オーストラリアの司法制度をわかりやすく解説|連邦・州裁判所、陪審、弁護士制度の仕組み

オーストラリアの司法制度は、イギリス法を起源とするコモン・ローの伝統と、連邦国家としての仕組みを組み合わせた制度です。日本のように一つの全国的な裁判所体系だけがあるのではなく、連邦裁判所と州・準州の裁判所が並存しています。
日常的な刑事事件、交通違反、契約トラブル、損害賠償などの多くは州・準州の裁判所で扱われる一方、移民、破産、会社法、連邦行政、知的財産、家族法などは連邦裁判所が重要な役割を持ちます。
その頂点にあるのがオーストラリア高等法院(High Court of Australia)です。高等法院は憲法を解釈し、連邦・州・準州の裁判所からの最終上訴を扱う、オーストラリア司法制度の最高裁判所です。
また、重大な刑事裁判では陪審制度が使われ、バリスター(Barrister)とソリシター(Solicitor)という二つの法律専門職が存在するなど、日本とは異なる特徴もあります。
この記事では、オーストラリアの司法制度について、法の成り立ち、三権分立、連邦と州の裁判所、高等法院、刑事・民事事件、陪審、上訴、行政審判、弁護士、検察、警察、法扶助まで、旅行情報ではなく司法制度そのものを解説するレポートとしてまとめます。
オーストラリアの司法制度とは?


オーストラリアは連邦国家です。連邦政府だけでなく、ニューサウスウェールズ州(New South Wales)、ビクトリア州(Victoria)、クイーンズランド州(Queensland)など各州・準州も独自の法律と裁判所を持っています。
そのため「オーストラリアの裁判所」と言っても一種類ではありません。連邦法に関する事件を扱う連邦裁判所があり、それとは別に各州・準州の刑事・民事事件を扱う裁判所があります。
ただし、二つの制度が完全に別れているわけでもありません。州・準州裁判所が連邦法上の事件を扱うこともあり、連邦法と州法が同じ紛争に関係するケースもあります。
最終的には高等法院が全国の最高裁判所として位置し、連邦・州・準州の裁判所から特別許可を得た上訴を審理します。
| 特徴 | オーストラリア | ポイント |
|---|---|---|
| 国家構造 | 連邦制 | 連邦と州・準州がそれぞれ法律を持つ。 |
| 司法体系 | 連邦+州・準州 | 複数の裁判所体系が並存。 |
| 法体系 | Common Law | 制定法に加えて判例法が重要。 |
| 最高裁判所 | High Court of Australia | 憲法判断と最終上訴。 |
| 重大刑事事件 | Judge+Jury | 陪審が事実認定を行う場合が多い。 |
法律はどこから生まれる?
オーストラリア法を理解するうえで重要なのが、制定法だけでなく判例も法の一部を構成するという点です。
憲法
オーストラリア連邦憲法(Australian Constitution)は、連邦議会、行政、司法の権限を定める国の基本法です。どの分野について連邦議会が法律を制定できるか、連邦司法権をどの裁判所が行使するかなど、国家制度の骨格を定めています。
制定法
連邦議会や州・準州議会が制定する法律は、Act、Statute、Legislationなどと呼ばれます。例えばFamily Law Act 1975は連邦法、Crimes Act 1900 (NSW)はニューサウスウェールズ州法です。
委任立法
議会が制定した法律に基づいて、Regulation、Ruleなどの細かな規則が作られることがあります。実際の行政運営や手続きでは、こうした下位法令も重要です。
コモン・ロー
制定法が直接規定していない問題については、裁判所が過去の判決を積み重ねて発展させてきたコモン・ロー(Common Law)が適用されます。
裁判所の階層制度では、上級裁判所が示した法的判断を下級裁判所が原則として従う「先例拘束」の考え方が重要です。高等法院の判決はオーストラリア全土の裁判所に大きな拘束力を持ちます。
| 法源 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| Constitution | 国家制度の基本法 | Australian Constitution |
| Act / Statute | 議会が制定する法律 | Family Law Act等。 |
| Regulation / Rule | 法律に基づく詳細規則 | 手続規則・行政規則等。 |
| Common Law | 裁判所の判例から発展する法 | 契約、不法行為など。 |
三権分立と司法の独立
オーストラリアでは、国家権力を立法、行政、司法に分ける三権分立(Separation of Powers)が憲法制度の重要な原則です。
議会は法律を作り、政府・行政機関は法律を執行し、裁判所は法律を解釈して個別の紛争へ適用します。
連邦レベルでは憲法第III章が司法権について定め、高等法院と、連邦議会が設置するその他の連邦裁判所に連邦司法権を与えています。
裁判官は政府や議会から独立して判断することが求められます。連邦裁判官については、任期・報酬に関する憲法上の保障が司法の独立を支えています。
