ベジマイト完全ガイド|味・食べ方・オーストラリア人に愛される理由

オーストラリアを代表する食品として、必ずと言っていいほど名前が挙がるのがベジマイト(Vegemite)です。

黒に近い濃い茶色のペーストで、パンに塗って食べるのが一般的。一見するとチョコレートクリームのようにも見えますが、実際は甘くありません。

初めて食べた日本人からは「しょっぱい」「独特の味」「何とも言えない香り」と驚かれることが多い一方、オーストラリアでは子供の頃から食べている人も多く、家庭の味、朝食の味として深く定着しています。

そして、ベジマイトを初めて食べる時に一番大切なのが「塗り過ぎないこと」です。

日本のジャムやチョコレートクリームの感覚でパン一面へ厚く塗ってしまうと、非常に塩辛く感じます。

ベジマイトは、バターを塗ったトーストへほんの少量を薄く伸ばして食べるのが基本です。

この記事では、日本からオーストラリアを訪れる旅行者向けに、ベジマイトとは何なのか、どんな味なのか、おいしい食べ方、歴史、原材料、栄養、マーマイトとの違い、スーパーでの買い方、お土産として持ち帰る時のポイントまで詳しく紹介します。




ベジマイトとは?

ベジマイトって野菜から作られているんですか?
名前から野菜を想像しますが、主原料はビール製造などで生じる酵母を利用した酵母エキスです。非常に濃い味なので、少量を薄く塗って食べます。

ベジマイトは、酵母エキスを主原料とする濃い茶色のペースト状食品です。

オーストラリアでは主に、

  • トースト
  • クラッカー
  • サンドイッチ
  • チーズとの組み合わせ

などで食べられています。

日本のジャムのように「甘いものをパンへ塗る」という食品ではなく、塩味とうま味を加える調味料に近い感覚で考えると分かりやすいでしょう。

どんな味?

ベジマイトの味を一言で説明するのは簡単ではありません。

特徴を挙げると、

  • かなり強い塩味
  • 酵母由来の独特な香り
  • 濃厚なうま味
  • わずかな苦味
  • 発酵食品を思わせる深い風味

があります。

甘味はほとんどありません。

日本人には、味そのものよりも最初に感じる強い塩味と香りに驚く人が多いでしょう。

実は「うま味」の強い食品

ベジマイトを単純に「しょっぱい食品」と考えると、その魅力が分かりにくくなります。

酵母エキスには強いうま味があるため、少量を使うと料理の味に深みが加わります。

日本の味噌や醤油とは全く違う食品ですが、少量で塩味とうま味を加えるという使い方には共通する部分があります。

初めて食べて苦手になる最大の理由

初めてベジマイトを食べる人が最もやりがちな失敗が、塗り過ぎです。

見た目だけを見るとチョコレートクリームやピーナッツバターのようなので、パン一面へ厚く塗りたくなります。

しかし、ベジマイトは非常に味が濃いため、同じ感覚で塗ると塩辛さが一気に強くなります。

初めてなら「これでは少な過ぎるのでは?」と思う程度から始めるくらいでちょうどよいでしょう。

基本の食べ方

初めてなら、まずはバターを塗ったトーストへ、ごく少量のベジマイトを薄く伸ばす方法がおすすめです。

手順は簡単です。

  1. 食パンをこんがり焼く
  2. 熱いうちにバターを塗る
  3. ベジマイトを少量取る
  4. パン全体へ薄く伸ばす

バターのまろやかさがベジマイトの強い塩味を和らげるため、単独で食べるより格段に食べやすくなります。

ベジマイト・トースト

ベジマイト・トーストは、オーストラリアで最も分かりやすい食べ方の一つです。

特別な料理ではなく、忙しい朝に手早く作れる家庭の朝食です。

食パンだけでなく、サワードウやイングリッシュマフィンなどに塗って食べることもあります。

どのくらい塗ればいい?

