オーストラリアの最低賃金はいくら?カジュアル・パートタイム・フルタイムの違いと給料の計算方法

オーストラリアでワーキングホリデーやアルバイトを考えている方にとって、気になるのが給料です。
日本と比べて時給が高いと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、オーストラリアの最低賃金は日本より高い水準にあります。
ただし、求人広告に書かれている時給だけで仕事を選ぶのは少し注意が必要です。
オーストラリアには、カジュアル(Casual)、パートタイム(Part-time)、フルタイム(Full-time)という雇用形態があり、それぞれ給与や有給休暇などの条件が異なります。
また、レストランやホテル、小売店などでは、土曜日、日曜日、祝日に働くと通常より高い時給が適用される場合があります。
例えば、平日の時給がA$33程度の仕事でも、日曜日にはA$46以上、祝日にはA$66以上になるケースがあります。
一方で、雇用主から提示された金額が、その仕事に適用される最低賃金を下回っている場合もあります。ワーキングホリデーだからといって、最低賃金より安く働かなければならないという決まりはありません。
この記事では、オーストラリアの最低賃金、カジュアル・パートタイム・フルタイムの違い、土日祝日の割増賃金、業種別の時給、実際の給与計算方法、給与明細の確認方法まで詳しく解説します。
2026年7月1日から適用されている最新の賃金を使用し、オーストラリア政府の労働条件に関する公式情報をもとに説明します。


オーストラリアの最低賃金はいくら?
オーストラリアの最低賃金は、原則として毎年見直されています。
2026年7月1日から適用されている全国最低賃金(National Minimum Wage)は、次のとおりです。
| 項目 | 最低賃金 |
|---|---|
| 成人の全国最低時給 | A$26.44 |
| 成人の全国最低週給 | A$1,004.90 |
| カジュアルの最低時給 | A$33.05 |
| 適用開始 | 2026年7月1日以降の最初の完全な給与計算期間から |
ここで示した金額は、いずれも税引前の金額です。
また、A$26.44という時給は、原則としてアワードや登録された労働協約の適用を受けない成人労働者の全国最低賃金です。
全国最低週給のA$1,004.90は、週38時間の標準的な労働時間に対する公定金額です。時給表示は小数点以下2桁に丸められているため、表示時給を単純に38倍した金額とは端数が一致しません。
すべての仕事の最低時給がA$26.44というわけではない
ここは非常に重要です。
オーストラリアでは、多くの仕事にアワード(Award)と呼ばれる業種別・職種別の賃金規則が適用されます。
そのため、レストラン、ホテル、スーパー、建設業、農業などでは、それぞれの仕事に対応する最低賃金を確認する必要があります。
例えば、ホテルのフロントスタッフとレストランの調理補助では、適用される賃金規則や職務等級が異なる場合があります。
また、2026年の賃金改定では、多くのアワードの最低賃金が4.75%引き上げられました。
新しい最低賃金は、原則として2026年7月1日以降に始まる最初の完全な給与計算期間から適用されています。
給与の締め日によっては、7月1日その日からではなく、次の給与計算期間から適用される場合があります。
公式情報:フェアワーク・オンブズマン:2026年最低賃金改定
最低賃金は仕事によって違う?Awardの仕組み
オーストラリアで働く際に知っておきたいのが、アワードという制度です。
アワードは、一定の業種や職種の労働者について、最低賃金や労働条件を定めた法的な規則です。
正式にはモダン・アワード(Modern Award)と呼ばれています。
アワードには、最低時給だけでなく、次のような内容も定められています。
- 職種・経験に応じた賃金等級
- カジュアル雇用の時給
- 土曜日・日曜日・祝日の割増賃金
- 早朝・深夜勤務の手当
- 残業代
- 最低勤務時間
- 休憩時間
- 各種手当
例えば、ワーキングホリデーで働く方が多い業種には、次のようなアワードがあります。
| 仕事の種類 | 代表的な賃金規則 |
|---|---|
| レストラン・カフェ | Restaurant Industry Award |
| ホテル・宿泊施設 | Hospitality Industry (General) Award |
| スーパー・一般小売店 | General Retail Industry Award |