政府が裁判の結論を指示することはできない
司法の独立とは、裁判官が政府の政策的希望ではなく、憲法・法律・証拠・判例に基づいて事件を判断するという原則です。政治的に注目される事件であっても、裁判所は独立した司法機関として判断します。
連邦裁判所と州・準州裁判所
オーストラリアの司法制度が分かりにくく見える最大の理由が、連邦と州・準州の裁判所が同時に存在することです。
犯罪、交通、土地、相続、契約、住宅など日常生活に関係する法律の多くは州・準州法で、事件も州・準州の裁判所で扱われます。
一方、移民、破産、連邦税制、会社法、競争法、知的財産、連邦行政などは連邦法との関係が強く、Federal CourtやFederal Circuit and Family Courtが担当します。
| 主な分野 | 中心となる制度 | 代表的な裁判所 |
|---|---|---|
| 州法上の犯罪 | 州・準州 | Local / Magistrates、District / County、Supreme |
| 交通違反 | 州・準州 | Local / Magistrates Court |
| 一般的な民事紛争 | 州・準州 | 金額・内容に応じ各州裁判所 |
| 移民 | 連邦 | FCFCOA Division 2、Federal Court等。 |
| 破産 | 連邦 | Federal Court、FCFCOA Division 2。 |
| 会社・競争法 | 主に連邦 | Federal Court等。 |
| 家族法 | 主に連邦 | FCFCOA。 |
主な連邦裁判所
オーストラリアの主要な連邦裁判所は、高等法院、オーストラリア連邦裁判所、オーストラリア連邦巡回・家庭裁判所です。
オーストラリア高等法院
オーストラリア高等法院(High Court of Australia)は司法制度の頂点です。憲法問題、連邦上重要な問題、全国の裁判所からの最終上訴を扱います。
オーストラリア連邦裁判所
オーストラリア連邦裁判所(Federal Court of Australia)は、連邦法に基づく幅広い民事事件と一部の刑事事件を扱う上級裁判所です。
主な分野には、会社法、競争法、消費者法、知的財産、税、雇用・労働関係、破産、人権、差別、ネイティブ・タイトル、海事、連邦行政判断の司法審査などがあります。
オーストラリア連邦巡回・家庭裁判所
オーストラリア連邦巡回・家庭裁判所(Federal Circuit and Family Court of Australia/FCFCOA)は、2021年9月に現在の制度へ再編され、Division 1とDivision 2という二つの裁判所から構成されています。
Division 1は主に複雑な家族法事件と家族法上訴を扱う上級裁判所です。Division 2は家族法に加え、移民、Fair Work、破産、消費者法、人権、行政法など幅広い連邦事件を扱います。
家族法事件は原則としてDivision 2から開始し、複雑な事件が必要に応じてDivision 1へ移されます。
| 裁判所 | 主な役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| High Court | 憲法・最終上訴 | 全国最高位。 |
| Federal Court | 連邦法上の幅広い事件 | 会社、税、競争、知財、行政等。 |
| FCFCOA Division 1 | 複雑な家族法・上訴 | Family law specialist superior court。 |
| FCFCOA Division 2 | 家族法・移民・一般連邦法 | 多くの連邦事件の入口。 |
州・準州の裁判所
州・準州裁判所の名前と階層は全国で完全には統一されていません。ただし、多くの州では「下級裁判所→中間裁判所→Supreme Court」という3段階の構造です。
| 州・準州 | 下級 | 中間 | 最上級 |
|---|---|---|---|
| NSW | Local Court | District Court | Supreme Court |
| VIC | Magistrates’ Court | County Court | Supreme Court |
| QLD | Magistrates Court | District Court | Supreme Court |
| WA | Magistrates Court | District Court | Supreme Court |
| SA | Magistrates Court | District Court | Supreme Court |
| TAS | Magistrates Court | なし | Supreme Court |
| ACT | Magistrates Court | なし | Supreme Court |
| NT | Local Court | なし | Supreme Court |
