護を受けます。

    ABNを取れば最低賃金を払わなくてもよい?

    これは正しくありません。

    例えば、レストランで従業員と同じようにシフトを組まれ、勤務時間や業務内容を細かく指定されているにもかかわらず、雇用主から「ABNで請求書を出してほしい」と言われる場合があります。

    しかし、実際には従業員に該当する人を、契約上だけ個人事業主として扱っているのであれば、法律上問題になる可能性があります。

    このような取り扱いは、シャム・コントラクティング(Sham Contracting)、日本語では偽装請負と呼ばれることがあります。

    オーストラリアでは、従業員を正当な根拠なく独立事業者として扱い、労働者の権利を回避する行為は法律で禁止されています。

    ABNを持っていても従業員と判断される場合がある

    判断に当たっては、契約書の名称だけでなく、実際の働き方や当事者間の関係などが考慮されます。

    例えば、仕事内容の管理、仕事の自由度、器具や設備の提供、報酬の仕組み、ほかの顧客へのサービス提供などです。

    これらの要素は全体として判断されるため、ひとつの条件だけで従業員か個人事業主かが決まるわけではありません。

    ワーキングホリデーだからといって、違法な労働条件を受け入れる必要はありません。

    ABNで働くよう求められた場合は、なぜその契約形態になるのか確認しましょう。

    フェアワーク・オンブズマン:偽装請負に関する公式案内

    ABNで働く場合の請求書と給与の受け取り方

    通常のアルバイトでは、雇用主が給与を計算し、税金を源泉徴収したうえで、従業員の銀行口座へ振り込みます。

    一方、個人事業主の場合は、仕事の契約に従って報酬を請求し、代金を受け取ります。

    ウーバーイーツなどのプラットフォームでは、アプリや事業者側のシステムを通じて支払いが管理される場合があります。

    一方、個人でデザインや清掃、建設関連の仕事を請け負う場合には、自分で請求書(Invoice)を発行することがあります。

    請求書に記載しておきたい項目

    • 自分の事業名または正式な氏名
    • ABN
    • 請求書番号
    • 請求書の発行日
    • 取引先の名前
    • 提供したサービスの内容
    • 料金・数量などの計算
    • 支払総額
    • 支払期限
    • 銀行振込先などの支払方法

    GST登録している場合は、GSTに関する法律上必要な情報も記載します。

    GST未登録の事業者は、GSTを加算しないようにしてください。

    請求書の計算例

    例えば、GST未登録のフリーランスが、取引先へ次のような仕事を提供した場合です。

    項目 内容
    サービス ウェブサイト画像制作
    単価 A$150
    数量 3件
    小計 A$450
    GST 未登録のため加算しない
    請求額 A$450

    これは計算例であり、実際の報酬相場を示すものではありません。

    ABNを伝えないと47%引かれる?

    オーストラリアには、事業者が取引先へABNを提示しない場合、一定の条件で支払側が代金から税金を源泉徴収する制度があります。

    通常、ABNの提示が必要な取引で番号が示されず、例外条件にも該当しない場合は、支払額の47%を源泉徴収しなければならないことがあります。

    ただし、これはすべての取引や、通常の雇用による給与に一律に適用される規則ではありません。

    個人事業主として取引先に請求書を発行する場合は、自分のABNを正確に記載しておきましょう。

    また、入金があったときには、請求額、入金額、入金日などを記録しておくと、年度末の税務申告がスムーズになります。

    ABNで得た収入の税金とタックスリターン

    ABNを使って個人事業主として働く場合、通常の従業員とは税金の管理方法が異なります。

    従業員は、通常、雇用主が給与から所得税を源泉徴収します。

    一方、個人事業主が仕事の報酬を受け取る場合、原則として自分で所得を記録し、必要な税務申告と納税を行います。

    つまり、銀行口座へ報酬が振り込まれても、その全額を自由に使ってよいとは限りません。

    後から税金の支払いが必要になる可能性があります。

    個人事業主の税金は売上全体にかかる?

    個人事業主の所得税では、通常、事業の収入から認められる事業経費を差し引いて、課税対象となる所得を計算します。

    例えば、年間の収入と経費が次のような場合です。

    項目 金額
    年間事業収入 A$30,000
    事業に必要な経費 A$8,000
    事業利益 A$22,000

    この例では、税務上認められる経費がA$8,000であれば、事業利益はA$22,000になります。

    ただし、実際の課税所得は、ほかの給与所得、税務上の調整、経費の控除条件などによって異なります。

    また、GSTに登録している場合は、売上や経費のGSTの取り扱いについても考慮する必要があります。

    ワーキングホリデーの15%税率はABNにも使える?

    ワーキングホリデーで働く方には、一定の条件でワーキングホリデー渡航者向けの所得税率が適用されます。

    ただし、ABNで得た事業収入について、請求時に自動的に15%が源泉徴収されるわけではありません。

    最終的な所得税の計算は、税務上の居住者判定、ワーキングホリデーの税制、租税条約、ほかの所得などを考慮して行われます。

    日本国籍者については、日本とオーストラリアの租税条約の関係で、税務上のオーストラリア居住者に該当する場合に、一般的な居住者税率が適用されることもあります。

    単純に「ABNだから税率15%」「ABNなら非課税」と考えないようにしてください。

    税金を支払うための資金を残しておく

    個人事業主の場合、仕事の報酬を受け取った段階では所得税が差し引かれていないことがあります。

    そのため、事業収入をすべて生活費に使ってしまうと、タックスリターンで税金を支払う際に困る可能性があります。

    必要に応じて、将来の納税に備えた資金を別の口座などで管理するとよいでしょう。

    また、所得や過去の申告状況によっては、PAYG Instalmentsという所得税の予定納付制度が適用される場合もあります。

    タックスリターンはどうする?

    オーストラリアの税務年度は、通常7月1日から翌年6月30日までです。

    ソール・トレーダーは、通常、個人のタックスリターンに事業収入と事業経費を含めて申告します。

    会社のように、個人事業主のための独立した法人税申告書を作るわけではありません。

    また、ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合も、オーストラリアで発生した所得について申告が必要になることがあります。

    申告時期や手続きは、ATOの公式サイトで確認してください。

    ATO:個人事業主の税務上の義務



    配達・フリーランスの必要経費はどこまで認められる?

