オーストラリアの年金制度を分かりやすく解説|Age Pension、Superannuation、日本との違い

オーストラリアの年金を調べると、Age PensionとSuperannuationという二つの言葉が出てきます。どちらも老後の生活を支える仕組みですが、性格はまったく異なります。

Age Pensionは、一定の年齢、居住歴、所得・資産条件を満たす人へ政府が支給する公的な生活保障です。働いている間に保険料を積み立て、その金額に応じて受け取る日本の老齢年金とは違い、税金を財源とする所得・資産調査付きの給付です。

Superannuation、通称Superは、雇用主や本人が退職後のために積み立てる資産です。雇用主は原則として給与とは別に、対象となる賃金の12%を従業員のSuper口座へ拠出します。残高は運用され、将来は一括金や定期収入として利用します。

つまり、オーストラリア人の老後は「政府から受け取るAge Pension」だけで成り立つのではありません。Super、預貯金、投資、不動産、仕事による収入を組み合わせ、条件を満たす人がAge Pensionを補助的または中心的な収入として受け取ります。

日本人にとって重要なのが、2009年1月1日に発効した日・オーストラリア社会保障協定です。日本とオーストラリアの年金期間を一定の条件で通算し、受給資格を満たしやすくするほか、企業から一時的に派遣される人の二重加入を防ぎます。

ただし、加入期間を通算しても、日本とオーストラリアの年金が一つに合算されるわけではありません。日本は日本の制度に基づく金額、オーストラリアはオーストラリアの制度に基づく金額を、それぞれ支給します。

この記事では、日本人とオーストラリア在住日本人に向けて、Age Pension、Superannuation、受給年齢、支給額、所得・資産調査、日本との比較、日豪社会保障協定、帰国後の手続き、DASP、税金まで詳しく解説します。




オーストラリアの年金制度とは?

オーストラリアで働けば、将来は勤務年数に応じて国から年金をもらえますか?

勤務年数に応じて積み立つのはSuperです。政府のAge Pensionは、年齢、居住歴、所得、資産を基に支給されます。

日本では、国民年金と厚生年金を中心とした公的年金が老後の収入の土台になります。

オーストラリアでは、政府のAge Pensionと、個人名義で積み立てるSuperannuationが老後資金の中心です。

制度 仕組み 金額を決める主な要素
Age Pension 税金を財源とする政府の生活保障 年齢、居住歴、所得、資産、配偶者。
Superannuation 雇用主と本人が個人口座へ積み立てて運用 給与、拠出期間、追加拠出、運用成績、手数料。
個人資産 預貯金、株式、不動産、個人年金など 本人の貯蓄、投資、住宅保有。

Age Pensionは、保険料の納付記録に応じて受給額が増える年金ではありません。長年オーストラリアで働いていても、所得や資産が多ければ支給されないことがあります。

反対に、Superの残高が少なく、所得と資産が基準内であれば、最大額または一部のAge Pensionを受け取れる可能性があります。

オーストラリア政府は、Age Pensionだけで老後のすべてを保障するのではなく、強制的なSuper積立と本人の資産形成を組み合わせる考え方を取っています。



老後を支える3つの柱

Age Pension

Age Pensionは、67歳以上で、居住要件、所得調査、資産調査を満たす人に支給されるCentrelinkの給付です。

受給者全員が同じ金額を受け取るわけではありません。単身か夫婦か、収入、金融資産、Super、不動産、海外年金などによって支給額が変わります。

Age Pensionには、基本額にPension SupplementとEnergy Supplementが加わります。条件を満たす受給者にはPensioner Concession Cardも発行され、医療費や公共料金などの負担軽減につながる場合があります。

Superannuation

Superannuationは、本人名義の退職資金口座です。雇用主の強制拠出、本人の追加拠出、投資収益が口座内で積み上がります。

Super Fundは、株式、債券、不動産、現金などへ資金を分散投資します。残高は市場の動きによって増減し、手数料と保険料も差し引かれます。

日本の厚生年金のように、現役世代の保険料を現在の受給者へ回す賦課方式ではなく、原則として自分の口座に積み立てる方式です。

預貯金、投資、持ち家

Age PensionとSuper以外に、銀行預金、株式、投資信託、賃貸不動産、個人年金、仕事の収入などを老後資金として使います。

オーストラリアでは持ち家が老後の生活安定に大きく影響します。Age Pensionの資産調査では、原則として本人が住む主たる住宅は除外されますが、預貯金、株式、投資物件、車、家財、海外資産などは評価対象となります。

