オーストラリアに生息する爬虫類図鑑|ワニ・ヘビ・トカゲ・カメの代表種を詳しく解説

オーストラリアは、世界でも爬虫類の多様性が際立つ国です。熱帯の湿地から乾燥した砂漠、温帯林、都市近郊の公園、サンゴ礁まで、環境ごとに異なるワニ、ヘビ、トカゲ、ヤモリ、淡水ガメ、ウミガメが暮らしています。
よく知られているのはイリエワニや毒ヘビですが、種類数で見るとオーストラリアの爬虫類相を支えているのはトカゲの仲間です。青い舌を出すブルータン、首の皮膜を広げるエリマキトカゲ、全身に棘を持つモロクトカゲ、巨大なペレンティなど、独特の進化を遂げた種類が各地に分布しています。
一方で、「オーストラリアの爬虫類はすべて危険」という印象は正しくありません。毒を持つヘビは存在しますが、多くの爬虫類は人を避け、追い詰めたり素手で捕まえたりしなければ、観光中に問題となることはほとんどありません。
爬虫類は昆虫やネズミを食べ、ほかの動物の餌にもなり、生態系の中で重要な役割を担っています。ウミガメや淡水ガメのように、生息地の変化、漁具、外来捕食者、交通事故などによって個体数が減少している種類も少なくありません。
この記事では、オーストラリアに生息する代表的な爬虫類を、ワニ、ヘビ、トカゲ、カメ、ウミヘビに分け、分布、特徴、生態、危険性、保全上の課題まで詳しく紹介します。
オーストラリアの爬虫類とは?
爬虫類は、ワニ目、カメ目、有鱗目などに分けられる脊椎動物です。オーストラリアで見られる主な爬虫類は、ワニ、ヘビ、トカゲ、ヤモリ、アシナシトカゲ、淡水ガメ、ウミガメ、ウミヘビです。
体温を一定に保つ鳥類や哺乳類とは異なり、爬虫類は外気温や日光を利用して体温を調整します。朝に日光浴をする、暑すぎる時間は岩陰や巣穴へ入る、冬に活動を大きく減らすといった行動は、この体温調整と関係しています。
卵を産む種類が多い一方、ブルータンや一部のヘビのように、体内で子を育てて幼体を産む種類もいます。乾燥地では、雨や気温の変化に合わせて繁殖や活動時期を変える種類も珍しくありません。
| ワニ | イリエワニ、オーストラリアワニ |
|---|---|
| ヘビ | ブラウンスネーク、タイパン、タイガースネーク、ニシキヘビなど |
| 大型トカゲ | ペレンティ、レースモニター、サンドゴアナなど |
| 小・中型トカゲ | ブルータン、フトアゴヒゲトカゲ、エリマキトカゲ、スキンクなど |
| カメ | 淡水ガメ6科のうちオーストラリアには主にヘビクビガメ科などが分布 |
| 海洋性爬虫類 | 6種のウミガメと約30種以上のウミヘビ |
カエルは爬虫類ではない
爬虫類と両生類は「爬虫両生類」として一緒に扱われることがありますが、カエルは両生類です。皮膚、繁殖方法、体の構造が爬虫類とは異なります。
爬虫類が多様になった理由
オーストラリア大陸は長い期間ほかの大陸から隔離され、乾燥化と気候変動を繰り返してきました。その過程で、地域ごとの土壌、植生、降雨、温度に適応した爬虫類が分化しました。
オーストラリア博物館は、オーストラリアに世界の爬虫類のおよそ14%が生息すると説明しています。新種の記載が現在も続いているため、種類数は固定された数字ではありません。
特に豊富なのがトカゲ類です。スキンク、ヤモリ、ドラゴン、オオトカゲ、アシナシトカゲなどが、湿潤な熱帯雨林から降雨の少ない砂漠まで進出しています。
固有種の多さ
大陸の隔離により、オーストラリア以外には自然分布しない種類が数多く生まれました。オーストラリアワニ、ペレンティ、モロクトカゲ、ヒラタウミガメなどは、オーストラリアを代表する固有性の高い爬虫類です。
乾燥への適応
砂漠のトカゲは、地表温度が上がる前に活動する、深い巣穴を使う、体色を変える、皮膚表面の微細な溝で水を口へ運ぶなど、限られた水と大きな気温差に対応しています。
地域別の分布と生息環境
熱帯北部