    個人事業主として働く場合、収入を得るために必要な経費を、一定の条件で所得から控除できます。

    ただし、事業に関係のない私生活の支出は、通常、事業経費として認められません。

    また、事業と私生活の両方に使っているものについては、事業用の割合を合理的に計算する必要があります。

    フードデリバリーで考えられる経費

    例えば、独立したフードデリバリー事業者の場合、次のような費用が経費となる可能性があります。

    • 仕事に使用する自転車やバイクなどの費用
    • 配達用バッグ
    • 事業用の携帯電話・通信費
    • 仕事に使用する車両の燃料費
    • 車両の修理・整備費用
    • 事業用の保険料
    • 業務に必要な登録や許可に関する費用
    • 会計・税務申告に関する費用

    ただし、これらがすべて購入した年に全額控除できるという意味ではありません。

    車両や高額な設備などについては、資産の減価償却や別の税務ルールが適用される場合があります。

    自転車や車を私生活でも使う場合

    例えば、配達の仕事で使うバイクを、休日の買い物や観光にも使用している場合は、費用のすべてを事業経費にはできません。

    業務で使った割合を計算し、合理的な記録を残しておく必要があります。

    自動車については、使用状況に応じて認められる計算方法が異なります。

    仕事で走行した距離や目的を記録しておくと、経費を計算する際に役立ちます。

    携帯電話代も全額経費になる?

    携帯電話を仕事と私生活の両方で使用する場合、通常は仕事に使用した割合を区分する必要があります。

    例えば、月額A$60の通信プランを契約し、そのうち40%が業務での利用に当たると合理的に判断できる場合、事業用の通信費は月A$24という計算になります。

    ただし、実際に何%を業務で使用したかを説明できる記録が必要です。

    経費の領収書は保存する

    事業の収入と経費に関する領収書や記録は、通常5年間の保存が必要です。

    紙の領収書だけでなく、電子データで保存できる場合もあります。

    ワーキングホリデーでは、帰国後に申告や問い合わせが必要になることもあるため、書類はクラウドなどで整理しておくと便利です。

    なお、事業の性質や税務上の事情によっては、5年を超える保存が必要な記録もあります。

    スーパーアニュエーション・保険・就労上の注意点

    個人事業主として働く場合、所得税以外にも確認しておきたいことがあります。

    そのひとつが、スーパーアニュエーション(Superannuation)です。

    スーパーアニュエーションは、オーストラリアの退職年金制度です。

    通常の従業員には、条件に応じて雇用主が退職年金口座へ拠出を行います。

    一方、ソール・トレーダーは自分自身の雇用主ではないため、自分の事業から自分へスーパーアニュエーションを支払う義務は、通常ありません。

    ABNで働いていてもスーパーが支払われる場合がある

    ここは注意が必要です。

    ABNを持っている個人事業主であっても、契約内容によっては、報酬を支払う側にスーパーアニュエーションの拠出義務が発生することがあります。

    例えば、個人の労働力や技能を提供することが契約の主な目的で、本人が直接仕事を行い、労働時間に応じて報酬が支払われるような場合です。

    ATOは、契約者がABNを持っているかどうかだけで、スーパーアニュエーションの支払義務が決まるわけではないと説明しています。

    したがって、取引先から「ABNで働いているからスーパーは一切支払わない」と説明されても、それが必ず正しいとは限りません。

    ATO:個人事業主・請負契約とスーパーアニュエーション

    仕事中の事故と保険

    フードデリバリーや清掃、建設関連の仕事では、業務中の事故やけがにも注意が必要です。

    例えば、配達中に交通事故を起こしたり、取引先の物を壊してしまったりする可能性があります。

    通常の海外旅行保険では、業務中の事故や特定の職業活動が補償対象外になる場合があります。

    また、自家用車の保険が商業配達や有償の乗客輸送を補償しているとは限りません。

    事業内容に応じて、車両保険、対人・対物賠償責任保険、業務上の事故に備える保険などを確認しておきましょう。

    保険の条件は、州、事業内容、契約先によって異なります。

    最低賃金の保護はどうなる?

    本当に独立した個人事業主の場合、従業員向けの最低賃金制度がそのまま適用されるわけではありません。

    ただし、デジタルプラットフォームを通じて働く一部の労働者については、2024年以降の労働法改正により、特別な保護制度が設けられています。

    また、実態が従業員であれば、通常の労働法が適用される場合があります。

    ABNを持っているという理由だけで、自分には労働法上の権利がないと判断しないようにしましょう。

    仕事の契約条件に不安がある場合は、フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman)の公式情報を確認してください。

    フェアワーク:独立請負人の権利と義務

    帰国・廃業するときのABNの取り扱い

    ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国する場合、ABNをそのまま放置してよいのか気になる方もいるでしょう。

    ABNは、取得した後も登録情報を正しく管理する必要があります。

    オーストラリア国内での事業を終了した場合や、オーストラリアと関連する事業活動を行わなくなった場合には、原則としてABNを取り消す必要があります。

    事業を終了したらABNを取り消す

    例えば、オーストラリアでフードデリバリーの仕事をしていた方が、ワーキングホリデーを終え、完全に事業を終了して帰国する場合です。

    このような場合、ABRの公式サイトからABNの取消手続きを行えます。

    また、ABRでは、事業を終了した場合など、登録内容の変更を認識してから28日以内に必要な更新・取消しを行うよう案内しています。

    ABNを取り消す前に確認すること

    • 未払いの売上や請求書がないか
    • 税務申告が必要か
    • GST登録がある場合、BASの提出が必要か
    • 未払いの税金がないか
    • 事業に関する登録を終了する必要があるか
    • 事業用の記録を保存しているか

    ABNを取り消しただけで、過去の税務申告や納税の義務がなくなるわけではありません。

    また、ABNを取り消すと、GSTなど一部の税務登録も取り消されます。

    そのため、必要な申告や納税を確認してから手続きを進めてください。

    次のセカンドワーホリで戻ってくる予定の場合

    将来オーストラリアへ戻る予定がある場合でも、現在の事業活動を終了しているのであれば、ABNの登録状況を確認する必要があります。

    事業を一時的に休止しているのか、完全に終了しているのかによって、取り扱いが異なる場合があります。

    帰国後もオーストラリアと関連する事業を継続している場合などは、個別の事情に応じた判断が必要です。

    ABNの登録を終了する必要があるか不明な場合は、ABRへ確認してください。

    ABR公式:ABNの取消方法

    オーストラリアのABNに関するよくある質問

    オーストラリアのABNとは何ですか?