| 果物・野菜の栽培・収穫 | Horticulture Award |
| 建設関連 | 仕事内容に応じた建設業等のアワード |
ただし、仕事の場所や業務内容によっては、表とは別のアワードや企業別労働協約(Enterprise Agreement)が適用される場合もあります。
例えば、同じ接客の仕事でも、ホテル内のレストランと独立したレストランでは、賃金規則が異なることがあります。
職務等級にも注意
アワードには、Level 1、Level 2、Level 3などの職務等級が設けられている場合があります。
仕事の内容、責任、必要な技能、経験などによって適用される等級が決まります。
例えば、簡単な清掃や補助業務と、専門的な調理や接客、管理業務では、最低賃金が異なることがあります。
雇用主から提示された時給が正しいか確認するには、どのアワードの、どの職務等級が適用されるのかを把握することが大切です。
カジュアル・パートタイム・フルタイムの違い
オーストラリアで仕事を探していると、求人広告にCasual、Part-time、Full-timeという雇用形態が書かれています。
日本でもアルバイト、パート、正社員などの区分がありますが、オーストラリアの制度は少し異なります。
特に、日本で使う「パート」と、オーストラリアのPart-timeは必ずしも同じではありません。
フルタイム
フルタイムは、通常、週平均38時間働く雇用形態です。
継続的な雇用を前提とする場合が多く、有給休暇や病気休暇などの権利があります。
ただし、仕事内容やアワードによって具体的な勤務時間や勤務日の取り扱いは異なります。
パートタイム
パートタイムは、通常、週38時間より短い時間で、比較的規則的に働く雇用形態です。
例えば、毎週月曜日から木曜日まで、1日5時間勤務するような働き方です。
フルタイムと同様に、有給休暇や病気休暇などが勤務時間に応じて付与されます。
カジュアル
カジュアルは、継続的な仕事の提供について確約がなく、カジュアル特有の給与条件が適用される雇用形態です。
仕事が忙しいときには多くのシフトに入れてもらえても、閑散期には勤務時間が減ることがあります。
その代わり、通常はカジュアル・ローディングという賃金の上乗せがあります。
| 項目 | フルタイム | パートタイム | カジュアル |
|---|---|---|---|
| 勤務時間 | 通常週平均38時間 | 通常週38時間未満 | 勤務状況により変動 |
| 勤務の継続性 | 通常は継続的 | 通常は継続的 | 継続的な仕事の確約がない |
| 有給の年次休暇 | あり | 比例付与 | 通常なし |
| 有給の病気・介護休暇 | あり | 比例付与 | 通常なし |
| カジュアル上乗せ賃金 | なし | なし | 通常25% |
| スーパーアニュエーション | 対象 | 対象 | 対象 |
なお、カジュアルにも、家庭内暴力に関する有給休暇など、一部の法律上の休暇権利があります。「カジュアルには一切の休暇がない」という説明は正確ではありません。
パートタイムは必ず時給が低い?
カジュアルと比べると、通常の時間給は低いことがあります。
しかし、パートタイムには有給休暇などがあるため、単純に時給だけで有利・不利を判断できません。
一定の勤務日数が保証されていることや、収入の見通しを立てやすいこともメリットです。
一方、ワーキングホリデーでさまざまな地域を移動しながら働きたい方にとっては、カジュアルが便利な場合もあります。
カジュアルの時給が25%高い理由
カジュアル雇用の特徴が、カジュアル・ローディング(Casual Loading)です。
これは、一般的な有給休暇などを受けられないことや、雇用の不安定さを考慮して基本賃金に上乗せされる金額です。
多くのアワードでは、基本時給に25%が加算されます。
例えば、基本時給A$26.44の場合、次のようになります。
A$26.44 × 1.25 = A$33.05
つまり、基本時給A$26.44の仕事でも、25%のカジュアル・ローディングが適用されれば、通常時給はA$33.05になります。
| 基本時給 | 25%上乗せ後 |
|---|---|
| A$26.44 | A$33.05 |
| A$28.00 | A$35.00 |
| A$30.00 | A$37.50 |
| A$32.00 | A$40.00 |
ただし、この表は25%を上乗せする計算例であり、すべての職種に一律に適用される料金表ではありません。
アワードや企業別労働協約によって、具体的な賃金計算方法や適用条件は異なります。
カジュアルはシフトを自由に選べる?
