オーストラリアの魚類図鑑|サメ・エイ・サンゴ礁の魚・淡水魚15種を解説

オーストラリアの海と川には、サメやエイ、色鮮やかなサンゴ礁の魚、海藻に姿を隠すシードラゴン、巨大な淡水魚まで、実に多様な魚類が暮らしています。

オーストラリア博物館がまとめた記録では、オーストラリアの水域から知られる魚類は4,400種を超えます。その大半は海水魚ですが、北部の熱帯河川、東部の沿岸河川、マレー・ダーリング川水系、砂漠の湧水などには、地域ごとに異なる淡水魚が生息しています。

グレートバリアリーフだけでも、硬骨魚類は約1,625種。クマノミ、ブダイ、ベラ、ハタ、チョウチョウウオなどが、サンゴ、海草、砂地、外洋を使い分けています。南部の冷温帯海域には、リーフィーシードラゴンやイースタン・ブルーグローパーのような、オーストラリアらしい固有種が見られます。

サメとエイも魚類です。骨の代わりに軟骨でできた骨格を持ち、世界最大の魚であるジンベエザメから、海底で休むポートジャクソンシャークまで、多様な種類がオーストラリア近海を利用しています。

この記事では、オーストラリアを代表する魚を海水魚・淡水魚・サメ・エイに分け、分布、見分け方、生態、食性、繁殖、保全上の課題まで詳しく紹介します。




オーストラリアの魚類とは?

魚類は、水中で生活し、通常はえらで呼吸する脊椎動物です。オーストラリアの魚類には、ヤツメウナギなどの無顎類、サメ・エイなどの軟骨魚類、そして大多数を占める硬骨魚類が含まれます。

オーストラリア博物館の資料では、在来魚は4,400種を超え、海水魚が圧倒的多数を占めます。熱帯域ではインド太平洋に広く分布する種類が多い一方、南部の温帯域ではオーストラリアだけに分布する固有種の割合が高くなります。

体長1センチに満たない小型魚から、全長10メートルを超えることがあるジンベエザメまで、大きさも生活様式もさまざまです。外洋を回遊する魚、サンゴ礁の狭い範囲で暮らす魚、海と川を行き来する魚、一生を内陸の川で過ごす魚がいます。

無顎類 ヤツメウナギ、ヌタウナギの仲間
軟骨魚類 サメ、エイ、ノコギリエイ、ギンザメ
海産硬骨魚類 クマノミ、ベラ、ブダイ、ハタ、アジ、シードラゴンなど
河口性魚類 バラマンディ、ボラ、ブリーム、マングローブジャックなど
淡水魚 マーレーコッド、ハイギョ、レインボーフィッシュなど
固有性が高い地域 オーストラリア南部の温帯海域、隔離された淡水水系

クジラとイルカは魚ではない

クジラ、イルカ、ジュゴン、アザラシは水中で暮らしますが、肺で呼吸し、子に授乳する哺乳類です。一方、サメとエイは軟骨でできた骨格を持つ魚類です。

魚類が多様になった理由

オーストラリアは、熱帯から亜寒帯に近い冷たい海まで南北に長く、サンゴ礁、マングローブ、海草藻場、岩礁、砂浜、深海、河口、淡水河川と、多様な水域を持っています。

北部の魚類相は東南アジアやインド太平洋の熱帯魚とつながりが深く、南部には長く隔離された温帯性の固有種が多く見られます。淡水魚は海を越えて移動できないため、水系ごとに独自の進化が進みました。

グレートバリアリーフでは、約1,625種の硬骨魚類と133種のサメ・エイが記録されています。小さな共生魚から大型捕食魚までが複雑な食物網をつくり、サンゴ礁の健康を支えています。

サンゴ礁の立体構造

枝状サンゴの隙間、岩穴、砂地、崖、外洋側の斜面など、わずかな環境の違いが魚の隠れ場所と餌場を増やします。これが熱帯魚の高い多様性につながっています。

南部海域の隔離

グレートオーストラリア湾やタスマニア周辺は、暖流と寒流の境界にあり、海藻林や岩礁に適応した魚が進化しました。シードラゴンやブルーグローパーは、その代表です。

地域別の分布と生息環境

熱帯のサンゴ礁

グレートバリアリーフ、コーラルシー、ニンガルーリーフ、北西部のサンゴ礁には、クマノミ、チョウチョウウオ、ブダイ、ベラ、ハタ、フエダイ、サメ、エイが生息します。

同じ種類でも、幼魚はマングローブや海草藻場、成魚は沖合のサンゴ礁を利用することがあります。

南部の温帯海域

ニューサウスウェールズ州南部、ビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州南部では、ケルプの森、海綿、海草、岩礁が魚の生息場所になります。