    ABNはAustralian Business Numberの略で、オーストラリアの事業者を識別する11桁の番号です。会社だけでなく、個人事業主も取得できます。事業の請求書や取引、税務登録などに利用します。
    ABNの取得料金はいくらですか?

    オーストラリア政府のAustralian Business Registerから直接申請する場合、ABNの登録は無料です。民間の申請代行業者を利用するとサービス料金が発生する場合がありますが、政府の正式なABN登録料金ではありません。
    ABNとTFNの違いは何ですか?

    TFNは個人の税務番号、ABNは事業者の識別番号です。通常のアルバイトではTFNを使用します。独立した個人事業主として働く場合は、通常ABNを取得し、所得税の申告には個人のTFNを使用します。
    ワーキングホリデーでもABNを取得できますか?

    はい。日本国籍のワーキングホリデー渡航者でも、実際に対象となる事業を営むなどABNの取得資格を満たしていれば申請できます。ただし、ABNには就労許可の効力はないため、ビザの就労条件を守る必要があります。
    ウーバーイーツの配達員にはABNが必要ですか?

    独立した個人事業主としてウーバーイーツなどの配達を行う場合、通常ABNが必要です。一方、会社の従業員として配達する場合は、通常その仕事のためにABNを取得する必要はありません。
    ウーバーイーツの配達でもGST登録が必要ですか?

    フードデリバリーだけを行う一般的な独立事業者の場合、原則として年間GST売上A$75,000以上でGST登録が必要です。一方、乗客を運ぶライドシェアドライバーには、売上金額にかかわらずGST登録義務があります。両方を営む場合は事業者全体のGSTの取り扱いを確認する必要があります。
    ABNを申請すると何日で発行されますか?

    申請がその場で承認された場合は、11桁のABNが即時に発行されます。追加の本人確認などが必要な場合、ABRは通常20営業日以内の確認を目標としていますが、さらに時間がかかる場合もあります。
    ABNを取得すれば最低賃金は適用されなくなりますか?

    ABNを持っていることだけで、従業員としての権利がなくなるわけではありません。実際には従業員に該当する人を、契約上だけ個人事業主として扱う偽装請負は違法となる場合があります。契約の名称だけでなく、実際の働き方によって判断されます。
    ABNで得た収入も確定申告が必要ですか?

    通常、個人事業主として得た収入は、必要な経費などを計算し、個人のタックスリターンに含めて申告します。事業収入には自動的に所得税が源泉徴収されない場合があるため、税金の支払いに備えた資金管理が重要です。
    個人事業主でもスーパーアニュエーションを受け取れますか?

    個人事業主には、通常、自分自身の事業から自分へスーパーアニュエーションを拠出する義務はありません。ただし、主に本人の労働力を提供する契約など、一定の条件では、報酬を支払う側にスーパーアニュエーションの拠出義務が生じる場合があります。ABNの有無だけでは決まりません。
    日本へ帰国するときはABNを取り消す必要がありますか?

    オーストラリアでの事業を終了し、ABNの取得資格がなくなった場合は、原則としてABNの取消手続きが必要です。取り消す前に、必要な税務申告、GST・BAS、未払い税金などを確認してください。帰国後も事業を継続する場合は状況によって取り扱いが異なります。



    まとめ|ABNは無料で取得できるが、税金と契約の仕組みを理解しておこう

    オーストラリアのABNは、個人事業主や会社などの事業者を識別するための11桁の番号です。

    独立した事業者としてウーバーイーツの配達、フリーランス、清掃などの仕事を行う場合に利用します。

    条件を満たせば、ワーキングホリデーで滞在している日本人でも取得できます。

    ABNはオーストラリア政府の公式サイトから無料で申請でき、問題なく承認されれば、その場で番号が発行される場合もあります。

    ただし、ABNは就労許可証ではありません。ワーキングホリデーのビザ条件は引き続き守る必要があります。

    また、個人事業主として仕事をする場合は、通常のアルバイトと異なり、自分で収入や経費を管理し、必要な税務申告を行うことになります。

    GSTについても注意が必要です。通常のフードデリバリー事業と、乗客を運ぶライドシェアでは、登録条件が異なります。

    さらに、ABNを持っているからといって、必ず法律上の独立事業者になるわけではありません。実際には従業員に該当する場合は、最低賃金やスーパーアニュエーションなどの権利が認められることがあります。

    ABNを取得する前に、自分が本当に独立した事業者として働くのか、GST登録が必要か、税金と保険をどう管理するかを確認しておくことが大切です。

    ウーバーイーツやフリーランスの仕事は、働く時間や仕事の選び方に柔軟性がある一方、事業者としての責任も伴います。

    その違いを理解したうえで、自分に合ったオーストラリアでの働き方を選んでください。

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  • オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点

    オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点

    オーストラリアへワーキングホリデーで到着したら、仕事探しと並行して早めに済ませておきたい手続きがあります。それが、タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)の取得です。

    TFNは、オーストラリアで働いたときの税金を管理するために使われる個人の番号です。

    日本のマイナンバーと似た役割を持つ部分もありますが、オーストラリアでは給与の源泉徴収やタックスリターン(確定申告)、銀行口座、スーパーアニュエーション(退職年金)など、税金に関するさまざまな手続きで利用されます。

    ワーキングホリデーで働く予定がある方は、取得しておきたい番号です。

    「日本から申請できる?」「申請料金はいくら?」「オーストラリアの住所がまだ決まっていない場合は?」「TFNが届く前に仕事を始めても大丈夫?」など、初めての方には分かりにくい点もあるでしょう。