初めて食べる場合は、パン一枚につきごく少量から始めてください。

パンが真っ黒になるほど塗る必要はありません。

バターを塗ったパンの表面に、ところどころ薄茶色から茶色にベジマイトが見える程度でも十分味を感じます。

慣れてくれば、好みに合わせて量を増やせます。

バターと一緒に食べるのが基本

ベジマイトと最も相性がよいものの一つがバターです。

焼きたてのパンへバターを少し多めに塗り、その上からベジマイトを薄く伸ばします。

バターの脂肪分とまろやかさによって、ベジマイトの強い塩気が和らぎます。

初めて挑戦するなら、ベジマイト単独よりもこの食べ方がおすすめです。

チーズとの組み合わせ

オーストラリアではベジマイトとチーズも定番の組み合わせです。

チェダーチーズなどをパンにのせて食べたり、ベジマイトを薄く塗ったパンへチーズをのせて焼いたりします。

チーズのコクが塩味を和らげるため、ベジマイト初心者にも比較的食べやすい組み合わせです。

アボカドと合わせる

現代的な食べ方としては、アボカド・トーストとベジマイトの組み合わせもあります。

バターの代わりにアボカドのまろやかな脂肪分がベジマイトの塩味を和らげます。

ベジマイトを薄く塗ったパンにアボカドをのせるだけなので、朝食にも簡単です。

卵料理と合わせる

卵との相性もよく、

  • 目玉焼き
  • スクランブルエッグ
  • ゆで卵
  • ポーチドエッグ

などと合わせられます。

ベジマイトを調味料のように少量使うことで、卵料理へ塩味とうま味を加えられます。

サンドイッチ

ベジマイトはサンドイッチにも使われます。

非常にシンプルなものなら、バターとベジマイトだけ。

チーズを加えたり、子供の昼食としてパンに薄く塗ったりする家庭もあります。

オーストラリア人にとっては、子供の頃から親しんできた味の一つです。

料理の隠し味にも使える

ベジマイトはパンに塗るだけではありません。

少量を料理へ加え、うま味を補う調味料として使うこともできます。

例えば、

  • 煮込み料理
  • グレービーソース
  • 肉料理のソース
  • スープ

などです。

味が非常に濃いため、大さじ単位ではなく少量ずつ加えて味を確認するのがポイントです。



ベジマイトの歴史

現在ではオーストラリアを象徴する食品となったベジマイトですが、その歴史は20世紀初頭に始まりました。

背景には、ビール製造後に残る酵母を食品として有効利用するという考えがありました。

1923年に誕生

ベジマイトが世に登場したのは1923年です。

メルボルンを拠点としていた食品会社フレッド・ウォーカー社が、オーストラリア国内で作ることのできる酵母エキス製品の開発を進めました。

当時オーストラリアでは、イギリスから輸入されるマーマイトが知られていました。

そこで国内で生産できる新しい酵母エキス食品が求められたのです。

シリル・P・カリスター博士

開発を担当したのが、食品科学者のシリル・P・カリスター博士(Dr Cyril P. Callister)です。

ビール製造で残る酵母から濃縮したエキスを作り、塩や植物由来の成分などを組み合わせ、現在のベジマイトにつながる食品を開発しました。

カリスター博士は、ベジマイトの誕生を語るうえで欠かせない人物です。

「Vegemite」という名前の由来

「Vegemite」という名前は、一般公募によって選ばれたとされています。

1923年、新商品の名称を決めるための募集が行われ、その中からVegemiteが選ばれました。

現在ではオーストラリアを代表する商品名ですが、発売当初からすぐに大成功したわけではありませんでした。

一時期は「Parwill」という名前だった

ベジマイトの歴史には、少し変わった時期があります。

競合商品だったマーマイト(Marmite)を意識し、一時期「Parwill」という名前へ変更されました。

「Marmite」から連想した言葉遊びを含む名称でしたが、消費者には十分定着せず、後に再びVegemiteへ戻されました。

第二次世界大戦とベジマイト

ベジマイトの知名度を大きく高めた時期の一つが第二次世界大戦です。

オーストラリア軍の食事にもベジマイトが利用され、戦時中に広く知られるようになりました。

国内では品薄になることもあり、「兵士のために必要な食品」という印象も強まりました。

この時代を通じて、ベジマイトは単なる新商品からオーストラリアらしさを象徴する食品へ成長していきます。

Happy Little Vegemites

ベジマイトの広告史で特に有名なのが、「Happy Little Vegemites」です。

1950年代に使われた広告の歌で、元気な子供たちとベジマイトを結び付けた内容でした。

この広告によって、「子供の頃からベジマイトを食べる」というイメージがさらに定着しました。

現在でも世代によっては非常によく知られたフレーズです。




現在はベガ・グループが所有

ベジマイトは長い歴史の中で所有企業が変わってきました。

2017年には、オーストラリア企業のベガがベジマイト事業を取得しました。

これにより、長く海外企業の傘下にあったベジマイトが、再びオーストラリア企業の所有となったことは国内でも大きく報じられました。

現在もメルボルンで製造

ベジマイトは現在もメルボルンのポート・メルボルンで製造されています。

誕生から100年以上が経った現在も、オーストラリア国内で作られている代表的な食品です。

ベジマイトの原材料

ベジマイトの中心となる原材料は酵母エキスです。

そのほか、塩、麦芽由来の成分、植物由来の風味などが使われています。

非常に濃い色をしていますが、チョコレートやコーヒーが入っているわけではありません。

酵母エキスとは?