ニューサウスウェールズ州では、ローカル・コート(Local Court)が軽微な刑事事件や一定額までの民事事件を扱い、ディストリクト・コート(District Court)がより重大な犯罪・高額民事事件・一部の上訴を扱います。スプリーム・コート(Supreme Court of New South Wales)は州の最上級裁判所です。
ビクトリア州では中間裁判所が「District Court」ではなくカウンティ・コート(County Court of Victoria)と呼ばれます。タスマニア州(Tasmania)、首都特別地域(Australian Capital Territory)、北部準州(Northern Territory)には同じ形の中間裁判所がなく、二層構造が基本です。
さらにChildren’s Court、Coroners Court、Land Court、Drug Court、Planning and Environment Courtなど、分野ごとの専門裁判所・専門部門もあります。
オーストラリア高等法院
オーストラリア高等法院は1903年に設立され、現在はキャンベラ(Canberra)のパーラメンタリー・トライアングル(Parliamentary Triangle)に本拠を置いています。
高等法院には大きく二つの役割があります。一つは、オーストラリア憲法の意味を解釈し、連邦・州政府の法律が憲法上有効かを判断すること。もう一つは、全国の裁判所における重要な民事・刑事事件の最終上訴を審理することです。
ただし、下級裁判所の判決に不満があれば自動的に高等法院まで上訴できるわけではありません。多くの上訴ではSpecial Leave to Appealと呼ばれる特別許可が必要です。
憲法上重要な事件、従来の判例を変更する可能性がある事件、法律上重大な原則を含む事件などでは、7人の裁判官全員によるFull Benchで審理されることがあります。
「Supreme Court」と「High Court」は別
各州のSupreme Courtは、その州の最上級裁判所です。一方、High Court of Australiaは国全体の最高裁判所です。例えばNSW Supreme Courtの最終的な上訴先は、条件を満たせばHigh Courtとなります。
刑事事件の仕組み
刑事事件は、国や州が個人を訴追する手続きです。犯罪の捜査は警察などの捜査機関が行い、一定の事件ではDirector of Public Prosecutions(DPP)が検察を担当します。
刑事手続きの細部は州・準州で異なりますが、ニューサウスウェールズ州を例にすると、ほぼすべての刑事事件が最初にLocal Courtへ入ります。
Summary Offence
比較的軽い犯罪はSummary Offenceと呼ばれ、通常はMagistrateまたはLocal Court Judgeが陪審なしで審理します。交通違反、軽微な暴行、公共秩序に関する犯罪などが代表例です。
Indictable Offence
重大犯罪はIndictable Offenceと呼ばれます。事件はいったん下級裁判所で手続きを行った後、District CourtやSupreme Courtへ送られ、陪審裁判となる場合があります。
ニューサウスウェールズ州では、District Courtは殺人、反逆罪、海賊行為を除く多くの重大犯罪を扱い、殺人など特に重大な事件はSupreme Courtが扱います。
無罪推定
刑事裁判では被告人は有罪と証明されるまで無罪と推定されます。原則として、検察側が犯罪を構成する各要素を「合理的な疑いを超えて(Beyond Reasonable Doubt)」証明しなければなりません。
有罪判決と量刑
陪審裁判では、陪審は通常「Guilty」または「Not Guilty」という評決を出します。有罪の場合、刑罰を決めるSentencingは裁判官が行います。
民事事件の仕組み
民事事件は、個人、企業、団体などの間の権利義務をめぐる紛争です。契約、債務、損害賠償、財産、住宅、事業上の争いなどが代表的です。
刑事事件のように「国家が犯罪者を処罰する」ことが目的ではなく、金銭賠償、契約履行、差止命令などによって当事者間の争いを解決します。
民事事件で一般的に使われる証明基準は「Balance of Probabilities」です。つまり、ある事実が「そうである可能性の方が高い」と裁判所が判断できる程度の立証が基本になります。
| 比較 | 刑事 | 民事 |
|---|---|---|
| 当事者 | 国家/検察 対 被告人 | 個人・企業等の当事者同士。 |
| 目的 | 犯罪の判断・処罰 | 権利義務・損害の解決。 |
| 証明基準 | Beyond Reasonable Doubt | Balance of Probabilities |
| 典型的結果 | 有罪・無罪、刑罰 | 賠償、支払、命令等。 |
| 陪審 | 重大事件で使用 | 使用は限定的。 |
民事事件では、裁判の前に交渉、調停(Mediation)、その他のAlternative Dispute Resolution(ADR)による解決が重視されます。裁判所自身が当事者に調停を勧めたり、一定の手続きでADRを要求したりすることもあります。