ノーザンテリトリー北部、西オーストラリア州キンバリー、クイーンズランド州北部には、イリエワニ、オーストラリアワニ、エリマキトカゲ、オオトカゲ、ニシキヘビ、タイパン類が分布します。
乾季と雨季が明確で、湿地、河川、サバンナ、熱帯雨林を季節に応じて利用する種類が多く見られます。
乾燥した内陸部
中央オーストラリアや西部の砂漠には、ペレンティ、モロクトカゲ、フトアゴヒゲトカゲ、砂地に適応したヤモリ、インランドタイパンなどが暮らしています。
昼夜の寒暖差が大きいため、地中の巣穴、岩の割れ目、スピニフェックスの株元が重要な避難場所になります。
東部・南部の温帯地域
シドニー、メルボルン、アデレード、タスマニア周辺には、ブルータン、ボブテイル、ウォータードラゴン、ヒガシブラウンスネーク、タイガースネーク、アカハラクロヘビなどが分布します。
都市郊外の庭、公園、ゴルフ場にも適応した種類がいますが、落ち葉、倒木、草地、水辺などの隠れ場所が失われると個体数は減少します。
沿岸・海洋
北部と東西の暖かい海には、ウミガメとウミヘビが生息します。サンゴ礁、海草藻場、浅い砂底、外洋、島の砂浜など、生活段階によって利用する環境が異なります。
オーストラリアのワニ
オーストラリアに自然分布するワニは、イリエワニとオーストラリアワニの2種です。どちらも北部に分布しますが、体格、口の形、生息環境、行動が異なります。
ワニは水中で目、鼻孔、耳を水面近くに出しながら周囲を確認できます。尾を使って泳ぎ、陸上でも短距離なら素早く動きます。
| 比較 | イリエワニ | オーストラリアワニ |
|---|---|---|
| 英名 | Saltwater/Estuarine Crocodile | Freshwater Crocodile |
| 学名 | Crocodylus porosus | Crocodylus johnstoni |
| 口吻 | 幅広く頑丈 | 細長い |
| 主な環境 | 河口、川、湿地、海岸、淡水域 | 淡水河川、ビラボン、渓谷 |
| 分布 | 豪州北部からインド太平洋域 | オーストラリア北部の固有種 |
1.イリエワニ
イリエワニは、現生する爬虫類の中で最大になる種類です。大型の雄は5メートルを超え、非常にまれながらさらに大きな個体も記録されています。
日本語名から海水だけに暮らす印象がありますが、実際には河口、マングローブ、海岸、潮の影響を受ける川、淡水の湿地やビラボンにも入ります。海を渡って島や別の河川へ移動する能力もあります。
分布
オーストラリアでは、ノーザンテリトリー北部、キンバリー、クイーンズランド州北部を中心に分布します。クイーンズランド州では、グラッドストン付近から北側が自然分布域の目安とされています。
食性
幼体は昆虫、甲殻類、小魚などを食べ、成長すると魚、カメ、鳥、哺乳類など、利用できる獲物の幅が広がります。水辺で待ち伏せし、瞬間的に獲物を捕らえます。
人との関係
北部の水辺では、ワニが見えなくても生息している可能性があります。遊泳は当局が安全と指定した場所だけにし、水際から距離を取り、釣った魚や食べ残しを水辺へ捨ててはいけません。
2.オーストラリアワニ
オーストラリアワニは、細長い口吻を持つ北部固有のワニです。英語ではFreshwater Crocodile、親しみを込めてFreshieとも呼ばれます。
一般にイリエワニより小さく、魚、カエル、昆虫、小型爬虫類などを食べます。乾季に水場が縮小すると、残された淵へ集まることがあります。
生息環境
淡水河川、ビラボン、岩に囲まれた渓谷の水場などに生息します。潮汐の影響を受ける大きな河川では、イリエワニと生息域が重なる場合があります。
危険性
通常は人を積極的に獲物とする種類ではありませんが、追い詰める、巣や幼体へ近づく、餌を与えると、かまれて重傷を負う可能性があります。小型だから安全と考えず、野生個体には接近しないでください。
オーストラリアのヘビ
