オーストラリア出身の有名バイクレーサー|WGP・MotoGP・WSBKの歴代王者と現役選手
オーストラリアは、二輪ロードレースの世界でも数多くの名ライダーを輩出してきました。世界GPの最高峰500ccクラスではウェイン・ガードナー、ミック・ドゥーハンが世界王者となり、MotoGP時代にはケーシー・ストーナーが2度のタイトルを獲得しています。
市販車ベースの世界最高峰であるWSBK(スーパーバイク世界選手権)でも、トロイ・コーサーが2度、トロイ・ベイリスが3度の世界王者となり、オーストラリア勢は長い間トップカテゴリーの中心にいました。
現在もその流れは続いています。2026年9月時点ではジャック・ミラーがMotoGP、セナ・アギウスがMoto2、ジョエル・ケルソがMoto3、レミー・ガードナーがWSBKに参戦。アギウスは2025年のオーストラリアGPでMoto2初の地元優勝を達成し、2026年にも複数勝利を挙げています。
また、オーストラリアのバイクレースを語るうえで欠かせないのが、ヴィクトリア州(Victoria)のフィリップ島(Phillip Island)です。海沿いに造られた高速サーキットには、ガードナー・ストレート、ドゥーハン・コーナー、ストーナー・コーナー、ミラー・コーナーと、オーストラリア人名ライダーの名前が残されています。
この記事では、日本からの旅行者と在豪邦人向けに、オーストラリアを代表する歴代・現役バイクレーサーを、WGP、MotoGP、WSBK、WorldSSPを中心に紹介します。最後には、フィリップ島で開催されるMotoGPオーストラリアGPやWSBK観戦についてもまとめています。
オーストラリアのバイクレース文化


オーストラリアの有名ライダーには、舗装路のロードレースだけでなく、ダートトラック、ショートトラック、モトクロスなどを経験してから世界へ進んだ選手が多くいます。
ケーシー・ストーナー、ジャック・ミラー、セナ・アギウス、ジョエル・ケルソなども、幼い頃からダート系競技でバイクコントロールを身につけています。
国内にはフィリップ・アイランド・グランプリ・サーキット(Phillip Island Grand Prix Circuit)をはじめ、ザ・ベンド、シドニー・モータースポーツ・パークなど本格的なサーキットがあり、ASBK(オーストラリア・スーパーバイク選手権)も若手の重要なステップになっています。
WGP・MotoGP・WSBKの違い
| カテゴリー | 特徴 |
|---|---|
| WGP/世界GP | ロードレース世界選手権の通称。最高峰は長く500ccクラスだった |
| MotoGP | 2002年から始まった現在の世界GP最高峰クラス |
| Moto2 | MotoGPの一つ下のクラス |
| Moto3 | 若手が多く参戦する軽量クラス |
| WSBK | 市販車をベースとするスーパーバイク世界選手権 |
| WorldSSP | WSBKの下位カテゴリーであるスーパースポーツ世界選手権 |
日本で1990年代までよく使われた「WGP」という呼び方は、現在のMotoGPを含むロードレース世界選手権の旧来の呼称です。
ウェイン・ガードナーやミック・ドゥーハンが活躍した時代の最高峰は500cc。2002年から4ストロークMotoGPマシンを中心とする現在のカテゴリーへ移行しました。
代表的な世界王者一覧
| 選手 | カテゴリー | 世界タイトル |
|---|---|---|
| トム・フィリス | WGP 125cc | 1961年 |
| ケル・キャラザース | WGP 250cc | 1969年 |
| ウェイン・ガードナー | WGP 500cc | 1987年 |
| ミック・ドゥーハン | WGP 500cc | 1994~1998年・5連覇 |
| ケーシー・ストーナー | MotoGP | 2007、2011年 |
| レミー・ガードナー | Moto2 | 2021年 |
| トロイ・コーサー | WSBK | 1996、2005年 |
| トロイ・ベイリス | WSBK | 2001、2006、2008年 |
| クリス・バーミューレン | WorldSSP | 2003年 |
| アンドリュー・ピット | WorldSSP | 2001、2008年 |
トム・フィリス
トム・フィリス(Tom Phillis)は、オーストラリア人バイクレーサーの世界進出を語るうえで欠かせない先駆者です。
1961年のスペインGPで125ccクラスを制し、ホンダに世界GP初勝利をもたらしました。
その年の125cc世界タイトルも獲得し、ホンダにとって最初のライダー世界王者となっています。
日本メーカーが世界GPへ本格進出した初期に、オーストラリア人がその歴史的な勝利とタイトルをもたらした点でも重要な人物です。
ケル・キャラザース