陪審制度


陪審制度はオーストラリア司法の特徴の一つですが、すべての裁判に陪審がいるわけではありません。
例えばニューサウスウェールズ州のLocal Courtやクイーンズランド州のMagistrates Courtでは陪審は使われず、Magistrateや裁判官が事実と法律の両方を判断します。
重大刑事事件がDistrict CourtやSupreme Courtで争われる場合には、通常12人程度の陪審員が選ばれます。陪審員は証拠を聞き、裁判官から法律上の説明を受けたうえで、有罪か無罪かという事実判断を行います。
一方、裁判官は裁判手続きの管理、法律問題の判断、陪審への法的指示を行い、有罪評決が出た場合には量刑を決めます。
民事裁判で陪審が使われることも法律上ありますが、現在は刑事裁判ほど一般的ではありません。ニューサウスウェールズ州では民事陪審は比較的まれで、典型的には4人で構成されます。
| 役割 | Judge | Jury |
|---|---|---|
| 法律の解釈 | 行う | 裁判官の指示に従う。 |
| 証拠・事実判断 | 陪審なし事件では行う | 陪審裁判では中心的役割。 |
| 有罪・無罪 | Judge-alone trialでは判断 | 通常の陪審刑事裁判で判断。 |
| 刑罰 | 決定する | 決定しない。 |
上訴・控訴の仕組み
裁判所は階層構造になっており、一定の条件を満たせば下級裁判所の判断を上級裁判所へ上訴できます。
ただし、すべての判決について何度でも自動的に上訴できるわけではありません。法律によって上訴できる理由、期限、Leave to Appealと呼ばれる許可の必要性などが定められています。
州裁判所の上訴
ニューサウスウェールズ州を例にすると、Local Courtの刑事判決の一部はDistrict Courtへ上訴できます。District CourtやSupreme Courtの重大刑事事件からの上訴はCourt of Criminal Appealが扱います。
民事事件ではSupreme Court内のCourt of Appealが重要な上訴裁判所となります。
連邦裁判所の上訴
Federal Courtの単独裁判官の判断は、一定の場合Full Court of the Federal Courtへ上訴できます。Full Courtは通常複数の裁判官で構成されます。
最終上訴はHigh Court
州Supreme CourtのCourt of AppealやCourt of Criminal Appeal、Federal Courtなどの判断について、さらに高等法院へ進める可能性があります。ただし通常はSpecial Leave to Appealが必要です。
「もう一度同じ裁判をする」とは限らない
上訴では、下級裁判所が法律を誤って適用したか、手続き上重大な問題があったかなどが争点になります。事件によっては事実認定そのものを自由にやり直せるわけではありません。
裁判所と行政審判所の違い
オーストラリアではCourtのほかにTribunalという機関が数多くあります。Tribunalを日本語で「裁判所」と訳してしまうと、制度上の違いが分かりにくくなります。
連邦レベルでは、2024年10月14日に行政審査審判所(Administrative Review Tribunal/ART)が発足し、それまでのAdministrative Appeals Tribunalを置き換えました。
ARTは、移民・市民権、社会保障、NDIS、Child Support、税など、約400の連邦法に基づく行政判断を再審査します。
ここで重要なのが「Merits Review」と「Judicial Review」の違いです。行政審判所によるMerits Reviewでは、行政機関の判断を事実・政策・裁量を含めて見直し、「正しく、または最も適切な判断は何か」を再検討できます。
一方、裁判所によるJudicial Reviewは、原則として行政判断が法律に従って適法に行われたかを審査するものです。裁判所が単に「自分なら別の結論にした」という理由で行政判断を置き換える制度ではありません。
州にもNCAT、VCAT、QCAT、SATなどの行政・民事審判所があり、住宅、消費者、行政判断、職業規制などの紛争を比較的簡易な手続きで処理します。
バリスターとソリシター
オーストラリアの法律専門職では、ソリシター(Solicitor)とバリスター(Barrister)という区分が広く見られます。
ソリシター
Solicitorは依頼者との窓口になり、法律相談、契約書、交渉、裁判準備、書類作成など幅広い業務を行います。多くの人が法律問題で最初に相談するのはSolicitorです。
バリスター
Barristerは独立した専門的な法廷弁護士で、複雑な裁判、上訴、法的意見、反対尋問などを得意とします。多くの場合、SolicitorからBriefと呼ばれる依頼を受けて事件に参加します。
ただし実際の業務境界は絶対ではなく、Solicitorが自ら法廷に立つことも一般的です。
SC・KCとは?