そのため、同じ純資産額でも、持ち家の人と賃貸住宅の人ではAge Pensionの資産基準が異なります。

「公的年金」と「自分の退職資金」を分けて考える

Age Pensionは政府給付、Superは本人の資産です。受給開始年齢、資格、税金、海外移住時の扱いも異なります。




Age Pensionの仕組み

受給年齢

Age Pensionの受給年齢は、現在67歳です。

67歳になれば自動的に支給されるわけではありません。本人が申請し、居住要件、所得調査、資産調査を満たす必要があります。

申請は原則として受給年齢に達する13週間前から準備できます。

居住要件

通常のルールでは、申請日にオーストラリアに居住し、国内に滞在しているオーストラリア居住者である必要があります。

さらに、一般的にはオーストラリア居住期間が合計10年以上あり、そのうち少なくとも5年間は連続していなければなりません。

オーストラリア国民であっても、海外生活が長く居住要件を満たさなければ、通常ルールでは受給できない場合があります。

日本との社会保障協定を利用する場合は例外があり、日本の年金加入期間を一定条件で通算できます。

所得調査

Age Pensionでは、本人と配偶者の収入を確認します。給与、事業所得、賃貸収入、海外年金などに加え、預貯金や投資資産についてはDeemingという計算上の利率を使って収入を算定します。

2026年7月1日時点では、所得が一定額を超えると年金が減額され、単身者は2週間あたり2,627.80豪ドル、同居する夫婦は合計4,016.80豪ドルを超えると、通常の基準では支給額が0になる目安です。

Work Bonus、家賃補助、海外居住、旧制度からの移行者などによって基準は変わります。

資産調査

資産調査では、本人と配偶者がオーストラリア国内外に保有する資産を確認します。

2026年7月1日時点で、最大額のAge Pensionを受け取れる資産基準は、持ち家の単身者が333,000豪ドル、持ち家の夫婦が合計499,000豪ドルです。持ち家でない場合は、単身600,000豪ドル、夫婦合計766,000豪ドルです。

一部年金を受け取れる上限の目安は、持ち家の単身者733,500豪ドル、持ち家の夫婦合計1,102,500豪ドルです。持ち家でない場合は、単身1,000,500豪ドル、夫婦合計1,369,500豪ドルです。

主たる自宅は原則として資産調査から除外されますが、土地の広さ、退去後の期間、リバースモーゲージ、介護施設入居などで扱いが変わることがあります。

支給額の目安

2026年3月20日から9月19日までの最大支給額は、次の通りです。

受給者 2週間あたり 年間換算の目安
単身 1,200.90豪ドル 約31,223豪ドル
夫婦・1人あたり 905.20豪ドル 約23,535豪ドル
夫婦・合計 1,810.40豪ドル 約47,070豪ドル

上記はMaximum Basic Rate、Pension Supplement、Energy Supplementを含む国内向けの最大額です。所得・資産調査により減額されるほか、海外へ長期滞在または移住するとSupplementや支給額が変わる場合があります。

Age Pensionの支給額と基準は毎年3月、7月、9月などに改定されます。申請時にはServices Australiaの最新額を確認してください。



Superannuationの仕組み

短期間だけオーストラリアで働く日本人にも、Superは支払われますか?

対象となる従業員であれば、国籍や滞在期間に関係なく、雇用主は原則としてSuperを拠出します。

雇用主のSuper Guarantee

Super Guarantee、略してSGは、雇用主が対象従業員のSuper口座へ拠出する義務的な退職年金です。

2025年7月1日以降のSG率は、Ordinary Time Earningsの12%です。

雇用契約に「給与にSuperを含む」と書かれている場合と、「給与に加えてSuperを支払う」場合があります。求人票や雇用契約のTotal Packageを確認してください。

給与明細にSuperの金額が記載されていても、実際にSuper Fundへ入金されているとは限りません。myGovにATOを連携し、定期的に残高と入金を確認します。

Super Fundの選び方

多くの従業員は、自分でSuper Fundを選べます。選択しない場合は、既存のStapled Super Fundまたは雇用主のDefault Fundが使われます。

