ロードトレインとは?アウトバックを走る世界最大級のトラック

オーストラリアのアウトバックを車で走っていると、地平線の向こうから巨大なトラックが近づいてくることがあります。
先頭のけん引車が通り過ぎても、まだ終わりません。
1台目のトレーラー、2台目、さらに3台目――。
これが、オーストラリア内陸部を象徴するロードトレイン(Road Train)です。
長いものでは全長50メートルを超え、牛や羊、鉱石、燃料、食料、建設資材など、大量の荷物を一度に運びます。
2026年現在、オーストラリアの大型車両制度では、指定された道路網を走るロードトレインに全長53.5メートル級の車両構成があります。
乗用車を約10台縦に並べたほどの長さです。


ロードトレインは「巨大なトラックを見せるため」に生まれたものではありません。
都市と牧場、鉱山、遠隔地の町との間が数百キロ、時には1,000キロ以上離れるオーストラリアでは、一度に大量の貨物を運ぶことに大きな意味があります。
この記事では、ロードトレインとはどんな車両なのか、なぜオーストラリアで発達したのか、何台のトレーラーを連結するのか、どのくらい長いのか、どこで見られるのか、そして旅行者が道路上で出会ったときに注意したいことまで詳しく紹介します。
- ロードトレインとは?
- 巨大な「1台のトラック」ではない
- ロードトレインはどれくらい長い?
- 53.5メートルは乗用車約10台分
- ダブル・トリプル・クアッドとは?
- Aダブル、Aトリプルとは?
- Bダブルとは何が違う?
- なぜオーストラリアでロードトレインが必要?
- 巨大牧場とロードトレイン
- 鉱山を支えるロードトレイン
- 遠隔地の町へ生活物資を届ける
- ロードトレインの歴史
- 政府が走らせたAECロードトレイン
- カート・ヨハンセンと現代ロードトレイン
- 「バーサ」と呼ばれた最初期のロードトレイン
- 何を運んでいる?
- 牛を運ぶロードトレイン
- 燃料を運ぶロードトレイン
- どんな道路を走れる?
- 町の手前でトレーラーを切り離すことも
- 旅行中はどこで見られる?
- ノーザンテリトリー
- 西オーストラリア州
- クイーンズランド州・南オーストラリア州
- 追い越しは想像以上に時間がかかる
- 対向してきた場合は?
- 巻き起こす風にも注意
- 巨大な死角がある
- 交差点では大きく膨らんで曲がる
- 夜間はさらに注意
- アリス・スプリングスで本物を見る
- ロードトレインはオーストラリアだけ?
- ロードトレインも電動化・自動化する?
- ロードトレインはアウトバックの生命線
- よくある質問
ロードトレインとは?
ロードトレインとは、大型のけん引車に複数のトレーラーを連結して走る長大な貨物車両です。
「トレイン」という名前ですが、もちろん鉄道ではありません。
道路の上を走る列車のように見えることから、この名前で呼ばれています。
オーストラリアの大型車両制度では、ロードトレインはBダブルとは区別され、基本的にけん引車が2台以上のトレーラーを引く車両構成として扱われます。
実際の車両には、トレーラー同士をつなぐコンバーター・ドリー(converter dolly)という小型の連結車軸を使用するものなど、さまざまな形式があります。
巨大な「1台のトラック」ではない
ロードトレインを初めて見ると、「ものすごく長いトラック」という印象を受けます。
しかし実際には、1台の巨大車両を造っているわけではありません。
先頭にあるエンジンを搭載したけん引車へ、複数のトレーラーを連結しています。
この仕組みには大きな利点があります。
必要な輸送量や走行する道路に応じて、トレーラーの数や組み合わせを変更できるからです。
長い編成でアウトバックを走り、町の手前で一部のトレーラーを切り離し、短い編成にして配送先へ向かうこともできます。
ロードトレインはどれくらい長い?