カジュアル雇用では、雇用主がシフトを提示し、従業員が受けるかどうかを判断する形もあります。
ただし、すべてのカジュアルが好きな時間に自由に働けるわけではありません。
シフトの通知方法や変更手続きは、雇用契約やアワードによって異なります。
また、毎週同じ曜日に働いているからといって、それだけで自動的にパートタイムになるわけでもありません。
長期間働いたらパートタイムに変更できる?
2024年以降の制度変更により、一定の条件を満たすカジュアル労働者には、継続雇用への変更を求める手続きが設けられています。
例えば、通常の事業者では6か月以上、小規模事業者では12か月以上働き、その他の条件を満たす場合、フルタイムまたはパートタイムへの変更を申し出られることがあります。
ただし、勤務期間を満たせば自動的に変更される制度ではなく、法律上の条件や手続きがあります。
ワーキングホリデーで同じ職場に長期間勤務する方は、確認しておいてもよいでしょう。
公式情報:フェアワーク:カジュアル雇用の条件
レストラン・ホテル・小売店の最低時給比較
それでは、実際にワーキングホリデーで働く方が多い仕事の時給を比較してみましょう。
以下は2026年7月1日からの公式アワードに基づく料金例です。
いずれも成人の該当する職務等級について、通常の時間帯に働いた場合の最低時給を示しています。
| 仕事・適用アワード | フル・パート時給 | カジュアル時給 |
|---|---|---|
| レストラン Level 1 | A$26.44 | A$33.05 |
| ホテル・宿泊業 Level 1 | A$26.44 | A$33.05 |
| 小売業 Level 1 | A$27.81 | A$34.76 |
| 園芸・収穫業 Level 1 | A$25.74 | A$32.18 |
※各アワードの成人Level 1を比較したもので、すべての従業員に同じ等級が適用されるわけではありません。園芸業のLevel 1など、短期間の入門的な等級には全国最低賃金とは異なる特別な最低賃金が認められています。
レストランとホテルでは時給が同じ?
表ではLevel 1の通常時給が同じですが、土日祝日の割増率や勤務時間の規則などが異なる場合があります。
例えば、日曜日のカジュアル時給は、レストランとホテルで異なるケースがあります。
また、レストランで接客を担当する人が、必ずLevel 1になるとは限りません。
仕事内容や技能によってLevel 2以上が適用される場合もあります。
小売店の仕事は?
スーパーや小売店などでは、一般小売業のアワードが適用される場合があります。
成人Level 1の通常カジュアル時給はA$34.76です。
ただし、勤務する店舗や仕事内容によっては、別のアワードや企業別労働協約が適用されることもあります。
農場の仕事は?