ケル・キャラザース(Kel Carruthers)は、1969年にベネリで250cc世界王者となったオーストラリア人です。
125cc、250cc、350cc、500ccと複数クラスで世界GPを戦い、マン島TTでも活躍しました。
引退後はアメリカでチーム運営・技術指導に携わり、後に500cc世界王者となるケニー・ロバーツを支えた人物としても知られています。
ウェイン・ガードナー
ウェイン・ガードナー(Wayne Gardner)は、ニューサウスウェールズ州ウロンゴン(Wollongong)出身。1980年代のオーストラリアを代表するライダーです。
1987年、ホンダNSR500で7勝を挙げ、オーストラリア人として初めて500cc世界王者となりました。
1989年にフィリップ島で初めて開催されたオーストラリアGPでも優勝し、母国のモーターサイクル人気を大きく押し上げました。
鈴鹿8時間耐久ロードレースでも活躍し、日本のホンダと非常に強い結びつきを持ったライダーです。
ミック・ドゥーハン
ミック・ドゥーハン(Mick Doohan)は、クイーンズランド州出身で、1990年代の世界GPを代表する絶対的王者です。
1994年から1998年まで500cc世界選手権を5年連続制覇。最高峰クラス通算54勝、95回の表彰台を記録しました。
1992年のアッセンで大事故に遭い、左脚切断の危機に直面しながら復帰。その後5連覇を達成したことから、バイクレース史上でも特に強靭な精神力を持つ選手として知られています。
ホンダ一筋で世界GPを戦い、日本のファンにも非常に人気が高いライダーでした。
ダリル・ビーティー
ダリル・ビーティー(Daryl Beattie)は、クイーンズランド州チャールビル(Charleville)出身です。
ホンダ、スズキで500cc世界選手権を戦い、1995年には同胞ミック・ドゥーハンと世界タイトルを争い、年間ランキング2位となりました。
怪我によって競技生活は短くなりましたが、1990年代のオーストラリア勢の強さを象徴するライダーの一人です。
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ギャリー・マッコイ
ギャリー・マッコイ(Garry McCoy)は、シドニー(Sydney)出身。
2000年、ヤマハYZR500で南アフリカ、ポルトガル、バレンシアの3勝を挙げました。
後輪を大きく滑らせながらコーナーを立ち上がる豪快なスライド走法で世界中のファンを魅了し、タイヤを滑らせる走りを象徴するライダーとなりました。
ケーシー・ストーナー
ケーシー・ストーナー(Casey Stoner)は、クイーンズランド州ゴールドコースト(Gold Coast)育ち。MotoGP時代のオーストラリアを代表する世界王者です。
2007年にドゥカティで初のMotoGP世界タイトルを獲得。これはドゥカティにとっても初めてのMotoGPライダータイトルでした。
2011年にはホンダへ移籍し、母国フィリップ島で2度目のMotoGP世界王者を決めました。
MotoGPでは38勝、全クラス通算45勝。フィリップ島では2007年から2012年まで6年連続でMotoGPを制し、地元で圧倒的な強さを発揮しました。
2012年末、まだ27歳という若さでMotoGPを引退したことも大きな話題となりました。
ジャック・ミラー
ジャック・ミラー(Jack Miller)は、クイーンズランド州タウンズビル(Townsville)出身の現役MotoGPライダーです。
2014年にMoto3で6勝を挙げて世界ランキング2位となり、翌2015年にはMoto2を経ずにMoto3から直接MotoGPへ昇格する異例のキャリアを歩みました。
2016年アッセンでMotoGP初勝利。ドゥカティ時代には2021年に2勝、2022年には日本GPを含め1勝を挙げ、MotoGP通算4勝を記録しています。
2026年はプリマ・プラマック・ヤマハMotoGP(Prima Pramac Yamaha MotoGP)からヤマハで参戦しています。
セナ・アギウス
セナ・アギウス(Senna Agius)は、ニューサウスウェールズ州リバプール(Liverpool)出身の若手ライダーです。
2023年にMoto2ヨーロッパ選手権を制覇し、2024年からMoto2世界選手権へフル参戦しました。
2025年にはシルバーストンでMoto2初優勝を挙げ、さらにフィリップ島でオーストラリア人として初めてMoto2クラスの母国GPを優勝しました。
2026年もリキモリ・ダイナボルト・インタクトGPで参戦し、COTA、ヘレスなどで勝利。次世代のMotoGP候補として注目されています。
ジョエル・ケルソ
ジョエル・ケルソ(Joel Kelso)は、クイーンズランド州ナンボー(Nambour)出身のMoto3ライダーです。