オーストラリアで道路を走る大型車両には、長さ、幅、高さ、重量、車軸数など細かな規則があります。
2026年8月に改正された大型車両規則でも、ナショナル・ヘビー・ビークル・レギュレーター(National Heavy Vehicle Regulator/NHVR)が扱う制度上、ロードトレインの最大長として53.5メートルが設定されています。
西オーストラリア州でも、53.5メートル級ロードトレイン用の認可道路網があります。
ノーザンテリトリーの大型車両基準でも、ロードトレインの標準的な最大長は53.5メートルです。
ただし「53.5メートルならどこでも走れる」という意味ではありません。
車両構成と道路によって走行できる場所が細かく定められています。
| 車両の例 | 長さの目安 |
|---|---|
| 一般的な大型連結車 | 約19~20m級 |
| Bダブル | 約25~26m級 |
| タイプ1ロードトレイン | 最大36.5m級 |
| タイプ2ロードトレイン | 最大53.5m級 |
州・準州、車両構成、認可道路によって条件は異なるため、上の数字は旅行者が大きさを理解するための目安です。
53.5メートルは乗用車約10台分
53.5メートルと言われても、なかなか大きさを想像できません。
クイーンズランド州政府は、53.5メートルのロードトレインを乗用車約10台分の長さと説明しています。
一般的な観光バスの数倍です。
道路脇に停車している姿を見ると長さを実感できますが、走行中に横から見るとさらに驚きます。
先頭のけん引車が通り過ぎてから、最後のトレーラーが目の前を通過するまでにかなり時間があります。
ダブル・トリプル・クアッドとは?
旅行者が見た目で理解するなら、まずトレーラーの数に注目するとわかりやすいでしょう。
| 呼び方 | 大まかなイメージ |
|---|---|
| ダブル | トレーラーを2つ組み合わせた長い編成 |
| トリプル | 3つの積載部分を持つ非常に長い編成 |
| クアッド | 4つの積載部分を組み合わせる超長大編成 |
ただし正式な車両区分はもう少し複雑です。
単純に「トレーラーが3台だからすべて同じトリプル」というわけではなく、セミトレーラー同士をどのような連結方式でつなぐかによって名称が変わります。
Aダブル、Aトリプルとは?
ロードトレインでは、Aダブル(A-double)、Aトリプル(A-triple)、ABトリプル、BABクアッドなどの名称を見かけます。
「A」「B」はトレーラーの連結方法を示しています。
A連結では、前のトレーラーと次のセミトレーラーの間にコンバーター・ドリーを使うのが基本です。
Aトリプルの場合は、こうした方法で複数のセミトレーラーをつないだ非常に長い編成になります。
2026年のNHVRロードトレイン認可制度には、Aトリプルや一部のクアッド編成で53.5メートルまで認められるものがあります。
Bダブルとは何が違う?
オーストラリアの高速道路を走っていると、Bダブル(B-double)もよく見かけます。
Bダブルもトレーラーを2つつないだ大型貨物車ですが、法律上はロードトレインとは別の車両構成として扱われます。
Bダブルでは、1台目のトレーラー後部にある連結装置へ2台目のセミトレーラーを直接つなぎます。
ロードトレインのAダブルでよく使われるコンバーター・ドリーを間に挟みません。
そのため、見た目が長い大型トラックだからといって、すべてがロードトレインというわけではありません。
なぜオーストラリアでロードトレインが必要?
ロードトレインが発達した最大の理由は、オーストラリアの距離と人口密度です。
日本なら隣の都市まで数十キロという地域が多いですが、オーストラリア内陸部では次の町まで200キロ、300キロということも珍しくありません。
牧場や鉱山になると、主要都市や鉄道からさらに離れています。
すべての場所へ鉄道を建設することも現実的ではありません。
そこで、1人の運転手と1台のけん引車で大量の貨物をまとめて運べるロードトレインが非常に効率的になります。
1台ずつ別々のトラックで運ぶより、長距離輸送では燃料、人員、車両運用を効率化できます。
巨大牧場とロードトレイン
ロードトレインが特に重要になった産業が牧畜です。
オーストラリアの内陸部には、日本の感覚では想像しにくいほど広大な牧場があります。
次の記事で詳しく紹介する「ステーション」と呼ばれる巨大牧場です。
かつて牛を市場や鉄道駅まで運ぶには、牧童が何日、何週間もかけて牛の群れを歩かせました。
これをドロービングと呼びます。
しかし長距離を歩かせれば、牛は体重を落とし、途中で負傷する可能性もあります。
ロードトレインでまとめて輸送できるようになると、遠隔地の牧場から大量の牛を効率的に運べるようになりました。
鉱山を支えるロードトレイン
もうひとつロードトレインと深い関係にあるのが鉱山業です。
西オーストラリア州、ノーザンテリトリー、クイーンズランド州などには、都市から何百キロも離れた鉱山が多数あります。
ロードトレインは鉱石だけでなく、鉱山で必要になる燃料、機械、部品、水、資材などの輸送にも利用されます。