果物や野菜の栽培・収穫などに適用されるホーティカルチャー・アワード(Horticulture Award)では、Level 1のカジュアル最低時給がA$32.18です。
なお、このアワードでは経験に応じた等級の変更が定められており、通常、3か月を超える経験を持つ従業員には、Level 2以上が適用されます。
一般的な「農場の仕事」という言葉だけで、すべて同じ賃金規則になるわけではありません。
公式情報:フェアワーク:業種別最低賃金ガイド
土曜日・日曜日・祝日の割増賃金
オーストラリアの仕事で知っておきたいのが、ペナルティ・レート(Penalty Rates)です。
これは、週末や祝日、通常とは異なる時間帯に働いた場合に適用される割増賃金のことです。
日本語ではペナルティという言葉が少し不自然に感じられるかもしれませんが、従業員が罰金を支払うという意味ではありません。
むしろ、条件に該当する勤務に対して給与が上乗せされる制度です。
ホテル・宿泊業の具体例
ホスピタリティ産業一般アワード(Hospitality Industry (General) Award)の成人Level 1について、フルタイム・パートタイムとカジュアルの通常勤務時給を比較してみましょう。
| 勤務日 | フル・パート | カジュアル |
|---|---|---|
| 平日の通常時間 | A$26.44 | A$33.05 |
| 土曜日 | A$33.05 | A$39.66 |
| 日曜日 | A$39.66 | A$46.27 |
| 祝日 | A$59.49 | A$66.10 |
いずれも2026年7月1日からの成人Level 1の通常勤務に関する料金です。深夜・早朝の追加手当や残業など、別の条件がある場合は金額が変わります。
例えば、ホテルでカジュアルとして働く場合、平日の通常時給がA$33.05でも、日曜日はA$46.27になります。
祝日ならA$66.10です。
祝日に6時間働いた場合、単純な税引前給与は次のようになります。
A$66.10 × 6時間 = A$396.60
もちろん、毎週祝日があるわけではありませんし、祝日に必ずシフトが入るとも限りません。
ただし、週末勤務が多い仕事では、同じ勤務時間でも収入に違いが出ることが分かります。
レストランのカジュアルは日曜日も同じ?
ここで少し意外なのが、独立したレストランなどに適用されるレストラン産業アワード(Restaurant Industry Award)です。
成人Level 1のカジュアルについては、次のような料金になります。
| 勤務日 | カジュアルLevel 1 |
|---|---|
| 平日の通常時間 | A$33.05 |
| 土曜日 | A$39.66 |
| 日曜日 | A$39.66 |
| 祝日 | A$66.10 |
レストラン産業アワードでは、カジュアルのIntroductory~Level 2について、土曜日と日曜日の通常勤務割増率が同じです。
一方、Level 3以上では日曜日の割増率が高くなります。
つまり、レストランとホテルで同じ時給A$33.05の仕事でも、日曜日の給料が異なる場合があるということです。
祝日ならどの仕事でも時給2.5倍?
必ずしもそうではありません。
割増率は適用されるアワード、雇用形態、勤務条件などによって異なります。
また、一般的にカジュアルの休日割増率には、通常のカジュアル・ローディングが含まれています。
例えば、祝日250%という料金に、さらに25%を上乗せするという意味ではありません。
アワードで定められた最終的な時給を確認してください。
参考:Hospitality Industry (General) Award
実際の給料はいくら?週20時間・30時間の計算例
それでは、具体的にどのくらいの給料を受け取れるのか、勤務時間別に計算してみましょう。
まずは、時給A$33.05のカジュアル雇用で、平日の通常時間帯だけ働く場合です。
| 週の勤務時間 | 税引前の週給 | 4週間分 |
|---|---|---|
| 15時間 | A$495.75 | A$1,983.00 |
| 20時間 | A$661.00 | A$2,644.00 |
| 25時間 | A$826.25 | A$3,305.00 |
| 30時間 | A$991.50 | A$3,966.00 |
これはすべて通常時間帯で働き、時給がA$33.05であると仮定した税引前の計算です。
税金のほか、週末勤務、残業、各種手当などは考慮していません。
週末勤務が入った場合
次は、ホテルの成人Level 1のカジュアル従業員として、次のように働いたケースです。
- 平日:20時間
- 土曜日:6時間
- 日曜日:4時間
| 勤務日 | 時給 | 勤務時間 | 給与 |
|---|---|---|---|
| 平日 | A$33.05 | 20時間 | A$661.00 |
| 土曜日 | A$39.66 | 6時間 | A$237.96 |