オーストラリアには200種近いヘビが知られています。強い毒を持つコブラ科の仲間が多い一方、ニシキヘビ、メクラヘビ、ナメラ属に近い無毒・弱毒の種類も存在します。
「世界で最も毒の強いヘビが多い国」と紹介されますが、毒性の強さと、人がかまれる頻度や実際の危険度は別です。多くのヘビは人の接近を感知すると逃げ、かみつきは防御行動として起こります。
色だけでは見分けられない
ブラウンスネークが必ず茶色とは限らず、タイガースネークに縞がないこともあります。同じ種類でも地域、年齢、脱皮前後によって体色が異なるため、野外での自己判断は危険です。
活動時期
暖かい季節に活動が増えますが、冬でも暖かな日には姿を見せます。夜行性の種類もいるため、郊外やキャンプ場では夜間にライトを使います。
3.ヒガシブラウンスネーク
ヒガシブラウンスネークは、クイーンズランド州北部からニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州にかけて広く分布します。
開けた森林、草地、農地、都市郊外などを利用し、ネズミを主な餌とします。人が改変した環境にも適応できるため、オーストラリア東部で人と遭遇する可能性が比較的高い毒ヘビです。
特徴
体色は淡い褐色、赤褐色、灰褐色から非常に暗い色まで変化します。幼体には頭部や体に模様がある場合もあり、色だけで確実に識別できません。
行動
逃げ道があれば離れようとしますが、追い詰められると体の前部を持ち上げ、防御姿勢を取ることがあります。庭や建物内で見つけた場合は、認可されたスネークキャッチャーへ依頼します。
4.タイパン類
インランドタイパン
インランドタイパンは、クイーンズランド州南西部から南オーストラリア州北東部にかけての乾燥した氾濫原に生息します。毒性の強さで有名ですが、人里から遠い限られた環境に暮らし、野生で見かける機会は非常に少ないヘビです。
季節によって体色が変化し、涼しい時期には暗く、暖かい時期には明るくなる傾向があります。主に小型哺乳類を捕食します。
コースタルタイパン
コースタルタイパンは、クイーンズランド州北部・東部、ノーザンテリトリー北部、西オーストラリア州北東部などに分布します。サトウキビ畑、沿岸林、河川周辺など、ネズミが多い環境を利用します。
大型で素早く、強い毒を持つため、遭遇時は十分な距離を保ちます。ただし、積極的に人を探して襲う動物ではありません。
5.タイガースネーク
タイガースネークは、オーストラリア南東部、南西部、タスマニア、沿岸の島々などに分布します。湿地、湖沼、海岸、草地を利用し、カエル、魚、小型哺乳類、鳥などを食べます。
英名の由来となった横縞が目立つ個体もいますが、縞がほとんど見えない黒色や褐色の個体もいます。島ごとに体格や色の違いが大きいことでも知られます。
水辺での生活
泳ぎが得意で、湿地の水中や水際で餌を探します。遊歩道では水辺の草むらへ不用意に入らず、見つけたら進路を空けます。
6.そのほかの代表的な毒ヘビ
アカハラクロヘビ
光沢のある黒い背と、赤からピンク色の腹側が特徴です。オーストラリア東部の川、池、湿地周辺で見られ、カエルを多く食べます。人が近づくと動きを止めたり、逃げたりすることが多い種類です。
デスアダー
短く太い体と三角形に見える頭を持ち、落ち葉や砂地へ潜んで獲物を待ち伏せします。尾の先を虫のように動かして、トカゲやカエルを誘います。動かずに隠れているため、藪や落ち葉の中へ手を入れないことが重要です。
マルガスネーク
英語ではMulga SnakeまたはKing Brown Snakeと呼ばれますが、分類上はブラウンスネーク属ではなくクロヘビ属の仲間です。南東部の一部を除く広い地域に分布し、乾燥地でも見られます。
カッパーヘッド
南東部の涼しく湿った地域や高地に分布します。ほかの多くのヘビより低い気温でも活動でき、春や秋の涼しい日に見かけることがあります。
7.ニシキヘビと無毒のヘビ