巨大なダンプトラックが鉱山敷地内を走る姿とロードトレインは混同されることがありますが、別のものです。
鉱山用の超大型ダンプは公道を普通に走る車両ではありません。
ロードトレインは、必要な規則と道路条件を満たしたうえで一般の公道を走る長大貨物車です。
遠隔地の町へ生活物資を届ける
ロードトレインが運ぶのは、牛や鉱石だけではありません。
スーパーで販売する食品。
ガソリンスタンドへ届ける燃料。
建設資材。
自動車。
農業機械。
遠隔地で暮らす人々に必要なさまざまな物資が、長距離トラックによって運ばれています。
大雨や洪水によって幹線道路が寸断されると、遠隔地のスーパーで商品が不足するニュースが出ることがあります。
それほど、アウトバックでは道路輸送が生活そのものを支えています。
ロードトレインの歴史
「ロードトレインを発明したのは誰か」という話は、少し注意が必要です。
複数の荷車を一台の動力車で引く考え方そのものは、オーストラリアより前から存在しました。
蒸気式のけん引車が複数の荷車を引く例もありました。
現在のオーストラリア式ロードトレインにつながる歴史では、20世紀前半の政府ロードトレインと、その後のアウトバックの運送業者による改良が重要です。
政府が走らせたAECロードトレイン
1930年代、オーストラリア政府はノーザンテリトリーの遠隔地へ貨物を輸送するため、AEC製の大型車両と複数のトレーラーを組み合わせたロードトレインを運用しました。
当時、内陸部の輸送ではラクダ隊も大きな役割を果たしていました。
AECロードトレインはアリス・スプリングス(Alice Springs)を拠点に、バークリー台地やビクトリア・リバー地域など遠隔地への物資輸送に利用されました。
現在の車両と比べればエンジン出力も低く、道路も未舗装の場所が多い時代です。
それでも、1台の動力車で複数のトレーラーを運ぶという考え方が、アウトバック輸送の可能性を示しました。
カート・ヨハンセンと現代ロードトレイン
現代オーストラリアの商業用ロードトレインの先駆者として知られるのが、カート・ヨハンセン(Kurt Johannsen)です。
1915年、アリス・スプリングス南方のディープ・ウェル(Deep Well)で生まれたヨハンセンは、アウトバックで働く機械技師、運転手、発明家でした。
第二次世界大戦後、大量の牛を遠隔地の牧場から輸送するため、自ら長大なトレーラーシステムを開発します。
ポイントはトレーラーが先頭車両の通った跡をできるだけ正確についていく構造でした。
当時のアウトバックには、現在のような幅広い舗装道路はありません。
細い未舗装路、砂地、曲がりくねった道、川の横断などを通る必要がありました。
後ろのトレーラーが大きく外側へ膨らめば、走ることができません。
ヨハンセンは政府ロードトレインの仕組みを参考にしながら、実用的な自己追従式トレーラーを開発しました。
「バーサ」と呼ばれた最初期のロードトレイン
ヨハンセンが使用した有名な車両が、第二次世界大戦で使われたアメリカ軍のダイヤモンドT980を改造した「バーサ」です。
これに自作のトレーラーを連結し、商業的な牛輸送に使用しました。
アリス・スプリングスのナショナル・ロード・トランスポート・ミュージアム(National Road Transport Museum)では、ヨハンセンの功績を世界初の成功した商業用ロードトレインによる牛輸送と紹介しています。
現在、バーサは同博物館に保存されています。
何を運んでいる?
ロードトレインの形は、積み荷によって大きく変わります。
| 積み荷 | 車両の特徴 |
|---|---|
| 牛・羊 | 側面に通気口のある家畜輸送トレーラー |
| 鉱石 | 大型のダンプ式トレーラー |
| 燃料 | 複数のタンクを連結 |
| 穀物 | 穀物輸送用トレーラー |
| 一般貨物 | 箱型・平ボディ・コンテナなど |
| 自動車・機械 | 専用の運搬トレーラー |
旅行中に同じロードトレインを見ても、ノーザンテリトリーでは牛、西オーストラリア州の鉱山地域では鉱石や資材など、地域の主要産業によって姿が変わります。
牛を運ぶロードトレイン
旅行者にとって最も「オーストラリアらしい」姿のひとつが、家畜を満載したロードトレインでしょう。
大型の家畜輸送トレーラーを2台、3台と連結し、何十頭もの牛を一度に運びます。
牧場から集荷地点、家畜市場、肥育場、港、食肉処理施設などへ向かいます。
長距離輸送になるため、動物福祉、積載密度、休息、水、輸送時間などにも規則があります。
燃料を運ぶロードトレイン
巨大な円筒形のタンクを何本も連ねたロードトレインも、アウトバックではよく見かけます。
遠隔地の町、牧場、鉱山では大量のディーゼル燃料が必要です。
鉄道やパイプラインがない地域では、タンクローリー型のロードトレインが燃料供給の重要な役割を担います。
ただし危険物を大量に積んでいる車両です。
旅行者は「珍しいから近くで見たい」と不用意に接近せず、休憩所などでも作業の邪魔にならない距離を保ちましょう。
どんな道路を走れる?