| 日曜日 | A$46.27 | 4時間 | A$185.08 |
| 週30時間の税引前給与 | A$1,084.04 | ||
同じ30時間でも、すべて平日に働く場合のA$991.50と比べると、週A$92.54多くなります。
4週間続けば、差額はA$370.16です。
ただし、この例はすべての時間が通常勤務として認められ、残業や深夜手当が発生せず、各勤務日の最低勤務時間なども満たしていると仮定しています。
実際の給与計算では、適用されるアワードやシフトの組み方を確認する必要があります。
週30時間働けるとは限らない
カジュアル雇用では、毎週同じ勤務時間が保証されているとは限りません。
例えば、観光客の多い季節には週30時間以上働けても、閑散期には週15時間程度になる可能性があります。
時給が高くても、勤務時間が少なければ収入は減ります。
仕事を選ぶ際には、時給だけでなく、週に何時間程度の勤務が見込めるのかを確認することも重要です。
残業代・深夜手当・休憩時間のルール
オーストラリアでは、長時間働いた場合や深夜に働いた場合にも、アワードに基づく追加の賃金が必要になることがあります。
ただし、日本の残業代の仕組みと同じではありません。
残業代(Overtime)
アワードによっては、通常の勤務時間を超えた場合、150%や200%などの残業割増率が適用されます。
例えば、ホテルやレストランの一部の職務等級では、残業の最初の2時間は基本時給の150%、それ以降は200%などの規則があります。
ただし、カジュアル雇用については、通常勤務時給と残業割増時給の計算方法が異なる場合があります。
また、残業になるかどうかは、単純に1日8時間を超えたかどうかだけで判断するものではありません。
週の通常勤務時間、1日の勤務上限、シフトの組み方など、適用されるアワードの規則を確認する必要があります。
深夜・早朝の追加手当
レストラン産業アワードでは、平日の午後10時から午前0時、午前0時から午前6時など、特定の時間帯に追加手当が設定されています。
一方、ホテル・宿泊業のアワードでは、早朝や深夜の勤務について別の割増条件が設けられています。
そのため、夜遅くまで営業するレストランやバーなどで働く場合は、基本時給だけでなく、深夜勤務の手当も確認しましょう。
休憩時間も給料が出る?
オーストラリアでは、食事休憩や短い休息時間について、アワードごとに規則が定められています。
例えば、食事休憩は無給でも、短い休息時間は有給とされる場合があります。
また、一定時間を超えて働く場合には、指定された休憩を取らせる必要があります。
雇用主が休憩を認めずに働かせた場合、アワードによっては追加賃金が発生することもあります。
休憩時間は業種によって異なるため、すべての仕事に同じルールがあると考えないようにしましょう。
研修や開店準備の時間は無給?
必要な研修、業務ミーティング、開店準備、閉店作業など、雇用主の指示によって働く時間は、通常、賃金支払いの対象になります。
例えば、カフェの営業開始30分前に出勤して清掃や準備をするよう指示されている場合、その時間も労働時間として扱われることがあります。
「お店が開いていない時間だから給料は出ない」という説明が、必ずしも正しいわけではありません。
農場の仕事と歩合給の最低賃金
ワーキングホリデーでは、セカンド・サードビザの取得を目指して農場で働く方もいます。
農場の仕事では、通常の時給制と、収穫した量などによって給与が決まる歩合給(Piece Rate)があります。
時給制のファームジョブ
果物や野菜の栽培、収穫、選別、梱包などの仕事には、ホーティカルチャー・アワードが適用される場合があります。
2026年7月1日からの成人Level 1の最低時給は、フルタイム・パートタイムでA$25.74、カジュアルでA$32.18です。
ただし、Level 1は経験の少ない従業員向けの等級であり、通常3か月を超える経験がある場合にはLevel 2以上への変更が必要になります。
また、ワイン用ブドウの収穫など、別のアワードが適用される業務もあります。
歩合給にも最低賃金保証がある
ホーティカルチャー・アワードでは、歩合給で働く人にも最低賃金保証が設けられています。
例えば、成人Level 1のカジュアルとして7.6時間働いた場合、最低保証額は約A$244.57です。
収穫量から計算した給与がこの金額に達しなかった場合でも、原則として最低保証額を支払う必要があります。
反対に、歩合による計算額が最低保証額を超えている場合は、高い方の給与が適用されます。
ただし、これはホーティカルチャー・アワードの対象となる歩合給の例です。すべての農業関連の歩合給に同じ規則があるわけではありません。
仕事を始める前に確認すること
農場で働く場合は、時給や歩合単価だけでなく、勤務日数、収穫量、住居費、送迎費用なども確認しておきましょう。
歩合給の場合は、仕事を始める前に給与の計算方法を記載した書面を受け取る必要があります。
また、給与明細も保存してください。
21歳未満の最低賃金はどうなる?