ダートトラックからロードレースへ転向し、オーストラリア国内選手権を経て世界へ進みました。
2025年には4度の表彰台を獲得し、フィリップ島ではオーストラリア人としてMoto3初の母国ポールポジションを獲得しました。
2026年はGRYDレーシング(GRYD Racing)からホンダでMoto3に参戦しています。
トロイ・コーサー
トロイ・コーサー(Troy Corser)は、ニューサウスウェールズ州ウロンゴン出身。WSBK史を代表するオーストラリア人ライダーです。
1996年にドゥカティで初のWSBK世界タイトルを獲得し、2005年にはスズキで2度目の王者となりました。
異なるメーカーで9年を隔てて2度の世界王者になった長いキャリアが特徴です。
ドゥカティ、アプリリア、スズキ、ヤマハ、BMWなど複数メーカーで世界選手権を戦い、長年WSBKの中心選手として活躍しました。
トロイ・ベイリス
トロイ・ベイリス(Troy Bayliss)は、ニューサウスウェールズ州タリー(Taree)出身。ドゥカティを象徴するスーパーバイク・ライダーです。
2001、2006、2008年にWSBK世界タイトルを3度獲得。WSBK通算52勝、94表彰台を記録しました。
2003~2005年にはMotoGPにも参戦。特に2006年最終戦バレンシアGPでは、引退したばかりのWSBK王者としてドゥカティMotoGPへ代役参戦し、優勝するという劇的な結果を残しました。
WSBKとMotoGP双方で勝利した数少ないライダーで、日本のドゥカティファンにも高い人気があります。
クリス・バーミューレン
クリス・バーミューレン(Chris Vermeulen)は、クイーンズランド州出身のライダーです。
2003年にホンダでWorldSSP世界王者となり、翌年からWSBKへ昇格。10勝を挙げました。
その後MotoGPへ進み、スズキのファクトリーライダーとして活躍。2007年フランスGPでは雨のレースを制し、MotoGP初勝利を挙げています。
アンドリュー・ピット
アンドリュー・ピット(Andrew Pitt)は、ニューサウスウェールズ州出身のWorldSSP王者です。
2001年にカワサキでWorldSSP初タイトルを獲得。このシーズンはレース優勝なしで年間王者になるという珍しい記録を残しました。
その後MotoGPやWSBKにも参戦し、2008年にはホンダで2度目のWorldSSP世界王者となっています。
レミー・ガードナー
レミー・ガードナー(Remy Gardner)は、シドニー生まれ。1987年500cc世界王者ウェイン・ガードナーの息子です。
2021年にMoto2で5勝を挙げ、チームメイトのラウル・フェルナンデスとの激しいタイトル争いを制してMoto2世界王者になりました。
2022年にMotoGPへ昇格した後、2023年からWSBKへ転向。2024年アッセンで初表彰台を獲得し、2025年にも表彰台を記録しました。
2026年もGYTR GRTヤマハWorldSBKチーム(GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team)から参戦しています。
そのほかの有名ライダー
カール・マガリッジ
カール・マガリッジ(Karl Muggeridge)は、2004年WorldSSP世界王者。ホンダ・テンケイトの黄金期を支えました。
ケビン・カーテン
ケビン・カーテン(Kevin Curtain)は、長年WorldSSPのトップで活躍し、2006年には最終戦まで世界タイトルを争いました。フィリップ島でも勝利経験があります。
ジョシュ・ブルックス
ジョシュ・ブルックス(Josh Brookes)は、オーストラリア国内、WorldSSP、英国スーパーバイクで活躍。2004年にワイルドカード参戦したフィリップ島WorldSSPで優勝し、後に英国スーパーバイク王者にもなりました。
ブロック・パークス
ブロック・パークス(Broc Parkes)はWorldSSPで長年活躍し、複数回の年間ランキング上位を記録。MotoGPにも参戦しました。
日本メーカー・日本GPとの関係
オーストラリア人ライダーと日本メーカーの関係は非常に深く、世界GPの歴史そのものと重なります。
| ライダー | 日本との主な関係 |
|---|---|
| トム・フィリス | 1961年にホンダへ初の世界GP勝利と125cc世界タイトルをもたらす |
| ウェイン・ガードナー | ホンダで500cc世界王者、鈴鹿8耐でも活躍 |
| ミック・ドゥーハン | ホンダで500cc世界選手権5連覇 |
| ケーシー・ストーナー | 2011年ホンダでMotoGP世界王者。2010年日本GP優勝 |
| ジャック・ミラー | 2022年MotoGP日本GPでドゥカティを駆って優勝 |
| トロイ・コーサー | スズキ、ヤマハなど日本メーカーでもWSBKを戦う |