    実は、日本のパスポートと就労可能なワーキングホリデービザを持っている方なら、通常、オーストラリア到着後に政府の公式サイトから無料で申請できます。

    ただし、申請したその場で番号が発行されるわけではありません。TFNの通知書が届くまでには、最長28日程度かかる場合があります。

    この記事では、オーストラリアで初めて働く日本人向けに、TFNの申請条件、必要な情報、オンライン申請の手順、届くまでの期間、住所変更、仕事を始める際の注意点などを詳しく解説します。

    内容は2026年10月時点のオーストラリア税務局の公式情報をもとにしています。実際の申請画面は変更される場合がありますので、画面上の案内に従って手続きを進めてください。

    ワーホリでシドニーに到着しました。まだ仕事も住む場所も決まっていませんが、TFNを申請できますか?
    仕事が決まっていなくても申請できます。ただし、TFNの通知書を受け取れるオーストラリア国内の郵送先住所が必要です。最初の宿泊先などを使う場合は、郵便物を受け取れるか確認してから申請しましょう。




    TFNとは?ワーホリで必要になる理由

    TFNは、オーストラリア税務局(Australian Taxation Office/ATO)が発行する個人の税務番号です。

    通常9桁の数字で構成され、オーストラリアでの納税や退職年金などの手続きに使用されます。

    ワーキングホリデーでレストランやホテル、農場などで働く場合、雇用主は給与から所得税を源泉徴収し、ATOへ納付します。

    その際に、誰の給与に対する税金なのかを特定するために使われるのがTFNです。

    TFNは、主に次のような場面で利用されます。

    • オーストラリアで就職し、雇用主へ税務情報を提出するとき
    • 給与から正しい税額を源泉徴収してもらうとき
    • タックスリターンを行うとき
    • 銀行口座の利息に関する税務情報を登録するとき
    • スーパーアニュエーションの口座管理
    • ATOのオンラインサービスを利用するとき

    TFNがなくても働くこと自体が一律に禁止されるわけではありませんが、雇用主へ番号を提出できないまま所定の期間が経過すると、給与から高い税率で源泉徴収される可能性があります。

    そのため、オーストラリアで働く予定がある方は、到着後できるだけ早くTFNを申請することをおすすめします。

    TFNと日本のマイナンバーは同じ?

    どちらも個人を識別する番号という共通点はありますが、制度の目的や使用範囲は異なります。

    オーストラリアのTFNは、主に税金と退職年金に関する手続きのための番号です。

    運転免許証やパスポート、ビザの代わりになるものではありません。

    また、TFNを取得したからといって、オーストラリアで働く権利が新たに与えられるわけでもありません。就労できるかどうかは、保有するビザの条件によって決まります。

    TFNはいつ申請する?日本から取得できる?

    日本のパスポートを持つワーキングホリデー渡航者は、通常、外国パスポート保有者・一時滞在者向けのオンライン申請制度を利用します。

    この制度は、インディビジュアル・オート・レジストレーション(Individual Auto Registration/IAR)と呼ばれています。

    IARを利用する場合、次の条件を満たす必要があります。

    • オーストラリア国内にいること
    • 有効な外国パスポートなどを持っていること
    • 就労可能なビザなど、対象となる有効なビザを持っていること
    • ビザの情報がパスポートなどの渡航書類に関連付けられていること

    ワーキングホリデービザ417は、対象となる就労可能なビザです。

    日本にいる間に申請できる?

    原則として、ワーキングホリデー渡航者向けのIAR申請は、オーストラリアに入国してから行います。

    日本でワーキングホリデービザの許可を受けていても、それだけではIARを利用してTFNを申請できません。

    また、オーストラリア国外にいる人向けのTFN申請制度も別にありますが、これはオーストラリアで不動産収入などを得ている人など、異なる状況を想定した制度です。

    これから初めてワーキングホリデーに出発する方は、日本でパスポートやビザの情報を確認し、現地到着後に申請するのが一般的です。

    到着したその日に申請できる?

    基本的には入国後から申請できます。

    ただし、入国情報が税務局のシステムに反映されるまで、少し時間がかかる場合があります。

    2026年3月には、到着直後に申請しようとした人について、ATOが入国情報の更新に時間差が生じることがあると案内しています。

    到着直後に「オーストラリア国内にいない」といったエラーが出た場合は、数日後に再度試すか、ATOへ相談してください。

    また、申請には通知書を受け取るためのオーストラリア国内の住所が必要です。

    住所がまだ決まっていない場合は、郵便物を受け取れる場所を確保してから申請しましょう。

    TFN申請に必要なもの

    TFNを申請する前に、必要な情報を手元に用意しておくと手続きがスムーズです。

    外国パスポート保有者向けのオンライン申請では、オーストラリア内務省が持っているビザ情報などを利用して本人確認が行われます。

    そのため、通常は日本のパスポートやビザ情報を使ってオンラインで手続きできます。

    必要なもの・情報 内容
    日本のパスポート 旅券番号、氏名、生年月日など
    有効なビザ ワーキングホリデー417など、対象となるビザ
    オーストラリア国内の住所 現在の居住地と郵送先住所
    電話番号 連絡可能な電話番号
    メールアドレス 普段確認できるメールアドレス
    過去の税務情報 以前のTFNやABNなどがあればその情報
    その他の個人情報 過去の氏名、配偶者の情報など、該当する場合

    銀行口座は必要?

    TFNを申請するだけであれば、オーストラリアの銀行口座を開設済みである必要はありません。

    したがって、銀行口座の開設前でもTFNを申請できます。

    逆に、銀行口座の開設時にTFNを持っていなくても、後から銀行へ登録できる場合があります。

    雇用主が決まっていない場合は?

    仕事が決まっていなくても申請できます。

    むしろ仕事が見つかってから初めて申請するより、早めに申請しておく方が給与関係の手続きがスムーズになります。

    パスポートのコピーを郵送する必要はある?