経験豊富で高い専門能力を認められたBarristerにはSenior Counsel(SC)またはKing’s Counsel(KC)の称号が付くことがあります。以前よく使われたQC(Queen’s Counsel)は、現在の国王がチャールズ3世であるためKCとなります。
| 比較 | Solicitor | Barrister |
|---|---|---|
| 依頼者との窓口 | 通常中心 | 多くはSolicitor経由。 |
| 契約・法律相談 | 中心的業務 | 専門的意見を出す場合。 |
| 裁判準備 | 証拠・書類を整理 | 法廷戦略・主張を担当。 |
| 法廷弁論 | 可能 | 専門分野。 |
| 働き方 | 法律事務所、企業、政府等 | 独立開業が中心。 |
警察・検察・公選弁護
刑事司法では、警察、検察、裁判所はそれぞれ別の役割を持ちます。
警察
警察は犯罪を捜査し、証拠を集め、容疑者を逮捕・起訴手続きへ進めます。軽微な事件では警察側のProsecutorが下級裁判所で訴追を担当する州もあります。
Director of Public Prosecutions
重大犯罪では州ごとのOffice of the Director of Public Prosecutions(ODPP)が重要な役割を持ちます。例えばニューサウスウェールズ州のODPPは、州法上の重大なIndictable Offenceを独立した立場で訴追します。
ODPPは捜査機関ではありません。捜査を行うのは警察などで、検察は証拠をもとに訴追を行う役割です。
Commonwealth DPP
連邦犯罪についてはCommonwealth Director of Public Prosecutions(CDPP)があり、連邦法違反の重大事件を訴追します。
Public Defender
ニューサウスウェールズ州などにはPublic Defender制度もあります。Public Defenderは政府から給与を受けるBarristerですが、法廷では政府から独立し、Legal Aidを認められた被告人などを重大刑事事件で弁護します。
法扶助と司法へのアクセス
弁護士費用が負担できない人のために、各州・準州にはLegal Aid Commissionがあります。刑事、家族、一定の民事事件について、法律相談、Duty Lawyer、弁護士費用の助成などを提供します。
例えばLegal Aid NSWでは、刑事、家族、民事の各分野について援助制度があります。ただし、すべての人・すべての事件が無料で弁護士を利用できるわけではありません。
継続的な代理を受けるGrant of Legal Aidでは、事件の種類、収入・資産を確認するMeans Test、事件の見込みを確認するMerit Testなどの条件が適用される場合があります。
裁判所当日に相談できるDuty Lawyerサービスや、Community Legal Centre、Aboriginal and Torres Strait Islander Legal Servicesなども、司法へのアクセスを支える重要な仕組みです。
裁判所職員は法律相談をしてくれるわけではない
Court Registryの職員は、提出方法、書式、日程など手続き上の情報を案内できますが、どの主張をすべきか、勝てるかどうかといった法律相談は通常できません。具体的な事件では弁護士やLegal Aidなどへ相談する必要があります。
オーストラリアの司法制度に関するよくある質問(FAQ)
オーストラリア高等法院(High Court of Australia)です。
憲法問題と、連邦・州・準州裁判所からの最終上訴を扱います。
違います。Supreme Courtは各州・準州の最上級裁判所です。
全国の司法制度の最上位はHigh Court of Australiaです。
いいえ。
軽微な犯罪の多くはLocal CourtやMagistrates Courtで、陪審なしで審理されます。陪審は主に重大な刑事裁判で使われます。
通常は決めません。
陪審が有罪・無罪を判断し、有罪の場合の量刑は裁判官が決めます。
一般的な州法上の殺人・暴行などは通常、州・準州裁判所が扱います。
Federal Courtは主に連邦法上の民事事件と、一部の連邦刑事事件を扱います。
Solicitorは依頼者との窓口、法律相談、書類、交渉など幅広く担当します。