オーストラリアで働く方の中には、18歳や19歳でワーキングホリデーに来る方もいます。
ここで注意したいのは、若い労働者に対して、成人とは異なる最低賃金が適用される場合があることです。
オーストラリアでは、ジュニア・レート(Junior Rates)という年齢別の賃金制度が設けられているアワードがあります。
例えば、レストランや小売業のアワードでは、年齢によって成人時給の一定割合が適用される場合があります。
ただし、仕事によっては年齢別の賃金が適用されない場合もあります。
また、成人の時給が適用される年齢はアワードによって異なります。
全国最低賃金の年齢別計算例
アワードや企業別労働協約が適用されない労働者については、21歳未満の年齢別最低賃金が定められています。
2026年7月からの料金例は次のとおりです。
| 年齢 | フル・パート時給 | カジュアル時給 |
|---|---|---|
| 18歳 | A$18.06 | A$22.58 |
| 19歳 | A$21.82 | A$27.28 |
| 20歳 | A$25.84 | A$32.30 |
| 21歳以上 | A$26.44 | A$33.05 |
※アワードや企業別労働協約が適用されない場合の年齢別全国最低賃金です。実際のレストラン、ホテル、小売店などの給与は、適用されるアワードで確認してください。
20歳なら必ず21歳以上より安い?
必ずしもそうではありません。
アワードによっては、年齢にかかわらず特定の職務に成人時給を適用する場合があります。
また、経験や職務等級によって時給が高くなることもあります。
若い方が仕事を探す際には、求人広告に書かれた時給だけでなく、自分の年齢と仕事内容に適用される規則を確認しましょう。
給料から引かれる税金とスーパーアニュエーション
オーストラリアで働く場合、雇用主から提示される時給は通常、税引前の金額です。
実際に銀行口座へ振り込まれる金額は、源泉徴収される所得税などによって変わります。
ワーキングホリデーの所得税
ワーキングホリデービザ417・462の渡航者には、一般的な給与源泉徴収として、ワーキングホリデー渡航者向けの税率が使われる場合があります。
登録された雇用主による通常の源泉徴収では、年度内の対象給与A$45,000までは15%が基本です。
ただし、これはすべての日本人ワーキングホリデー渡航者の最終所得税率が必ず15%になるという意味ではありません。
日本はオーストラリアとの租税条約に差別禁止条項を持つ国のひとつであり、税務上のオーストラリア居住者に該当する場合には、通常の居住者向けの税率が適用されることがあります。
最終的な税額は、税務上の居住者区分、所得、租税条約などによって異なります。
また、雇用主がワーキングホリデー雇用主としてATOに登録していない場合には、給与源泉徴収の扱いが異なる場合があります。
TFNの提出も忘れずに
オーストラリアで働く際には、タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)を雇用主へ提出することが一般的です。
TFNを提出していない場合、一定の条件で通常より高い税率の源泉徴収が必要になる場合があります。
詳しくは、関連記事「オーストラリアのTFN申請方法|ワーホリ到着後に無料で取得する手順と注意点」を参考にしてください。
スーパーアニュエーションとは?
スーパーアニュエーション(Superannuation)は、オーストラリアの退職年金制度です。
日本の厚生年金と同じ制度ではありませんが、雇用主が従業員のために退職年金口座へ拠出する仕組みです。
2026年10月現在、スーパーアニュエーションの基本的な雇用主拠出率は、対象となる給与の12%です。
18歳以上で条件を満たす従業員については、カジュアル・パートタイム・フルタイムのいずれでも、原則として拠出対象になります。
ワーキングホリデー渡航者も対象です。
また、2026年7月1日から、給与支払日に合わせてスーパーアニュエーションを拠出するPayday Super制度が始まりました。
雇用主は、給与支払日と同じタイミングで拠出の手続きを行い、原則として拠出額が7営業日以内に対象の基金へ到達するようにする必要があります。
スーパーアニュエーションは給料から引かれる?