Super Fundを比較する時は、過去1年だけの運用成績ではなく、長期運用、管理手数料、投資選択、保険、オンラインサービス、退職後の商品を確認します。

ATOのYourSuper comparison toolでは、MySuper商品の手数料と運用実績を比較できます。

本人による追加拠出

雇用主の拠出に加えて、Salary Sacrificeや個人拠出によってSuperを増やせます。

税引前拠出であるConcessional Contributionsの年間上限は、2024年7月1日以降30,000豪ドルです。雇用主のSG、Salary Sacrifice、税控除を申請する個人拠出がこの上限に含まれます。

税引後資金から拠出するNon-concessional Contributionsの一般的な年間上限は120,000豪ドルです。Super残高や年齢によって、拠出できる金額やBring-forwardの利用条件が異なります。

上限を超えると追加税や手続きが必要になります。大きな金額を拠出する前に、ATOの記録とTotal Super Balanceを確認してください。

手数料と保険

Super口座からは、管理手数料、投資手数料、取引費用などが差し引かれます。

多くのSuper Fundには、死亡保障、Total and Permanent Disability、Income Protectionなどの保険が付帯します。

海外へ移住した後も保険料が引かれ続ける、残高が少ないため保険が失効する、職業区分が合っていないといった問題があります。補償内容と保険料を定期的に見直してください。

複数口座とLost Super

転職のたびに別のSuper Fundへ加入すると、複数の口座から手数料と保険料が引かれます。

myGovのATOオンラインサービスでは、本人名義のSuper口座とATOが保管するLost Superを確認できます。

口座を統合する前に、既存保険の消滅、Defined Benefit、手数料、投資商品の売却などを確認してください。




Superを受け取れる時期と方法

Preservation Age

Preservation Ageは、一定の条件を満たした時にSuperへアクセスできる年齢です。

1964年7月1日以降に生まれた人のPreservation Ageは60歳です。それ以前に生まれた人は、生年月日により55歳から59歳となります。

Preservation Ageに達しただけで、Superを全額自由に引き出せるとは限りません。退職、雇用関係の終了、65歳到達などのCondition of Releaseを満たす必要があります。

受給条件

一般的には、次のような時にSuperへアクセスできます。

  • 60歳以上で退職した場合
  • 60歳以上で雇用関係が終了した場合
  • 65歳になった場合
  • Transition to Retirementを利用する場合
  • 重い病気、永久的障害、死亡、厳しい経済的困難など特別条件を満たす場合

65歳になれば、仕事を続けていても通常Superへアクセスできます。

住宅購入、一般的な借金返済、生活費不足を理由に、自由に早期引き出しできるわけではありません。不正なEarly Accessを勧める業者に注意してください。

一括金とAccount-based Pension

条件を満たした後は、Superを一括金で受け取る、Account-based Pensionへ移して定期収入を受け取る、両方を組み合わせる方法があります。

一括で引き出すと、住宅ローン返済や大きな支出に使えますが、その後の生活費と運用資金が減ります。

Account-based Pensionでは、資金を運用しながら毎年一定額以上を受け取ります。退職段階へ移せる金額にはTransfer Balance Capがあり、2025年7月1日以降の一般上限は200万豪ドルです。

Transition to Retirement

60歳以上で働き続ける人は、Transition to Retirement Income Stream、略してTTRを利用できる場合があります。

Superの一部を定期収入として受け取り、勤務時間を減らした分を補う方法や、Salary Sacrificeと組み合わせて退職資金を増やす方法があります。

TTRには年間引き出し額の下限と上限があり、手数料、税金、Age Pensionへの影響も考える必要があります。

退職後の税金

一般的なTaxed Super Fundから60歳以降に受け取る一括金や年金は、オーストラリアでは通常非課税です。

Defined Benefit、Untaxed Fund、60歳未満の受給、海外居住者の税務などは別の扱いになる場合があります。

オーストラリアで非課税でも、日本の居住者として日本で課税関係が生じる可能性があります。帰国前に日豪両国の税務に詳しい専門家へ相談してください。



Age PensionとSuperの関係

Superを持っていると、Age Pensionは受け取れませんか?