Barristerは法廷弁論や複雑な法律問題を専門とする独立した法廷弁護士です。
裁判所とは異なる行政審査機関です。
連邦政府機関の一定の決定についてMerits Reviewを行い、より適切な行政判断を再検討します。
できません。
High Courtへの上訴には通常Special Leave to Appealが必要で、法律上重要な問題などがあるか審査されます。
まとめ
オーストラリアの司法制度は、連邦制とコモン・ローという二つの特徴を理解すると全体像が見えやすくなります。
連邦にはHigh Court、Federal Court、Federal Circuit and Family Courtがあり、それとは別に各州・準州がLocal Court、Magistrates Court、District Court、County Court、Supreme Courtなど独自の裁判所体系を持っています。
一般の犯罪や民事紛争の多くは州・準州裁判所で扱われ、移民、破産、会社法、連邦行政、家族法などでは連邦裁判所が重要な役割を持ちます。
重大刑事事件では陪審が証拠を検討して有罪・無罪を判断し、裁判官が法律を説明し、有罪の場合は量刑を決めます。軽微な事件の多くは陪審を使わず、Magistrateや裁判官だけで処理されます。
さらに、裁判所とは別にAdministrative Review Tribunalや州の各種Tribunalがあり、行政判断や住宅・消費者問題などをより専門的・簡易な手続きで処理しています。
日本と比べると複雑に見えますが、「連邦と州の二重構造」「裁判所の階層」「Common Lawと制定法」「陪審と裁判官の役割」を押さえると、オーストラリアの司法制度を理解しやすくなります。
オーストラリアの司法制度に関する参考情報
- オーストラリア司法長官府:Courts
- オーストラリア高等法院:Role of the High Court
- オーストラリア高等法院:Operation of the High Court
- オーストラリア連邦裁判所:The Court’s Jurisdiction
- オーストラリア連邦巡回・家庭裁判所:About the Courts
- FCFCOA:Transfer of proceedings
- 行政審査審判所:Administrative Review Tribunal
- ニューサウスウェールズ州ローカル・コート:Criminal Jurisdiction
- ニューサウスウェールズ州ディストリクト・コート:Jurisdiction
- ニューサウスウェールズ州裁判所:Roles in court
- ニューサウスウェールズ州裁判所:Criminal hearings and trials
- ニューサウスウェールズ州ODPP:Our role
- ニューサウスウェールズ州法廷弁護士会:What is a barrister?
- ニューサウスウェールズ州法律協会:Solicitors’ duties to clients
- ビクトリア州:Victorian courts and tribunals
- クイーンズランド州裁判所:The Courts
- 西オーストラリア州最高裁判所:Court System in Western Australia
- 南オーストラリア州:Our courts
- タスマニア州最高裁判所:About the Court
- 首都特別地域裁判所:About the Courts
- 北部準州政府:Types of courts and their roles
- リーガル・エイドNSW:Apply for legal aid
オーストラリアの旅行手配
トラベルドンキーでは、シドニー、メルボルン、ゴールドコースト、ケアンズ、パース、アデレード、タスマニア、ウルルなど、オーストラリア各地のオプショナルツアー(現地発着ツアー)、アクティビティ、送迎等をご紹介、ご予約を承っています。
オーストラリアを知り尽くしたオーストラリア在住のスタッフが対応しておりますので、正確な情報の提供、的確なアドバイス、到着フライトの遅延・欠航など、緊急時の迅速な対応も可能となっています。
オーストラリア旅行をご計画中の方は、是非トラベルドンキーのご利用をご検討ください。きっと素敵な思い出深いオーストラリア旅行になりますよ。