    通常のIARオンライン申請では、パスポートの原本やコピーを郵送する必要はありません。

    ただし、オンラインで本人確認ができず、別の申請方法を案内された場合は、その方法に応じた書類が必要になることがあります。

    なお、オーストラリア市民・居住者向けの別のTFN申請方法では、郵便局での本人確認が必要な場合があります。ワーキングホリデー渡航者が利用するIARとは手続きが異なるため、混同しないようにしましょう。

    TFNのオンライン申請方法・手順

    それでは、実際のオンライン申請の流れを見てみましょう。

    申請は、オーストラリア税務局の公式サイトから行います。

    TFNの申請は無料です。政府の公式ページから申し込む場合、申請代行業者などを利用する必要はありません。

    STEP 1.ATOの公式サイトにアクセスする

    まず、次の公式ページへアクセスします。

    ATO公式:外国パスポート保有者・一時滞在者向けTFN申請

    ページ内の「Apply online for a TFN using the IAR」などの案内から申請画面へ進みます。

    申請画面の表示やボタンの名称は変更されることがありますので、現在の画面に従ってください。

    STEP 2.申請画面を開始する

    申請画面で説明を読み、「Start」を選択します。

    続いて、パスポート情報や個人情報を入力する画面へ進みます。

    入力する氏名、生年月日、パスポート番号などは、パスポートの記載と一致させてください。

    STEP 3.パスポート情報を入力する

    パスポート番号、発行国などを入力します。

    例えば、日本のパスポートなら、発行国としてJapanを選択します。

    ビザの情報は、パスポートに関連付けられた記録を通じて照合されます。

    STEP 4.個人情報を入力する

    氏名、生年月日、過去に使用した氏名、配偶者の情報など、画面で求められる項目を入力します。

    該当しない項目については、画面の案内に従って回答してください。

    過去にオーストラリアでTFNを取得したことがある方は、その情報についても正しく申告する必要があります。

    STEP 5.住所を入力する

    現在の居住地と郵送先住所を入力します。

    特に重要なのが、Postal Addressという郵送先住所です。

    TFNの通知書は、この住所へ郵送されます。

    郵便物を確実に受け取れる住所を使用してください。

    STEP 6.連絡先を入力する

    電話番号やメールアドレスなどを入力します。

    申請後にATOから連絡がある場合に備え、確認できる連絡先を使用しましょう。

    STEP 7.内容を確認して送信する

    最後に入力内容を確認します。

    氏名、パスポート番号、生年月日、住所などに誤りがないか、もう一度確認しましょう。

    問題がなければ、申告内容が正しいことを確認する欄にチェックを入れ、「Submit」を選択します。

    STEP 8.ATO Receipt IDを保存する

    申請を送信すると、受付番号であるATO Receipt IDが表示されます。

    この番号は、申請後の問い合わせなどで必要になることがあります。

    画面を閉じる前に、受付番号を記録するか、確認画面を保存しておきましょう。

    この受付番号はTFNそのものではありません。正式なTFNは、申請処理が完了した後に通知されます。

    申請にかかる時間は入力内容にもよりますが、ATOの案内では約20分が目安とされています。

    時間に余裕があるときに、落ち着いて手続きを進めるとよいでしょう。

    申請フォームの英語項目と入力時の注意点

    TFNのオンライン申請は英語なので、初めての方は少し戸惑うかもしれません。

    ただし、パスポートに関する基本情報や住所、連絡先などが中心です。

    よく使われる英語を確認しておきましょう。

    英語 意味
    Passport Number パスポート番号
    Country of Origin パスポートの発行国・国籍に関する項目
    Family Name 姓
    Given Name 名
    Date of Birth 生年月日
    Previous Name 以前使用していた氏名
    Residential Address 現在の居住地住所
    Postal Address 郵便物の送付先住所
    Contact Details 連絡先情報
    Spouse 配偶者・一定のパートナー
    Declaration 申告・確認事項
    Submit 送信する
    Receipt ID 申請受付番号

    これらは申請時によく使用される用語であり、現在の画面に表示されるすべての項目を示したものではありません。

    姓名を逆に入力しない

    日本人の場合、姓と名の順序を間違えないよう注意してください。

    Family Nameが姓、Given Nameが名です。

    パスポートに記載されているローマ字表記を確認し、正確に入力してください。

    また、結婚などによって過去に異なる氏名を使用していた場合は、その項目にも適切に回答します。

    生年月日の表示形式に注意

    オーストラリアの書類では、日付を日・月・年の順番で表示することがあります。

    例えば、1999年4月8日を08/04/1999と表示する形式です。

    日本で使う年月日の順序とは異なる場合があるため、画面上の指定された形式に従って入力してください。

    オーストラリアの住所の書き方

    郵送先住所には、通常、番地、道路名、サバーブ、州、郵便番号などを入力します。

    サバーブ(Suburb)は、都市の中の地区名に相当するものです。

    例えば、シドニー(Sydney)に滞在する場合でも、実際の宿泊先が市内のどのサバーブにあるのかによって、住所の記載が異なります。

    アパートやユニットに住む場合は、部屋番号と建物番号を区別して記載します。

    住所を誤るとTFNの通知書が届かない可能性があるため、宿泊先や賃貸契約書に記載された正式な住所を確認してください。

    住所が決まっていない場合はどうする?

    ワーキングホリデーでは、到着後すぐにシェアハウスが決まるとは限りません。

    最初はホステルやホテルに滞在しながら、仕事や住まいを探す方も多いと思います。

    しかし、TFNのオンライン申請では、通知書を受け取るためのオーストラリア国内の郵送先住所が必要です。

    ホステルやホテルの住所でも申請できる?

    宿泊施設が利用者宛ての郵便物を受け取り、保管してくれる場合は、その住所を郵送先として使用できることがあります。

    ただし、すべての宿泊施設が郵便物の受け取りに対応しているわけではありません。

    申請する前に、フロントなどで確認してください。

    また、TFNが届く前にチェックアウトする場合は、郵便物の保管や転送が可能かも確認する必要があります。

    知人宅の住所を使用してもよい?