Superがあっても受給できます。ただし、Age Pension年齢に達すると、残高や収入が所得・資産調査へ影響します。

SuperとAge Pensionは、どちらか一方を選ぶ制度ではありません。多くの人は、Superからの収入と全額または一部のAge Pensionを組み合わせます。

Age Pension年齢に達した本人のSuperは、原則として資産調査の対象です。Account-based Pensionから受け取る収入や、口座残高に対するDeemingも所得調査へ影響します。

夫婦のうち一方がAge Pension年齢未満で、Accumulation PhaseのSuperを保有している場合は、一定条件で資産調査から除外されることがあります。ただし、年金形式で受け取り始めると扱いが変わります。

Superを一括で引き出し、銀行預金へ移しても、Age Pensionの資産調査から消えるわけではありません。預金として引き続き評価されます。

自宅の改修、住宅ローン返済、家族への贈与などを行う場合も、Age PensionのGifting Rulesや資産評価に注意が必要です。

状況 Age Pensionへの一般的な影響
67歳以上のSuper残高 資産調査とDeemingの対象となるのが一般的。
Account-based Pension 残高は資産、計算上の収入は所得調査へ影響。
銀行へ一括移動 銀行預金として引き続き評価される。
主たる自宅 原則として資産調査から除外。
海外の年金・資産 原則として申告が必要。
配偶者の資産 夫婦合計で評価される。

退職直前に資産を大きく動かすと、税金、Age Pension、介護費、相続へ影響します。CentrelinkのFinancial Information Serviceや、独立したファイナンシャル・アドバイザーへ相談してください。




オーストラリアと日本の年金制度を比較

日本とオーストラリアは、どちらも公的年金と私的な退職資金を持ちますが、制度の組み合わせが異なります。

比較項目 オーストラリア 日本
公的な老齢給付 Age Pension 老齢基礎年金・老齢厚生年金
基本的な財源 税金 保険料と公費
受給年齢 Age Pensionは67歳 原則65歳
受給資格 居住歴、所得、資産 原則10年以上の加入・資格期間
支給額 所得・資産、単身・夫婦で変動 納付期間と報酬などで決定
勤務先の積立 Super Guarantee 厚生年金、企業年金、確定拠出年金等
個人口座 Superの残高は本人資産 公的年金は個人口座残高方式ではない
雇用主の負担 対象賃金の12%をSuperへ拠出 厚生年金保険料を労使で負担
所得・資産調査 Age Pensionにあり 老齢基礎・厚生年金の基本受給資格には原則なし
海外居住 居住年数等によりAge Pension額が変わる 資格があれば海外でも受給可能

日本の老齢基礎年金

日本の老齢基礎年金は、保険料納付済期間と免除期間などを合計した受給資格期間が10年以上あれば、原則65歳から受け取れます。

2026年度の満額は月額70,608円です。満額を受け取るには原則40年間の納付が必要で、未納や免除期間がある場合は減額されます。

日本の老齢厚生年金

会社員などとして厚生年金へ加入した期間がある人は、老齢基礎年金に報酬比例の老齢厚生年金が上乗せされます。

Age Pensionのような資産調査はありませんが、働きながら厚生年金を受け取る場合は、在職老齢年金による調整が行われることがあります。

最も大きな違い

日本の公的年金は、加入期間と保険料・給与記録を基に年金額を計算します。

オーストラリアのAge Pensionは、過去にいくら保険料を払ったかではなく、現在の生活資源である所得と資産を中心に支給額を決めます。

過去の給与と拠出額が反映されるのは、Age PensionではなくSuperです。



日・オーストラリア社会保障協定

日・オーストラリア社会保障協定は、2009年1月1日に発効しました。

協定の主な目的は、年金受給資格を得やすくすることと、一時派遣される従業員の二重加入を防ぐことです。

加入期間・居住期間の通算

日本の年金加入期間だけでは日本の10年要件を満たさない場合、条件を満たすオーストラリアの就労居住期間を通算できることがあります。

オーストラリアのAge Pensionに必要な居住期間を満たさない場合も、日本の年金加入期間を通算して資格判定に利用できることがあります。

オーストラリア国外に住みながら協定を使ってAge Pensionを請求する場合は、オーストラリア居住期間が少なくとも12か月あり、その中に連続する6か月以上が含まれることが必要です。