リーフィーシードラゴン、ウィーディーシードラゴン、ブルーグローパー、オールドワイフ、レザージャケットなど、熱帯のサンゴ礁とは異なる魚類相が見られます。

河口・マングローブ

海水と淡水が混じる河口は、稚魚の成育場です。バラマンディ、ブリーム、ボラ、フラットヘッド、マングローブジャックなどが、塩分の変化に対応しながら利用します。

河川・湖沼・砂漠の水場

マレー・ダーリング川水系にはマーレーコッドやゴールデンパーチ、クイーンズランド州南東部にはオーストラリアハイギョ、北部にはレインボーフィッシュやアーチャーフィッシュが生息します。

乾燥地の湧水や一時的な川にも、デザートゴビーなど、塩分と高水温に適応した小型魚が暮らしています。

オーストラリアのサメとエイ

サメとエイは、骨格の大部分が軟骨でできた魚です。オーストラリアの海には、小型のネコザメ類からジンベエザメ、深海性のサメ、マンタ、ノコギリエイまで、多くの種類が生息します。

すべてが人に危険なわけではありません。多くは小魚、甲殻類、軟体動物、プランクトンを食べ、人を避けます。海洋生態系では、捕食者、死肉を食べる動物、濾過摂食者として重要な役割を担っています。

グループ 代表種 主な食性
濾過摂食するサメ ジンベエザメ プランクトン、小魚、魚卵
大型捕食性サメ ホホジロザメ、イタチザメ 魚、エイ、海獣など
底生性サメ シロワニ、ポートジャクソンシャーク 魚、甲殻類、軟体動物
大型エイ リーフマンタ、オニイトマキエイ プランクトン
ノコギリエイ グリーンソーフィッシュなど 魚、甲殻類

1.ジンベエザメ

ジンベエザメ(Rhincodon typusは世界最大の魚です。青灰色の体に白い斑点と横線が並び、個体ごとに模様が異なります。

大きな口を開けて泳ぎ、海水からプランクトン、小魚、魚卵などを濾し取って食べます。巨体ですが、人を獲物とするサメではありません。

オーストラリアでの分布

最も有名な観察地は西オーストラリア州のニンガルーリーフです。サンゴの一斉産卵や季節的なプランクトン増加に合わせ、主に秋から冬に個体が集まります。

観察時の注意

泳いでいる個体へ触れたり、進路をふさいだり、正面から近づいたりしてはいけません。認可ツアーでは、人数、距離、入水方法が定められています。

斑点模様で個体を識別

体側の白い斑点は個体ごとに配置が異なります。研究では写真から個体を識別し、同じ個体が戻る時期や移動経路を調べています。



2.ホホジロザメ

ホホジロザメ(Carcharodon carchariasは、灰色から青銅色の背と白い腹を持つ大型の回遊魚です。英語ではWhite SharkまたはGreat White Sharkと呼ばれます。

魚、エイ、ほかのサメ、成長するとアザラシなどの海獣も捕食します。嗅覚だけでなく、水中の振動や微弱な電気を感知して獲物を探します。

分布

オーストラリア南部の温帯海域を広く移動し、南オーストラリア州のネプチューン諸島、ニューサウスウェールズ州沖、西オーストラリア州南部などで記録されます。

実際には珍しい魚

オーストラリアを代表するサメとして知られますが、沿岸で日常的に見られる魚ではありません。個体数、生息域、繁殖の遅さから保護対象となっています。

3.シロワニ

シロワニ(Carcharias taurusは、口を閉じても細長い歯が見えるため恐ろしい印象を与えますが、通常はゆっくり泳ぎ、人へ積極的に近づくサメではありません。

岩礁、洞窟、砂地の縁に集まり、小魚、タコ、エイなどを食べます。空気を飲み込んで胃にため、水中で浮力を調整する行動でも知られます。

東海岸個体群

ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州南部の特定の岩礁には、繰り返し利用される重要な集合地があります。繁殖速度が遅く、東海岸個体群は厳重に保護されています。