    オーストラリアに知人や家族がいて、本人宛ての郵便物を確実に受け取れる場合は、郵送先として使用できることがあります。

    ただし、現在の居住地を入力する欄には、実際の状況を正確に記載する必要があります。

    郵送先住所と居住地住所は、必ずしも同じである必要はありません。

    申請直後に引っ越す予定の場合

    TFNの通知書は、申請時に登録されたオーストラリア国内の郵送先住所へ送られます。

    引っ越しの予定がある場合、通知書を受け取れなくなる可能性があります。

    郵便物を確実に受け取れる住所を使うか、必要に応じてATOへ住所の変更方法を確認してください。

    特に、最初の宿泊先に数日しか滞在しない方は注意が必要です。

    申請を急ぐことも大切ですが、それ以上に、TFNの通知書を確実に受け取れる郵送先を確保することが重要です。



    TFNが届くまで何日?28日を過ぎても来ない場合

    TFNのオンライン申請を行った後は、ATOによる処理を待ちます。

    ATOの公式案内では、TFNの通知書がオーストラリア国内の郵送先住所へ届くまで、最長28日程度かかる場合があるとされています。

    早く届くケースもありますが、必ず数日以内に受け取れるとは限りません。

    特に仕事を探している方は、申請から発行までの時間を見込んでおきましょう。

    TFNはメールで届く?

    外国パスポート保有者向けのIAR申請では、通常、TFNを記載した通知書がオーストラリア国内の郵送先住所へ送られます。

    申請時にメールアドレスを登録したからといって、正式な番号が必ずメールで送られてくるわけではありません。

    また、申請完了時のReceipt IDは、TFNとは別の番号です。

    雇用主へ提出する際には、正式なTFNを使用してください。

    28日を過ぎても通知書が届かない場合

    ATOは、申請から28日経過しても通知書が届かない場合、受付番号を用意して問い合わせるよう案内しています。

    問い合わせの際には、次の情報を手元に用意しておくとよいでしょう。

    • 申請時のATO Receipt ID
    • パスポート番号
    • 氏名・生年月日
    • 申請時に使用した郵送先住所
    • 申請日

    税務局の個人向け問い合わせ窓口は、オーストラリア国内から13 28 61です。

    電話の受付時間は変更されることがあるため、利用前に公式サイトで確認してください。

    通知が遅いので、もう一度申請してもよい?

    これは避けてください。

    ATOは、TFNを待っている間に重複申請をすると、かえって処理が遅れる可能性があると案内しています。

    番号が届かない場合は、同じ申請を繰り返すのではなく、受付番号を使って問い合わせましょう。

    公式情報:ATO:TFNの申請条件と受け取り方法

    TFNが届く前に仕事を始められる?

    オーストラリアへ到着してすぐに仕事が決まった場合、まだTFNの通知書が届いていないこともあるでしょう。

    そんなときに心配になるのが、TFNがなければ仕事を始められないのかという点です。

    結論からいうと、TFNがまだ届いていなくても、適切な就労可能ビザを持っていれば、仕事を始めることは可能です。

    TFNは税務上の番号であり、就労許可そのものではありません。

    ただし、給与の源泉徴収を適切に行うため、雇用主にはTFNの取得状況を知らせる必要があります。

    TFN申請中であることを雇用主に伝える

    仕事を始める際には、雇用主からタックス・ファイル・ナンバー・デクラレーション(Tax file number declaration)という税務申告の手続きを案内されることがあります。

    現在は電子的に手続きする職場もありますが、目的は同じです。

    TFNを申請済みで番号を待っている場合は、その旨を正しく申告します。

    この申告によって、通常、申請中であることを雇用主へ伝えた後、28日間はTFNの提出を待ってもらえる仕組みがあります。

    ただし、雇用主の給与処理や源泉徴収は、申告した内容と適用される税務規則に従って行われます。

    仕事が決まったら何を伝える?

    英語で説明する場合は、次のように伝えることができます。

    I have already applied for a Tax File Number, but I haven’t received it yet.

    「すでにTFNを申請していますが、まだ受け取っていません」という意味です。

    さらに、

    I’ll provide my TFN as soon as I receive it.

    「届き次第、TFNを提出します」と伝えればよいでしょう。

    TFNが届いたら、雇用主へ速やかに提出してください。

    申請前でも仕事を始められる?

    仕事を始めるために、TFNを事前取得することが法律上一律に義務付けられているわけではありません。

    ただし、TFNを申請していない場合と、すでに申請して番号を待っている場合では、税務上の取り扱いが異なります。

    高い源泉徴収税率が適用されることを避けるためにも、到着後早めに申請することをおすすめします。

    TFNがないと税金は高くなる?

    TFNを申請しておきたい理由のひとつが、給与から源泉徴収される税金です。

    オーストラリアのワーキングホリデー渡航者には、通常の居住者とは異なる給与源泉徴収の仕組みがあります。

    ワーキングホリデー渡航者を雇用する事業者としてATOへ登録している雇用主は、一般的に、年間A$45,000までの対象給与から15%の税金を源泉徴収します。

    ただし、この税率は、すべての状況で必ず適用されるという意味ではありません。

    雇用主の登録状況、TFNの申告状況、税務上の居住者判定、租税条約の適用などによって、税務上の取り扱いが異なる場合があります。

    TFNを提出していない場合

    TFNを提出しておらず、申請中であることや提出免除の条件も申告していない場合、雇用主は通常より高い税率で源泉徴収する必要があります。

    ATOの一般的な規則では、外国居住者に該当する従業員がTFNを提出していない場合、45%の源泉徴収が必要になることがあります。

    ただし、TFNをすでに申請し、所定の申告を行っている場合には、通常28日間の猶予があります。

    状況 一般的な取り扱い
    TFNを提出済み 適用される税務条件に従って源泉徴収
    TFN申請中と正しく申告 通常28日間の提出猶予
    TFN未提出・申請中の申告なし 高い税率での源泉徴収対象となる場合がある
    申請中の申告後28日を超えても未提出 高い税率での源泉徴収が必要となる場合がある

    源泉徴収された税金は戻ってくる?