期間通算は、資格要件を満たすための仕組みです。日本の加入期間がそのままオーストラリア居住年数になり、Age Pensionの満額が支給されるという意味ではありません。

二重加入の防止

日本企業からオーストラリアへ一時的に派遣される従業員は、原則として派遣開始から最長5年間、日本の年金制度へ継続加入し、オーストラリアのSuper Guaranteeの適用を免除されます。

適用を受けるには、日本年金機構が発行する適用証明書などの手続きが必要です。

オーストラリアで現地採用された人は、原則としてオーストラリアの制度が適用され、雇用主からSuperが支払われます。

本人が日本とオーストラリアのどちらの制度に加入するかを自由に選択できるわけではありません。

両国がそれぞれ年金を支給

期間を通算して受給資格を満たしても、日本年金とAge Pensionが一つの年金へ統合されるわけではありません。

日本は、日本の加入期間と報酬記録に基づく年金を支給します。オーストラリアは、居住期間、所得、資産などに基づくAge Pensionを支給します。

日本の年金を受け取ると、Age Pensionの所得調査へ影響する可能性があります。海外年金、海外預金、海外不動産はServices Australiaへ申告してください。

協定の機能 内容
期間通算 資格要件を満たすため、重複しない期間を一定条件で合算。
二重加入防止 一時派遣中に両国の年金制度へ重複加入することを調整。
支給額 各国が自国制度に基づいて別々に計算・支給。
申請窓口 居住国の実施機関を通じて相手国年金を申請できる。




オーストラリア在住日本人の年金

現地採用で働く場合

オーストラリア企業に現地採用され、Super Guaranteeの対象となる場合、雇用主はSuper Fundへ拠出します。

ビザが一時滞在であっても、対象従業員なら原則としてSuperの権利があります。

雇用開始時に、Super Fund、Tax File Number、口座情報を正しく登録します。雇用主がSuperを支払っていない場合は、まず雇用主へ確認し、解決しなければATOへ相談します。

日本企業から派遣される場合

日本企業からの一時派遣では、日豪社会保障協定により、日本の厚生年金を継続し、オーストラリアのSuper Guaranteeを免除できる場合があります。

派遣期間、雇用関係、関連会社、適用証明書などに条件があります。会社の人事・給与担当と日本年金機構へ、派遣前に確認してください。

現地法人へ転籍する場合や現地採用へ切り替わる場合は、Superの対象となる可能性があります。

日本の国民年金への任意加入

日本国籍を持ち海外に住む20歳以上65歳未満の人は、条件を満たせば日本の国民年金へ任意加入できます。

日本の受給資格期間や年金額を増やしたい場合に利用できますが、厚生年金の適用、日豪社会保障協定、将来の居住地を考えて判断します。

任意加入の申請や保険料の納付方法は、日本国内の協力者、年金事務所、海外居住者向け窓口へ確認してください。

オーストラリアで日本年金を受け取る

日本の受給資格を満たしていれば、オーストラリアに住みながら日本の老齢基礎年金・老齢厚生年金を請求できます。

日豪社会保障協定を利用する請求では、Services AustraliaのInternational Servicesを通じて手続きを進められる場合があります。

海外居住者は、住所、銀行口座、在留状況、生存確認、税務書類などの手続きが必要になることがあります。

日本年金は、Age Pensionの所得調査とオーストラリアの税務へ影響する可能性があります。受給開始時にCentrelinkと税務専門家へ確認してください。



日本へ帰国する場合の年金とSuper

帰国すれば、オーストラリアで積み立てたSuperをすぐ受け取れますか?

永住者や市民は、帰国だけを理由に引き出せません。一時滞在者は条件を満たせばDASPを申請できます。

永住者・市民のSuper

オーストラリア国民や永住者が日本へ移住しても、出国を理由にSuperを早期引き出しすることは通常できません。

Superはオーストラリアの口座に残り、Preservation AgeとCondition of Releaseを満たした後に受け取ります。

帰国前に、Super Fundへ日本の住所、メールアドレス、銀行情報を届け、本人確認書類とログイン方法を整理します。

口座を放置すると、手数料や保険料が引かれ、連絡不能口座としてATOへ移管されることがあります。

一時滞在者のDASP

一時滞在ビザでオーストラリアに滞在して働き、出国後にビザが失効または取り消された人は、Departing Australia Superannuation Payment、略してDASPを申請できる場合があります。