通常、法律上必要な雇用主のスーパーアニュエーション拠出は、従業員の基本給与とは別に支払われます。
ただし、求人に「Super Included」と表示されている場合には、提示金額にスーパーアニュエーション相当額が含まれている可能性があります。
そのため、給与を確認する際には、次の違いに注意してください。
- A$30 per hour + Super:時給A$30に加えてスーパーアニュエーションを拠出する条件
- A$30 per hour including Super:スーパーアニュエーションを含む総額として提示されている条件
もっとも、スーパーアニュエーション込みの表示であっても、実際に適用される最低賃金を下回る基本給与を設定してよいわけではありません。
求人に応募するときは、提示金額が税引前の基本給与なのか、スーパーアニュエーションを含む総額なのか確認してください。
公式情報:フェアワーク:給与の税金とスーパーアニュエーション
給与明細の見方と確認するポイント
オーストラリアで仕事を始めたら、給与が振り込まれるたびに給与明細(Payslip)を確認しましょう。
雇用主は通常、給与支払日から1営業日以内に給与明細を発行する義務があります。
給与明細は紙でも電子データでも構いません。
ただし、必要な情報が記載されている必要があります。
給与明細に記載される主な項目
| 英語 | 意味 |
|---|---|
| Gross Pay | 税引前給与 |
| Net Pay | 税金等を引いた後の給与 |
| Ordinary Hours | 通常勤務時間 |
| Hourly Rate | 時給 |
| Casual Loading | カジュアル上乗せ賃金 |
| Penalty Rate | 土日祝日等の割増賃金 |
| Overtime | 残業 |
| PAYG Withholding | 給与から源泉徴収された税金 |
| Superannuation | 退職年金への拠出 |
| Pay Period | 給与計算の対象期間 |
なお、これらの項目が必ずすべて独立した行として表示されるわけではありません。
例えば、カジュアルの時給A$33.05には、すでに25%のカジュアル・ローディングが含まれている場合があります。
その場合、給与明細に上乗せ部分が別行で表示されていなくても、必要な情報が記載されていれば問題ありません。
勤務時間が合っているか確認する
自分でも勤務時間を記録しておくことをおすすめします。
例えば、次のような内容を記録しておくと便利です。
- 勤務した日付
- 勤務開始時刻
- 勤務終了時刻
- 休憩時間
- 土日・祝日の勤務時間
- 残業時間
給与明細に記載された勤務時間と実際の勤務時間が異なる場合は、雇用主へ確認しましょう。
給与明細が発行されない場合
給与が現金で支払われている場合でも、給与明細の発行義務がなくなるわけではありません。
「現金払いだから給与明細はない」という説明は、一般的な雇用では正しくありません。
特にセカンド・サードワーホリを目指して指定労働を行っている場合、給与明細は重要な勤務証明のひとつになります。
仕事を始めた段階から保存しておきましょう。
最低賃金以下で働かされた場合は?
オーストラリアでは、ワーキングホリデー渡航者や留学生も、通常の労働者と同様に労働法の保護を受けています。
日本人だから、英語が十分に話せないから、短期間しか働かないからという理由で、適用される最低賃金を下回る給与に同意させることはできません。
また、本人が同意したとしても、法律上の最低賃金を下回る契約が有効になるわけではありません。
最低賃金を下回っているかもしれない例
- 適用されるアワードの最低時給より低い金額で働いている
- 土日祝日の割増賃金が必要なのに通常時給で計算されている
- 勤務した時間の一部が給与に含まれていない
- 必要な研修時間が無給になっている
- 給与明細が発行されない
- 雇用主が法律上認められない費用を給与から天引きしている
トライアル勤務は無給でもよい?