    給与から必要以上に税金が差し引かれていた場合、年度終了後のタックスリターンによって精算されることがあります。

    ただし、必ず全額が返金されるわけではありません。

    年間の所得、源泉徴収額、税務上の居住者区分、租税条約などによって最終的な税額が決まります。

    また、雇用主が適切に源泉徴収していても、追加の税金が発生する場合もあります。

    TFNを取得し、雇用主へ正しく提出しておけば、給与の税務処理を適切に進めやすくなります。

    公式情報:ATO:TFN Declaration

    公式情報:ATO:給与源泉徴収の計算ツール



    TFNを雇用主へ提出する方法

    TFNの通知書が届いたら、次は雇用主へ番号を伝えます。

    通常、仕事を始めるときには、給与の支払いに必要な情報を提出するよう求められます。

    主なものは、次のような情報です。

    • 氏名、住所、生年月日
    • 銀行口座情報
    • TFN
    • 税務上の居住者区分などに関する申告
    • スーパーアニュエーションに関する情報

    TFNは、雇用主から案内された正式な給与・税務書類、または安全なオンラインシステムを通じて提出してください。

    仕事を変えるたびに提出する?

    はい。新しい雇用主に対しても、給与の税務処理に必要な情報を提出します。

    ただし、転職するたびに新しいTFNを取得する必要はありません。

    同じ番号を使用できます。

    また、雇用主からTFN Declarationの提出を求められた場合、前職の情報をそのまま使い回すのではなく、新しい雇用関係に応じて手続きを行ってください。

    雇用主がTFNを登録しているか確認する

    初回の給与が支払われたら、給与明細(Payslip)を確認しましょう。

    給与明細には、通常、税引前の給与、源泉徴収された税金、実際の支払額などが記載されています。

    TFNを提出したのに予想以上の税金が差し引かれている場合は、雇用主の給与担当者へ確認してください。

    なお、税額はTFNの提出だけで決まるものではなく、給与や雇用主の登録状況などによっても変わります。

    TFNとABNの違い

    オーストラリアの仕事探しでは、TFNのほかにABNという番号を求められることがあります。

    この2つは役割が異なります。

    ABNは、オーストラリアン・ビジネス・ナンバー(Australian Business Number)の略で、事業者を識別するための番号です。

    TFNは個人の税務番号、ABNは事業者の識別番号と考えると分かりやすいでしょう。

    項目 TFN ABN
    正式名称 Tax File Number Australian Business Number
    主な目的 個人の税務管理 事業者の識別
    一般的なアルバイト 通常使用する 通常不要
    個人事業主 税務申告などで使用 事業内容により必要
    番号の桁数 通常9桁 11桁

    レストランでアルバイトする場合は?

    レストランやホテルなどに従業員として雇用される場合は、通常、TFNを使用して給与の源泉徴収が行われます。

    このような一般的な雇用で、ABNを取得する必要はありません。

    ABNで働くよう求められた場合

    配達、清掃、建設関連など、一部の仕事では、個人事業主としてABNを使って働くケースがあります。

    ただし、雇用主が「ABNを取れば税金や退職年金を払わなくてよい」と考えて、実際には従業員に当たる人を個人事業主として扱うことは問題になります。

    これは偽装請負(Sham Contracting)と呼ばれる場合があります。

    ABNで働く場合は、給与所得者と異なり、自分で税金を管理する必要が生じることもあります。

    また、事業者としての責任や保険などについても確認が必要です。

    ワーキングホリデーの仕事探しでABNが必要と言われた場合は、本当に独立した事業者として働く契約なのか、事前に確認してください。

    参考:フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman):個人事業主と従業員の違い

    セカンドワーホリや転職でも同じTFNを使える?

    一度取得したTFNは、基本的に生涯使用する個人の税務番号です。

    したがって、オーストラリア国内で転職しても、新しいTFNを取得する必要はありません。

    また、シドニーからメルボルン(Melbourne)へ引っ越した場合も、同じ番号を使用します。

    セカンド・サードワーホリの場合

    初回ワーキングホリデーでTFNを取得し、その後セカンド・サードワーホリへ進む場合も、原則として同じTFNを使用します。

    新しいビザを取得するたびに、TFNを申請し直す必要はありません。

    いったん日本に帰国した場合

    例えば、初回ワーキングホリデーを終えて日本へ帰国し、翌年セカンドワーホリでオーストラリアへ戻る場合も、以前取得したTFNを使用します。

    日本へ帰国したからといって、TFNが自動的に失効するわけではありません。

    パスポートを更新した場合

    TFNは個人に割り当てられる番号なので、パスポートを更新しても新しいTFNが必要になるわけではありません。

    ただし、ATOに登録されている氏名や連絡先などが変わった場合には、必要に応じて登録情報を更新してください。

    ビザの種類が変わった場合

    ワーキングホリデーから学生ビザや別の就労ビザへ変更した場合も、TFNはそのまま使用できます。

    ただし、税務上の居住者区分や給与源泉徴収の取り扱いは、状況によって変わる場合があります。

    ビザの種類が変わったときには、必要に応じて雇用主へ新しい情報を伝えてください。

    TFNを忘れた・紛失した場合の確認方法

    以前オーストラリアで働いたことがある方の中には、TFNを取得したものの、番号を忘れてしまったという方もいるでしょう。

    その場合は、改めて別の番号を申請するのではなく、以前のTFNを確認します。

    過去の書類を確認する

    TFNが記載されている可能性のある書類には、次のようなものがあります。

    • ATOから届いたTFN通知書
    • 以前のタックスリターン関係書類
    • ATOの税務通知書
    • 税理士が作成した申告書類
    • 一部のスーパーアニュエーション関連書類

    給与明細などにはTFNの一部しか表示されていない場合や、番号が記載されていない場合もあります。

    マイガブ(myGov)で確認する

    オーストラリア政府のオンラインサービスであるマイガブに、ATOのサービスを連携している場合は、オンラインでTFNを確認できます。

    ATOのオンラインサービスにログインし、番号を確認する機能を利用してください。

    ATOへ問い合わせる

    オンラインで確認できない場合や、以前の書類が残っていない場合は、ATOへ問い合わせる方法があります。

    本人確認が必要になるため、パスポートなどの身分証明情報を用意しておきましょう。

    また、TFNを紛失した場合に、自分の判断で新しい申請を繰り返すことは避けてください。

    TFNは、転職や帰国、引っ越しによって新しい番号へ変わるものではありません。

    オーストラリア政府:TFNの取得と確認

    TFNの詐欺・個人情報保護に注意

    TFNは、税金に関する重要な個人情報です。

    申請や仕事探しの際には、番号を安易に第三者へ渡さないようにしましょう。

    TFNの取得は無料

    ATOの公式申請では、TFNの取得料金はかかりません。

    インターネット上にはTFNの申請を代行するサービスもありますが、政府の正式な申請料金が必要というわけではありません。

    自分で手続きできる方は、ATOの公式サイトから申請すれば十分です。

    仕事に応募する段階でTFNを要求されたら?