酵母エキスは、酵母の成分を取り出して濃縮した食品素材です。

うま味が非常に強く、スープ、調味料、加工食品などにも利用されます。

ベジマイト特有の味と香りの中心になっているのが、この酵母エキスです。

ビタミンB群

ベジマイトはビタミンB群を含む食品としても知られています。

商品には、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸などが含まれています。

オーストラリアでは長年、こうした栄養面も商品の特徴として宣伝されてきました。

塩分は高め

ベジマイトを食べた時に最も分かりやすく感じるのが強い塩味です。

通常商品では、5g当たりのナトリウム量は約165mgです。

ただし、一度に大量に食べる食品ではなく、通常は少量を薄く塗って食べます。

塩分摂取量を気にしている人は、使用量に注意してください。

グルテンを含む?

一般的なベジマイトには小麦・大麦由来の成分が含まれるため、通常の製品はグルテンフリーではありません。

セリアック病や小麦・大麦に関するアレルギーがある場合は、必ず商品の原材料表示を確認してください。

ベジタリアンでも食べられる?

通常のベジマイトには肉そのものを原料として使用しておらず、ベジタリアン向けの食品として販売されています。

ただし、食事上の制限が厳密な場合は、購入時に最新の商品表示を確認してください。

マーマイトとの違い

ベジマイトとよく比較されるのがマーマイト(Marmite)です。

どちらも酵母エキスを使った濃い色のペーストですが、味は同じではありません。

商品 特徴
ベジマイト オーストラリアを代表する商品。塩味とうま味が強く、濃厚な味
マーマイト イギリスなどで親しまれる酵母エキス食品。ベジマイトとは甘味・香り・食感に違いがある

どちらがおいしいかは完全に好みです。

オーストラリア旅行で試すなら、まずはオーストラリアを代表するベジマイトから食べてみるのがよいでしょう。

プロマイトとの違い

オーストラリアのスーパーでは、ベジマイトの近くにプロマイト(Promite)が置かれていることがあります。

こちらも濃い色をしたパン用のペーストですが、ベジマイトとは原材料や味が異なります。

一般的にはベジマイトより甘味を感じやすく、違った味わいです。

興味があれば、小さい商品を購入して食べ比べてみても面白いでしょう。

商品の種類

スーパーでは、定番の瓶入りベジマイトを中心に、容量の異なる商品などが販売されています。

家庭で日常的に食べる人向けの大容量商品から、旅行者でも買いやすい小型の商品まであります。

初めて購入するなら、大きな容器を買う必要はありません。

チューブ式も便利

お土産や旅行中の使用には、押し出して使うチューブ式のベジマイトも便利です。

ガラス瓶と比べ、

  • 割れる心配が少ない
  • 比較的軽い
  • スプーンを使わず出せる
  • 旅行中でも使いやすい

という利点があります。

お土産として持ち帰る場合にも扱いやすいでしょう。



スーパーで買う

ベジマイトはオーストラリアの一般的なスーパーで簡単に購入できます。

例えば、

  • ウールワース
  • コールズ
  • IGA

などです。

通常はジャム、ピーナッツバターなど、パンに塗る食品の売場に並んでいます。

観光客向けのお土産店で探すより、普通のスーパーで購入する方が簡単です。

ホテルの朝食で見かけることも

オーストラリアのホテルでは、朝食会場のトースト用食品としてベジマイトが置かれていることがあります。

一回分の小さな容器になっていることもあるため、購入する前に少量だけ試してみたい旅行者にはよい機会です。

初めてなら、バターを塗ったトーストへ少量だけ伸ばしてみてください。

オーストラリア土産におすすめ?