ダイビングでの観察

一定の距離を保ち、洞窟や通り道をふさがず、追いかけないことが大切です。釣り針や漁具への絡まりも大きな脅威となります。

4.マンタ・エイ・ノコギリエイ

エイは扁平な体と大きな胸びれを持ち、海底を利用する種類と、水中を羽ばたくように泳ぐ種類がいます。

マンタ

リーフマンタとオニイトマキエイは、頭の前にある頭鰭を使ってプランクトンを口へ導きます。尾に毒針はなく、人を刺すエイではありません。

アカエイ類

砂地へ潜って休み、尾に防御用の棘を持つ種類があります。浅瀬では足を大きく上げず、砂をすべらせるように歩くと、エイが先に逃げやすくなります。

ノコギリエイ

頭の前に長い吻を持ち、左右に歯のような突起が並びます。吻を振って小魚を捕らえ、河口や淡水域にも入ります。混獲、生息地の変化、繁殖の遅さによって、多くの種類が深刻な減少に直面しています。

グレートバリアリーフの魚

グレートバリアリーフには、約1,625種の硬骨魚類が記録されています。色鮮やかな魚だけでなく、夜行性の捕食魚、砂に潜る魚、サンゴの粘液や藻類を食べる魚もいます。

魚はサンゴ礁で、藻類を食べる、砂を生み出す、寄生虫を除去する、捕食によってほかの魚の数を調整するなど、それぞれ異なる役割を担います。

掃除魚との共生

ホンソメワケベラなどの掃除魚は、大型魚の皮膚や口から寄生虫を食べます。捕食魚も掃除場所では攻撃を控えるため、異なる種類の魚が順番を待つ様子が見られます。

幼魚と成魚で姿が変わる

ベラ、ブダイ、ハタの仲間には、成長や性転換に伴って色と模様が大きく変わる種類があります。同じ魚とは思えないほど外見が違う場合もあります。

5.カクレクマノミの仲間

クマノミ類は、毒のある触手を持つイソギンチャクと共生するスズメダイの仲間です。グレートバリアリーフには約11種が見られます。

イソギンチャクは大型魚から身を守る場所となり、クマノミは餌のかけらを運ぶ、触手の間を泳いで水流をつくる、寄生物を取り除くなどの役割を果たします。

東西で異なる種類

グレートバリアリーフで見られるイースタン・クラウン・アネモネフィッシュと、西オーストラリア州・ノーザンテリトリーに分布するウェスタン・クラウン・アネモネフィッシュは、よく似ていますが別種です。

群れで最大の個体が雌

クマノミは雄として成熟し、群れで最も大きな個体が雌になります。雌がいなくなると、最大の雄が性転換して繁殖を引き継ぎます。

6.メガネモチノウオ

メガネモチノウオ(Cheilinus undulatusは、英語でHumphead Maori WrasseまたはNapoleon Wrasseと呼ばれる大型のベラです。

成魚は額が盛り上がり、厚い唇と、顔に走る青緑色の模様を持ちます。軟体動物、甲殻類、ウニ、魚などを強い顎で食べます。

性転換する大型魚

多くは雌として成熟し、一部が成長後に雄へ性転換します。大型個体が減ると繁殖構造が崩れやすく、乱獲の影響を受けやすい魚です。

ダイバーに近づくこともある

好奇心の強い個体がダイバーへ近づくことがありますが、餌付け、接触、進路をふさぐ行為は避けます。

7.カンムリブダイ

カンムリブダイ(Bolbometopon muricatumは、頭部が大きく盛り上がる世界最大級のブダイです。群れで移動し、夜は決まった場所で休むことがあります。

くちばし状の歯でサンゴや岩の表面を削り、藻類やサンゴ組織を食べます。砕いた石灰質は消化管を通って細かい砂となり、サンゴ礁の砂の形成に関わります。

繁殖と成長

大型で成長が遅く、繁殖のために集まる性質があります。夜間の休息場所や群れが漁獲されると、個体群が急速に減少します。

オーストラリアは重要な生息地

インド太平洋の多くの地域で減少しており、グレートバリアリーフや西オーストラリア州北部は、まとまった個体群が残る重要な地域です。

8.コーラルトラウトとポテトコッド

コモン・コーラルトラウト

コモン・コーラルトラウト(Plectropomus leopardusは、赤から緑褐色の体に青い小斑点を持つハタの仲間です。全長75センチほどになり、小魚を素早く追って捕食します。