ロードトレインは、好きな道路を自由に走れるわけではありません。
長さや車両構成に応じて、認められた道路網を走ります。
NHVRでは、36.5メートル級のタイプ1ロードトレインと53.5メートル級のタイプ2ロードトレインなどについて、それぞれ走行可能な道路網が定められています。
西オーストラリア州も独自の大型車両道路網を運用しており、53.5メートル級のロードトレインが走れる道路を指定しています。
橋の強度、交差点の形状、道路幅、路肩、交通量などを考えれば、当然の仕組みです。
町の手前でトレーラーを切り離すことも
長いロードトレインが都市中心部へそのまま入れば、交差点を曲がるだけでも大変です。
そこでアウトバックの町や幹線道路沿いには、ロードトレイン・アセンブリー・エリアと呼ばれる場所があります。
ロードトレインを停車させ、トレーラーを連結したり切り離したり、編成を変更したりするための場所です。
西オーストラリア州ではこうした施設が道路網の各地に設けられています。
ノーザンテリトリーのダーウィン郊外ウィシャートにも大型のロードトレイン組立・駐車施設があります。
アウトバックでは超長大編成で走り、都市部へ配送するときは短くする。
これもロードトレインを実用的に使うための工夫です。
旅行中はどこで見られる?
ロードトレインを見るために特別な観光ツアーへ参加する必要はありません。
アウトバックの主要道路を長距離ドライブすれば、かなりの確率で遭遇します。
ただしシドニーやメルボルンの中心部で、53.5メートル級の巨大ロードトレインが普通に走っているわけではありません。
特に見かけやすいのは、ノーザンテリトリー、西オーストラリア州、クイーンズランド州内陸部、南オーストラリア州北部などです。
ノーザンテリトリー
ロードトレインらしい風景を見たいなら、ノーザンテリトリーは代表的な地域です。
アリス・スプリングスから北へダーウィン、南へ南オーストラリア州を結ぶスチュアート・ハイウェイ(Stuart Highway)。
クイーンズランド州方面へ向かうバークリー・ハイウェイ(Barkly Highway)。
キンバリー方面へ続くビクトリア・ハイウェイ(Victoria Highway)。
こうした道路は長距離貨物輸送の重要なルートです。
アリス・スプリングス周辺では、家畜輸送、燃料、一般貨物などさまざまなロードトレインを見ることができます。
西オーストラリア州
西オーストラリア州もロードトレイン王国と呼びたくなるほど、大型貨物車が重要な地域です。
州北部のピルバラ(Pilbara)やキンバリー(Kimberley)では、鉱山、牧畜、港湾を結ぶ道路で長大な車両が走ります。
グレート・ノーザン・ハイウェイ(Great Northern Highway)などをドライブすると、旅行者も頻繁に大型トラックと出会います。
西オーストラリア州政府は53.5メートル級を含むロードトレイン道路網を公開しており、道路ごとに走行条件が設定されています。
クイーンズランド州・南オーストラリア州
クイーンズランド州内陸部でもロードトレインは重要です。
牛、農産物、鉱業関連の貨物を長距離輸送しています。
南オーストラリア州では、ポート・オーガスタ以北やスチュアート・ハイウェイ、ナラボー方面などで長大車両を見る機会があります。
NHVRの2026年ロードトレイン認可制度にも、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州で36.5メートル級や53.5メートル級など、車両構成ごとの道路網が定められています。
追い越しは想像以上に時間がかかる
アウトバックをレンタカーで旅行するとき、最も注意したいのがロードトレインの追い越しです。
普通の乗用車を追い越す感覚ではいけません。
車体が50メートル以上ある場合、最後尾を抜けるまで非常に長い距離を走る必要があります。
クイーンズランド州政府も、ロードトレインを追い越す場合は前方が十分に見渡せる場所だけで行うよう案内しています。
カーブや坂の頂上付近で追い越してはいけません。
可能であれば、追い越し車線が設けられている場所まで待つのが最も安全です。
「今なら行けそう」と少しでも迷うなら、追い越さない。
アウトバックでは、この判断が非常に重要です。
対向してきた場合は?