ベジマイトは「オーストラリアらしさ」という点では非常に分かりやすいお土産です。

ただし、誰にでも好まれる味ではありません。

チョコレートやビスケットのような無難なお土産というより、

  • オーストラリア好きの人
  • 珍しい食品が好きな人
  • 話題性のあるお土産を探している人
  • 家族や親しい友人

などへのお土産に向いています。

渡す時には、「たっぷり塗らないで、バターと一緒に薄く塗って」と伝えておくとよいでしょう。

日本へ持ち帰る時のポイント

旅行者にとっては、ガラス瓶より小型容器やチューブ式の方が持ち帰りやすいでしょう。

スーツケースへ入れる場合は、ふたが開いて中身が漏れないよう袋へ入れておくと安心です。

ベジマイトは非常に濃い色なので、万一衣類へ付くと汚れが目立ちます。

また、航空機の機内持ち込みではペースト状食品が液体物に準じて扱われる場合があるため、大きな容器は受託手荷物へ入れる方が分かりやすいでしょう。

ベジマイトで使う英語

英語 意味
Vegemite ベジマイト
Yeast Extract 酵母エキス
Spread パンなどに塗るペースト状食品
Toast トースト
Butter バター
Savoury 甘くない、塩味・うま味系の
Salty 塩辛い
Yeasty 酵母のような香りの
Do you have Vegemite? ベジマイトはありますか?
How do you eat Vegemite? ベジマイトはどうやって食べますか?
Just a little Vegemite, please. ベジマイトは少しだけお願いします。
Is this the original Vegemite? これは通常のベジマイトですか?

初めて食べる人へのおすすめ

  • 最初から厚く塗らない
  • 必ずバターと一緒に試す
  • こんがり焼いたトーストを使う
  • 最初はごく少量から始める
  • チーズを加えると食べやすい
  • アボカドや卵と合わせてみる
  • そのままスプーンですくって食べない
  • 苦手でも量を減らしてもう一度試してみる
  • お土産には小型容器やチューブ式が便利

ベジマイトは、初めて食べれば誰もがすぐ好きになる食品ではありません。

むしろ、最初の一口で「これは無理」と思う人もいるでしょう。

しかし、その多くは塗る量が多過ぎることが原因です。

バターをたっぷり塗ったトーストへ、ごく少量だけベジマイトを伸ばして食べると印象が大きく変わることがあります。

オーストラリア人にとってベジマイトは、単なる珍しい黒いペーストではありません。

子供の頃の朝食やランチ、家庭の食卓、広告の歌、戦時中の記憶など、100年以上にわたってオーストラリア社会と結び付いてきた食品です。

オーストラリア旅行中にスーパーやホテルの朝食会場で見つけたら、ぜひ「薄く、バターと一緒に」を忘れずに試してみてください。




ベジマイトに関するよくある質問(FAQ)

ベジマイトとは何ですか?

酵母エキスを主原料とした、オーストラリアを代表する濃い茶色のペースト状食品です。一般的にはバターを塗ったトーストへ少量を薄く伸ばして食べます。

ベジマイトはどんな味ですか?

強い塩味、酵母由来の独特の香り、濃厚なうま味が特徴です。甘い食品ではありません。

ベジマイトのおいしい食べ方は?

こんがり焼いたトーストへバターを塗り、その上にベジマイトをほんの少量だけ薄く伸ばすのが基本です。チーズ、アボカド、卵ともよく合います。

なぜベジマイトは塗り過ぎてはいけないのですか?

塩味とうま味が非常に濃いためです。ジャムやチョコレートクリームのように厚く塗ると、かなり塩辛く感じます。初めてならごく少量から試してください。

ベジマイトは何から作られていますか?

主原料は酵母エキスです。そのほか塩、麦芽由来の成分などが使われています。

ベジマイトはグルテンフリーですか?

通常のベジマイトはグルテンフリーではありません。小麦・大麦由来の成分が含まれるため、セリアック病やアレルギーがある場合は商品の原材料表示を確認してください。

ベジマイトとマーマイトは同じですか?

同じではありません。どちらも酵母エキスを使った濃い色の食品ですが、味、香り、甘味、食感などに違いがあります。

オーストラリアではどこで買えますか?

ウールワース、コールズ、IGAなど、一般的なスーパーで簡単に購入できます。通常はジャムやピーナッツバターなど、パンに塗る食品の売場にあります。

日本へのお土産に向いていますか?

オーストラリアらしさという点では非常に分かりやすいお土産です。ただし好みの分かれる味なので、珍しい食品が好きな人や親しい友人へのお土産に向いています。旅行では小型容器やチューブ式が持ち運びやすいでしょう。



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