カフェやレストランなどでは、採用前にトライアル勤務(Trial Shift)を求められることがあります。
仕事に必要な技能を短時間で確認するための試験的な作業であれば、無給が認められる場合があります。
ただし、雇用主の監督のもとで、必要な技能を確認するために合理的な範囲で行われることが前提です。
例えば、バリスタとして応募し、短時間だけコーヒーを作る技能を確認する場合などです。
一方、通常の従業員と同じように数日間働かせたり、1週間無給で勤務させたりする場合は、賃金の支払いが必要になる可能性があります。
「トライアルだから何日働かせても無給でよい」というわけではありません。
ビザを取り消されることはある?
最低賃金や労働条件について疑問がある場合、フェアワークへ相談することができます。
オーストラリアでは、ビザを持つ外国人労働者にも労働上の権利があります。
雇用主が労働者のビザを自由に取り消すことはできません。ビザの許可や取消しは、オーストラリア政府の権限です。
労働条件に問題がある場合、英語が不安だからといって、相談することを諦める必要はありません。
公式情報:フェアワーク:無給トライアルのルール
自分の正しい時給を調べる方法
自分が受け取るべき正しい最低賃金を調べるには、フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman)の公式サイトを利用するのが確実です。
フェアワークでは、給与や労働条件を確認するためのペイ・アンド・コンディションズ・ツール(Pay and Conditions Tool/PACT)を無料で提供しています。
PACTでは、仕事の種類、雇用形態、職務等級などを選択し、適用される最低時給や割増賃金を調べることができます。
PACTの基本的な使い方
- フェアワークの給与計算ページを開く
- 従業員(Employee)として給与を確認する項目を選択する
- 業種・職種を指定し、適用されるアワードを調べる
- カジュアル・パートタイム・フルタイムを選ぶ
- 職務等級や年齢など、必要な条件を入力する
- 通常時給、土日祝日の割増賃金、残業代などを確認する
仕事の種類が分からない場合は、雇用主に適用されるアワードと職務等級を確認してみましょう。
なお、PACTは便利な計算ツールですが、最終的には適用されるアワードや企業別労働協約の規定が基準になります。
フェアワーク公式:Pay and Conditions Tool
日本語でも相談できる?
フェアワークの公式サイトには、日本語で基本的な労働者の権利を説明するページがあります。
また、電話で相談する場合には、通訳サービスを利用できる場合があります。
給与や労働条件に関するフェアワークの相談電話は、13 13 94です。
通訳が必要な場合は、翻訳・通訳サービス(Translating and Interpreting Service/TIS National)の131 450を利用し、フェアワークにつないでもらうこともできます。
電話の利用可能時間などは変更される場合があるため、事前に公式サイトで確認してください。
オーストラリアの最低賃金に関するよくある質問
まとめ|最低賃金だけでなく雇用形態と割増賃金を確認しよう
オーストラリアの最低賃金は、2026年7月1日から、成人の対象労働者について時給A$26.44、週給A$1,004.90となっています。
ただし、これはすべての仕事に一律適用される時給ではありません。
レストラン、ホテル、小売店、農場などでは、業種別のアワードや企業別労働協約に基づいて賃金が決まる場合があります。
また、オーストラリアの雇用形態には、カジュアル、パートタイム、フルタイムがあり、給与や有給休暇などの条件が異なります。
カジュアルには通常25%の上乗せ賃金がありますが、一般的な有給休暇などがないことや、勤務時間が安定しない可能性も考えておきたいところです。
土曜日、日曜日、祝日の勤務では、アワードに基づく割増賃金が適用されることもあります。
そのため、仕事を選ぶ際には、時給だけを見るのではなく、雇用形態、週の勤務時間、土日祝日の割増賃金、適用されるアワードを合わせて確認することをおすすめします。
また、仕事を始めた後は、給与明細を受け取り、自分の勤務時間や税金、スーパーアニュエーションなどを確認してください。
ワーキングホリデーや留学中のアルバイトでも、最低賃金を含む労働者の権利は守られています。
もし給与や労働条件に疑問がある場合は、フェアワークの公式サイトで調べたり、日本語の案内を利用したりすることができます。
せっかくオーストラリアで働くのですから、正しい労働条件を理解し、安心して仕事を続けられる職場を選びましょう。
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