道幅の広い幹線道路なら、それほど特別なことをする必要はありません。
自分の車線を維持し、安全な速度で走ります。
問題は幅の狭い地方道路です。
クイーンズランド州政府は、狭い道路でロードトレインが対向してきた場合には、速度を落とし、必要に応じて路肩へ寄り、場合によっては停止するよう案内しています。
ただし路肩が柔らかい場合、急にタイヤを落とすとかえって危険です。
道路状況を見ながら、十分早めに減速することが大切です。
巻き起こす風にも注意
巨大なロードトレインが高速で通過すると、大きな空気の流れが発生します。
特に狭い道路ですれ違うと、「吸い込まれるような感じ」や強い横風を感じることがあります。
さらにロードトレインが巻き上げた砂、小石、道路上のごみが飛んでくることもあります。
クイーンズランド州政府も、ロードトレインが生み出す風によって道路上の破片が飛び、フロントガラスに当たる可能性があるとして注意を呼びかけています。
対向車が見えたら早めに速度を落とすのが安全です。
巨大な死角がある
大型トラックには乗用車よりはるかに大きな死角があります。
特に助手席側、車両直後、けん引車のすぐ前などは運転手から見えにくくなります。
ロードトレインでは車両そのものが長いため、なおさら注意が必要です。
大型トラックの近くを走るときによく使われる目安が、「こちらから運転手のミラーが見えなければ、運転手からもこちらが見えていない可能性が高い」という考え方です。
ロードトレインの真横を長時間並走するのは避けましょう。
交差点では大きく膨らんで曲がる
50メートル級の車両は、乗用車のようには曲がれません。
左折・右折するとき、前部と後部のタイヤが通る軌跡が大きく異なります。
そのためロードトレインや大型車は、曲がるために複数の車線を使用することがあります。
「DO NOT OVERTAKE TURNING VEHICLE」と表示された大型車が曲がろうとしている場合、無理に内側や外側へ入り込んではいけません。
運転手から見えにくいうえ、トレーラーの内輪差に巻き込まれる危険があります。
夜間はさらに注意
アウトバックでは日没後、カンガルーや牛などが道路へ出てくる危険が高まります。
大型トラックの運転手も同じ危険にさらされています。
ロードトレインは乗用車よりはるかに重いため、急には止まれません。
旅行者が夜間に大型車の直前へ割り込めば、非常に危険です。
またトラックの照明が遠くから複数見えても、距離感をつかみにくいことがあります。
アウトバックの長距離ドライブでは、可能なら明るいうちに目的地へ到着する計画がおすすめです。
アリス・スプリングスで本物を見る
ロードトレインの歴史をじっくり見たいなら、アリス・スプリングスのナショナル・ロード・トランスポート・ミュージアムがおすすめです。
ここには現代ロードトレインの歴史を語るうえで重要なカート・ヨハンセンの「バーサ」が展示されています。
さらに、戦前からノーザンテリトリーで使われたAEC政府ロードトレインも保存されています。
大型トラックだけでなく、アウトバックの輸送を支えた運転手や運送会社の歴史、古いガン鉄道に関する展示もあります。
| 施設 | ナショナル・ロード・トランスポート・ミュージアム |
|---|---|
| 場所 | 92 Norris Bell Avenue, Alice Springs |
| 2026年営業時間 | 日曜~金曜 9:00~15:00 |
| 休館 | 土曜日 |
2026年は12月13日に夏季休館へ入り、2027年1月11日に再開予定と公式サイトで案内されています。
展示量が多いため、博物館側では少なくとも1時間30分程度を確保することを勧めています。
ロードトレインはオーストラリアだけ?
複数トレーラーを連結した長大貨物車は、オーストラリアだけに存在するわけではありません。
カナダ、アメリカ、南アフリカなどでも長い連結車両が利用されています。
ただし非常に長いロードトレインを日常的な公道物流に使う風景は、オーストラリア内陸部を象徴するものになっています。
広大な国土、人口の少ない内陸部、巨大牧場、鉱山、長距離道路という条件が組み合わさった結果です。
「世界最大のトラック」という表現を見かけることもありますが、厳密には注意が必要です。
ロードトレインは1台のトラックそのものが世界最大という意味ではなく、複数のトレーラーを連結することで世界でも最大級の長さになる公道用貨物車両と考えるのがわかりやすいでしょう。
ロードトレインも電動化・自動化する?