オーストラリアには、カーペットパイソン、オリーブパイソン、ウォマ、チルドレンズパイソンなど、複数のニシキヘビが生息します。
毒は持たず、獲物へかみついた後、体を巻きつけて締めます。小型哺乳類、鳥、トカゲなどを食べ、住宅の屋根裏や納屋でネズミを捕ることもあります。
カーペットパイソン
東部、北部、西部の一部に広く分布し、森林、岩場、農地、都市郊外まで利用します。模様と体色には地域差があります。
ウォマ
乾燥した内陸部に暮らすニシキヘビで、頭部と首の境界が目立ちにくい体形をしています。ほかの爬虫類を巣穴内で捕食することがあります。
メクラヘビ
細く小型で、ミミズに似た外見を持ちます。地中でアリやシロアリの卵・幼虫を食べ、雨の後に地表へ現れることがあります。
オーストラリアのトカゲ
オーストラリアの爬虫類の中で、最も種類が豊富なのがトカゲです。スキンク、ヤモリ、ドラゴン、オオトカゲ、アシナシトカゲなどが含まれます。
都市公園で見られる小型スキンクから、2メートルを超えることがあるペレンティまで、体格、食性、生活場所は大きく異なります。
| グループ | 代表例 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| オオトカゲ | ペレンティ、レースモニター | 長い首と尾、発達した四肢、肉食・雑食 |
| ドラゴン | エリマキトカゲ、フトアゴヒゲトカゲ、モロクトカゲ | 体温調節と視覚的なディスプレイが発達 |
| スキンク | ブルータン、ボブテイル、小型スキンク | 滑らかな鱗を持つ種類が多い |
| ヤモリ | ナキヤモリ、タマオヤモリ類 | 夜行性が多く、壁や岩を登る種類もいる |
| アシナシトカゲ | バートンズ・スネーク・リザードなど | 脚が退化しヘビに似るが、トカゲの仲間 |
8.ゴアナとペレンティ
オーストラリアではオオトカゲ類を一般にゴアナと呼びます。長い首、二股に分かれた舌、強い脚と爪、長い尾を持ちます。
ペレンティ
ペレンティはオーストラリア最大の在来トカゲで、乾燥した内陸部の岩場、砂地、草原に分布します。大きな個体は2メートルを超えることがありますが、人を見ると離れることが多く、野生での観察は簡単ではありません。
昆虫、爬虫類、鳥、小型哺乳類、死肉などを食べ、優れた嗅覚を使って餌を探します。
レースモニター
東部の森林やキャンプ場で見られる大型種です。木登りが得意で、危険を感じると樹上へ逃げます。人の食べ物を覚えた個体が近づくことがあるため、餌を与えず、食料を放置しないでください。
9.エリマキトカゲ
エリマキトカゲは、ノーザンテリトリー北部、キンバリー、クイーンズランド州北部などのサバンナ林に生息します。
首の周囲に折り畳まれた大きな皮膜があり、強く驚いた時には口を開け、皮膜を広げて体を大きく見せます。普段は木の幹や枝で過ごし、昆虫や小型動物を食べます。
二本脚で走る姿
危険から逃げる時、前脚を浮かせて後脚だけで走ることがあります。ただし、野生で皮膜を広げた姿を見せるのは、逃げ場を失い強いストレスを感じている時です。
雨季の活動
昆虫が増える雨季に活動が活発になり、乾季には動きが減ります。樹皮と似た体色で、木の幹にいると見つけにくいトカゲです。
10.モロクトカゲ
モロクトカゲは、英語でThorny Devilと呼ばれる乾燥地の小型トカゲです。中央部と西部の砂地、スピニフェックス草原、低木地に分布します。
全身の棘は防御に役立ち、首の後ろには捕食者の注意をそらす「偽の頭」のような膨らみがあります。主に小型のアリを食べ、一日に多数のアリを捕食します。
皮膚で水を口へ運ぶ
鱗の間にある細い溝が、露や濡れた砂の水分を毛細管現象で口元へ運びます。皮膚から水を吸収するのではなく、体表の構造を使って水を飲む仕組みです。
体色の変化
気温、光、活動状態に応じて、黄土色、赤褐色、灰色などへ体色が変化します。周囲の土や植物に溶け込み、見つけにくくなります。