サンゴ礁の主要な捕食魚であると同時に、クイーンズランド州の重要な水産資源です。漁獲枠、体長制限、禁漁区などで管理されています。

ポテトコッド

ポテトコッドは、淡色の体に大きな黒褐色の斑点を持つ大型のハタです。リボンリーフのコッドホールなどで知られ、ダイバーへ近づく個体もいます。

大型魚への餌付けは自然な行動を変え、船や人へ近づく習慣をつくるため、行わないでください。

ハタ類は岩陰から獲物を狙う

コーラルトラウトとポテトコッドは、サンゴや岩の陰を利用して獲物へ近づく捕食魚です。体色を周囲や行動に合わせて変化させる種類もいます。

南部の温帯魚

オーストラリア南部の海は、熱帯のサンゴ礁とは異なり、ケルプ、海草、岩礁、海綿動物が立体的な生息環境をつくります。

この地域では固有種の割合が高く、シードラゴン、ブルーグローパー、オールドワイフ、ボックスフィッシュ、レザージャケットなど、独特な体形と色を持つ魚が見られます。

環境 代表的な魚 主な地域
ケルプの森 ブルーグローパー、レザージャケット NSW南部、VIC、TAS
海草藻場 シードラゴン、パイプフィッシュ VIC、SA、WA南部
沿岸の回遊域 オーストラリアンサーモン、スナッパー 南東部・南西部
岩礁 オールドワイフ、モーウォン、ラス類 南部温帯海域




9.リーフィーシードラゴンとウィーディーシードラゴン

シードラゴンはタツノオトシゴやヨウジウオに近い魚です。細長い口で小型甲殻類を吸い込み、透明なひれを細かく動かしてゆっくり泳ぎます。

リーフィーシードラゴン

リーフィーシードラゴン(Phycodurus equesは、葉のような突起を全身に持ち、海藻に紛れます。南オーストラリア州と西オーストラリア州南部の海に分布します。

ウィーディーシードラゴン

オーストラリアでの標準名はCommon Seadragon。赤褐色の体、青い線、黄色い斑点があり、ニューサウスウェールズ州からタスマニア州、ビクトリア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州南部に分布します。

雄が卵を運ぶ

雌が雄の尾の下面へ卵を付着させ、雄が孵化まで保護します。タツノオトシゴのような完全な育児嚢ではなく、尾の表面に卵を保持します。

葉状突起は推進器ではない

体から伸びる葉のような突起は、海藻に似せるためのものです。前進には背びれと胸びれを使い、海藻が揺れるように体を動かします。

10.イースタン・ブルーグローパー

イースタン・ブルーグローパー(Achoerodus viridisは、クイーンズランド州南部からビクトリア州東部に分布するオーストラリア固有のベラです。

幼魚は褐色、成魚の雌は赤褐色、大型の雄は鮮やかな青色になります。厚い唇と丈夫な歯で、ウニ、カニ、貝などを食べます。

実はハタではなくベラ

英名にGroperとありますが、ハタ科ではなくベラ科の魚です。ニューサウスウェールズ州の魚類エンブレムにも選ばれています。

性転換

雌として成熟し、群れの大型雄がいなくなると、一部の雌が雄へ性転換します。大型魚の保護は、群れの繁殖を維持するうえで重要です。

11.オーストラリアンサーモンとスナッパー

オーストラリアンサーモン

オーストラリアンサーモンはサケ科ではなく、オーストラリアンサーモン科の海水魚です。南部の沿岸を大きな群れで回遊し、イワシ類や小魚を追います。

東部のEastern Australian Salmonと西部のWestern Australian Salmonがあり、釣りや沿岸の食物網で重要な魚です。

スナッパー

オーストラリアでSnapperと呼ばれるChrysophrys auratusは、赤みを帯びた体と青い斑点を持ちます。幼魚は湾や河口、成魚は岩礁や沖合を利用します。

成長が比較的遅く、地域によって漁獲圧が高いため、州ごとに体長制限、漁獲数、禁漁期が設定されています。

オーストラリアの淡水魚

オーストラリアの在来淡水魚は、海水魚より種類数は少ないものの、水系ごとの固有性が高く、独特の進化を遂げています。

降雨量が不安定な大陸で生きるため、高水温、低酸素、塩分変化、川の断流に耐える種類もいます。一方、ダム、取水、河川改修、外来魚、病気によって減少した魚も少なくありません。