長距離トラックの世界でも、燃料消費や二酸化炭素排出量の削減が大きな課題になっています。
オーストラリアではバッテリー交換式の大型電動トラックや、水素を使った大型車、自動運転技術などの実証も進められています。
ただしロードトレインは都市部の配送トラックとは条件がまったく違います。
数百キロにわたって充電設備がない地域を走ることがあります。
非常に重い荷物を積み、極端な暑さの中を長時間走ります。
そのため電動化には、航続距離、充電・交換設備、車両重量など多くの課題があります。
一方、鉱山のように決まったルートを繰り返し走る輸送では、自動化や新しい動力方式を導入しやすい面もあります。
数十年後には、現在とはまったく違うロードトレインがアウトバックを走っているかもしれません。
ロードトレインはアウトバックの生命線
全長50メートルを超える巨大なロードトレインを見ると、どうしてもその「大きさ」に目を奪われます。
しかし本当に面白いのは、なぜこの車両が必要になったのかという背景です。
巨大な牧場。
都市から何百キロも離れた鉱山。
鉄道のない遠隔地。
数百キロ離れた町。
そして、そのすべてへ食料、燃料、家畜、鉱石、機械を運ばなければならない国。
ロードトレインは、こうしたオーストラリア特有の「距離」を克服するために発達した輸送手段です。
1930年代の政府ロードトレインから、カート・ヨハンセンの改良、そして現在の53.5メートル級の車両まで、その歴史はアウトバック開発の歴史とも重なります。
旅行者にとっては「巨大で格好いいトラック」ですが、遠隔地で暮らす人々にとっては生活物資を運んでくる存在であり、牧場や鉱山にとっては産業を支える重要な交通手段です。
アウトバックをドライブしてロードトレインに出会ったら、ぜひその長さだけでなく、積み荷にも注目してみてください。
牛を運んでいるのか。
燃料なのか。
鉱山の資材なのか。
その巨大な車両の行き先を想像すると、観光地だけでは見えにくいオーストラリアのもうひとつの姿が見えてきます。
よくある質問
大型のけん引車に複数のトレーラーを連結した長距離貨物車両です。オーストラリアでは牧畜、鉱業、燃料輸送、遠隔地への物資輸送などで広く使用されています。
2026年現在、NHVR制度や西オーストラリア州、ノーザンテリトリーでは53.5メートル級のロードトレインが認められています。ただし走行できる道路や車両構成には細かな条件があります。
厳密には「1台のトラックそのものが世界最大」という意味ではありません。複数のトレーラーを連結することで、世界でも最大級の長さになる公道用貨物車両です。鉱山で使われる超大型ダンプなどとは別の種類です。
ダブル、トリプル、クアッドなど複数の車両構成があります。ただし実際の区分は単純な台数だけではなく、Aトリプル、ABトリプル、BABクアッドなど連結方法によって分かれます。道路網ごとに使用できる車両も異なります。
ノーザンテリトリー、西オーストラリア州、クイーンズランド州内陸部、南オーストラリア州北部などでよく見られます。スチュアート・ハイウェイやグレート・ノーザン・ハイウェイなど、長距離貨物輸送路を走ると遭遇する機会があります。
追い越し禁止区間でなく、安全が十分確認できれば可能ですが、通常の車よりはるかに長いため特に慎重な判断が必要です。カーブや坂では追い越さず、できれば追い越し車線まで待ちましょう。前方が十分に見通せない場合は追い越さないでください。
通常の幅がある道路では自分の車線を維持し、早めに速度を落とします。狭い道路では道路状況を確認し、安全に可能であれば路肩へ寄り、必要なら停止します。ロードトレインが生み出す風や小石にも注意してください。
複数車両を一台の動力車で引く考え方自体は以前からありました。オーストラリアでは1930年代の政府AECロードトレインが先駆けとなり、第二次世界大戦後にカート・ヨハンセンが自己追従式トレーラーを改良し、実用的な商業用ロードトレインによる牛輸送を発展させた人物として知られています。
はい。アリス・スプリングスのナショナル・ロード・トランスポート・ミュージアムでは、カート・ヨハンセンの「バーサ」やAEC政府ロードトレインなどを見ることができます。
オーストラリアの旅行手配
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