オーストラリア国民、ニュージーランド国民、永住者は原則としてDASPの対象ではありません。

DASPには源泉税がかかります。一般的なTaxed Elementは35%、Untaxed Elementは45%で、ワーキングホリデー関連部分には65%の税率が適用されます。Tax-free Componentの税率は0%です。

DASPは自動では支払われません。ATOのオンライン申請またはSuper Fundを通じて請求します。

日本でAge Pensionを受け取る

Age Pensionは、条件を満たせば日本へ移住した後も受給できる場合があります。

ただし、オーストラリアを離れて6週間を超えるとPension Supplementが基本額へ下がり、Energy SupplementとPensioner Concession Cardが停止します。

海外滞在が26週間を超えると、16歳からAge Pension年齢までのAustralian Working Life Residenceに応じて支給率が変わります。35年以上あれば通常は大きく減りませんが、35年未満では居住年数に比例して減額されるのが一般的です。

例えば対象となる居住歴が10年であれば、通常は基礎となる海外向け支給率の10/35として計算されます。

日本年金、収入、預貯金、不動産、Superなどは引き続き所得・資産調査の対象となります。

日本から申請する方法

日本は社会保障協定国のため、日本に住みながらオーストラリアのAge Pensionを申請できます。

日本年金機構の窓口を通じた申請書、またはServices Australiaの日本向け国際請求書を使用します。Age Pensionは受給権発生の13週間前から申請できます。

申請には、本人確認、オーストラリア居住歴、日本の年金記録、収入、資産、配偶者情報、銀行口座などが必要です。

審査には時間がかかるため、過去のパスポート、ビザ、住所、雇用記録、Tax File Number、Centrelink Reference Number、Super明細を保存しておきましょう。




税金と老後資金計画の注意点

Age Pensionの税金

Age Pensionは、オーストラリアでは課税対象となるCentrelink給付です。ただし、所得額や税額控除により、実際の税負担が発生しない受給者もいます。

日本に税務上居住する場合は、日本側の所得区分、租税条約、外国税額控除などの確認が必要です。

Superを日本で受け取る場合

60歳以降にTaxed Fundから受け取るSuperは、オーストラリアでは通常非課税です。

しかし、日本へ帰国後に一括金や年金として受け取る場合、日本の税法上の扱いがオーストラリアと同じとは限りません。

受取方法、居住開始日、拠出者、運用益、為替換算、過去の日本居住期間によって判断が変わる可能性があります。

日本年金とAge Pension

日本年金を受け取ると、Age Pensionの所得調査へ影響します。日本の銀行に受け取っていても、海外所得として申告が必要です。

為替レートはServices Australiaが定期的に換算し、豪ドル額を計算します。

退職前に整理する書類

  • オーストラリアの居住期間と住所履歴
  • パスポート、ビザ、永住権記録
  • Centrelink Reference Number
  • Tax File NumberとmyGov
  • Super Fund名、会員番号、残高、Beneficiary Nomination
  • 日本の基礎年金番号と加入記録
  • 日本とオーストラリアの雇用記録
  • 国内外の銀行、投資、不動産、年金の一覧

専門家を使い分ける

相談内容 主な相談先
Age Pensionの資格・支給額 Services Australia、Financial Information Service。
Superの残高・商品・受取方法 Super Fund、Licensed Financial Adviser。
日本年金の資格・請求 日本年金機構、年金事務所。
日豪社会保障協定 Services Australia International Services、日本年金機構。
日豪の税金 両国の国際税務に詳しい税理士・Tax Agent。
遺言・代理権・相続 居住州と日本の法律に詳しい弁護士。

年金額だけでなく、税金と為替も確認

日本とオーストラリアの両方から年金を受け取る場合、受給資格だけでなく、税務上の居住地、為替、送金手数料、相続、配偶者への給付も確認してください。



オーストラリアの年金制度に関するよくある質問(FAQ)

オーストラリアのAge Pensionは何歳から受け取れますか?

Age Pensionの受給年齢は、現在67歳です。

67歳になれば自動的に支給されるわけではなく、本人が申請しなければなりません。

年齢に加えて、通常はオーストラリア居住期間が合計10年以上あり、そのうち5年間が連続していること、所得・資産基準を満たすことが必要です。

日本との社会保障協定を利用する場合は、日本の年金加入期間を資格判定へ通算できることがあります。

Age PensionとSuperannuationは同じものですか?