海と川を行き来する魚

バラマンディやオーストラリアンバスは、生活史の一部で河口や海を利用します。堰やダムは移動経路を遮るため、魚道の設置が重要になります。

完全な淡水魚

マーレーコッド、ハイギョ、多くのレインボーフィッシュは、一生を淡水で過ごします。倒木、深い淵、水草、湧水などが産卵と隠れ場所になります。

12.バラマンディ

バラマンディ(Lates calcariferは、オーストラリア北部を代表する大型魚です。河川、湿地、河口、沿岸の海を利用し、魚や甲殻類を捕食します。

大きな口、銀色の体、盛り上がった背中が特徴で、重要な商業魚・遊漁対象魚でもあります。

繁殖

雨季の河口や沿岸域で産卵し、幼魚はマングローブや湿地を成育場として利用します。多くの個体は雄として成熟し、大型になると雌へ性転換します。

ダム湖のバラマンディ

海へ移動できないダム湖にも放流されています。大きく成長しますが、自然な繁殖には塩分を含む河口環境が必要なため、多くのダムでは放流で個体数を維持します。

塩分変化に強い魚

えらと体内の塩分調整を切り替えられるため、淡水から海水まで幅広い環境を利用できます。この能力が、雨季に大きく変化する北部の河川での生活を可能にしています。

13.マーレーコッド

マーレーコッド(Maccullochella peeliiは、オーストラリア最大の淡水魚です。マレー・ダーリング川水系に固有で、大型個体は全長1メートルを大きく超えます。

緑褐色の体に迷路状の模様があり、深い淵、倒木、岩、えぐれた岸辺など、流れを避けられる場所を利用します。

食性

魚、ザリガニ、カエルなどを待ち伏せして食べます。大型魚ですが、常に広く泳ぎ回るのではなく、倒木周辺に定着する個体もいます。

減少の原因

過去の乱獲、ダムと堰、倒木の除去、水質悪化、低酸素を伴う魚の大量死、外来魚などが影響してきました。放流、魚道、流量管理、生息地修復が進められています。

14.オーストラリアハイギョ

オーストラリアハイギョ(Neoceratodus forsteriは、クイーンズランド州南東部のメアリー川とバーネット川水系を中心に自然分布する古い系統の魚です。

えらに加えて1つの肺を持ち、水中の酸素が少ない時には水面で空気を吸います。ただし、アフリカの一部のハイギョのように泥の繭をつくって長期間の乾燥を越すことはできません。

丈夫な歯板

口には板状の歯があり、貝、甲殻類、昆虫、植物質などを砕いて食べます。成長が遅く、非常に長寿な魚です。

繁殖と保全

水草のある浅い場所へ卵を産みます。ダム、流量変化、水草の減少、卵と幼魚の生息地不足が問題となり、2026年には国の回復計画が公表されました。



15.レインボーフィッシュと砂漠の小魚

レインボーフィッシュ

レインボーフィッシュは、オーストラリア北部・東部とニューギニアに多様な種類が分布する小型淡水魚です。雄は繁殖期や順位争いの際に、赤、青、黄、緑などの色が鮮やかになります。

バンデッド・レインボーフィッシュは、ケープヨーク半島からノーザンテリトリー北部の川や水場に分布し、地域ごとに異なる色彩を持ちます。

デザートゴビー

南オーストラリア州内陸部の湧水、塩分を含む水路、一時的な水場に生息します。高温、低酸素、塩分変化に耐え、短い生活環の中で繁殖します。

レッドフィン・ブルーアイ

クイーンズランド州西部の限られた湧水だけに生息する極めて希少な小型魚です。外来魚のモスキートフィッシュ、生息地の変化、湧水環境の小ささが大きな脅威となっています。

魚類との共存・観察・保全

魚類は、藻類を食べる、サンゴ礁の砂をつくる、プランクトンを大型動物へつなぐ、ほかの動物を捕食するなど、水中生態系の基盤を支えています。

触らず、追わず、餌を与えない

シュノーケリングやダイビングでは、魚を追い込まず、サンゴや海底へ立たず、自然に近づいてくるのを待ちます。餌付けは魚の行動、食性、捕食関係を変える可能性があります。