    TFNは、採用後に雇用主が給与の税務処理を行う際など、正当な必要がある場合に提出するものです。

    ATOは、採用される前の求人応募書類にTFNを記載しないよう案内しています。

    求人への応募段階でTFNを求められた場合は、その目的や提出先を確認してください。

    電話やSMSでTFNを聞かれた場合

    ATOや政府機関を名乗る電話、SMS、メールによる詐欺にも注意が必要です。

    例えば、「TFNに問題がある」「すぐに支払わなければ逮捕される」「リンクから個人情報を入力するように」といった連絡は、詐欺の可能性があります。

    不審な連絡を受けた場合は、メッセージ内のリンクや電話番号をそのまま使用せず、ATOの公式サイトから問い合わせ先を確認してください。

    TFNの写真をSNSなどへ公開しない

    TFNの通知書には重要な個人情報が含まれています。

    通知書をSNSへ投稿したり、知人とのグループチャットに画像を共有したりすることは避けましょう。

    また、雇用主へ提出する場合も、必要以上に多くの人が閲覧できる方法は避け、正式な提出方法を利用してください。

    公式情報:ATO:税務情報と個人情報の保護

    オーストラリアのTFN申請に関するよくある質問

    オーストラリアのTFNは日本から申請できますか?

    ワーキングホリデー渡航者が通常利用する外国パスポート保有者向けのIARオンライン申請は、オーストラリア入国後に行います。日本でワーキングホリデービザが許可されていても、入国前にこの方法で申請することはできません。
    TFNの申請料金はいくらですか?

    オーストラリア税務局の公式サイトから申請する場合、TFNの取得は無料です。ワーキングホリデー渡航者は通常、対象となる就労可能ビザを持っていれば、オーストラリア到着後にオンライン申請できます。
    TFNは申請してから何日で届きますか?

    ATOの案内では、オンライン申請後、TFNの通知書がオーストラリア国内の郵送先住所へ届くまで最長28日程度かかる場合があります。28日を過ぎても届かない場合は、ATO Receipt IDを用意して税務局へ問い合わせてください。
    TFNが届いていなくてもアルバイトを始められますか?

    はい。TFNがまだ届いていなくても、就労可能なビザを持っていれば仕事を始めることは可能です。TFNをすでに申請した場合は、雇用主へ申請中であることを正しく申告してください。通常、番号の提出まで28日間の猶予があります。
    TFNがないと給与から45%の税金が引かれますか?

    TFNを提出せず、申請中であることや免除の条件も申告していない場合、外国居住者に該当する従業員では45%の源泉徴収が必要になることがあります。ただし、TFNを申請中で所定の申告を行っている場合には、通常28日間の提出猶予があります。
    オーストラリアの住所が決まっていなくてもTFNを申請できますか?

    申請にはオーストラリア国内の郵送先住所が必要です。ホステルやホテルなどが郵便物を受け取ってくれる場合は、その住所を使用できることがあります。通知書が届くまで確実に受け取れるか、事前に確認してください。
    TFNの申請にはオーストラリアの銀行口座が必要ですか?

    通常、TFNのオンライン申請自体に銀行口座は必要ありません。就労可能なビザ、パスポート情報、オーストラリア国内の住所、連絡先などを準備して申請します。
    セカンドワーホリで再入国するとき、新しいTFNが必要ですか?

    いいえ。TFNは基本的に生涯使用する番号です。セカンド・サードワーホリで再入国する場合や、別の都市へ引っ越す場合、転職する場合も、以前取得した番号を使用できます。
    TFNを忘れてしまった場合はどうすればよいですか?

    以前のTFN通知書やタックスリターン関係書類を確認してください。マイガブにATOのオンラインサービスを連携している場合は、オンラインで確認できます。分からない場合はATOへ問い合わせてください。
    TFNとABNは何が違いますか?

    TFNは個人の税務番号、ABNは事業者を識別するための番号です。レストランやホテルなどに従業員として雇用される場合は通常TFNを使用し、ABNは必要ありません。個人事業主として働く場合は、事業内容に応じてABNが必要になることがあります。



    まとめ|TFNはワーホリ到着後、早めに無料申請しておこう

    オーストラリアでワーキングホリデーを始める方にとって、TFNは仕事や税金の手続きに欠かせない番号です。

    日本国籍者で、就労可能なワーキングホリデービザを持っている場合、通常はオーストラリア到着後にATOの公式サイトから無料で申請できます。

    申請に必要なのは、主にパスポート情報、個人情報、オーストラリア国内の住所、連絡先などです。

    正式なTFNが郵送されるまでには最長28日程度かかる場合があるため、仕事が決まってからではなく、到着後早めに手続きを進めるとよいでしょう。

    ただし、郵送先が決まっていない場合は、通知書を確実に受け取れる住所を確保してから申請してください。

    TFNが届く前に仕事が決まった場合も、就労可能なビザがあれば働くことは可能です。雇用主にはTFNを申請中であることを正しく伝え、番号が届き次第提出しましょう。

    また、TFNは一度取得すれば、転職、引っ越し、セカンド・サードワーホリなどでも引き続き使用できます。

    申請は無料なので、必要のない代行料金を支払う必要はありません。公式サイトを使用し、重要な個人情報であるTFNを安全に管理してください。

    オーストラリアへ到着したら、郵送先の確保、TFNの申請、銀行口座の開設を早めに進めておくと、仕事探しから給与の受け取りまでスムーズに準備できます。

    これからワーキングホリデーを始める方は、仕事が見つかる前の時間を使って、こうした基本的な手続きを済ませておきましょう。

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