| クリス・バーミューレン | ホンダでWorldSSP王者、スズキでMotoGP優勝 |
| レミー・ガードナー | WSBKでヤマハから参戦 |
特にホンダは、トム・フィリスの1961年世界GP初勝利から、ガードナー、ドゥーハン、ストーナーまで、オーストラリア人王者との結びつきが非常に強いメーカーです。
2026年の現役オーストラリア勢
| 選手 | 2026年のカテゴリー・状況 |
|---|---|
| ジャック・ミラー | MotoGP/プリマ・プラマック・ヤマハ |
| セナ・アギウス | Moto2/インタクトGP。2026年も複数勝利 |
| ジョエル・ケルソ | Moto3/GRYDレーシング・ホンダ |
| レミー・ガードナー | WSBK/GYTR GRTヤマハ |
2026年9月時点で、世界GP最高峰MotoGPにフル参戦するオーストラリア人はジャック・ミラーです。
一方、次世代ではセナ・アギウスがMoto2で勝利を重ねており、将来のMotoGP昇格候補として最も注目されるオーストラリア人の一人となっています。
名選手の名前が残るフィリップ島
フィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットは、オーストラリア人ライダーの歴史をそのままコース名で感じられる場所です。
| 場所 | 由来 |
|---|---|
| ガードナー・ストレート | 1987年500cc世界王者ウェイン・ガードナー |
| ドゥーハン・コーナー(ターン1) | 500cc世界選手権5連覇のミック・ドゥーハン |
| ストーナー・コーナー(ターン3) | MotoGP世界王者2回のケーシー・ストーナー |
| ミラー・コーナー(ターン4) | 現役MotoGPライダーのジャック・ミラーとその一家 |
ガードナー・ストレートから高速のドゥーハン・コーナーへ飛び込み、ストーナー・コーナーを抜けていくレイアウトは、オーストラリアのロードレース史そのものと言ってよいでしょう。
サーキットのビジターセンターでは、開催状況によってコースを見渡せるサーキット・ビューイングやモータースポーツの歴史展示も利用できます。
オーストラリアで観戦するなら
2026年MotoGPオーストラリアGP
2026年のMotoGPオーストラリアGP(MotoGP Grand Prix of Australia)は10月23~25日、フィリップ島で開催されます。
金曜日にフリー走行、土曜日に予選とMotoGPスプリント、日曜日にMoto3、Moto2、MotoGPの決勝が行われます。
2026年はASBKも同じ週末にポイントレースを行う予定で、世界GPとオーストラリア国内選手権を同時に楽しめます。
WSBKオーストラリアラウンド
2026年のWSBKオーストラリアラウンドは2月20~22日にフィリップ島で開催され、シーズン開幕戦となりました。
WSBKはMotoGPより市販車に近いマシンで争われ、パドックへの距離も比較的近いことから、バイク好きにはMotoGPとは違った魅力があります。
フィリップ島へのアクセス
メルボルン中心部からフィリップ島までは車で約2時間。MotoGP開催時にはメルボルンから観戦用コーチも運行されます。
大会期間中は島内や周辺の宿泊施設が早く満室になるため、観戦を目的とする場合はチケットと宿泊を早めに確保するのがおすすめです。
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オーストラリア出身のバイクレーサーに関するよくある質問(FAQ)
ウェイン・ガードナー、ミック・ドゥーハン、ケーシー・ストーナーの3人です。ガードナーは1回、ドゥーハンは5回、ストーナーは2回世界タイトルを獲得しています。
5回です。1994年から1998年まで500cc世界選手権を5年連続で制覇し、最高峰クラス通算54勝を記録しました。
2回です。2007年にドゥカティ、2011年にホンダでタイトルを獲得しました。
トロイ・コーサーとトロイ・ベイリスです。コーサーが2回、ベイリスが3回で、2人合わせて5タイトルを獲得しています。
2026年9月時点でMotoGP通算4勝です。2016年アッセン、2021年スペインとフランス、2022年日本GPで優勝しています。
はい。ウェインが父、レミーが息子です。父は1987年500cc世界王者、息子は2021年Moto2世界王者で、親子で異なる時代の世界タイトルを獲得しています。
2026年10月23~25日にフィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットで開催されます。MotoGP決勝は10月25日です。
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