11.ブルータンとボブテイル
ブルータン・リザードは、青い舌を大きく見せることで知られるスキンクの仲間です。東部、南部、北部、内陸部に複数種・亜種が分布します。
人に追われると口を開き、青い舌を見せて威嚇します。毒はありませんが、無理に持つとかみつくことがあります。
食性
昆虫、カタツムリ、植物、果実、小型動物などを食べる雑食性です。庭ではナメクジやカタツムリを食べることがあり、地域の生態系に役立っています。
ボブテイル
西オーストラリア州でよく使われる呼び名で、シングルバックとも呼ばれます。太く短い尾が頭に似て見え、捕食者を惑わせると考えられています。
同じ相手と複数年にわたりつがいになることが知られ、春には道路を横切る個体が増えます。
12.ヤモリ・スキンク・アシナシトカゲ
ヤモリ
オーストラリアには、岩場、森林、砂漠、住宅地に適応した多様なヤモリがいます。夜行性が多く、日中は樹皮の下、岩の割れ目、地中などで休みます。
尾へ脂肪を蓄えるタマオヤモリ類、鳴き声で縄張りを知らせる種類、指先の構造で滑らかな壁を登る種類などがいます。捕食者につかまれると尾を切り離し、後に再生できる種類もあります。
小型スキンク
公園、庭、石垣、落ち葉の中で最も見つけやすい爬虫類です。昆虫やクモを食べ、日なたと日陰を行き来して体温を調整します。
アシナシトカゲ
脚がほとんど見えないためヘビと間違われますが、外耳孔、まぶた、尾の切断など、トカゲらしい特徴を持ちます。種類によって昆虫、クモ、小型トカゲなどを食べます。
オーストラリアのカメ
オーストラリアには自然分布する陸生のリクガメはいません。川、湖、湿地に暮らす淡水ガメと、海で生活するウミガメが見られます。
英語では淡水性・海洋性を含めてTurtleと呼ぶことが多く、日本語の「カメ」と英語のTurtle/Tortoiseの使い分けは完全には一致しません。
甲羅と呼吸
甲羅は肋骨や背骨とつながった体の一部です。カメは肺で呼吸するため、水中で暮らす種類も定期的に水面へ上がります。
温度と性別
ウミガメを含む多くのカメでは、卵が発生する時の砂や巣の温度が、孵化する子の性別に影響します。このため、気候変動による砂浜の高温化が性比へ影響することが懸念されています。
13.オーストラリアのウミガメ
オーストラリアの海域では、世界の7種のウミガメのうち6種が確認されています。
| 種類 | 英名 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| アオウミガメ | Green Turtle | 海草や藻類を食べる成体が多い |
| アカウミガメ | Loggerhead Turtle | 大きな頭と強い顎を持つ |
| タイマイ | Hawksbill Turtle | 細いくちばしでサンゴ礁の隙間から餌を取る |
| ヒラタウミガメ | Flatback Turtle | 繁殖地がオーストラリアに限られる |
| ヒメウミガメ | Olive Ridley Turtle | 比較的小型で北部に分布 |
| オサガメ | Leatherback Turtle | 硬い鱗板を持たず、外洋を広く移動する |
ヒラタウミガメ
英名Flatback Turtle。オーストラリア北部の大陸棚の浅い海を利用し、知られている繁殖地はすべてオーストラリア国内にあります。
産卵
成熟した雌は砂浜へ上陸して穴を掘り、卵を産みます。孵化した子ガメは光の反射を頼りに海へ向かうため、海岸の人工照明が進行方向を乱すことがあります。
主な脅威
漁具への混獲、放棄された網、海洋ごみ、船との衝突、沿岸開発、砂浜の高温化、外来動物による卵の捕食などが問題となっています。
14.淡水ガメ
オーストラリアには約25種の淡水ガメが知られています。多くは首を横へ曲げて甲羅へ収めるヘビクビガメ科の仲間です。
ヒガシナガクビガメ
ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州南部、ビクトリア州、南オーストラリア州南東部などの池、川、湿地に分布します。長い首を素早く伸ばし、水生昆虫、オタマジャクシ、小魚を捕らえます。
雨の後に水場を移動し、道路を横断することがあります。危険な道路上で見つけても、交通を妨げて自己判断で遠くへ移動させないでください。
メアリーリバータートル
クイーンズランド州のメアリー川水系に限られる大型の淡水ガメです。水中で皮膚に近い器官を使ってガス交換でき、長時間潜る能力を持ちます。
保全上の課題
オーストラリアの淡水ガメは、河川改修、ダム、水質悪化、外来魚、キツネによる卵の捕食、道路事故、病気などの影響を受けています。政府の環境報告では、約半数が絶滅危惧区分に入るとされています。
15.ウミヘビ
オーストラリアの海域には、約30種以上のウミヘビが生息します。特に北部、西部、グレートバリアリーフ周辺で多様性が高く、サンゴ礁、浅い砂底、海草藻場、外洋を利用します。
ウミヘビはコブラ科の仲間で、毒を持ちます。ただし、ダイバーやシュノーケラーへ積極的に攻撃する動物ではなく、触る、つかむ、進路をふさぐ行為を避ければ、通常は離れていきます。
海での適応
尾が櫂のように扁平で、泳ぎに適しています。鼻孔を閉じられ、皮膚を通じたガス交換も利用しながら長く潜ります。
セグロウミヘビ
英名Yellow-bellied Sea Snake。黒から褐色の背と黄色い腹を持ち、外洋の海面近くで生活します。陸へ上がらず、世界の熱帯・亜熱帯海域へ広く分布します。
漂着個体
浜辺に打ち上げられた個体は、死んでいるように見えても触ってはいけません。波や砂で弱っている場合もあり、自治体、レンジャー、野生動物救護機関へ連絡します。
爬虫類との共存・安全・保全
爬虫類は、害虫やネズミを食べ、種子や栄養の移動に関わり、鳥類や哺乳類の餌にもなる重要な存在です。危険性だけを理由に駆除すると、地域の生態系へ影響します。
野生個体を捕まえない
オーストラリアでは、州・準州の法律によって在来爬虫類が保護されています。野生個体の捕獲、持ち帰り、飼育、州境を越えた移動には許可が必要となる場合があります。
ヘビを見つけた場合
立ち止まるかゆっくり離れ、進路を空けます。ホテル、住宅、店内に入った場合は、自分で追い出さず、スタッフや認可されたスネークキャッチャーへ連絡します。
ヘビにかまれた可能性がある場合
- 安全な位置で本人を横たえ、歩かせない
- オーストラリアの緊急番号000へ電話する
- 手足の傷なら、幅広い弾性包帯を指先・つま先から体側へ巻く
- 副木を当てて関節と手足を固定する
- 呼吸が止まった場合は心肺蘇生を行う
- 救急隊が到着するまで動かさない
傷口を洗う、切る、毒を吸う、細いひもで縛る、氷を当てる、ヘビを捕まえる行為は行いません。
ワニの分布域
北部では、どの水域にもワニがいる可能性があると考えます。クイーンズランド州の公式案内では、水際から5メートル以上離れ、可能なら頑丈な物を水との間に置くことが推奨されています。
保全上の脅威
生息地の消失、森林火災、気候変動、外来猫・キツネ、道路事故、違法採集、海洋ごみ、漁具などが、種類や地域によって異なる影響を与えています。
写真のために近づかない
ヘビ、ワニ、ゴアナ、ウミヘビを見つけても、種類を確認するために接近したり、進路をふさいだりしないでください。望遠で観察し、動物が自分で離れられる空間を残します。
オーストラリアの爬虫類に関するよくある質問(FAQ)
ワニ、ヘビ、ニシキヘビ、オオトカゲ、ドラゴン、スキンク、ヤモリ、アシナシトカゲ、淡水ガメ、ウミガメ、ウミヘビなどが生息しています。
分類と新種記載によって数字は変わります。オーストラリア博物館は、世界の爬虫類のおよそ14%がオーストラリアに生息すると説明しています。