同じものではありません。

Age Pensionは、税金を財源として政府が支給する所得・資産調査付きの生活保障です。

Superannuationは、雇用主と本人が本人名義の口座へ積み立て、運用する退職資金です。

多くの人はSuper、預貯金、投資と、全額または一部のAge Pensionを組み合わせて老後の生活費を賄います。

オーストラリアで働く日本人にもSuperは支払われますか?

対象となる従業員であれば、国籍や永住権の有無にかかわらず、雇用主は原則としてSuperを支払います。

2025年7月1日以降のSuper Guarantee率は、対象となるOrdinary Time Earningsの12%です。

ただし、日本企業からの一時派遣者は、日豪社会保障協定により日本の年金制度を継続し、Super Guaranteeが免除される場合があります。

給与明細だけでなく、myGovのATOオンラインサービスで実際の入金も確認してください。

日本とオーストラリアの年金期間を合算できますか?

日・オーストラリア社会保障協定により、受給資格を満たすために、重複しない期間を一定条件で通算できます。

日本の10年要件を満たさない場合は、条件を満たすオーストラリアの就労居住期間を利用できることがあります。

オーストラリアの居住要件を満たさない場合も、日本の年金加入期間を利用できる場合があります。

ただし、支給額を合算する制度ではありません。日本とオーストラリアが、それぞれ自国の制度に基づいて年金を支給します。

日本へ帰国すればSuperをすぐに引き出せますか?

オーストラリア国民や永住者は、日本へ帰国したことだけを理由にSuperを引き出すことは通常できません。

Superは口座に残り、Preservation AgeとCondition of Releaseを満たした後に受け取ります。

一時滞在ビザで働き、出国後にビザが失効または取り消された人は、DASPを申請できる場合があります。

DASPには高い源泉税がかかるため、申請前に税率と口座情報を確認してください。

日本へ移住した後もAge Pensionを受け取れますか?

条件を満たせば、日本へ移住した後もAge Pensionを受け取れる場合があります。

海外滞在が6週間を超えるとSupplementやConcession Cardが変更され、26週間を超えるとAustralian Working Life Residenceに応じて支給額が減る場合があります。

35年未満の場合は、16歳からAge Pension年齢までの対象居住年数に比例して計算されるのが一般的です。

日本年金や日本・オーストラリアの資産も所得・資産調査へ影響します。

日本に住みながらオーストラリアのAge Pensionを申請できますか?

日本はオーストラリアの社会保障協定国のため、日本に住みながらAge Pensionを申請できます。

日本年金機構の窓口を通じた手続き、またはServices Australiaの日本向け国際請求書を利用します。

Age Pensionは受給権発生の13週間前から申請できます。

オーストラリアの居住歴、収入、資産、日本年金、配偶者、銀行口座などの資料を準備してください。

日本の年金を受け取るとAge Pensionは減りますか?

日本の年金は、Age Pensionの所得調査へ影響する可能性があります。

日本の銀行口座へ受け取っていても、海外所得としてServices Australiaへ申告する必要があります。

日豪社会保障協定によって計算上の扱いが調整される場合がありますが、日本年金が自動的に全額除外されるわけではありません。

本人と配偶者の年金額、居住地、資産、為替レートによってAge Pensionの支給額が決まります。

まとめ

オーストラリアの老後保障は、政府が支給するAge Pension、本人名義で積み立てるSuperannuation、個人の預貯金や資産を組み合わせる仕組みです。

Age Pensionは67歳からで、居住歴、所得、資産によって支給額が決まります。Superは勤務中に雇用主が対象賃金の12%を拠出し、通常は60歳以降に退職などの条件を満たすか、65歳に達した後に利用します。

日本とオーストラリアの年金制度は、受給資格と支給額の考え方が異なります。日豪社会保障協定を利用すれば、受給資格のために期間を通算できますが、両国の年金が一つになるわけではありません。

帰国や退職を予定している人は、Age Pensionの居住要件、Superの受給条件、DASP、日本年金、海外受給、税金を別々に確認し、手続きに必要な記録を早めに整理しておきましょう。

オーストラリアの年金制度に関する参考情報



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