釣り規則を確認する

最低体長、漁獲数、禁漁期、保護区域、使用できる道具は州・準州と魚種によって異なります。過去の情報ではなく、釣行当日の公式規則を確認してください。

外来魚を放さない

観賞魚、釣り餌、飼育魚を川や池へ放すと、在来魚の捕食、競争、病気の拡散につながります。不要になった魚は、自治体や専門店へ相談します。

主な脅威

海水温上昇、サンゴ白化、海草藻場の減少、河川の分断、取水、水質悪化、乱獲、混獲、プラスチック、外来魚が、地域と魚種によって異なる影響を与えています。

市民観察の役割

写真と位置情報を登録する市民科学は、魚の分布変化や希少種の確認に役立ちます。ただし、希少種の正確な場所を公開すると採集を招く場合があるため、投稿先の規則に従います。

魚を写真のために追い詰めない

魚が逃げる方向をふさぐ、巣穴へ手を入れる、サメやエイへ触る、シードラゴンを海藻から離す行為は避けてください。観察者が動かず待つ方が、自然な行動を長く見られます。



オーストラリアの魚類に関するよくある質問(FAQ)

オーストラリアには何種類くらいの魚がいますか?

オーストラリア博物館の資料では、オーストラリアの水域から4,400種を超える魚類が知られています。新種や分類変更により数字は更新されます。

サメとエイは魚ですか?

はい。骨格が軟骨でできた軟骨魚類です。硬骨魚とは骨格、鰓孔、浮力調整などに違いがあります。

オーストラリア最大の魚は何ですか?

世界最大の魚でもあるジンベエザメです。西オーストラリア州のニンガルーリーフは代表的な季節観察地です。

グレートバリアリーフには何種類の魚がいますか?

リーフ当局は、約1,625種の硬骨魚類と133種のサメ・エイが見られるとしています。

カクレクマノミはグレートバリアリーフにいますか?

グレートバリアリーフにはイースタン・クラウン・アネモネフィッシュが分布します。よく似たウェスタン・クラウン・アネモネフィッシュは北西部に分布します。

シードラゴンはタツノオトシゴの仲間ですか?

はい。ヨウジウオ科に属し、タツノオトシゴに近い魚です。雄が尾に卵を付けて孵化まで保護します。

バラマンディは海水魚ですか、淡水魚ですか?

淡水、河口、沿岸の海を行き来できる魚です。成長は川や湿地で行い、繁殖には河口・沿岸域を利用します。

オーストラリア最大の淡水魚は何ですか?

マーレーコッドです。マレー・ダーリング川水系の固有種で、大型個体は全長1メートルを超えます。

オーストラリアハイギョは陸上で夏眠できますか?

アフリカの一部のハイギョのように、泥の中で長期間の乾燥を越すことはできません。水中の酸素が少ない時に肺で空気を吸います。

マンタには毒針がありますか?

マンタの尾にはアカエイ類のような毒針はありません。プランクトンを食べる魚ですが、追いかけたり触ったりせず、自然に接近するのを待ちます。

野生の魚へ餌を与えてもよいですか?

原則として避けてください。餌付けは行動、食性、病気の伝播、捕食関係を変える可能性があります。認可された管理プログラムでは施設の指示に従います。

オーストラリアの魚類に関する参考情報

まとめ:熱帯のサンゴ礁から内陸河川まで広がる魚の世界

オーストラリアには、世界最大の魚であるジンベエザメ、南部海域を回遊するホホジロザメ、サンゴ礁のクマノミやブダイ、海藻に擬態するシードラゴン、巨大なマーレーコッド、肺で空気を吸えるオーストラリアハイギョまで、多様な魚類が生息しています。

北部の熱帯海域ではインド太平洋に広く分布する魚が多く、南部の温帯海域と隔離された淡水水系では、オーストラリア固有種の割合が高くなります。

魚は景観を彩るだけでなく、藻類の増加を抑える、サンゴ礁の砂をつくる、プランクトンから大型動物へエネルギーを運ぶなど、生態系を維持する役割を担っています。

一方で、海水温上昇、生息地の消失、河川の分断、過剰な漁獲、混獲、外来魚、海洋ごみなどが、多くの魚へ影響しています。

魚を観察する時は、触らず、追わず、餌を与えず、自然な行動を妨げないことが基本です。魚の名前だけでなく、その魚が暮らす環境と生態系での役割にも目を向けると、オーストラリアの水中世界をより深く理解できます。

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