いいえ。強い毒を持つ種類がいる一方、ニシキヘビやメクラヘビなど、毒を使わない種類も多数います。野外では種類を自己判断せず、すべてのヘビから距離を取ってください。
毒性試験では非常に強い毒を持つことで知られます。ただし、生息域が遠隔地に限られ、人との遭遇が少ないため、毒性の強さと実際の咬傷リスクは同じではありません。
いいえ。河口、川、湿地、ビラボンなどの淡水域にも入ります。オーストラリア北部では、安全が明示された場所を除き、水辺へ不用意に近づかないでください。
在来種ではペレンティが最大です。乾燥した内陸部に分布し、大きな個体は全長2メートルを超えることがあります。
皮膚へ直接吸収するのではありません。鱗の間にある細い溝が、水を毛細管現象で口元へ運び、そこから飲み込みます。
自然分布する陸生のリクガメはいません。在来のカメは、河川や湿地に暮らす淡水ガメと、海で暮らすウミガメです。
オーストラリアの海域では6種が確認されています。アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイ、ヒラタウミガメ、ヒメウミガメ、オサガメです。
毒を持ちますが、多くは人を避けます。触る、つかむ、追いかける、進路をふさぐことをせず、距離を取って泳いでください。
洗いません。本人を動かさず000へ通報し、手足なら幅広い弾性包帯と副木で圧迫固定します。傷を切る、毒を吸う、ヘビを捕まえる行為もしません。
オーストラリアに生息する爬虫類に関する参考情報
- Australian Museum:Reptiles
- Australian Museum:Herpetology
- オーストラリア政府:Fauna of Australia ― Amphibia and Reptilia
- Kakadu National Park:Crocodiles
- Queensland Government:Be Crocwise
- Queensland Poisons Information Centre:Snake bites
- Australian Museum:Australian snakes
- Australian Museum:Eastern Blue-tongue Lizard
- オーストラリア政府:Marine turtles in Australia
- Australia State of the Environment:Marine species
- Australian Museum:Eastern Snake-necked Turtle
- Australia State of the Environment:Flora and fauna
まとめ:オーストラリアの環境が生んだ多様な爬虫類
オーストラリアには、北部の大型ワニ、東部と南部の毒ヘビ、内陸部のゴアナやドラゴン、都市近郊のブルータンとスキンク、河川の淡水ガメ、熱帯の海に暮らすウミガメとウミヘビまで、多様な爬虫類が生息しています。
種類数の多さを支えているのは、長い大陸の隔離と、熱帯雨林、サバンナ、砂漠、温帯林、湿地、海洋という幅広い環境です。それぞれの種類が、体温調整、水分確保、繁殖、捕食者への防御に独自の方法を発達させました。
毒ヘビとイリエワニには注意が必要ですが、爬虫類の大半は人を避けます。野生個体へ触れず、進路を空け、水辺の標識に従えば、安全に共存できます。
ウミガメと淡水ガメをはじめ、生息地の変化、外来動物、道路、漁具、海洋ごみの影響を受ける種類もいます。見つけた動物を捕まえず、餌を与えず、自然の中で行動できる距離を保つことが大切です。
「危険な動物の国」という先入観だけでなく、環境に適応した姿、生態系での役割、保全上の課題にも目を向けると、オーストラリアの自然をより深く理解できます。
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